バカは死んだら治るのか?   作:夏のレモン

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今月の投稿はこれが最後になるかも知れません。ですがテストが終わったら再開しますので待っていてくださると幸いです。


終わりだ

 

 

一方、時は少し遡り外の世界。

 

なのはとフェイトは信じられないといった表情でアントが消えた場所を見つめていた。

 

「そんな……」

 

「アントが……」

 

呆然とする二人に闇の書の意志は容赦なく掌を向ける。

 

「次は──お前達だ」

 

「っ‼︎」

 

「いけない‼︎ フェイトちゃん‼︎」

 

咄嗟にフェイトの前に立ちバリアを張るなのは。だが不意を突かれた所為か、踏ん張りがきかずなのはとフェイトは街の端まで吹き飛ばされてしまった。

 

「くう……ごめん……なのは……」

 

「……大丈夫なの」

 

二人が瓦礫から這い出た時、ユーノから念話が入る。

 

『なのは‼︎ フェイト‼︎ 戦闘中に悪いんだけど話があるんだ‼︎』

 

『ユーノ君‼︎ 大変なの‼︎ アント君が闇の書に……』

 

慌てながらもアントのことを伝えようとするなのは。だがユーノはそれを遮る。

 

『話したいことはまさにそれなんだ‼︎ アントが闇の書に取り込まれるのは事前に用意していた計画の一部なんだよ‼︎』

 

『え⁉︎』

 

『計画? どういうこと⁉︎』

 

『僕とアントは最悪の事態になった場合の対処法を練っておいたんだ‼︎ 時間がないからなのは達にやってもらいたい事を簡潔にまとめると、アントの合図があったらあの子の肉体にダメージを与えない純粋魔力ダメージを与えて欲しい‼︎ そうすれば防御プログラムは一時停止し、闇の書の持ち主が再び体を取り戻すことが出来る‼︎』

 

『えっと……む、難しいの……』

 

『つまりアントの合図があったら全力全開、手加減なしでぶっとばして欲しいんだ‼︎』

 

ユーノの言葉に笑顔を見せるなのは。

 

『流石ユーノ君なの‼︎ 分かりやすいの‼︎』

 

だがそんななのはとは対照的に怪訝な様子のフェイト。

 

『……でもそういう計画だったんなら何で事前に言ってくれなかったの? 教えといてくれればよかったのに……』

 

フェイトの疑問にユーノは一瞬

 

『……何か隠してるの?』

 

付き合いが長いなのははすぐにユーノの様子がおかしい事に気付いた。

 

『……』

 

『お願い……もしその隠してる事が重大な事なら教えて欲しいの』

 

なのはの追及にユーノは折れた。

 

『……ごめん……事前に言わなかったのは二人には秘密にしてくれって言われてたからなんだ……反対されるのは目に見えてるからって……』

 

『反対……? なんで……?』

 

『……成功するかどうか分からないんだ。下手したら……アントは戻ってこれないかもしれない……』

 

『『⁉︎』』

 

衝撃の事実に愕然とする二人。

 

『戻れないって……じゃあもしそうなったら……』

 

『……その時は闇の書と一緒に封印することになってる』

 

『っ……⁉︎ そんな……』

 

『……それとアントから伝言を預かってるんだ』

 

『え……? 伝言……?』

 

『教えて‼︎ ユーノ君‼︎』

 

二人は一語も聞き逃すまいと耳を傾ける。

 

『……「明日の朝飯は目玉焼きを所望する」って』

 

『『……』』

 

まるで日常会話の一部を切り取ったような伝言に虚を突かれるなのはとフェイト。

 

『……は……ははは……だよね、そんな反応になるよね……』

 

そんな二人の反応にユーノは気不味そうな笑い声をあげる。

 

やがてアントの伝言を理解したなのはは全身から怒りのオーラを放ち始めた。

 

『……人の気も知らないで……』

 

『っ……⁉︎ な、なのは……?』

 

『……アント君らしいと言えば、アント君らしいの……でも……』

 

なのはは全身から怒りのオーラを放ち、レイジングハートに力を込める。

 

『戻ってきたらたっぷり()()するの‼︎』

 

先程までの悲壮感は消え失せ、なのはの瞳に強い意志が宿る。

 

『……うん‼︎』

 

