11月28日更新
さて、その場を納めたのは審神者の牡丹だった。
戦えることを示した村雨のこれからの意思を確認するからと、鶴丸には仕事部屋へ。同田貫はもちろん手入れ部屋へ。他の第二部隊は解散を命じられた。
近侍の薬研と牡丹、村雨、こんのすけだけになり、再度それぞれ座して対面する。
「正直、まだ練度の低い村雨には酷なことをいってしまったと思っていたの、ごめんなさい。でも、あんなに強いだなんて驚いたわ」
そう先程の手合わせのことを牡丹は口にした。
それに薬研やこんのすけも同意を示しているようだ。
「しかし、どうして刀を抜かなかったんだ?」
「ん、えと……村雨は壊すのが得意だから、彼を折っちゃいそうで…」
「壊すのが…ですか?」
「うん、昔もほとんど無意識に結界とか色々壊してきてて、力加減とかもよくわかんないから…」
なるほど、とそこまですごい刀である村雨が仲間になってくれたら、どんなに心強いかと考えている牡丹達。でも村雨は、そーいえばと思考を遠くに飛ばしていた。
(お山や教会の結界壊したのは村雨だけど、他は信乃が使ってたから、信乃の意思を反映しただけだよなー…これって村雨がやったというより、信乃が無意識に村雨を使ってたからじゃない、よね?)
僅かに眉を潜めて下を向いた村雨を、牡丹達は不味いことを聞いてしまったかと、またもや勘違いする。いろいろなものを壊してきたことへの罪悪感やらを引き出してしまったのかと。実際は信乃のせいじゃない?的なことを考えているのだが、口にしないことでまたもや違う印象を与えてしまっているなどとは村雨は気づくことができないのだった。
「あ…」
「!…なんでしょうか」
「えと、本題、村雨を牡丹が使いたいか聞いてなかったから」
「なんだか、使うという意味が普通とは違うように聞こえるのですが…」
こんのすけがそう問いかける。
「うん、審神者としての契約はいいよ。手伝う。でも、村雨との契約は別にもあるから、願いがあるのか聞きたい」
「あー……その、村雨の契約ってぇのは、なにが違うんだ?」
「…村雨にお願いをして、村雨が応えるだけ。だけど、村雨が応えるかは気分次第だけど、牡丹は気に入ったから、内容次第で叶えてあげる」
「あら、まぁ…でも、私は一緒に時間遡行軍と戦ってくれるだけで、とっても助かるわ」
のんびりと応える牡丹の返答に、村雨は金の双眼を細めた。
「わかった。なら、できるだけがんばる」
「村雨殿、よろしくお願いいたします。鴇殿や政府への報告はわたくしからしておきますので、何かご不安な点がありましたら教えてください!」
「うふふ、こんのすけが報告してくれるなら、今日の政務も捗るから助かるわぁ」
「おいおい大将、あんまりのんびりしてると、また書類がたまっちまうぞ」
和やかな雰囲気が漂う部屋。
こうして、村雨の新たな生活が幕を開けるのだった。