いつのまにかお気に入りが1,000を超えてた……‼︎(震え)
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事件は無事解決し、新人達の傷も癒えた。
なのは達は事後報告も含めて会議をしていた。
すずか、アリサの上司にあたるシャーリーはレリックの解析データをモニターへ表示する。
「レリック自体の性能は以上となります」
「封印はちゃんとしてあるんだよね?」
「はい、それはもう厳重に」
ロストロギアは物によっては次元震を引き起こす可能性があるため取り扱いは慎重に慎重を重ねなくてはならない。
「依然としてレリックの存在意義は分かっていません。エネルギー結晶体にしてはよく分からない機構が多数存在し、動力機関としても不可思議な物です」
レリックが何の為に作られたのか、どんな能力を持っているのかは未だ解明されてない。
「まあ、すぐに使い方がわかるようなら、ロストロギア指定はされへんやろうからな」
今はまだ情報の積み重ねの段階。急いで答えを出しては却って危険だ。
レリックを中心に事件が起きるのであれば、レリックを追う事によって真相に近づいて行くだろう。
「レリックのことはこれ以上は手掛かりがないためここまでとさせてもらいます。今回一番の問題は新たに確認されたガジェットの動力源となっていたものです」
今回出現した新型ガジェットの残骸をモニターに映し出す。
その映像には青い宝石が回路に組み込まれているのが見えた。
「え……?」
「これは……‼︎」
なのはとフェイトが驚愕の声をあげた。
その宝石はかつてフェイト、なのは、アントが探し集め、今は局の保管庫で管理されている筈のロストロギア、ジュエルシードだった。
「それだけじゃないんです。ここを見てください」
シャーリーはそう言うと映像の宝石を拡大した。するとそこにははっきりと人名が彫られていた。
「スカリエッティ……‼︎」
フェイトの表情が険しくなった。はやては冷静に状況を分析していく。
「……本人だとしたら挑発。他人だとしたらミスリード狙い。どっちにしても、フェイトちゃんやなのはちゃんがこの事件に関わってるって知ってるちゅうことやな」
局の保管庫で管理されている筈のロストロギア。それがガジェットに組み込まれているのにも関わらず、まだ保管庫に存在していることになっている。
それが、新型ガジェットに組み込まれていた。これらの意味する事は──
「敵側に通じている管理局員がいるってことか? はやて」
ヴィータの問いかけにはやては難しそうに唸る。
「まだ推測の域は出ないけど……可能性はあるなあ……ジュエルシードが盗難されたって報告は来てないし、そもそも次元震を起こすだけの力のあるロストロギアが盗まれたら管理局挙げての捜索をする筈や。なのにそれがないってことはデータ改竄が出来るだけの権力がある人物かも知れんなあ」
他にも管理局内部に細工が出来るだけの技術を持った人物の可能性もある。下手したら組織ぐるみかも知れない。はやては頭を悩ませた。
「……ダメやな。答えは出えへん。このことはみんなの胸の中にしまっておいてや。この先何があるか分からんからな。決して軽率な行動はとらないように頼むわ」
その場にいた全員が返事、あるいは首肯で答えた。
「それじゃあ会議はここまで、解散‼︎」
会議は終了し、各々が席を去っていく中。シグナムは一人難しい表情をしたまま席を立とうとしなかった。
「どうしたシグナム? 会議は終わったぞ?」
「ん? ああ……」
ザフィーラが声をかけるとシグナムは心ここに在らずといった様子で返事を返した。
「どうしたの? 何か気になることでもあるの?」
「うむ……」
シャマルの問いかけに重々しく口を開く。
「エリオの戦闘が気になってな」
「ああ、確かに凄かったわね。新人とは思えなかったわ」
「……確かにそうだ。あの回避能力には目を見張るものがある。だが私が一番気になっているのはあの異常なまでの精神力の方だ」
「精神力?」
首を傾げるシャマル。シグナムは自身が気付いたことを話すことにする。
「魔力がほぼ使えない状況、当然防御力など無いに等しい。普通の人間なら距離を取ろうとするだろう、ましてや新人なら尚更だ。にもかかわらずエリオは死地へ飛び込んだ。そんな行動が出来るようになるにはよほどの経験がないと無理だろう」
「ますます気になるな。エリオの強さの秘密か」
シグナム達が思い悩んでいるとはやて、リイン、ツヴァイが守護騎士達の会話に参加した。
「エリオのことか、ちょうど私も気になっていたところだ」
「ツヴァイも気になります‼︎ あんな新人さんは初めて見ました‼︎」
「ちょうどええわ。私もなのはちゃんから聞いてエリオの保護者について調べてみたんよ。えーと……」
はやては手元に資料を呼び出すと内容を読み上げる。
「名前はジョン・スミス、年齢は23歳。フリーの魔導師兼探検家、ってゆうても目立った経歴も功績もないなぁ」
そう言って内容をみんなに見せる。たしかに普通の魔導師にしか思えなかった。
「うーん……あまりエリオの強さに影響を与えそうでもないんだけど……」
「いや、普通過ぎて逆に怪しいな」
ジョン・スミス……一体何者なんだ?