フェイトもなのはに呼応するようにバルディッシュに力を込めた。

なのはとフェイトは顔を見合わせ、互いに頷きあう。

 

「いくよ‼︎ フェイトちゃん‼︎」

 

「うん‼︎ いこう‼︎ なのは‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

side:アント

 

 

ここでやることは全部終わった。あとは俺が外に出るだけだ。

すでにはやては防御プログラムに体を明け渡しておりこの場から姿を消している。

 

「よし、行くか」

 

ユーノから説明されたであろうなのは達に念話を送る。

 

『聞こえるか‼︎ こっちは片がついた‼︎』

 

『アント‼︎ よかった……‼︎』

 

『心配したの‼︎ 帰ったらお話だよ‼︎』

 

フェイトとなのはから返事が来た。なのはが何か不吉な事を言ってるけど今は置いておこう。

 

『フェイト‼︎ なのは‼︎ ユーノから詳細は聞いてるな⁉︎ 内と外から同時にぶっ放すぞ‼︎』

 

『分かったの‼︎』

 

『分かった‼︎』

 

俺はありったけの魔力を収束する。十分魔力が溜まりきった頃を見計らって俺は合図を送った。

 

『今だ‼︎』

 

銃口を上に向け、引き金を引く。

 

「デトロイトバスター‼︎」

 

放たれた魔力は空間を引き裂き、裂け目を作った。

俺はすぐさまそこに飛び込む。やがて周囲が明るくなっていき……俺は外の世界に戻った。

 

「うおっ……眩しい……久しぶりの外だ」

 

「アント‼︎」

 

「アント君‼︎」

 

俺が軽く伸びをしていると、なのはとフェイトが駆け寄って来た。

 

「ああ、なのは、フェイト、助かっ……」

 

なのはとフェイトにお礼を言おうとした俺だったが、言いかけて口を噤んだ。二人の表情が目に入ったからだ。

 

「凄く心配したんだよ? 戻って来れないかもなんて聞いて……」

 

「アント君はいつも無茶し過ぎなの。全部終わったらちゃんとお話するの」

 

片方は涙目、片方は笑ってない笑顔。

 

……どっちもきっつい。

 

「……あー、うん、えーとだな……」

 

俺が口ごもっていると、エイミィが焦った様子で念話してきた。

 

『皆‼︎ あの黒い淀みから離れて‼︎ 暴走が始まるかも‼︎』

 

エイミィにそう言われて空を見上げる。確かに黒いモヤモヤが浮かんでいた。

 

「……よし、話は後だな。早く離れよう」

 

俺がそう言うとフェイトは目をこすって涙を拭い、なのはは不満気に口を尖らせる。

 

「……そうだね。行こう」

 

「……分かったの……」

 

十分に距離を取り、黒いモヤの様子を伺っていると、突如光が灯った。

 

やがて光は収束し、魔法陣が描かれる。そして魔法陣の上にはやてと守護騎士たちが現れた。

 

「ヴィータちゃん‼︎」

 

「シグナム‼︎」

 

はやてはバリアジャケットを装着して守護騎士たちの中心に立ち、杖を高く掲げる。

 

「夜天の光よ、我が手に集え。リインフォース、セットアップ!!」

 

掛け声と共に、はやての姿が変わる。髪の色が茶色から白に、瞳の色が青くなった。

 

「……おかえり、皆」

 

はやてがそう言うと目に涙を浮かべてヴィータがはやてに飛び込み泣きじゃくる。

 

感動の一幕だ。俺達ははやての方へ近寄った。

 

「なのはちゃんにフェイトちゃん、ごめんなあ。うちの子たちが迷惑かけて」

 

「ううん」

 

「平気だよ」

 

そしてはやてはなのはとフェイトの陰にいた俺に気付いた。

 

「あ、アント君‼︎」

 

「「「「っ‼︎」」」」

 

はやてが嬉しそうに声を上げた瞬間、守護騎士達の動きが止まった。

 

「ん? みんなどないしたん?」

 

その様子に気付いたはやては不思議そうに尋ねる。

 

「あ……いや、その……」

 

口ごもるシグナム。

 

「えー……と……」

 

青ざめるシャマル。

 

「……」

 

無言で俯くザフィーラ。

 

「う……うう……」

 

警戒心マックスで俺を睨みつけるヴィータ。

 

