バカは死んだら治るのか?   作:夏のレモン

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久々のバトルシーンで筆が進みました。
ではどうぞ。


強襲

 

 

 

フォワード陣は地下に潜り、レリックの反応を察知し現れたガジェットの撃破、及びレリックの回収を目的として動いていた。

 

そこへ別件の捜査をしていたスバルの姉、ギンガ・ナカジマも六課の捜査に参加する事なり、今はスバル達と合流し地下水道を走っていた。

 

「キャロ、この辺りで間違いないんだね?」

 

「はい。確かにここからレリック反応がします」

 

やがて狭い地下水道から広い空洞を出るフォワード陣。

 

手に装着したキャロのデバイス、ケリュケイオンも間違いないと確信の反応示し、ここにレリックがあると示している。

 

「手分けして探しましょ。ヴィータ隊長もリィン曹長と一緒にこっちに来ているはずだから」

 

「早めに見つけて合流だね」

 

「そう言う事」

 

ティアナの指示に従い、それぞれレリックの探索を始める。

 

数分間そのまま探索を続けていると、

 

「あ‼︎ 見つけました‼︎」

 

先程保護した女の子が運んでいたレリックの入ったケースと、同じ箱が無造作に落ちていたのを見つけた。

 

キャロは確保しようと一歩踏み出した。

 

その時だ。

 

「危ない‼︎」

 

咄嗟に殺気を感じたエリオがキャロをケースから引き離した。

 

瞬間、先程キャロがいた場所に紫色の刃が突き刺さり、同時に爆発する

 

「キャロ‼︎ 無事?」

 

「う、うん‼︎ 大丈夫‼︎ ありがとう‼︎」

 

キャロの下に集まるスバル達。

 

やがて煙りは晴れ、目の前に紫色の長い髪を靡かせて額に紋様を刻み、キャロと同じ型のデバイスを装着した少女が現れた。その手にはレリックの入ったケースを抱えている。

 

「……女の子?」

 

いきなり現れた意外なイレギュラーに動揺するフォワード陣。

 

キャロに近付いてくる“揺らぎ”を見つけた。

 

「キャロ‼︎ 後ろだ‼︎」

 

「え……?」

 

キャロは反応出来ていない。エリオは咄嗟にキャロに近付く揺らぎに向けて拳をぶつけた。

 

しかし、エリオの放った拳は揺らぎに掴まれ、エリオはそのまま地面に叩きつけられてしまった。

 

「ぐあっ‼︎」

 

若干のダメージを貰ったエリオだが、すぐさまバウンドし起き上がると、揺らぎに向かって槍を突き出した。

 

「‼︎」

 

まさか反撃されるとは思わなかったのか、今度は塞ぎながらエリオの攻撃を受け止めた。

 

同時に揺らぎは徐々に視認できるようになっていき、エリオ達の前に姿を現した。

 

四つに光る赤い瞳

 

首に巻いたマフラーが印象的な異形な存在

 

アントが言っていたホテルで遭遇した存在と同一のものだと悟ったエリオは、体に力を入れて戦闘状態に意識を切り変える。

 

「い、一体何なの?」

 

いきなり襲ってきた襲撃者、しかもそれが女の子と人型の虫という意外過ぎる襲撃者、故にこの時スバルは一瞬油断していた

 

「スバル‼︎ 右‼︎」

 

ティアナに言われて我に返るスバル

 

「うわぁっ⁉︎」

 

炎弾が右方向から迫ってきていた。スバルはのけぞりつつ躱した。

 

「ちっ、外した‼︎」

 

舌打ちの聞こえた方へ振り向くティアナとスバルとギンガ。

 

そこには悔しそうに尻尾を逆立てた羽の生えた赤い髪の少女が浮遊していた。

 

リィンのような存在を知っていた三人は、すぐに融合騎だと認識した。

 

目の前に現れた変わった襲撃者達。

 

言葉で言えば可愛く聞こえるが、それは大きな間違いだとすぐに気付く。

 

マフラーをした四つ目の異形。

 

紫色の髪が特徴的な少女。

 

どちらも身のこなしが魔導師や騎士とは違うものだった。

 

「ねぇ君、それは危ない物なんだよ。こっちに渡して」

 

出来るだけ相手を刺激させない口調で近付くスバル。

 

しかし少女の目は警戒の色で染まり、明らかな敵意を見せていた。

 

空洞に流れる僅かな静寂。

 

瞬間

 

ガリューの腕から槍のような刃が生え、スバルに攻撃を仕掛けてくる。

 

