少し、というかかなり過激な表現が含まれます。
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それでもいいよという方のみ進んでください。
先週投稿できなかったのは、GWが全て部活で潰れ、筆が進まなかったことや、そもそも本当にこれは投稿してもいいものかと真剣に悩んだ為です。
お待たせしてしまい、申し訳ありません。
荒野にて、リーシャと『
神装機竜《ティアマト》の三大武装をフル稼働することで応戦していたリーシャだったが、とっくに限界は超え、いつ強制解除が起こってもおかしくない状態だった。
「く・・・・・はぁっ!」
ついには気力だけではどうにもならない限界がやってきた。視界が霞み、手足に力が入らない。
しかし、残る
【シャリス、ティルファー・・・・・・、無事か?】
竜声を『
【・・・・・・済まないが姫、私は既に戦えない、仲間の手助けを受け、撤退を始めている】
【うん、私ももう限界みたい・・・・・・武装が両手の装甲ごと使い物にならないし──】
かすれたような声の返事に、リーシャは苦笑する。
むしろ圧倒的戦力差の中、ここまで戦ってくれた仲間に、感謝した。
【お前達は撤退しろ。代わりにひとつ頼まれてくれないか。城塞都市で待機しているはずの教官達に、攻撃に出るよう伝えてくれ。今から私の狙いが成功したら、だが】
【姫。それは、まさか・・・・・・・?】
シャリスはリーシャの目論見を察する。
【ああ、私は──あの笛を持つ、親玉を狙ってくるからな】
恐らく、あの笛が
つまり、あれの破壊ないしベルベットを倒しさえすれば、
今までは数が多すぎてできなかったが、ようやくその機会が巡ってきた。
「──無様だな、リーズシャルテ。本来は、男にかしずいて生きるための雌犬如きが、たとえ一時でも、王女の椅子に座ったのが、そもそも間違いだったのだ」
「ふん。男とは、お前のように終わってからグダグダ負け惜しみを言って偉ぶるようなヤツを言うのか?そのくせ、絶対的に有利な状況でしかモノを言えないとはね。なるほど、私達女に
「・・・・・・・いい度胸だ。いや、見事な虚勢だと褒めておこう。既に纏った神装機竜が、暴走を始めるほど消耗しているくせにな」
ベルベットは嘲笑うと、笛に唇を当て、息を送る。
不快感のする異音が響き、
「いいだろう。望み通りの一騎打ちだ。お前には名誉の戦死という終わりをくれてやる」
大型ブレードを上段に構え、ベルベットは告げる。
「笑えない冗談だな。お前のような小物に命を取られるなんて、末代までの恥でしかないよ」
対するリーシャも、小型ブレードを転送し、ベルベットの前まで上昇する。
神装機竜と汎用機竜では地力が違いすぎる。だが、今の状況ではベルベットの方が有利と言えるだろう。
故に──、勝機はある。
「さあ、その命を散らすがいい!偽りの姫よ!」
ベルベットがブレードにエネルギーを注いだ瞬間、
リーシャは手にしていたブレードを投擲した。
「──!?」
だが、そんな見え透いた陳腐な攻撃では、当たるわけがない。
現に、ベルベットはブレードを振り下ろし弾いていた。
「馬鹿め、そんな攻撃が通じると思ったか?」
リーシャの両手には、代わりとなる武器はない。
勝負は決まったも同然。
「はっ。抜かったのは、お前の方だ」
リーシャの小さな笑い声が、対峙するベルベットの耳にも届く。
その両手には、細身の双剣が握られていた。
《キメラティック・ワイバーン》に対応する二本の
故に、予測不能の一撃。
刀身の一部には
ベルベットは、大剣を振り切った直後で、完全に隙を晒している。
(取った!)
リーシャが、確信を込めて双剣を振るった瞬間、
「残念だったな、雌犬」
「な──ッ!?」
時が止まったように、リーズシャルテの感覚が鈍る。
自分が感じる時の流れ、その認識をすり抜けるように、
ドンッ!
