IS〜古都国最凶と蛇と成りて舞う一夏〜   作:第八天黒鴉

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本日友人と映画を見てきたんですが、学生証を忘れて一般料金で見るハメになりました。皆さんは気をつけてくださいね(笑)

それと、原作だと歓迎会があるのですが、やりたいことがあるのでアニメ基準で後日談に回したいと思います。

それではどうぞ


第4話 束の間の平穏・蠢く悪意 その2

───学園(アカデミー)教室

 

昼休みも終わり、午後の授業もつつがなく進みこの時間で最後となった。

初日で緊張していたルクスも、幾分か緊張が解けたのかリラックスしているように見えた。

だが、本来武官は外で基礎体力作りを含めた訓練であったはずだが、何故か文官も含め全員が教室待機を命じられ、戸惑っていた。

そんな中、扉が開き、ジークが歩いて教卓の前へと立った。

 

「えぇー、ではこれより授業を始めたいと思う」

 

相も変わらずやる気のなさそうな声質ではあったが、その目には遊びや手抜きといったものは見られなかった。

 

「待て。その前に私達もここに残った理由を説明してもらおう。武官は外で基礎訓練だったはずだ」

 

やはりと言うべきか、異を唱えたのはリーシャだった。

しかし、そんなことはお見通しと言うかのように、ジークは即答した。

 

「その答えはさっきのオレンジ髪の質問に答える必要がある」

 

自分のことを呼ばれるとは思っていなかったティルファーは、驚きと疑問をあらわにした。

 

「俺がお前らに何を教えるのかという質問に答えよう。・・・・・それは調律だ。機構(システム)面の基礎をお前らに教えてやる」

 

ジークの答えの意味を正しく理解できたものは、あとから入ってきたライグリィ以外にはいなかった。

各々、理解をしても納得などしていなかったのだから。

 

「・・・・・言いたいことは分かった。だがそれと私の質問に何の関係がある?」

 

二学年首席と言われたリーシャですら、正しく意味を理解できなかった。

唯一ルクスのみは、どこか引っかかりを覚え、考え込んでいた。

 

「くっ、はははははは。──嘘だろお前ら?まさか本当に理解できないのか?さてはお前ら実戦経験ないだろ」

「なっ、巫山戯るな!私達は幻神獣(アビス)を倒したことだってあるんだぞッ!」

 

マジかよコイツら。ほんとに二年生かよ。

呆れたと言わんばかりに盛大に笑うジークに、自尊心を傷つけられたと思ったリーシャはかみつく。

 

「そりゃ、おめぇ、幻神獣(アビス)討伐経験ぐらいあるだろう。俺が言ってんのはそうじゃねぇよ。本物の戦場で殺し合ったことねぇだろって言ってんだよ」

「それとこれと何の関係がある!」

 

未だジークの言っていることが理解できないのか、なおも反発するリーシャ。

周りは誰も口出ししようとしない、というよりできなかった。

ルクスやクルルシファーは何となく言いたいことが理解できたのか、思考を繰り返している。

 

「まだ分かんねぇのか?仕方ねぇ、問題を出してやる。──まず調律とは何だ。さっきも俺が言った通り、装甲機竜(ドラグライド)機構(システム)を調整することだ」

 

ジークはそこで一度区切り、周りを見渡し全員が話を聞いていることを確認する。

そしてそのまま続けた。

 

「じゃあ、それの何処が重要なのか、それが今から出す問題の論点だ。『ある戦場において、故障または戦闘により装甲腕が一本使えなくなった。整備士が待機している拠点まで距離は離れており、一人でも戦線離脱すればかなり不味い状況だ。さぁ、お前らはどうする?』・・・・ここまでヒントだしてやったんだ、分かってくれなきゃ困るぞ」

 

ジークの出した問題にルクスは言いたいことがはっきりと分かった。無論その答えもだ。

クルルシファーも理解できたのか、納得した顔だったが、リーシャは完全に理解したとは言いがたく、眉をひそめていた。

数分の間が開き、充分考える時間をおいてジークは再び全体を見渡す。

 

「・・・・・完全に理解できたのは数人と言ったところか・・・・・。答えを聞こうかお姫様?」

 

ジークは先程まで強気でいたリーシャならば答えられるだろうと思い、指名した。

 

「・・・・調律で修理する、か?」

「おしいな、言葉が足りない。それじゃ腕自体がなくなったときに説明ができない」

 

自信なさげに答えるリーシャに、ジークはそのままでは説明しきれないと告げた。

その後、次の回答者を選ぶジークに確信の表情を浮かべるルクスの顔が目に映った。

 

「──次はお前だ、雑用王子。テメェの経験のほど、見せてもらうぜ」

 

指名されたルクスは、少々驚きながらも焦る様子は見られなかった。

 

「その使えなくなった装甲腕へ送るエネルギーを切って、他に回すことで継戦能力を補う、ですよね?」

「──正解だ。流石だな、雑用王子」

 

迷わずに答えるルクスに、流石『黒き英雄』と心の中で賞賛しつつ、ジークは正解だと告げた。

 

「いいか。今の問題はつまり、『損傷箇所が見つかる度に、整備士のとこまで戻るのか』と聞いてるんだ。これで意味も分かるだろ?」

 

漸く、ジークの言いたいことを理解できたのか、全員が息を呑むのが見て取れた。

 