「スバルさん‼︎」

 

いち早く反応したエリオが地面を蹴り、その反動で一瞬でスバルとガリューの間に入った。

 

「はぁっ‼︎」

 

エリオはそのまま足を振り抜き、異形の生やした刃の腹の部分を蹴り上げて軌道を逸らし、握り締めた拳をガリューに向けて放つ。

 

ガリューは腕を交差させて防御を堅め、吹き飛んでいく。

 

「すいません‼︎ 僕が相手をしていたのに‼︎」

 

「助かったよエリオ‼︎ ありがと‼︎」

 

そう言ってスバルも臨戦態勢の構えを見せる

 

「貴方達は何者なの? 一体何の為にこんな事を‼︎」

 

襲撃者達に問答を試みるギンガ。

 

「応えると、思ってんのかよ‼︎」

 

紅い融合騎、アギトが数発の炎の弾丸を放った。

 

スバル達はそれぞれ障壁を展開し、炎を防ぐ

 

舞い上がった煙。その中からギンガとスバルが跳躍し、アギトに向かって拳を振り抜こうとするが

 

「ちっ‼︎」

 

羽を羽ばたかせて下へと回避する。

 

人数で負けている上に相手は実力者揃い。このままでは分が悪い。目的の物を持って退散するべきだ。

 

そう判断したルーテシアは天井に向けて魔力弾を放ち、その場を離脱していく。

 

「逃がさない‼︎」

 

「追わせるかよ‼︎」

 

エリオが後を追おうとするも、アギトの炎の弾幕に阻まれる。

 

「今のうちだ‼︎ 逃げるぞルールー‼︎」

 

「うん……‼︎」

 

なんとか地上に出たルーテシア達。だが──

 

「はい、ご苦労様」

 

「キュク‼︎」

 

「「「⁉︎」」」

 

何時の間にか先回りしていたティアナとフリードに、ルーテシアとアギトは驚愕に目を開く。

 

「やるじゃねぇかティアナ」

 

「フリードも凄いです‼︎」

 

更に増援として駆け付けてきたヴィータとリィンが合流した。

 

その上、ルーテシアの後を追ってエリオとキャロが現れ、ウィングロードを展開したスバルとギンガも駆け付けた。

 

「さて、ここで観念してくれれば、あたし等も助かるんだが……」

 

そう言って拘束用具を取り出すヴィータ。

 

「………」

 

ここまでかと悔しそうに表情を歪める少女。

そこへ──

 

 

ドゴォン‼︎

 

 

空から何かが降ってきた。

 

「うわ⁉︎」

 

「きゃあ⁉︎」

 

新たな敵勢力の登場かと、ヴィータ達はすぐさま身構えた。だが飛んできたのはよく知る人物だった。

 

「ア、アント⁉︎」

 

「「「「アントさん⁉︎」」」」

 

「兄さん⁉︎」

 

ヴィータ達が驚愕する中、ルーテシア達は青ざめていた。

 

「ガ、ガリュー……‼︎」

 

「っ‼︎」

 

「こいつが……ゼストの旦那が言ってた……」

 

だがアントはヴィータ達の方を見ることはなく、バッとその場から飛びのいた。

 

すると先程までアントがいた場所に、隕石のような勢いで大男が降ってきた。

 

「「「「「「「っ⁉︎」」」」」」」

 

凄まじい風圧がヴィータ達を襲う。

 

やがて風が止むと、大男の目が身を屈めて猛風を耐えていたアントを捉えた。

 

「相変わらずよく避けるな?」

 

アントは顔を上げガーラを睨みつけた。

 

「テメエがすっとろいんだよ、脳筋が」

 

話しながら銃弾を放つアント。だがガーラはまるで虫でも払うかのようにはたき落としてしまう。

 

「ちっ」

 

アントは銃は有効ではないと分かると、すぐさま薙刀を手に斬りかかった。

 

対するガーラも凄まじいスピードでアントへ迫る。

 

両者は激しい闘争の中へ身を投じていった。

 

「す、凄え……」

 

あの化け物のような大男に一歩も引いていない。

 

機動六課の面々は呆然と戦いに魅入ってしまった。それ故か、ルーテシアへの注意が疎かになってしまった。

 

地面から突如人影が現れ、ルーテシア達を攫っていってしまったのだ。

 

「なっ⁉︎」

 

慌てて阻止しようとするものの、すでにルーテシア達は謎の影と一緒に地面に消えていってしまった。

 

まんまと逃げられてしまった。もはや追跡は不可能だ。

 