時刻は深夜。人気のない裏道を一人の男が歩いていた。男はコートに身を包み寒さから身を守っていた。
「ハ、ハクションッ‼︎」
《おや? 風邪ですか? よろしくないですね》
相棒であるデバイスの心配そうな声を聴きながら鼻をすすり寒さに耐えるため身を固めた。
「かもな。今日は早めに休むか」
早足で目的地へ向かうことにする。
やがて目的のバーに到着した。
「時間ピッタリだな」
《早く入りましょう。外は冷えます》
「分かった分かった」
心配性の相棒に急かされ男は中へ入っていった。
店内では酒を酌み交わす者達や一人酒を楽しむ者もいた。だがやはり深夜だからか人は少ない。
男はカウンターにて一人酒を楽しむ中年の男の隣に座った。
「マスター、とりあえずホットウィスキーを」
「はい、かしこまりました」
バーのマスターは慣れた手つきで酒を混ぜていく。
「どうぞ、ホットウィスキーです」
「ああ、どうも」
グラスを受け取りまず手を温める。その後一口ほど飲みホッと一息ついた。
「悪いな。わざわざこんな寒い世界に」
隣にいる中年の男は前を向いたままそう告げた。
「依頼主の事情に合わせるのが雇われる側のルールってもんなんでね。それに、寒けりゃ寒いほど酒が美味い」
そこで言葉を切りもう一口飲むとグラスをテーブルに置いた。
「依頼された通りにやっておきましたよ、レジアスさん?」
レジアスと呼ばれた男は満足そうに笑みを浮かべると小さく頷いた。
「ああ、いつもながらいい仕事をする。報酬は振り込んでおいた」
「どうも」
「やはり傭兵にしておくには勿体無いな。うちに就職する気はないか?」
「くはは、その話はもう終わってるでしょう?」
「……うむ、そうだが……お前さえ来てくれれば現状を変える事が出来るかもしれない。お前になら私の後釜を任せてもいいとさえ思っている」
「お気持ちは有り難いけどね。こんなはぐれ者を頭にしたら三日で潰れるっての」
それに、と男はテレビを見上げ付け加える。
「俺にはあんたみたいな信念はないんでね」
テレビには時空管理局の地上本部においてトップにあたる人物、レジアス・ゲイズが映っていた。
『魔法と技術の進歩と進化……素晴らしいものではあるがしかし‼︎
それが故に我々を襲う危機や災害も10年前とは比べ物にならないほどに危険度を増している‼︎
兵器運用の強化は、進化する世界を守るためのものである‼︎』
レジアスはテレビに映る自分を見て自嘲気味に笑った。
「口ではなんとでも言える。私は訴えるだけで何も成せていない。地上の英雄などと言う者もいるが、実際はただの老人だ」
レジアスは悔しそうに拳を握る。
「私は無力だ……。未だ地上は力無き市民が安心して通りを歩くことすらままならない……‼︎ 何度上層部に人材を回すように訴えても耳を貸そうともしなかった……‼︎」
グイッと手元にあった酒を飲み干した。
「私はただ地上の平和を保つ為に戦力増強が必要だと言ってるだけだ。だが本局はそれを危険思想と決め付け地上よりも次元世界全体の安定ばかりを重視している……‼︎ こうしている間にも苦しんでいる人々は大勢いるんだぞ‼︎」
声を荒げ机に拳を叩きつける。周囲が静寂に包まれた。
レジアスはふと我に帰った。
「……すまない。少し疲れているようだ。今日はもう帰らせてもらおう」
「……ああ、それがいい」
レジアスは席を立ち二人分の会計を済ませる。
「また何かあったら依頼することになるだろう。その時は頼む」
レジアスが去り、男は一人グラスに残っていた酒をゆっくり飲む。
《救いようのない悪党ならよかったですか?》
「いきなりなんの話だ?」
《例の科学者への一番近い手がかりが人々を救いたいと願う善人だった。やりにくいですか?》
「……まあな」