……めっちゃ警戒されてる。

 

「……アント君、何かやったの?」

 

なのはが疑惑の視線を送ってくる。

 

「……さあ?」

 

とりあえず誤魔化すことにする。だがなのはは俺が誤魔化そうとしてるのに勘付いたのかグイグイ迫ってくる。

 

「怪しいの。その顔は何か隠してる顔なの」

 

「いや本当に知らな……って近い近い近い」

 

気が付いたらなのはは俺の目の前まで来ていた。

 

「え……? あ……‼︎」

 

なのはは自分の状況に気づき顔を赤らめつつも飛び退く。

 

「むう……」

 

「……なんや、やけに仲が良さそうやな? なあアント君?」

 

ジト目で見つめてくるフェイトとはやて。

 

……なんだ、この俺が責められてるみたいな状況は……。

 

何故か追い詰められていると、救いの手は空からやってきた。ユーノとクロノが降りてきたのだ。

 

「すまないな、水を差してしまうんだが、僕は時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだ。時間がないんで簡潔に説明する。あそこの黒い淀み、闇の書の防衛プログラムは後、数分で暴走を開始する。僕らはそれを止めないといけない」

 

クロノの暴走という言葉にその場にいる皆が表情を引き締める。

 

「何か方法があるの?」

 

不安そうに尋ねるなのはにユーノが答える。

 

「あるよ。僕とアントはこうなることを予測していたんだ。どう対処すべきなのか考えてある」

 

「と言っても考えそのものは大雑把すぎて作戦って言うにはお粗末だけどな。だから作戦そのものはアースラの局員達に任せてある。どうすることになってんだ? クロノ」

 

「まず自動防御プログラムの四層バリアを破壊する。そして極めて強力な氷結魔法で停止させ、一斉砲撃でプログラムのコアが出るまで抉る。コアを宇宙空間まで転送し軌道上に待機させてる艦船アースラの魔導砲、アルカンシェルで消滅させる」

 

「肝心なのはコアを剥き出しにすることか。まだみんな余力は残ってるよな?」

 

「それは大丈夫だけど……」

 

なのはが俺を責めるような目で見てくる。

 

「……なんか、私達だけ仲間外れなの」

 

「ん?」

 

「アント君が危険なことをするのも知らなかったし、今のことも知らなかったの」

 

やばい、なのはは確実に怒ってる。

 

「あ、いや、あれだ、思ったより闇の書の覚醒が早くて話し損ねたんだ」

 

「ユーノ君とクロノ君は知ってたのに?」

 

「ゆ、ユーノとは話し合いしてたんだから知ってるのは当然だろ? それにクロノもついさっきユーノから聞いたばかりだ。なあ?」

 

同意を求めるようにクロノとユーノの方を見ると二人ともコクコクと頭を縦に振ってくれた。

 

「むう……」

 

未だに納得してない様子のなのは。

 

「な、なのは……アントも事情があったみたいだしそれくらいに……」

 

「……分かったの」

 

フェイトからのフォローもあって不承不承といった感じだが引き下がってくれた。

 

ふう、とりあえず乗り切れた……。

 

「でも終わったら絶対にお話するの」

 

乗り切れてなかった……。「ちゃんと」から「絶対」に進化した……。

 

話が終わったのを見計らったクロノは全員を見渡し確認する。

 

「コホンっ……他に策がないようならこの方法で行こうと思うがいいか?」

 

クロノの言葉に全員頷く。

 

その時、ちょうどエイミィから通信が入る。

 

『クロノ君‼︎ そろそろ暴走が始まる‼︎ 気を引き締めて‼︎』

 

エイミィの言葉に全員が黒いモヤを見た。

 

「始まる……」

 

クロノがそう呟くと同時に黒い球体の周りに黒い柱が上がる。そして

 

「あれが……闇の書の闇……」

 

はやての言葉と共に球体が割れて中から一体の巨大な怪物が現れた。

その姿は様々な獣・魔獣が混ざったような姿をしており中心には女性の姿をしたコアがあった。

 

……これぞ化け物って感じだな。

 

「みんな‼︎ 始めるわよ‼︎」

 

シャマルの掛け声により全員が動き出した。

最初に仕掛けたのはアルフとユーノだ。

 

「チェーンバインド‼︎」

 

「ストラグルバインド‼︎」

 