「なんだ今のは‼︎ 地面から突然現れたぞ⁉︎」

 

「お、恐らく敵の能力かと……」

 

「クソッ‼︎ とにかく今は見てる場合じゃねえ‼︎ アントに加勢するぞ‼︎ あの男を捕らえる‼︎」

 

「「「「了解です‼︎」」」」

 

その時だ。

 

上空から新たに大量のガジェットが投下されてきた。

 

「な⁉︎」

 

「こ、こんなにたくさん……⁉︎」

 

新たにやってきたガジェット達はヴィータ達の介入を阻むように割り込んできた。

 

「ヴィータちゃん‼︎」

 

「分かってる‼︎ とっとと片付けて加勢するぞ‼︎」

 

 

 

 

 

 

ヴィータ達がガジェットと戦っている間、アントは若干押されていた。

 

以前にも増してダメージを与えられない。その上、ガーラはより速く、より強くなっていた。

 

とてつもない密度の魔力弾がガトリングガンのように水平に放たれる。

 

アントは地に伏して躱すと、頭上からガーラの拳が降り注いだ。

 

「ちっ‼︎」

 

咄嗟に左右に転がり拳を躱すアント。

 

するとガーラはアントを周囲の地面ごと蹴り飛ばした。

 

「ガァッ⁉︎」

 

地面を挟んでいるとはいえ威力は十分あった。

アントは凄まじい勢いで抉り取られた地面ごと瓦礫の中へ突っ込んでいった。

 

「兄さん‼︎」

 

「戦ってる最中によそ見するなエリオ‼︎」

 

「で、ですが‼︎ 兄さんが‼︎」

 

「クソッ‼︎」

 

いかんせんガジェットの数が多過ぎる。今この場から戦力が一つ離れたら押し潰されてしまうかもしれない。

 

(なのは達もまだ手を離せねえ……‼︎ ここはあたしがなんとかしなくちゃいけないのに……‼︎)

 

自身の無力さに歯噛みするヴィータ。

 

ガーラはゆっくりとアントが突っ込んでいった場所へ近づく。すると、近くの地面からセミロングで水色の髪の少女が出てきた。

 

「セインか。何故ここに? 任務はどうした?」

 

「ルーお嬢様ならもう救出しちゃったよ。ヘリの奇襲は失敗しちゃったし、暇になっちゃって」

 

「ならば撤退しろ。ここは危険だ」

 

「心配しなくても大丈夫だって‼︎ ガーラ兄に勝てる人なんているわけないもん‼︎」

 

セインは再び地面へ潜り込むと、アントのいる瓦礫の側で姿を現した。

 

「これがドクターが言ってたアントって人なの? なんか大したことないね?」

 

瓦礫の隙間を覗き込もうとするセイン。ガーラは目を見開き、大声で警告した。

 

「待てっ‼︎ 近寄るな‼︎」

 

普段は滅多に声を荒げることがない兄が血相を変えていることにセインは驚き立ち止まった。

 

「なんでそんなに焦って──」

 

 

ゾクッ

 

 

突如、セインの背筋に言いようのない悪寒が走った。

 

悪寒が走ると同時に、立ち籠める砂煙の中から一閃の光が輝いた。

 

セインの目の前を鋭い風がよぎり、数本の髪の毛がパサリと地面に落ちた。

 

もしあと一歩でも前に出ていたらお陀仏だったであろうことを物語っていた。

 

「あ……あ……」

 

セインの顔色がサーッと青ざめていく。恐る恐る目線を地面の髪から瓦礫へ向けると、瓦礫の隙間から死んだ魚のような目が覗いていた。

 

「ひ、ひぃっ……⁉︎」

 

恐怖のあまり腰を抜かし、へたり込んでしまうセイン。

 

眼球は地面に座り込むセインを通り越してガーラの姿を捉える。

 

「……イッテェなぁ……この野郎」

 

直後、数発の魔力弾が凄まじい速度でガーラに被弾した。

 

「むぅっ⁉︎」

 

ガーラは腰を落とし衝撃に耐える。

 

ガリガリガリッ‼︎

 

地面を抉りながら後退していき、やがて数メートル程の跡を作って止まった。

 

ガーラは顔を上げ、瓦礫の奥にいるアントを睨んだ。

 

ガラガラと瓦礫は崩れ、拳銃を持ったアントの姿が現れた。額からは血が流れている。

 

「なんだ、斬ったのはテメエの妹か。紛らわしい」

 

「白々しいな。分かっていて斬ろうとしただろう?」

 

