バカは死んだら治るのか?   作:夏のレモン

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異変と決着

パチリ

 

 

「朝か……よしっ‼︎」

 

アントは起き上がり冷たい水で顔を洗い目を覚まさせる。

 

《おはようございます、ボス》

 

「ああ、おいルリ‼︎ とうとう俺がババアに知らしめてやる時が来たぞ‼︎」

 

《?》

 

「クックック、あのババアの間抜けな顔が楽しみだ‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

「今日は忙しいから無理だねえ」

 

「はぁ⁉︎ ムリ? てめえ‼︎ 昨日もそんなこと言ってたじゃねーか‼︎」

 

「昨日? 何言ってんだい。そんなこと言った覚えはないねぇ」

 

「しらばっくれても無駄だ‼︎ あの場にはルリだっていたんだ‼︎ ルリの記録にはしっかりと残ってんだからな‼︎」

 

《いえ、ボス。私の記録にそんな会話をした事実はありません》

 

「はぁ⁉︎ おいルリてめぇ裏切んのか⁉︎」

 

「まったく、いつまで寝ぼけてんだい」

 

なんだ? 何かがおかしい……?

 

「おい‼︎ 今日何日だ⁉︎」

 

「私より早くボケたのかい?23日だよ」

 

「⁉︎」

 

昨日と同じ⁉︎

 

「とっとと日課を終わらせて薪拾いに行ってきな」

 

そう言い残してババアは去って行く。

 

間違いない……

俺は死に戻りしている。

いつ?なんでだ?昨日死ぬようなこと無かった筈だ。

 

《ボス、どうされましたか?》

 

「いや、なんでもない」

 

早く原因を突き止めよう

 

 

 

 

 

夜:

 

「わからん……」

 

俺はベッドの上で一人呟く

 

「これから何かが起きるってことか?はぁ今夜は徹夜だな」

 

 

 

 

 

 

時刻は深夜11時、まだ何も起きない

「ふわぁぁあああ……眠いし何も起きない」

 

その時

 

ドッカァン……

 

「ん?今遠くから爆発音が……」

 

窓から外を見て確認する。

 

「なっ‼︎ なんだこりゃぁぁあああ‼︎」

 

するとアントの目に大量の岩が突っ込んでくるのが見えた。

 

「やべぇ‼︎ ルリ‼︎ バリアジャケットを……」

 

急いで行動するがもう遅かった。

 

アントは大量の岩に押しつぶされ死んだ。

 

 

 

 

再び朝:

 

「はっ……」

 

呆然と天井を見上げる

 

「あれが死因か……。いや、死因はわかったがどっからあの石が?

誰が? なんの目的で?」

 

少しの間思考を巡らせる。

 

「行ってみるか……」

 

 

 

 

 

 

《ボス、どうしたんですか? こんな朝から》

 

「いいから黙ってついてきな。もしかしたら戦闘になる」

 

おそらくあのとき微かに聞こえた爆発でぶっ飛ばされた石が飛んで来たんだろう。

何が目的かは知らんが爆弾を仕掛ける前に犯人をひっ捕らえてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こっちの方向のはずだなんだが……」

 

《この辺りで人の形跡はありません、やはり何かの間違いでは?》

 

「ちっ‼︎ 仕方ない、しばらく張り込むぞ‼︎」

 

絶対に尻尾を掴んでやる‼︎

 

 

 

 

 

 

「……誰もこないな」

 

《ボス、ヨネ婆さんからまだ帰って来ないのかと連絡が入ってます。》

 

「今夜は11時まで帰らないと伝えておけ」

 

くそっ俺がいるから未来が変わってんのか?

 

 

 

 

 

 

《間も無く11時です》

 

「しょうがない、帰るか」

 

未来が変わったってんならそれはそれでいいが、どうにも釈然としないな。

 

ドッカァァアアアアアアアン‼︎

 

帰ろうとした時、耳をつんざくような爆発音が山に鳴り響いた。

 

「なっ⁉︎ あっちだと⁉︎」

 

とっさに音のした方角を見る。

 

《ボス……これは……》

 

「なんだ……こりゃ……」

 

そこにあったのは真っ赤なマグマを噴き出す、火山だった。

 

やばい、これはマジでやばい。シャレになんねぇ。

 

「ルリ‼︎」

 

《はい‼︎ ボス‼︎》

 

すぐにグレーのカーゴパンツとクロのノースリーブのバリアジャケットを装着する。

 

本当はもっと派手で凝った格好にしたかったが魔力量的に服の面積を小さくせざるを得なかったのとババアに「なんだい? イエヒメアリの真似かい?」と真顔で言われたからだ。

そんなにアリっぽかったか?