アルフとユーノによる拘束魔法での先制攻撃。緑と金に輝く鎖で防衛プログラムの周りの触手を縛って切り裂く。

 

次はザフィーラだ。

 

「縛れ‼︎ 鋼の軛‼︎」

 

ザフィーラの拘束魔法が横薙ぎに奔って残りの触手も一掃していく。

 

3番手はなのはとヴィータ。

 

「ちゃんと合わせろよ‼︎ 高町なのは‼︎」

 

「ヴィータちゃんもね‼︎」

 

二人で声を掛け合ってヴィータから攻撃を始める。

 

「アイゼン‼︎」

 

柄に内臓されたリボルバーがカートリッジをロードする。

 

「轟天爆砕‼︎ ギガントシュラーク‼︎」

 

ヴィータのデバイスの先端のハンマーが一度分解され再構成されるとそこにはとんでもなく巨大なハンマーができていた。

それを持てる力の限りで防衛プログラムにブチ込むヴィータ。

 

「レイジングハート‼︎ 行くよ‼︎」

 

なのはは叫ぶとレイジングハートを天に掲げカートリッジを4発ロードする。

 

「エクセリオンバスター‼︎」

 

そしてレイジングハートを構え、照準を合わせる。

 

「ブレイクシュート‼︎」

 

不可視のバインドで拘束した触手ごと4発のバスターで撃ち抜き最後に収束された最大砲撃が放たれる。防衛プログラムを守るバリアは順調に砕けていった。

 

防御プログラムに休む暇を与えずに4番手の出番が来る。

 

「次‼︎ シグナムとフェイトちゃん‼︎」

 

いつの間にか防衛プログラムの後ろに回り込んでいたシグナムは剣を天上に振りかざす。

 

「剣が騎士シグナムが魂、炎の魔剣レヴァンティン。刃と連結時に続くもう一つの姿」

 

そう言いながらレヴァンティンの柄と鞘を合わせカートリッジを1発ロードするとレヴァンテインは弓の形状になった。

 

魔力で形成された弦が張られ、矢を構えてプログラムを狙い定める。

シグナムの足元の魔法陣から炎が上がる。

また海から触手が上がるが、ソレよりもシグナムの矢のほうが速かった。

 

「駆けよ‼︎ 隼‼︎ シュツルムファルケン‼︎」

 

矢の先端に魔力が集まり一本の光線となって放たれバリアに当たると大爆発を起こした。

 

そして次は反対側のフェイトが翔る。

 

「フェイト・テスタロッサ、行きます‼︎」

 

カートリッジを3発ロードし身体に不釣合いな大剣を振り回す。

 

「ハァッ‼︎」

 

その遠心力で衝撃波を撃ち出し邪魔な触手を切り裂く。そしてその勢いのまま刀身の伸びた大剣を天に掲げ、紫電を纏った大剣で奴の身体の半分近くを斬り裂いた。

 

だが斬り裂いた箇所から膨張するように再生していく防衛プログラム。

 

再生と同時に触手が伸びて魔力を先端に集めて砲撃をチャージし始めた。

 

「撃たせはせん‼︎」

 

だが、それをザフィーラが止める。鋼の軛で砲撃をしようとした触手の悉くを縫い止めていく。

そしてシャマルは次の指示を出す。

 

「はやてちゃんッ‼︎」

 

「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け。石化の槍、ミストルティン‼︎」

 

詠唱が終わると空に魔法陣が浮かびそこから無数の槍みたいな物が降り注ぎ防衛プログラムに突き刺さる。

防衛プログラムは槍が刺さった箇所から石化していき崩壊する──がすぐに再生する。

 

『やっぱり並の攻撃じゃ通じない‼︎ ダメージを入れたそばから再生されちゃう‼︎』

 

「だが攻撃は通ってる‼︎ プランに変更は無しだ‼︎」

 

エイミィの声にクロノはそう応えてデュランダルをしっかりと握る。

 

「悠久なる凍土、凍てつく棺のうちにて、永遠の眠りを与えよ、凍てつけ‼︎ エターナルコフィン‼︎」

 

クロノの極大の凍結魔法が撃たれた。海面から防衛プログラムを囲むように全身に氷が奔り、防衛プログラムは全身が凍結していく。

 

