村雨のこころ   作:玖渚真白

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刀剣が増えると、矛盾が発生しないか慎重になり、筆がなかなか進まないです。
お待たせして申し訳ありません。


牡丹編:12

それから、村雨は頑張った。

女の身で、さらに精神は凡人ではあるが、村雨として過ごした長い日々を振り返り、これまでの主を思い出しながら。

遠いところまで来たものだと思いつつも、これから牡丹という新たな主のために。自分の手を汚すことにあまり抵抗を示さない凡人のような非凡な精神の彼女は、頑張ったのだ。

戦えるようにと自己鍛練を怠らず、毎日のように道場に通った。

(なぜか、その度に手合わせを望むものが群がることとなる)

また別の日には戦闘に出て、敵を凪ぎ払った。

(なぜか、味方の刀剣のピンチによく立ち会い、その後懐かれるというループが発生した)

またあるときは、審神者の実務の手伝いを行う。

どうも審神者業には波があり、山場になると、長谷部含め太刀を中心に紙媒体処理班とネット操作班に別れて手伝いを必要とする場面があった。

(もちろん村雨は前前世の現世の記憶より、ネットには慣れていることから、後者の班に属すのだが、なかなかネット操作出来るものは少なく、重宝されるのだった。)

…というような日々を過ごしながら、少しずつ牡丹の本丸に馴染んでいく村雨。

他の刀剣達も、最初は戸惑いがあったのだが、今では気軽に声を掛け合うようにもなったのだった。

 

牡丹の本丸は、多くの刀が存在する。

名前が覚えきれず何度も名前を確認するはめになったが、今ではある程度の仲を築き上げることもできた。

特に関わりを強く持ったのは、顕現当初を知る薬研と鶴丸である。いまは、第一部隊に配属されている村雨。変わらず第二部隊の隊長の鶴丸とは違い、薬研は同じ第一部隊員である。

(それに羨ましがる鶴丸を薬研は笑っていた)

村雨は始め、第三部隊で日替わりで様々な刀剣と組まされていたが、最終的に練度MAXとなった薙刀の岩融(いわとおし)と交代する形で第一部隊に配属となったのだ。

広範囲で攻撃できる彼との交代の理由は、村雨の戦い方にあった。

──────────

牡丹という審神者は驚いていた。

それは、村雨のステータスだ。

審神者には、こんのすけを通して自陣の刀剣達の強さを数値化する技能がある。

刀剣によっては数値という枠にあてられず、低、中、高の三段階にしか分けられないものもいる。

それは強さが定まらず、また古い刀剣や強すぎる刀剣に起こる現象だ。そしてそれは村雨にも当てはまってしまった。

これは初めて第三部隊で出陣をさせた後のこと。

その時のメンバーは、

─────────

太刀:村雨

打刀:へし切長谷部(隊長)、大倶利伽羅

脇差:鯰尾藤四郎

短刀:厚藤四郎、秋田藤四郎

─────────

この6振りであった。

隊長はへし切長谷部。

本当なら手合わせで多少スペックを読み取ることが可能なはずだったのだが、想定外に村雨は強く、本気になることもできずにいる様子から、早々に少しレベルの高い時代への任務に赴くように指示を出したのだった。

鯰尾や厚、秋田についてもレベルはそれなりに高いので、村雨の練度上げも兼ねている。

ちなみに大倶利伽羅は怪我からの復帰も兼ねて同行している。

さて、初の戦場は夜の三条大橋であった。

太刀である村雨は不利な夜間での戦だ。ちなみに自己申告として鴉である自分は夜目が効かないことは伝えてあったハズだが、いろいろなデータをとりたいとのことだったので、はじめに障害物の少ない橋での戦となった。

それに橋を越えるまでは短刀などのあまり強くない敵を相手取ることとなるので、瞬発力を含め村雨のステータス確認を行うこととなったのだった。

 

順調に、三条大橋を渡りきった先。

そんな中で村雨はやらかした。

彼女の一閃。鞘に納めた状態からの一太刀。漆黒の刃はまるで食い破るかのように敵全体を攻撃し、かつ、障害物である盾をも貫通して大将首を撃ち取ってしまったのだ。

これには同行していたものもぱかりと口を開けて呆けてしまった。相手は決して弱くない。それどころか高速槍もいたはずだったのにだ。

長谷部はすぐさま記録を録っていたこんのすけに、牡丹へデータを送るよう指示した。

 

 

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