「さて、姫様の質問にも答えたところで、授業を始めるぞ。武官文官合同については、事前に学園長から許可を取っている」

 

サラリと合同についても説明するジークは、案外教官に向いているのかもしれない。

尤も、そんなことは死んでも御免だと言うだろうが・・・・。

 

「調律の基礎つったって、まずはさっきの問題の解説から始める」

 

そう言うジークは、どこからともなくコップを六つ取り出し、五つを前に、一つだけ後ろにして教卓の上に並べた。

周りの生徒達は不それを思議そうな顔をして見つめるしかなかった。

 

「これは前にある五つが両腕、両脚、推進翼、後ろのは幻創機核(フォース・コア)だと思ってくれ。分かりやすいように《ワイバーン》として説明させてもらう」

 

これまたどこからか、水差しを取り出した。

どう見ても確実に隠し持てるサイズではなかった為、全員が今のどっから取り出した、と言いたい気持ちを堪えていた。それはライグリィも同じだったのか、少し震えていた。

そしてジークは、後ろの一つのみに水を並々と注いだ。

 

「この状態を調律の施されていない初期状態だと考えてくれ。水はエネルギーで、全部位は動かすだけのエネルギーは送られている」

 

用意の整ったジークは説明を始めた。

前置きを言った後、後ろのコップに入っている水を前の五つに均等に注いだ。

 

「これで全体にエネルギーが行き届いているのは分かるな?じゃあ、腕が一本使えなくなった場合、エネルギーを注ぎ続けたらどうなると思う?答えは簡単。無駄に消耗するだけだ」

 

端っこにあったコップを手に取ると、中身を元のコップに戻しそれを仕舞った。

 

「損傷した部位にエネルギーを使い続けるのは非効率だ。例えるのなら一々使わねぇ部屋に灯りはともさないだろ?つまりはそういうことだ。そしてそれは継戦時間を減らすことにも繋がる。何せ装甲機竜(ドラグライド)の出力には限界があるからな」

 

ジークの説明に生徒達は食い入るように聞いている。

言わんとしていることが機竜使い(ドラグナイト)としても、整備士としても必要なことであるからだろう。

 

「そんな時に役立つのが調律だ。使えない部位に注いでいるエネルギーを、他のところに回せば同じ時間だとしても、調律前より僅かとはいえ高い性能を発揮できる。切断のみならば継戦時間の延長にもなるだろう」

 

コップの水を残り四つに分けながら説明を続けるジーク。

その高い知識にルクスは彼の前の職について考えていた。知識や経験の高さに反して、一度も見かけたことのない顔。

この国であそこまでの黒髪は珍しいため、一度見れば少なからず印象に残るはずなのに覚えがないということは、少なくとも新王国の軍人ではないはずだとルクスは予想していた。

見事だルクス君、流石は原作主人公。だが忘れてはいけない。ジークはまだ二十前半、つまりまともな経歴な訳がないのだ。

 

「調律についての知識や必要性は、戦場に出れば嫌でも学ぶことになる。だが敵は待ってくれない、自分を守るためにも大きく役立つ知識だ。知っておいて何の損もない。そこを充分理解した上で学んでほしい」

 

そう調律の重要性をジークはまとめた。

その後も授業は問題なく進み、その日の授業は終了した。

生徒達の反応は概ね好評、リーシャも認めざるを得ないほどのものだった。

最初の不信感が完全に拭えたわけではないが、彼の言葉に嘘は感じられないとして、一応の信用を得ることになった。

 

ルクスが主人公特有のラッキースケベを発動したり、アイリの出番がかなり少ないことを除けば特に問題なく毎日が過ぎていった。

 

そんな安心しきっていた時、事件は起こる

 

ゴオォオン!

 

学園中に鐘の音が響き渡る。

その音は幻神獣(アビス)の出現を知らせる警報であった。

騎士団(シヴァレス)と呼ばれる組織に所属する生徒はすぐさま格納庫へと集まっていた。

そこには三和音(トライアド)やリーシャの姿も見られた。

 

「な、何があったんですか!?」

 

少し遅れてルクスが駆け込んできて、問うた。

 

「現在は第二、第三砦の機竜使い(ドラグナイト)が討伐に向かっているが、敵は大型だ。突破される可能性も考え我々も出撃する」

 

王都にも救援要請を出しているというが、国の軍力からして機竜使い(ドラグナイト)が派遣される可能性はかなり低いと見ていいだろう。

 

 

●〇●〇●〇●〇●〇

 

 

「我々騎士団(シヴァレス)は有事の際は率先して出張らなければならないのだよ、ルクス君」

 

シャリスの言葉を背にしたジークもとい『死を想え(メメント・モリ)』は物陰に隠れ独りごちた。

 

「ああ、そろそろ俺が本格的に動き出すときか。まったく、?????の野郎、可能性だけで俺をこんな所に送りやがって」

 

いつか絶対ぶっ飛ばす

心に誓うジークは、自らの機攻殻剣(ソード・デバイス)を確認する。

 

『黒』と『銀』の邂逅はもうすぐだ




ジークの本名を皆さん予想してみてください(無茶振り)
分かった人は私と思考回路が同じ可能性があります。

話が変わりますがつい先日、
初めて感想を頂きました。
言いようのない喜びが湧いてきましたね。
こんなに嬉しいものなんですね。

それでは
また次回お会いしましょう(* 'ω')ノ
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