ベルベットの大剣が、先に振るわれた。
《ティアマト》の装甲の破片が、リーシャの眼前を舞う。
大地に落ちたリーシャはそのままぱたりと力尽きた。
「く、あ・・・・・!」
「はッ!ははははははっ!」
ベルベットの哄笑が、広い荒野の戦場に響く。
「な、んだ・・・・・今のは・・・・・?」
リーシャの呻きを聞いたベルベットは、不敵に微笑んだ。
「『
肉体動作による制御に加え、精神操作による制御。
一連の動作に、異なる操作方法を完璧に重ねることで、ほんの僅かな、
機竜三奥義と呼ばれるそのひとつでも会得すれば、超一流の使い手として称えられる。
「俺はな、クーデターの日から五年間、このときのために牙と研いできたのだ。お前ら雌畜生どもの番犬になるという苦痛の演技に耐えてな。はははははは!最高の気分だ!」
「ゲスが・・・・・!」
リーシャは大の字で仰向けになったまま、下唇を噛む。
●〇●〇●〇●〇●〇
ガキンッ!
最後の悪あがきをし、死を覚悟したリーシャ。
だが、金属音が響くだけで痛みは来ない。
何故なら目の前には、蒼色の機竜──すなわちルクスの《ワイバーン》が盾となり、攻撃を防いだからに他ならない。
「ル、クス・・・・・、どうして・・・・・?」
「・・・・・・すみません、リーシャ様。せっかく直してもらったのに」
ルクスはリーシャに、寂しげな笑みを浮かべる。
そして、大破した《ワイバーン》の接続を解除し、その腰に残ったもう一本の
ルクスが黒鞘から、
そして、柄のボタンを押すと同時に呟いた。
「──顕現せよ、神々の血肉を喰らいし暴竜。黒雲の天を断て、《バハムート》!」
光の粒子が高速で集まり、形作る。
現れたのは、黒。
禍々しい殺気と光沢を帯びた、
竜を模したその頭部からは、二つの赤く輝く眼光が覗いていた。
「これは──?」
そのただならぬ威光と気配に、上空のベルベットは声を上げる。
「
ルクスの前に現れた機竜が無数の装甲と化し、全身を包み込む。
「お前は・・・・・・まさか──?」
それを見たリーシャが、目を見開いて呟く。
直後、眼前に迫る帝国軍百機の前に、漆黒の巨竜であり、五年前の暴威、《バハムート》を纏ったルクスが立ちはだかった。
その手には、闇よりも深い黒色の大剣が一振り、握られている。
「何者か知らんが、構わん!たかが一機だ!始末しろ!」
ベルベットの声に従い、前にいた三機が、ブレードを振りかぶり、愚直な程まっすぐに突撃する。
それぞれ
左右と正面、三方向から同時攻撃が、ルクスに襲いかかる。
その刹那──、
バギン!
「──え?」
気がついたときには、既に男達の纏っていた
攻撃、動力、制御の要である三点が、その一撃で粉砕されていた。
それも一度に襲い掛かった──三機同時に。
●〇●〇●〇●〇●〇
激戦の真っ只中より、少し離れた位置にて、『
その視線は、暴威を振るうルクスと《バハムート》を横目に、別の場所を捉えていた。その先にいるのは──アイリとノクト。
「危ねぇ危ねぇ。神装機竜を展開して突っ込んでたらあいつらに見つかってたな・・・・・・。大人しく走っておいてよかったな」
それはそれでぶっ飛んだ発言をしているが、大真面目だった。
そして、視線をルクスに向けると、凄まじい勢いで敵を撃墜しているのを捉える。
「さて、あの小娘共には用はねぇ。俺の仕事はあっちの
無機質で、それでいてどこか寂しそうな声を上げながら、布に巻かれた
「──覚醒せよ、
光の粒子が高速で集まる。
現れたのは、銀。
不気味な憎悪と輝きを帯びた、矛盾の
銀色の装甲は優しさはなく、龍を模した頭部は鋭い眼光を放っている。
「さあ、
そう言ったジークは《バハムート》よりも速く飛び立った。
その手に、黒く輝く不気味な長刀をを携えて──。
●〇●〇●〇●〇●〇
「僕の顔に見覚えはないか?ベルベット・バルト」
何者かと問われ、逆にルクスは問うた。
そう言われルクスの顔を注視するベルベット。
