村雨のこころ   作:玖渚真白

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side:自分の話を、牡丹編に組み込む為、話数を変更しました。
11月28日更新


牡丹編:2

ただ、普通に生きてただけだった。

好きなことして、ときには友達と喧嘩したり、好きな人が出来て、勇気がなくて勝手に失恋したり。

学生の頃は毎日が長かったのに、社会人になったら時間があっという間で、気づいたら5年、10年と働いてて…

 

どうしてこうなったんだろう…

 

この状況になっても、未だに信じられず、かえって現実逃避をしてしまう。

でも、考えてほしい。

 

 

 

自分が、なんか知らんが刀剣になってたら、現実逃避もしたくなりますよね?

 

 

 

 

─────────

 

ことのはじまりは、会社の年代が近いメンバーとの女子会でのこと。5つ下の後輩が、携帯アプリを紹介してきた。

刀剣男士というそのアプリは、日本刀を擬人化して敵を倒すというゲームで、刀剣に宿る付喪神を喚ぶことで、擬人化させることができるらしい。

あ、その喚び出すことができる人が、操作している自分のことで、審神者(さにわ)と呼ばれているそうな。

 

 

見せてもらった刀剣男士の絵も綺麗で、操作も簡単そうなので、わたしは後輩が勧めるままアプリをインストールして始めたのだった。

初期刀が誰かとか、審神者レベルが100を越えるぐらいには、まったりと日々ゲームをしていた。

 

 

そして。

 

 

ゲームしながら寝落ちしました。

(秘宝の里、眠くなるんだもん!)

 

 

次に起きたとき、わたしは日本刀になってました。

 

 

・・・・・・・・・・・ゆめ、かな?

 

動けぬ体、もちろん無機物の刀だから当たり前だけど。

最初は意識がふわふわしてたが、だんだんと鮮明になり、この目の前のよく知らんおじさまに、名前をもらいました。

 

「日照りが続いて、これ以上は畑がもたん…そろそろ雨でも降ってくれんかね……」

 

ここまでは、そっかーと聞いていた。

 

「……そういえば、まだこの刀に名を授けていなかったな…そうだな、縁起を担いで村雨(むらさめ)はどうだろう」

 

村に雨…切実過ぎる名をつけてきたおじさまに、返事を返したいのになーとか思ったわたし。

そしたら、なぜか不思議なことに、それまで雲ひとつないカンカン照りの空がだんだんと薄暗くなり、すぐにひとつ、ふたつと滴が落ちてきた。

そう、本当に雨が降ってきたのだ。

 

偶然だと思ったけど、まさにタイミングはバッチリすぎて、めっちゃ崇め奉られたよね。

 

違うんだよー、別に雨をわたしが呼んだ訳じゃ無いんだよー!…とか弁解したくても、いまのわたしはただの刀。意思を伝えられないというのはとても不便だということを学びました。

 

その後、わたしは村雨と呼ばれ、干ばつが続くと刀なのに、ただの刀なのに!…人々がめっちゃお祈りしてくるようになりました。

そして、なぜかそれに答えるように雨が降る。

なんなの、天気どうなってんの!

わたし何にもしてないのに、評判だけが上がっていくんですが…。

 

そして、信仰が集まるとよくわからん力が着くんですねー。

まるで経験値を得てレベルアップしたみたいに、わたしの意思でできることが増えてしまっていました。

「え?」と思うよね、わたしも思うよ。

でもできるようになっちゃったんだもん!

 

いまのわたしなら、好きなときに雨を降らせたり、変な妖気をもったやつが村に来ないように結界はったりとか出来るようになりました。

 

そして、この頃から「願いを叶える刀」という噂は広がった。

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