「今よ‼︎ 砲撃魔法を叩き込んで‼︎」

 

シャマルの指示を聞いたなのは、フェイト、はやては砲撃準備に入る。

 

「よっしゃ、ぶちかますか」

 

俺も砲撃魔法の準備を始めようとした時、ルリが念話で話しかけてくる。

 

《この一撃で最後です。それ以上無理をなさるのは阻止させて頂きます》

 

『おいおい、物騒だな。無理なんてしてねえよ』

 

《ボスがずっとやせ我慢しているのは分かっています。ジュエルシードの魔力を受け止め続けて無事なわけがないでしょう》

 

『……分かった分かった。これが済んだらしっかり休む』

 

《はい。そうしてください》

 

俺は話を終え、改めて砲撃の準備に入る。

 

俺はなのは達ほど巨大な砲撃は撃てない。だが、魔力を一点に集中させる技術なら俺が上だ。

 

「今の俺に出せる最高威力の貫通弾。お前に防げるか? 」

 

《収束完了。いつでも撃てます》

 

ルリの報告を聞き、俺は銃口を闇の書の闇に合わせる。

 

「カートリッジロード」

 

魔力が流れ込んでくる。この感覚もかなり慣れたな。

 

「リミットオーバー デトロイト──」

 

銃から銀色の電気がほとばしる。

 

 

「全力全開‼︎ スターライト──」

 

なのはのレイジングハートに桃色の魔力が集まり、巨大な魔法陣がなのはの前に現れる。

 

 

「雷光一閃‼︎ プラズマザンバ──」

 

フェイトのバルディッシュに魔力で発生させた雷が落ち、そのエネルギーをザンバーフォームの刀身に蓄積させる。

 

 

「ごめんな……おやすみな……」

 

凍らされ、もがき苦しむ闇の書の闇を見てはやては悲しそうな声で呟くが、その瞳には決意の光が宿っている。

 

「響け終焉の笛、ラグナロク──」

 

はやての声に呼応して目の前に巨大な魔法陣が出現し各頂点、三箇所に膨大な魔力が収束される。

 

 

「「「ブレイカー‼︎」」」

 

「バスター‼︎」

 

 

放たれた四つの砲撃は交じり合い、轟音と共に闇の書の闇に襲いかかる。

 

「コア、捕捉しました‼︎」

 

「長距離転送‼︎」

 

「目標、軌道上‼︎」

 

シャマルが露出したコアを補足するとユーノとアルフが強制転送の魔法陣で防衛プログラムを挟み込む。

 

「「「転送‼︎」」」

 

そして、全員の掛け声と共に、巨大な魔法陣の輪が現れ、防衛プログラムを虹色の球体が包み込む。

その球体はそのまま空へ駆け上がっていく。

 

『転送を確認!』

 

『アルカンシェル、発射!!』

 

エイミィからアースラの方の様子が伝えられる。

 

空を見ると、一瞬、星が光ったように見えた。

 

静寂。皆がエイミィからの連絡を待っている。

 

 

 

 

 

そして……

 

『自動防御プログラム、反応ロスト‼︎ ……皆、お疲れさま‼︎』

 

長かった戦いが終わった。

 

「あ〜やっと終わった〜」

 

《お疲れ様でした、ボス》

 

ほっと一息ついていた時だ。

 

「はやてちゃん⁉︎」

 

「はやて⁉︎」

 

シャマルやヴィータの慌てた声が聞こえた。そちらを見ると、はやてが気を失って、シグナムに支えられている。なのは達は慌ててはやてのところへ飛んで行く。

 

俺もはやてのところへ向かおうとした──が、突然地面が俺に迫ってきた。

 

《ボス‼︎》

 

頰に土の感触がある。どうやら俺は倒れてしまったらしい。起き上がろうにも全身に力が入らない。防御プログラムが完全に消滅したことを確認したことで緊張の糸が切れたみたいだ。

 

ああ……流石に限界か……。

 

「え……アント……?」

 

フェイトが俺の異変に気付き声をあげたことで、他の面々も俺が倒れていることに気付いた。

 

「アント君⁉︎ た、大変なの‼︎」

 

「っ‼︎ ユーノ‼︎ 治癒を‼︎」

 

「分かってる‼︎ しっかりするんだアント‼︎」

 

なのは達の声を聴きながら、俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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