 

まぁそれはともかく。

 

「逃げるぞ‼︎」

《はい‼︎》

 

魔力で身体能力を強化して全力で走り出す。

 

 

 

 

 

 

しばらく走ってると家の前にババアが立ってるのが見える。

 

「やけに遅かったじゃないか、何やってたんだい?」

 

「ババア‼︎ 起きてたのか‼︎ ちょうどいい逃げるぞ‼︎」

 

俺はババアに駆け寄る。

 

しかし突然ババアの顔色が変わった

 

「アント‼︎」

 

ババアは俺に向かって走って来て俺を突き飛ばした。

 

「グホッ‼︎ 何しやがる‼︎ ババア……」

 

そんな場合じゃないと抗議しようとババアを見ると、ババアは岩に潰されていた。

 

「ばっババア……」

 

なんで……

 

《ボス‼︎》

 

「え……?」

 

呆然としていた俺にルリが呼びかける。だがなぜか俺は体が反応しなかった。

すぐ頭上に一際大きな岩が迫ってくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パチリ

 

「…………なんでだ?」

 

俺は前回なぜかババアが死んだ時体が動かなくなったことに未だに動揺していた。

 

「いや、今はそんなことどうでもいい。噴火が夜に起きるってんなら今すぐ逃げれば問題ない」

 

すぐに思考を切り替えババアを探す。

 

「ババア‼︎ どこだ‼︎ ババア‼︎」

 

《おはようございます、ボス。ヨネ婆さんなら外で朝食の調達に行ってます》

 

「外にいるんだな⁉︎」

 

俺は外へ飛び出す。

 

「あっ」

 

「……」

 

眼前にはオッサンみたいな顔を持った、胴体がムカデの変な生物をもったババアがいた。

 

ピギャァァアアア‼︎ ピギャァァアアア‼︎ ピギャッ……

 

ババアは持っていた謎生物を背に隠した。

 

「……なんだい? こんな時間に起きてくるなんて珍しいじゃないか」

 

「いや待てぇぇえええええ‼︎ 今明らかに虫じゃないのがいた‼︎ えっ‼︎ まさか毎朝それ食ってた? 絶対に食べちゃいけない系の生物食ってた⁉︎」

 

「何言ってるかわからないね。ちなみに人の顔を持つムカデは希少価値が高くて食べると傷ついた体が超回復して肌が若返るらしいよ」

 

「えっ‼︎ 意外‼︎ そんなに便利なの? そのゲテモノ……。って違う‼︎ そんなことより逃げるぞ‼︎ ババア‼︎」

 

「なんだい突然? 何から逃げるんだい?」

 

「このままじゃ死んじまうんだよ‼︎ この近くの山が噴火するんだ‼︎」

 

「噴火? なんでそんなことがわかるんだい?」

 

……死に戻りしているなんて言ったって信じるわけがない。

 

「とにかく噴火するってことは確実なんだ‼︎ この前行った王都まで行ければ大丈夫のはずだ、すぐに王都に避難を……」

 

「嫌だよ」

 

「ッ‼︎ 信じられねえってのか‼︎ 信じねえってんなら無理矢理にでも……」

 

「信じてるよ」

 

「はぁっ⁉︎ ならなんで……」

 

「私はここを離れるつもりはないよ。ここが私の居場所さ。この家が無くなるってんなら私も一緒に死ぬよ」

 

「なんでだ‼︎ 家ならまた立て直せる‼︎ 今は逃げるべきだろうが‼︎」

 

「あんたはどうするんだい?」

 

「逃げるに決まってんだろ‼︎ 今なら間に合うんだ‼︎」

 

「そうかい」

 

ババアは俺の言葉を聞くと杖を取り出す。

 

「なら、これで最後だ。かかってきな」

 

「は?最後?何言ってんだ?今そんなこと……」

 

ババアの杖が俺の頬を掠る。

 

「うおっ‼︎」

 

「かかってこないってんならこっちから行くよ。早く武器を構えな」

 

「くそっ‼︎ ルリ‼︎」

 

《了解です、ボス‼︎》

 

俺はバリアジャケットを着て槍を構える

 

「もういい‼︎ こうなったら殴り飛ばして言うこと聞かせてやる‼︎」

 

「やれるもんならやってみな‼︎」

 

杖と槍が交差する。

 

「多少はましになったようだね」

 

「遊んでないでバテる前に本気を出したらどうだ? ババア‼︎」

 

「それじゃあそろそろギアを上げるよ」

 

ヨネ婆さんの杖がどんどん加速する。

 