『三十過ぎ(多分)のオッサンが、十七歳の中性的な美少年を値踏みするようにに見ている』と言い換えるだけで、何とも犯罪臭がするシュールな構図ができあがった。──元々ベルベットは犯罪者ではあるが・・・・・・。
「これはこれは、第七皇太子殿下ではございませんか。存ぜぬこととはいえ、度重なる無礼をお許し願いたい」
「やめてください」
恭しく挨拶をするベルベットに、ルクスは素っ気なく返す。
「今すぐ投降してください。これ以上の戦いは無意味です」
「ふ、ははは・・・・・・」
堪えるように口元を押さえて、ベルベットは嗤う。
「それより殿下。私からも一言、申し上げたき言葉がございます。なにゆえ──、どうして、新王国の──帝国の敵などの味方をなされるのですか?」
「・・・・・・」
「何故だ!ルクス・アーカディア!王子であり皇族の生き残りであるお前が、何故我らに剣を向ける!民のために戦って、英雄気取りか偽善者よ!?お前は間違っている!そんな安っぽい感情では、民は、国は何ひとつ──動かんのだ!」
「僕は、英雄なんかじゃありませんよ」
ルクスは自嘲めいた笑みで、そう答える。
そして、
「聞いてください、リーシャ様」
地上に横たわるリーシャを見て、優しげな声をかける。
「僕は国のために、民のために──。王子として、何もできなかった。母を失って、他にもまた、大切な人を失うのが怖くて」
呟きながら、その脳裏に五年前の記憶が浮かんでくる。
「僕は、大義のために強くなれなかった。全ての人を救おうとして、でも、失敗して。今度はそうならないために、使命を果たすために、雑用王子として隠れていました。」
「だけど──やっぱり、助けたい。新王国の王女として相応しいあなたに、認めてほしいと思えたんです。だから・・・・・・」
「ルクス・・・・・・」
掻き消えてしまいそうなリーシャの声。
それを聞きながら、ベルベットに大剣──《
「僕は、英雄なんかじゃない。帝国を亡ぼす、最弱の
そう、ルクスが啖呵を切った直後、
「・・・・・・いいだろう」
ベルベットが剣を掲げ、部下達に合図を送る。
「ならば、死ぬがいい!新たなる帝国の礎として、我が仕えしアーカディア帝国の、大義の元に朽ち果てろ!」
一斉に、残る数十機が、総攻撃を始める。
──その瞬間、
【兄さん!逃げてください!】
切羽詰まったアイリからの竜声が届く。
疑問を感じ、聞き返そうとしたのも束の間──。
「
静かな声と共に訪れた斬撃と轟音。
この斬撃にルクスは既知感を覚えた。
そう、あれは五年前の──。
「まさか・・・・・、そんなっ!?」
ベルベットよりも遥か上空から、舞い降りるかのように姿を現したその機体。
銀色の装甲に、紫色のライン。推進翼は大きな主翼が一対、その下に少し小さめな補助翼が一対の二対四枚。手には、光を呑み込んでしまいそうな程黒く、禍々しい長刀を握っている。
そして、搭乗者はローブで隠れて見えないが、大柄な男だと分かる。
それは紛れもなく、五年前に帝国を亡ぼした一機──『銀の厄災』であった。
「久しぶりと言っておこうか『黒』。ああいや、今は『黒き英雄』だったか?」
「できれば、あなたには会いたくありませんでしたよ」
「それは冷たいな。・・・・・・まあ、どうでもいいことだがな」
『黒き英雄』は顔を強ばらせ、『銀の厄災』は興味なさげな様子で会話を区切った。
除け者にされたベルベットは、憤慨したように叫ぶ。
「お前は何者だ!何が目的で姿を現した!」
「俺か?一応、周りからは『銀の厄災』なんて呼ばれてる。目的は・・・・・・そうだな、世界にとっての
ベルベットなど初めから眼中に無いのか、顔も見ずに返事をした。
「く、ははははははっ!」
どこに笑う要素があったのか、いきなり笑いだすベルベット。
「・・・・・何がおかしい?」
「ははははっ!『銀の厄災』が来たときにはどうしたものかと思ったが、どうやら運は俺達帝国側にあるらしいな。まさか──、『銀の厄災』が味方になってくれるとはな!」
「・・・・・・・・・は?」
たっぷりと、二、三秒の沈黙の末に上がった声。
