バカは死んだら治るのか?   作:夏のレモン

21 / 70
真実って残酷だな。

 

 

最後の戦いが始まった。

俺は上空で激しくぶつかり合う二人を見ている。

 

「おお、やっぱりすげーな」

 

俺の隣にはユーノとアルフもいた。

 

「フェイト……」

 

「なのは……」

 

 

 

 

 

 

 

 

魔力弾を撃ちあい、時に避け、時に防御する。

しばらく一定の距離を保ち、互いに様子を見ていたが、とうとうフェイトが仕掛けた。

 

バルディッシュを鎌に変えなのはへ突撃する。

 

「ッ‼︎」

 

なのはは近寄らせまいと更に大量の魔力弾を放つが斬り落とされ躱されてしまう。

 

「はぁ‼︎」

 

振り降ろされた斬撃をシールドで防ぐ。

 

「くぅ‼︎」

 

フェイトはそのまま押し切ろうとするが、なのはの視線がずれたのが見えた。

 

違和感を感じたフェイトは背後を振り向くと魔力弾が迫ってくるのが見えた。先程の躱した魔力弾が大きな弧を描いて戻ってきたのだ。

 

「くっ‼︎」

 

フェイトはバリアを張り防いだがなのはの姿を見失ってしまう。

 

「ど……どこに……」

 

その時、フェイトの上空に影がさした。

レイジングハートを振りかぶったなのはだった。

 

「はぁぁあああ‼︎」

 

魔力を纏ったレイジングハートが振り降ろされる。

 

「っ‼︎」

 

咄嗟にバルディッシュで受け止める。

 

衝突した瞬間、二人の魔力が爆発した。

 

海上が白い光に呑まれた中、フェイトはなのはの背後に回り込んで鎌を振り降ろす。

 

なのはは咄嗟に回避する。

 

「あ⁉︎」

 

態勢を立て直すためその場から離れたなのはだったが、回避する場所を読まれ周囲を数個の魔力弾で囲まれた。

 

そして、その全てが襲いかかる。

 

「っ‼︎ くぅ‼︎」

 

なのはは手にかざしたシールドで魔力弾を受け流していく。

魔力弾は一発も当たることなく逸らされる。

 

二人はここで一旦距離を取り息を整えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

フェイトはなのはの実力を思い知っていた。

 

(凄い……。最初は素人同然だったのに……戦う度に強くなってくる……。でも……)

 

確かになのはは強い。それは認めよう。

だが自分は負けるわけにはいかない。

 

(次で……決める‼︎)

 

フェイトの足元に巨大な魔法陣が浮かび上がった。

 

不穏な雰囲気を察したなのははその攻撃を止めるべく動き出そうとするが、金色のバインドに両手両足を捕らえられてしまう。

 

「⁉︎」

 

逃れようともがくがビクともしない。その間フェイトの魔法は着々と構築される。

 

 

 

 

 

 

 

 

「まずい‼︎ このままじゃなのはが‼︎」

 

なのはの危機にユーノは助太刀しようする。

 

「まあ、待てよ」

 

アントがユーノを押さえつけた。

 

「な‼︎何を‼︎」

 

「まだ勝負はついてないだろ?」

 

「そんなこと言ってる場合じゃない‼︎ このままじゃ……」

 

「ダメだ。黙って見てろ」

 

「っ……‼︎」

 

もがくユーノの上にのしかかり動けないようにする。

 

「……」

 

アルフは無言で戦いを見つめ続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フォトンランサー・ファランクスシフト……」

 

フェイトの周囲をおびただしい量の魔力弾が漂い、その一つ一つが雷を帯び始めた。

 

「打ち砕け‼︎ ファイア‼︎」

 

フェイトの号令に従い、全ての魔力弾が一斉に襲いかかる。

 

なのはの姿が魔力弾の爆発に包まれた。

 

「なのは‼︎」

 

ユーノの叫びが響く。

 

「……はあ、はあ」

 

この攻撃に全ての魔力を使い果たしたフェイトは、息を切らしながら立ち込める煙を見つめていた。

 

次第に晴れていく煙の中に人影が映った。

 

「な⁉︎」

 

「……はあ、はあ……撃ち終わると……バインドは解けるんだね……」

 

そこにはボロボロになりつつフェイトの攻撃を耐えきったなのはがいた。

 

「次は……私の番」

 

「⁉︎」

 

お返しだと言わんばかりにフェイトの両手両足を桜色のバインドが捕らえた。

 

そしてなのはは上空へ高く飛び上がる。

 

「これが……私の全力全開……‼︎」

 

レイジングハートに膨大な魔力が集まっていく。収束魔法だ。

 

「スターライト……ブレイカァァアアアア‼︎」

 

ドッゴォォオオオン‼︎

 

フェイトの姿が成す術なく桜色の光線に呑み込まれていった。

 

 

 

 

 

 

 

「フェイト‼︎」

 

「……えげつないな。まぁなんにせよ、決着だ」

 

「うん……」

 

光線が消えるとフェイトは海へと落ちていくのが見えた。

力尽き落下していくフェイトをなのはが抱きかかえる。

 

「うっ……」

 

気を失っていたフェイトが目を覚ます。

 

「気がついた?」

 

優しく声をかけるなのは

 

「ごめんね……大丈夫?」

 

「うん……」

 

「私の……勝ち……だよね?」

 

「うん……」

 

『Put out』

 

バルディッシュがジュエルシードを出した。勝者であるなのはにジュエルシードを差し出したのだ。

 

 

 

 

 

戦いは終わった……かに思えた。

 