そう言うと男は、アントは席を立った。
「行くぞ。一休みしたらこの世界を出る」
《どちらへ?》
「ミッドチルダだ」
私は強くなっているのだろうか。
最初の出動の時もそれなりに上手く行ったけど、ただそれだけだった。
毎日の訓練をしていても、あんまり強くなっている実感がない。
隣には優秀すぎる相棒がいて、あたしの周りには天才や歴戦の猛者ばかりなのに、私だけが浮いている。
今だに疑問に思ってる。何故自分はここにいるのか。
なんであたしが選ばれたのか。
どれだけ考えても答えが出ない。
結局行き着くのは、あたし一人が凡人だということ。
それでも、私は自分の力を証明しなくてはならない。
──ランスターの弾丸の強さを
ふと目を覚ました。
時計を見ると、まだ起きるには早い時間だった。
「……変な夢、見ちゃったな」
寝汗を拭い起き上がった。
二段ベッドの上では、まだスバルが寝息を発てていた。
ティアナは静かにこれまでのことを思い起こした。
派遣任務では、思った通りの結果を出す事はできなかった。
隊長達は褒めてくれたけど、それを額面通りに受け取る事はできない。
むしろ考えれば考えるほど思考は悪い方へと流されていった。
(……あたしだけが、何もできなかった)
もっと何かできた筈。もっと上手く出来た筈。
兄さんとあたしの夢を果たすには上を目指さなくてはならない。
「強く……もっと強くならないと……でも……」
みんなより多く訓練している今でも、周りとの差を感じてしまう。
どうすれば強くなれるのか。明確な答えは出そうにない。
「……どうすればいいの? 兄さん……」
初出動からかなりの日数が経った。その間機動六課はいくつもの任務をこなした。
はやては次の任務のための作戦会議を開いていた。
はやてはメインパネルに一人の男を映し出した。
「これまで謎やったガジェット・ドローンの制作者、及びレリックの蒐集者は現状ではこの男。違法研究で広域指名手配されている次元犯罪者、ジェイル・スカリエッティの線を中心に捜査を進める」
モニターを見ているフェイトの表情が厳しくなった。
「こっちの捜査は、主に私が進めるけど、みんなも一応おぼえておいてね」
「「「「はい‼︎」」」」
フェイトの言葉にフォワードメンバー全員が答えた。
「では、今回の任務ですが、ホテルの警備任務です‼︎」
ツヴァイがモニターを切り替えて、見るからに高級そうなホテルの写真を映す。
「警備ですか?」
ティアナは思わず疑問を呈する。時空管理局の、その中でも特大戦力を保持する機動六課が担当するには、あまりにも平凡な任務に感じた。
「うん、普通なら警備会社に任せるんだけどね。今回、ホテルアグスタで骨董美術品のオークションが行われるの。その会場警備と警護。それが今日のお仕事」
「取引許可の出ているロストロギアがいくつも出品されているので、その反応をレリックと誤認したガジェットが出てくる可能性が高い、との事で私達が警備に呼ばれたのです」
「この手の大型オークションだと、密輸取引の隠れ蓑のもなったりするし、色々油断は禁物だよ」
執務官であるフェイトの言葉には、妙な説得力がある。
「現場には昨夜から、シグナム副隊長とヴィータ副隊長他、数名の隊員が張ってくれてる」
「基本は六課が中心になって行動するけど、他の部隊の局員も手伝ってくれるそうや。みんな失礼のないようにな?」
「私達は建物の中の警備にまわるから、前線は副隊長の指示に従ってね」
「質問がなければ全員ヘリポートに移動ね」
フェイトの指示により全員が行動を開始する。
(頑張らなきゃ)
ティアナは胸中の不安を押し殺し、任務遂行のために決意を固めるのだった。
昔アントが盗めたのはルリのお陰です。性能最高のデバイスですからね。