そんな間の抜けた声を上げたのは誰だろうか。少なくともジークではない。だが、眉を少しひそめていたのが見て取れることから、本気で予想外だったのだろう。
「さあ、『銀の厄災』よ!まずは手始めにこいつらを殺せ!」
勘違いを続けるベルベットは、勝った気でいるのかいやらしい笑みを浮かべながら前に出てくる。それはちょうど──、『銀の厄災』の前に出るような構図となった。
「どうだ、この絶望感は。たっぷりと味わいなが──」
「うるせぇよ」
「がぁッ・・・・・!?」
調子に乗り始めるベルベットに、再び斬撃が襲いかかる。
これにより、推進装置がやられたのか、地上に落ちてきた。
「な、何を・・‥・ッ!?」
『銀の厄災』を睨みつけようとしたベルベットは見た、見てしまった。自分を見つめる無機質な目を、ルクスよりも冷たい目を──。その目にベルベットは思わず息を呑んだ。
「なあ、モルモット・──なんちゃらよぉ。俺は一言もてめぇらの味方をするなんて言ってねぇぞ?」
そう言いつつ近づいたジークは、長刀で推進翼を切り落とした。
これでもうベルベットは空を飛ぶことができない。
「けどよ、ひとつだけお前の言葉に共感したところがある。それは──この国が雌畜生が統治しているという点だ」
「ならば我らの仲間になれ!『銀の厄災』!」
「まあ、尤も、俺にとってはお前もその畜生の一匹に過ぎないんだがな」
そう言ったジークは、ベルベットの足を装甲脚で
「がぁあぁあぁああぁぁあッ!?」
その痛みにベルベットは絶叫を上げる。
「うるさい、黙れ」
潰す
潰す
潰す
手を、足を、腹を、
そこに同情の余地はなく、
己が気に入らないから踏み潰す。
「
目の前の何かから
「煩わしい。誰の許可を得て音を鳴らしている」
だが、勢いが強すぎたのか、腕がちぎれて吹き飛んでしまった。
宙を
「
しかし、
イライラしてくる。
気に入らない。
静かになれよ。
次は、長刀を目の前の
期待はしてない。
少しでも
「
案の定、
この光景を見ていたルクスやリーシャ、『
遠くから見ていた『
──無理もない。彼女らは
それも、こんな虐殺じみたことなどめったに起こるものでもないのだから、
離れた場所で見ていたアイリは必死に吐き気を堪え、ノクトはアイリの視界を覆うように壁となっていた。
だが、その顔に浮かぶ嫌悪感は隠しきれていなかった。
近くで見ていたリーシャですら顔を逸らし、ただ一人、ルクスだけが『銀の厄災』をしっかり捉えている。
刺しては抜き、
刺しては抜き、
踏み潰し、
踏み潰す。
これを何度も繰り返す。
「
耳に響く
これには喜びを隠しきれず、声を上げた。
「ああ、いいぞ。静かになってきたな」
「
目の前の
何やら煩わしかったので、
そして、長刀の鍔が左右に展開し、刀身からエネルギーの奔流が迸る。
そこから放たれる一撃は、五年前に帝国の
ベルベットは肉塊どころか肉片ひとつ残さず、蒸発した。
「なッ!?貴方はなんてことを!」
「ああ、なんて清々しい気分なんだ。なのに脚に糞が付いちまった。穢らわしい。だが、取るのも面倒だ。糞になど触れたくない。残りの
ルクスの声が聞こえていないのか、独り言のように呟き続ける『銀の厄災』。それはまさしく狂気。誰よりも己を重んじる最凶の“自己愛”。
誰か、誰か彼を止めてくれ。彼は絶望してしまっただけなのだから。目的が分からず、迷子になってしまっているだけなのだから。
いつか必ず、彼に正面から向き合い、愛してくれる人が現れることを・・・・・全てが手遅れになる前に──。
そして、『銀の厄災』が反乱軍を切り捨てようとした瞬間、
「神の名のもとに平伏せ《
いつの間にか
その重圧は普段となんら遜色がないほどであったが、『銀の厄災』は重力がかかっていることに今気づいたとでも言うように
「馬鹿なッ!?《
「アホか貴様ら。俺の神装機竜は他の
無論そんな特殊武装など持っていない。
己がしたことなど《
手の内を明かす必要も無いだろう。
気を取り直したジークは、反乱軍に牙を剥く。
逃げようとする者を、残っていた
その左手を反乱軍に向け、本来の特殊武装を使用する。