「クハハッ、あんな無防備で割り込んでくる奴が悪い」

 

アントの拳銃が刀に変化した。

 

 

 

ガキィン‼︎

 

 

 

刃と拳がぶつかり合う。

真っ直ぐ力任せに拳を押し込んでくるガーラに対し、上手い具合に受け流しつつ攻撃に転じるアント。

 

だが刀は魔法によって強化されたガーラの肉体に跳ね返されてしまう。

 

攻撃を通すのはかなり困難になった。その上、一撃でもまともに喰らえば致命傷になる。

 

絶望的な状況だ。だが

 

「………………面白れえ」

 

全身が燃えるように熱いのに、頭は冷え切っている。初めての感覚だった。

 

対するガーラもニヤリと笑っていた。

 

「貴様くらいだ。俺と渡り合えるのは」

 

高揚感に満ちているのはガーラも同様のようだ。

 

 

 

ガーラもアントも、勝利による栄光に興味は無い。だが──

 

負けるのは気に食わない。

 

良くも悪くも、二人は男だった。

 

 

 

互いに、ここからは全力だ。

 

「カートリッジロード‼︎ 雷装‼︎」

 

強化された雷装を纏ったアントはガーラの周囲を縦横無尽に駆け巡る。

 

「っ⁉︎」

 

右を見れば左へ、下を見れば上へ。ガーラの視界からアントの姿は完全に消えた。

 

その上、アントは次から次へと得物を変えながら攻撃するため、間合いを狂わされ、おおよその検討すらつけられない。

 

刀で切り刻み、短刀で人体における急所を抉り、薙刀でぶっ叩き、弾丸で撃ち抜く。

 

下手に反撃しようものなら、体術や柔術によって完封される。

 

周囲に向けて闇雲に魔力弾を撃つも、当然の如く躱されてしまう。

 

「ぐぅ……‼︎」

 

ダメージが蓄積されていくのを感じたガーラは、アントの攻撃を耐えながら地面に手を添えた。

 

「ぬうん‼︎」

 

魔力を直に地面に叩きつけた。すると、いくつもの岩が浮き上がりガーラの姿を覆い隠した。

 

「なっ⁉︎」

 

アントはすぐさま岩ごとガーラを斬ろうと試みた。だが、すでにガーラの姿はどこにもなかった。

 

どこ行った?

 

アントが疑問に思った瞬間、上空から光が射した。

 

見上げると、膨大な魔力を両手に収束させているガーラの姿があった。

 

幾千もの砲撃が流星群のようにアントへ降り注いだ。

 

「このっ‼︎」

 

躱そうにも範囲が広すぎる。アントは全力で迫り来るビームを捻じ曲げていった。

 

だが流石に数が多すぎるのか、アントの姿は徐々に沈んでいく。

 

「ぐっ……オォォォオオオオ‼︎」

 

光がアントを包み込んだ瞬間、凄まじい衝撃が周囲を襲った。

 

瓦礫は全て吹き飛ばされ、戦闘中だったヴィータ達も思わずアントの方を見た。

 

「アント‼︎」

 

「アントさん……‼︎」

 

「兄さん‼︎」

 

砂煙が晴れる。

 

アントはそこに立っていた。周囲の地面はアントの足場を残して消し飛んでいた。

 

「う、嘘……あの砲撃を……」

 

ギンガはゴクリと唾を飲んだ。あり得ないことが目の前で起きている。

 

「兄さん…………っ‼︎」

 

「よかったぁ……アントさん……死んじゃったかと思った……」

 

「ど、どうやって切り抜けたの……⁉︎」

 

「………………凄い」

 

エリオとスバルが安堵する一方、ティアナとキャロは呆然とすることしか出来なかった。

 

「……ハァ……ハァ……ハァ……」

 

満身創痍で佇むアント。そこへ、ガーラが正面に現れた。

 

『っ⁉︎ ヴィータちゃん‼︎』

 

「ああ‼︎」

 

ツヴァイとユニゾンしているヴィータは、アントに迫っている脅威をいち早く察知し動き出した。

 

だがすでにガーラは攻撃を終えていた。目にも留まらぬ渾身の一撃がアントを吹き飛ばす。

 

「アントッ⁉︎」

 

ヴィータはアントを受け止めると優しく地面に寝かせた。

 

「アント‼︎ しっかりしろ‼︎ アント‼︎」

 

「……」

 

すると、アントはゆっくりと目を開いた。

 

「生きてるな⁉︎ 生きてるんだな⁉︎」

 

