牡丹はこんのすけから送られてきたメールに気づき、なんともなしに開いた。
そこには村雨のステータスデータが記載されており、おもわず感嘆の声をあげてしまった。
そのメールは、以下の通りだった。
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ご報告いたします。
村雨殿の現在のステータスは以下の通りです。
生存/中
打撃/中
統率/低
機動/高
衝力/高
範囲/縦横(薙刀+槍の範囲)
必殺/高(一撃必殺)
偵察/中
隠蔽/低
一撃で太刀や槍を含む敵を凪ぎ払い、大将首を落としました。
まだ本気ではないと思われますので、場合によっては上記以上の可能性があります。
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「あらまぁ……」
「ん?どうしたんだ、大将」
そう声をかけて薬研は無言で差し出されたディスプレイを見た。
「……………………」
「………すごいわねぇ、」
まだ経験値を積んでないのにと珍しく驚いた表情の牡丹を横目に、薬研の頭の中は忙しく思考を巡らせていた。
「(機動が高い、それに必殺が異常、というかなんだこの範囲。縦横っておかしいだろ、どう見ても太刀にできることか?隠蔽が低いのはあれか、統率もあわせて当たらなきゃ倒せる的なやつなのか……)」
まじか、村雨……と、変なイメージを持たれたが、あながち間違いでもなかった。
村雨本人は無意識だが、攻撃力特化型のスピード重視なことは否定できない現実である。
薙刀と槍とをあわせ持つ範囲攻撃に、薬研は目を疑うが、何度見てもメールの文章はかわらない。
「はは、こりゃまた、すごい新入りが入ってきたもんだな」
「そうねぇ、帰ってきたら実際に見た皆の感想も聞いてみたいわ」
「確かにな」
そんなやり取りをしつつ、牡丹の指はディスプレイをポチポチと叩いている。
おそらく、こんのすけに返信しているのだろうが、なにを返しているのやらと薬研は苦笑しつつ、冷めた茶を啜るのだった。
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さて、急ぎメールを送ったこんのすけは、すぐに返ってきた返信に長谷部へと声をかけた。
「それで、主はなんと?」
「読み上げます。『なんだかすごいステータスだったわねぇ。皆からのお土産話を楽しみに待ってるわ。怪我の無いよう気を付けてね 牡丹』……と。」
「…………………あるじ…」
相も変わらず気の抜けた反応に、長谷部は肩を落とすが、すぐに頭を降り闇の先を見据えた。
現在はまだ戦闘区域だ。三条大橋を渡り終え、何度か戦いそろそろ戦も終盤となっている。
禍禍しい気は、長谷部の視線この先。闇の向こうにあるという状況だ。
仲間の状況も、掠り傷程度で疲労しているものもいない。村雨に関しては傷ひとつないという状態だ。
「敵が何であれ、斬るだけだ。全員いくぞ!」
長谷部の言葉に、皆力強くうなずいた。
闇の広がる道を進めば、鋭い槍が襲いかかってくる。
(ぎゃーっ!こっちくんなーーー!!)
という村雨の内心に答えるように、村雨本体をぶぉんという風を切り裂く音と共に、槍がスパンと切れ、そのまま相手をもさっくりと切り捨ててしまう村雨。
本人がどうあれ、端から見てればかなりの手練れに見えてしまうという不可抗力が働いてしまっている。また槍に狙われていたのは実は村雨ではなく大倶利伽羅だったので、彼を庇い、かつ、敵を凪ぎ払ったその背中が、いかに大きく優しいものに見えたかは、庇われた本人と短刀達のみしることとなる。
こうして村雨の意思とは関係なく、勘違いは広まっていくのだった。
ステータス補足。
例として、機動が高いとなっていますが、極め短刀には負けます。