「くっ‼︎ ルリ‼︎」

 

《モードチェンジ、短剣》

 

小回りのきく短剣でババアの攻撃を弾く。

 

「ほお。短剣もうまく扱うようになったじゃないか」

 

「無駄口叩けんのも今のうちだ‼︎」

 

さらに杖の速度が上がる。だがアントは速くなってはいない。

それなのに杖を捌けているのはこの半年でアントが身につけた武器を扱う技術と相手の動きをよく見て先読みするスキルのお陰である。

 

 

ビシィ‼︎

 

「うぐっ‼︎」

 

「おやおや、当たったね」

 

「るせぇ‼︎」

 

だがアントにできるということはヨネ婆さんにもできるということである。

その上魔力量的にはヨネ婆さんはA、アントは Eである。圧倒的にアントが不利だ。

 

「くっ‼︎ チェンジだ‼︎」

 

《モードチェンジ、銃》

 

アントは距離を取り武器を変え、休みなく攻め続ける。

手にした銃を向け4発撃った。

だが弾丸は全て杖に弾かれる。

 

「同時に4発、その上魔力変換資質を利用したレールガンだね。こいつは恐ろしい」

 

「なら大人しく食らいやがれ‼︎ なんで軽く受けれるんだよ‼︎ これ鉄板5枚ぶちぬいたんだぞ‼︎」

 

「軽くなんてないさ、手が痺れてるよ」

 

そう言いつつ距離を詰めて拳を叩きつけてきた。

それに対してアントはクロスカウンターを狙う。

 

両者の拳が外れた。

アントは止まることなく蹴りを入れヨネ婆さんを遠ざける

 

だが離れる瞬間アントの肩を杖で叩かれた。

 

「うぐっ……」

 

うめき声をあげるが痛みに耐えて銃を撃つ

 

ヨネ婆さんは銃弾を躱しながらアントに話しかける。

 

「もう限界かい?」

 

「舐めんな‼︎ とっておきを見せてやる‼︎ チェンジ‼︎」

 

《モードチェンジ、剣》

 

銃から剣へと変へ正眼に構える。

 

「次で決める‼︎ 雷装‼︎」

 

すると紫電がアントを薄く包み込む

 

「ほお、それがとっておきかい?」

 

「ああそうさ、こいよ一瞬で決めてやる」

 

「じゃあ、私も全力でいかせてもらうよ」

 

言葉通り、ヨネ婆さんは今までとは比べものにならない速度でアントに近づいて行く。

 

(なんだい? ピクリとも動かない。あの纏わり付いてる電気に絶対の自信があるのかね? どんな仕掛けなのか楽しみだね)

 

そして光速の突きを繰り出し、杖が紫電に触れた瞬間

 

杖が剣で逸らされた。

 

「なっ‼︎」

 

ありえない。この速度にアントは目で追うことすらできないはずだ。

ましてや剣を当てれるはずが……

 

アントは隙ができたヨネ婆さんの胸ぐらを掴み、地に叩きつけ、剣を突きつける。

 

「俺の勝ちだ」

 

「まさか……先読み? 馬鹿な。今のアントに読み切れるような動きじゃない」

 

「特別に教えてやるよ。答えはあんたの杖が俺の電気に触れた時アンタの動きは先読みできてたのさ」

 

「電気? まさか脳に直接魔力を変換した電気を使った信号を送ったってことかい? だからあんなに早く反応されちまったってわけかい」

 

「その通りだ、あんたに魔力操作のコツを教わってからずっと練習して来た必殺技だ‼︎」

 

「……必殺技にしては地味だね」

 

「やかましい‼︎ 勝ちゃいいんだ‼︎ 勝ちゃあ‼︎ それに斬撃の必殺技もあるけどあんた当たんないんだから使えねーだろ‼︎」

 

「ククッまあね。見事なもんだ。強くなったねえ」

 

「さて、約束通り逃げ……」

 

「やだよ」

 

「おいっ‼︎ 話が違えじゃねーか⁉︎」

 

「こちらにも事情ってもんがあんのさ」

 

「なんだよ事情って‼︎」

 

「知りたいかい? ならついて来な、教えてやるよ」

 

立ち上がったヨネ婆さんはスタスタ道を進んで行く

 

「おいっ‼︎ そんな時間無いんだって‼︎」

 

「すぐ終わるよ、とっとと来な」

 

振り返ることなくズンズン進んで行く。

 

アントはこの状態の婆さんを止めれたことがなかった。

 

「あーっ、チクショウ‼︎ 少しだけだからな‼︎」

 

婆さんを追いかけアントの姿は山奥に消えて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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