11月28日更新
最初、姿を見たときは自分の兄弟のように、女の格好をしているだけだと思った。
声を聞くまでは。
顕現したのは見たことのない少女。
黒い太刀を持ち、長いまっすぐな黒髪を靡かせて、まっすぐに主へと大きな瞳を向けていた。
黒い髪とは異なり、蜂蜜のようなとろりとした瞳。
どこか黒猫を連想させる彼女は、鮮やかな着物と羽織を身にまとっていた。
村雨───そう名乗る彼女は、どこか虚ろげで。
薬研藤四郎はどこか放っておけないと感じつつ厨に向かうのだった。
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厨を覗けばいつものメンバーが夕食の下拵えとおやつ作りに精を出しているようだった。
背の高くジャージ姿の男、
そこに、気兼ねなく薬研は声をかけた。
「よう、お二方」
「あ、薬研くん、どうしたんだい?」
「おやつならもう少し時間がかかってしまうんだが…」
眼帯をした色男、燭台切光忠はにっこりと笑顔を浮かべ、片や歌仙兼定は困ったように薬研に笑いかけた。
どうやら、おやつの催促に来たと思ったらしい。
「あー、いやそうじゃないんだ───実は」
主の鍛刀に付き合ったところ、新な仲間が顕現した。
いま、主と居間にいるから、茶をもっていきたい。
そう簡潔に話をする。
「なるほど、なら先に出来上がっている練りきりと茶を用意しよう」
「うん、そうだね。薬研くん、ちょっとまっててね」
「あぁ、悪いな」
手際よく準備をする二人は、新しい仲間について薬研に尋ねる。
「その新しい刀は、どんな子かわかるかい?」
「あー…いや、まだよくわからないんだ」
どこか煮え切らない返答に歌仙は首をかしげた。
「顕現できたということは、うちにいない子なんだろう?」
「まぁ確かにうちにいない初めての刀剣ってのは間違いないんだが…どうも様子がおかしくてな」
悪いやつには見えないから、ひとまずこれから話をする予定だと告げる薬研。古株の一振りである彼がついているのだからと、歌仙達はそれ以上の詮索はせず、どうぞと用意した茶を差し出した。
「なにか困ったことがあったらいってくれ」
「僕達もなにか、お手伝いさせてもらうよ」
そう告げるふた振りに、薬研は助かると告げて厨をあとにするのだった。
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「それにしても、何があったんだろうね?」
去っていく薬研を思い浮かべ、燭台切光忠は首をかしげた。
通常、鍛刀し顕現した刀は、情報だけでも伝達され、その日の夕食は歓迎会という名の宴になる。だが、まだ秘匿されているとなると話は別だ。
燭台切と歌仙は夕食の献立をどうするかと相談しあうのだった。