「アクセス――我が
すると装甲の隙間から紫の粒子が吹き荒れる。
「イザヘル・アヴォン・アヴォタヴ・エル・アドナイ・ヴェハタット・イモー・アルティマフ
イフユー・ネゲッド・アドナイ・タミード・ヴェヤフレット・メエレツ・ズィフラム 」
どこの言語か分からない言葉を紡ぐ『銀の厄災』。
だが、これから放たれるモノはまともじゃないことは、反乱軍にも容易に想像できた。
「おお、グロオリア。我らいざ征き征きて王冠の座へ駆け上がり、愚昧な神を引きずり下ろさん。
墜ちろ 墜ちろ 墜ちろ 墜ちろ
Fuck off foolish God!!」
吹き荒れた粒子は『銀の厄災』の周りを漂い、やがて左手に集中していく。
それを阻止しようとする反乱軍だが、粒子に阻まれて攻撃が届くことはなかった。
「主が彼の父祖の悪をお忘れにならぬように、
母の罪も消されることのないように
その悪と罪は常に主の御前に留められ、
その名は地上から断たれるように」
そこに善性はなく、あるのは圧倒的な破壊の権化。
その禍々しさに
「彼は慈しみの
この男に慈しみなどくだらない
「彼は呪うことを好んだのだから、
呪いは彼自身に返るように
祝福することを望まなかったのだから、
祝福は彼を遠ざかるように
呪いを衣として身に纏え。
呪いが水のように腑へ、油のように骨髄へ、
纏いし呪いは、汝を
彼は今まで世界を呪ってきたし、世界に呪われていた。だから誰かを祝福するなんて
左手の粒子の充填は完了した。不気味に光るそれは全てを染め上げてしまいそうな程、深い闇の色をしていた。
最早、反乱軍は逃げることしかできず、それでも逃げないのは意地か、それともただの阿呆か。
「ゾット・ペウラット・ソテナイ・メエット・アドナイ・ヴェハドヴェリーム・ラア・アル・ナフシー ──『滅尽滅相』!」
左手に集中した粒子はその手を離れ、反乱軍の中心へ──。
そしてそこで破裂した。高熱と光を放ち、全てが塵も残さず消し飛んでいく。
何も難しいことはない。現代における核爆弾。それを小規模ながら人為的に引き起こしただけだ。ウランとは別の原理による為、放射能汚染が起こることはありえない、地球に優しい核爆発。
それを喰らった反乱軍と
「これで俺の仕事は終わりか。」
そう言って帰ろうとするが、それが許されるはずもなかった。
「待ってください」
「あ?まだいたのかてめぇ」
「・・・・・貴方を捕縛します」
「はっ!やってろみろや」
その言葉を皮切りに、上昇し切り掛るルクス。
即撃は使えない。無造作に振るわれた攻撃しかしなかったため、動きを読めるほどの情報がないからだ。
鍔迫り合いで拮抗する二人。
そんな中、ルクスは『銀の厄災』へ叫んだ。
「何故、ベルベットを殺した!確かに彼は犯罪者だ。けど、なにも殺すことなかったはずだ!」
「『何故』だと?そんなもの──
長刀を切り上げ、間合いを開ける『銀の厄災』。そのまま『銀の厄災』は長刀を上段から振り下ろした。
その動きに、ルクスは違和感を感じていた。
それは動きに統一性がなかったことだ。まるでいくつもの流派を持ってるかの如く、構えや太刀筋が変化し、先が読めなかった。
だが、これがこの男の戦い方。
相手に合わせ動きを変えることで、自らを有利に運ぶ。
本来の型は持ち合わせていてもあまり使うことはなく、その刃に必勝に掛ける思いもない。故に、ある男はこの剣術をこう名付けた──『無想剣』と。
「どうした雑用王子!その程度か!」
「くっ・・・・・・・!」
十全の戦法が取れないルクスは決め手に欠け、遊ばれるように攻撃をいなされていた。
《
だが、『銀の厄災』は特殊武装も神装も使う素振りを見せることなく、流れるような連続攻撃をしてくる。
しかし──、
(この動きは、さっきの動きと同じ。なら、ここで・・・・!)
「はァッ!」
連続攻撃の終着点、切り上げに合わせるように
《
すると、ぴったりと装甲腕を切り裂き、長刀を弾く。
ルクスはその最大のチャンスに、今できる最大の技を放つ。
「『
「『絶牙』」
ガキンッ!