この結果に納得していない人物がいる。

終わりの空気をぶち壊すかのように空から紫色の雷が落ちてきた。

 

「そりゃそうくるよな」

 

次元魔法を事前に察知したアントは前回と同様にルリを避雷針にした。だが……

 

落雷は同時に2回落ちた。フェイトとジュエルシードの両方に雷撃が襲いかかる。

 

「……まじか……やられた」

 

フェイトを狙った方は防御できてもジュエルシードの方までは手が回らない。

 

プレシアはまんまとジュエルシードを掻っ攫っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決闘の後、フェイトはアースラへ連行される。

案内されたモニタールームではリンディが待っていた。

 

「お疲れ様。それから……初めまして、フェイトさん」

 

「……」

 

挨拶されるも返事をすることなくうつむくフェイト。

母親の期待に応えられず、敗北してしまったことを気にかけているようだ。

 

その時、フェイトはふと顔を上げモニターを見てしまった。

 

「か……母さん……」

 

そこには多数の管理局員達に囲まれたプレシアが写っていた。

 

「……フェイトさん、話はあちらで……」

 

リンディは気を利かせて母親が逮捕される光景を見せないようにフェイトを誘導しようとする。

 

『私のアリシアに触らないで‼︎』

 

モニターが光に包まれた。

 

「「「「⁉︎」」」」

 

光が晴れると管理局員達は電撃によって痺れ、地に倒れ伏していた。

 

「いけない‼︎ 局員達を転送して‼︎」

 

「転送開始します‼︎」

 

プレシアは転送されていく局員達を気に止めることなくポットを撫でる。 そこにはフェイトとそっくりな顔をした少女がいた。

 

「あ……あれは……」

 

「……フェイトちゃん?」

 

フェイトとそっくりな少女をプレシアは愛おしそうに撫でる。

 

『もう……時間切れみたいね。たった9個で辿り着けるかわからないけど……もういい終わらせるわ。あと少しだけ待っててね?』

 

プレシアはモニター越しにこちらを見てくる。

 

『フェイト、聞こえてるんでしょう?』

 

「……‼︎」

 

『無様に敗北してジュエルシードを渡そうとするなんて……貴方は本当に役立たずのお人形ね』

 

「ッ……‼︎ プレシアァァアア‼︎ あんた‼︎ また言ったね⁉︎ ふざけんじゃないよ‼︎ 人形ってなんなんだい‼︎ 大体、そこにいるフェイトそっくりな奴は誰だい‼︎」

 

『……うるさい駄犬ね。やっぱりあの時ちゃんと始末しておけばよかったわ。私に聞かなくても貴方達の隣にいる管理局に聞けばいいじゃない』

 

「なんだって⁉︎」

 

アルフはリンディの方を振り返った。

なのは達もリンディを見つめる。

 

全員の視線を浴び、重々しく口を開いた。

 

「……あの少女の名はアリシア。彼女はプレシア・テスタロッサの娘……そして……彼女は何年も前の事故によって死亡が確認されているわ」

 

それを聞いた一同は唖然とするが話はまだ続きがあった。

 

「……プレシア・テスタロッサの研究内容は……人造生命の生成」

 

「なっ……‼︎ ま……まさか……‼︎」

 

アルフは目を見開いた。なんとなく察してしまったのだ。

 

「そして死者蘇生の秘術……FATEは開発コードに名付けられた名前なのよ」

 

「あ……あ……」

 

フェイトはこれ以上聞きたくないと耳を塞ごうとするが、手が震えて上手く動かせない。

 

『その通り、せっかくアリシアの記憶をあげたのに、貴方はアリシアにはならなかった。似てるのは見た目だけ。フェイト……貴方は失敗作だった』

 

「……止めて……」

 

なのはが辛そうに声を絞り出すがプレシアは止まらない。

 

『本当に苦痛だったわ。人形に母親と呼ばれるのは』

 

「止めて‼︎ お願い‼︎ もう止めて‼︎」

 

『最後にいいことを教えてあげるわ、フェイト。私は貴方のことが……大っ嫌いだったのよ‼︎』

 

母親の拒絶がフェイトの心を打ち砕く。

 

フェイトの瞳は光を失い、床へ崩れ落ちた。

 

「フェイトちゃん‼︎」

 

話を終えたプレシアは動き出す。

 

「時の庭園にて魔力反応が多数出現‼︎」

 

局員からの報告にリンディは動揺を隠せなかった。

 

「なっ⁉︎ 一体何をするつもり⁉︎」

 

プレシアの意図が理解できないリンディはモニターの向こうのプレシアを睨む。

 

プレシアは魔法でポッドを浮かせて玉座へと運ぶ。

 

『誰にも邪魔はさせない……私達は旅立つの……忘れられた都、アルハザードへ‼︎』

 

プレシアの周囲をジュエルシードは玉座の中心で円を描くように浮かんでいる。

 

「まさか‼︎」

 

『私は取り戻すのよ……全てを‼︎」

 

そして、プレシアは全てのジュエルシードの力を

 

解放した。

 

 

「次元震です‼︎」

「大至急シールドを展開して‼︎」

「ジュエルシード、九個発動‼︎ 次元震、更に強くなります‼︎」

「転送可能な距離を維持したまま影響の少ない場所へ移動して‼︎」

「了解‼︎」

「規模、更に拡大中です‼︎ このままでは次元にとてつもない影響が‼︎」

 

『ふふふふ……‼︎ あははははははははは……‼︎』

 

局員達の声が飛び交う中、プレシアの狂ったような笑い声が響いていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。