村雨のこころ   作:玖渚真白

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プロローグ前の話が続きます。

side:自分の話を、牡丹編に組み込む為、話数を変更しました。
11月28日更新


牡丹編:3

あれから、どれほど時間がたったのだろう…。

 

人から人へ(わたし)は受け渡されていった。

偶然と自分自身が意図して叶えた願いによって、雨の神様が宿っているといわれたが、わたしとしては大層恐れおおい伝承である。

 

そしてあるとき、願いが叶うことで生じてしまう不幸を知ることになる。

 

 

 

あるとき、とても家族思いの青年のもとに村雨が受け渡された。その青年は心根も良く、他者へも親切を行う優しい人間だった。

時が立ち、青年は幼馴染だった女性を嫁に迎えた。その二人に授かったのは、とても美しい娘で気立ても良く、年頃になると村の若い男達はこぞって憧れの眼差しを向けていた。

そんなある日、地主のあまりよい噂を聞かない若旦那が娘を嫁に欲しいと圧力をかけてきた。青年は「願いを叶える刀」として伝わっている村雨(わたし)に、()()()()()()()()()を願ったのだ。

 

これまで、雨や水に関連する願い事ばかりだったので、わたしはどうすれば諦めさせられるのかなーと、呑気に考えていたときである。

地主の屋敷に働きにいっていた隣人の男が、若旦那が土砂崩れにあい死んだと知らせにきたのだ。

 

 

これにはさすがにおどろいた。

 

また偶然にも願いが叶ってしまったのだが、ここから青年の受難がはじまる。

 

 

あろうことか、その土砂崩れを青年がひきおこし、次期跡取りを殺したと噂がたったのだ。

もちろんそんなことはありえないのだが、村人達はそれを信じてしまった───きっと村雨に願ったのだ…と。

 

 

もちろん村雨(わたし)は何もやってなかったのだが、弁解したくてもできない。

(刀だからね!)

案の定、青年の家族は皆、罪人として捕らえられてしまったのだ。

 

ここでわたしは初めて怒りを覚えた。

厚く手のひら返しをしてきた村人達に。

 

…今思えば、わたしはあの青年を好きだったんだろう。

そして、その家族達へも愛を注いでいた。

また力を使うことにも未熟だったのだ。

 

 

ここまでいえば、お察しいただけるだろう。

あのとき、わたしの感情と共に、村雨の力が暴走し村人へ次々に災厄が及んだのだ。

 

始めに地主の裏手の山が崩れた。

ともすれば、今度は地震が村をおそう。

そして大雨が降ったとあれば地滑りがおき、村の半分を飲み込まれていった。

 

幸いにして青年とその家族、親類や親しい人間のほとんどは助かったが、これを切っ掛けに村雨(わたし)は神様の反対───妖刀としても名を広めることとなってしまった。

 

 

 

───どうしてこうなったのか………

 

 

 

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