だが、ルクスの
「弱い、弱いぞ『黒き英雄』よ。五年前から何も変わっていないな。人の上に立つことを恐れ、コソコソと隠れ回って生き恥を晒す。そのくせ、立派な夢物語の理想を掲げては、やれ使命だ、やれ背負った業などと、嘆かわしい。だからお前は・・・・・・、嫌いなのだよ」
興味を失った瞳で、ルクスの理想をくだらんと唾棄した。
そのまま立ち去る『銀の厄災』をルクスは見つめることしかできなかった。
●〇●〇●〇●〇●〇
数日後───
あの後、気絶してしまったルクスはようやく目が覚め、学園長室に向かう途中で、クルルシファーと話していた。
「『黒き英雄』と『銀の厄災』が仲間ではなかったとは思わなかったわ」
「あの人はクーデターの最後の日だけ現れたんです」
結局、反乱軍は一人残らず、跡形もなく消し飛ばされたため、一体どうやって角笛を手に入れたのか、機竜はどこから手に入れたのか、何も分かっていないそうだ。
今、クルルシファーには契約通りに『銀の厄災』について、知っていることを話していた。
「僕も彼について話せることはあまり多くないですけど、神装を使ったところを見てないんです」
「あの神装機竜は名前も特殊武装も、神装すら分からないなんてね。まだ何かを隠していると考えるのが妥当かしら」
その後も、いくらか情報交換をして別れた。
学園長室でレリィに工房に行けと言われたので、訪れるルクス。
恐らくは、リーシャにお別れの挨拶をしろということだろうと考えたルクスは、少し寂しげな表情で工房に入っていった。
「あ、これ、僕の《ワイバーン》」
「おっ、来たなルクス。見てもらいたいものがあるんだ、こっちに来てくれ」
修理された《ワイバーン》を見ていると、リーシャから声が掛かる。
促されるまま奥に進むとそこには『黒き英雄』の象徴、《バハムート》が鎮座していた。
「《
「でも、僕は──」
「へえ、これが『黒き英雄』の神装機竜か。なかなか立派なもんじゃねぇか」
「「ッ!?」」
突如、免れざる声が聞こえ、驚く二人。
そこには珍しく楽しそうな目をしたジークが立っていた。
「・・・・・・やっぱり、僕が『黒き英雄』だって、分かってました?」
「分かっていたと言えば嘘になる。だが、お前が『黒き英雄』だと推測できるだけの材料はあったさ」
自嘲気味の笑みを浮かべるルクスに、ジークは微笑を浮かべ、こう告げた。
「まあ、何はともあれ。
「え?えぇえぇぇえええぇッ!?」
てっきり別れるものだと思っていたルクスは、嬉しさと驚きが混じった複雑な声を上げた。
彼の苦難はこれから待ち受けている。
●〇●〇●〇●〇
時は少し遡り、『銀の厄災』が去った後。
ある場所にいる依頼人と連絡を取っていた。
【ああ、アイツの情報通り動きがあったぜ。きな臭いのはヘイブルグだろう。ところで、角笛は新王国側に渡したが問題ないだろう?】
【構わん。あんなモノ、何の役にも立たんからな。しかし、やはりヘイブルグか。──だが何が目的だ?いきなり攻めたところで何になると?】
この二人の声は静かだが、聞くものを震え上がらせるような威圧感と、底知れぬ恐怖を感じる。
【今考えても詮ないことだ。いずれ分かる。いやしかし、『龍匪賊』のドラ──なんちゃらの《アスプ》には出くわしといてよかったな。こんな長距離会話ができるとはな】
【・・・・・・・引き続き内部で探れ。必要であらば干渉しても構わん】
【了解だ】
依頼続行の命を受け、了承するジークは通信を切った。
機竜を解除すると、出せる全力を以て学園へと移動を始める。
それはさながら小さな台風。
過ぎ去った場所は、大地が陥没し、木はなぎ倒されていて、後日噂になって、ジークが冷や汗をかいたのは完全な余談である。
あれぇ〜おっかしいぞ?どうしてこうなったんだ。
キャラ設定通りに作った筈なのに、いつの間にかこんなことになってしまった。
ベルベットさんは犠牲になったのだ。(何のだよ)
もしかしなくても、《創造主》の方々の人生HARDモード?逃げて!超逃げて!
・・・・・・・すいません、めちゃくちゃ遅れた挙句後書きでもふざけてしまって。
如何でしたか?どうか見捨てないで生暖かく見守ってください。
活動報告にてアンケートを実施しているので、寄ってみてください。
では、次幕の
↑これ恒例挨拶にします