安堵するヴィータ。だがアントはヴィータを押しのけるとフラリと立ち上がりった。

 

「なっ⁉︎ た、立つなアント‼︎ あとはあたしに任せろ‼︎」

 

「……まだ……終わってねえ……」

 

ギロリとガーラを睨みつけるアント。

 

「……」

 

ガーラは無言で見つめていたが、やがてクルリと背を向けた。

 

「撤退だ。セイン、帰るぞ」

 

「え……? あ……うん……」

 

転移の魔法が発動し、ガーラとセインはその場を去っていった。

 

ガーラの姿が消えると、アントはパタリと力なく地面に倒れた。

 

「お、おい⁉︎ だから立つなって言ったんだ‼︎ しっかりしろ‼︎」

 

「すぐに病院へ‼︎」

 

「兄さん‼︎」

 

「アントさん‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガーラとセインはスカリエッティが待つアジトへ戻ってきた。

 

他のナンバーズ達とスカリエッティが二人を出迎える。

 

「おかえり。ご苦労だったね」

 

スカリエッティの労いの言葉にガーラは膝をついて謝罪した。

 

「すみませんドクター。今回も奴を仕留めきれませんでした」

 

すると、側にいたノーヴェが不思議そうに問いかけた。

 

「なんであそこで撤退したんだ? トドメを刺せばよかったじゃんか」

 

ガーラはそんなノーヴェを見ると苦笑した。

 

「俺が優位に見えたか?」

 

「「「「「?」」」」」

 

何を言っているのか分からなかった。どちらが優位だったのかなんて、誰がどう見ても明らかだった。

 

ナンバーズ達は揃って首を傾げた。

 

「これを見ろ」

 

ガーラは妹達に向かって先程アントを殴り飛ばした方の腕を見せた。

 

「なっ⁉︎」

 

「た、大変っす‼︎ ガーラ兄の腕がっ⁉︎」

 

「し、止血を……‼︎」

 

「嘘……だろ……」

 

床に血溜まりが出来る。ガーラの腕は刃物で切り刻まれズタズタになっていたのだ。

 

「この右腕はしばらく使い物にならんな。あれだけ疲れ切っていてこれだ。奴を相手にする時は細心の注意を持って戦わなければならない。一瞬でも気を緩めればこうなる」

 

「……ガーラ兄様に傷を付けるなんて……信じられないな……」

 

「常に肉体を最高硬度で保っていられる人間など存在しない。攻撃する瞬間は必ず弛む。奴はそこを突いてきた。まんまと乗せられてしまったというわけだ」

 

「で、でも、なら尚更あそこでトドメを刺すべきだったんじゃ……あの一撃を喰らって無事でいられるはずがないんだし」

 

「まともに入ればな。奴に当たりはすれど、打点をずらされた。半分ほど受け流されている。それに機動六課の主力が迫っていた。この腕ではまともに戦えん」

 

「あ……」

 

ノーヴェは納得がいったように声をあげた。

 

「まぁ、奴とて無傷ではない。今回は痛み分けだな」

 

すでに再戦のことを考えているのか、ガーラの表情を見た妹達は唖然とした。

 

「あのガーラ兄が……」

 

「笑ってる……⁉︎」

 

「今日はありえない事が連続で起きてるな……」

 

話を聞いていたスカリエッティだったが、呆れたようにガーラに語りかけた。

 

「ガーラ。楽しみなのはいいが、もう少し自制が効かないのかね? 今回私が頼んだのはあの男の足止めなんだがね?」

 

「む……」

 

「あまり先走らないでくれたまえ。最終決戦はまだ先だ。それにアント・バーキンは通過点に過ぎない。我々が目指しているのは遥かに先なのだよ?」

 

「……すみません、ドクター」

 

申し訳なさそうに頭を下げるガーラ。

 

「まあ、収穫はあったからそこまで責めるつもりなないがね。しっかりと療養するように」

 

そう言い残すと、スカリエッティは研究施設へと向かった。

 

先程はガーラを叱りはしたものの、内心は狂喜乱舞していた。

 

(いいデータが取れたね。あと少しだ。あと少しで次元世界最強が、最高傑作の中の最高傑作が完成する……‼︎)

 

「フハッ……‼︎ フハハハハハハハハハ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 






ナンバーズの稼働が遅いメンバーはアントと戦ったことがありません。ナンバーズはガーラを除いて初見殺しな能力ばかりのため、死に戻ったアントにトラウマレベルでコテンパンにされた過去があります。
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