最近寒くなって来ましたね…
その夜
神奈川県横須賀市沖 人工島ハシラジマ
襲撃があった日の夜、エーレンはギュエール共にハシラジマに急行、襲撃犯の分析を行っていた。
ハンス「襲撃に使用された機体は以前篠ノ之研究員のラボから持ち出されたものだった。
命令系統を調べたが、この研究所を襲撃すること以外は特に命令されていなかった、少佐、そちらは? 」
ハンスは機体の分析結果の書類を見ながらそう言う。
現在、ハシラジマの会議室に、エーレン、ハンス、ギュエール、束、クロエの計5人が円状に集合し、それぞれの分析結果を聞いていた。
エーレン「はい、あの機体は滞空時間があまりないので、どこから離陸したのか、またどこに着陸したのかを予想したのですが…」
エーレンはワイヤレスキーボードを操作し、会議室のモニターに画像を映し出す。
エーレン「ハシラジマから南南東に位置する海上でした、衛星写真から、潜水艦で回収したものと思われます」
クロエ「敵は潜水艦も保有しているのですか…」
束「ISを運用する潜水空母か〜、大変なことになったね」
ギュエール「厄介ですね、艦長、どうしますか? 」
エーレン「そうですね… 敵の目的が分からない以上、再侵攻も考えられます、よって、偵察機及び対潜ヘリで哨戒網を構築、加えて航空隊のオーディーンM一個大隊を緊急発進出来るようにして置いてください」
明確な攻撃を受けたが、敵の位置が分からない以上先制攻撃出来ないので、防御を固めるしか無かった。
ハンス「分かった、航空隊に通達しておこう。
……もうこんな時間か、少佐、ギュエール君、そろそろ帰った方が良いのではないのかね? 」
ハンスは会議室の壁掛け時計を見ながらそう言う。
エーレン「そうですね、明日は学園祭ですし。
ギュエールさん、帰りましょうか」
ギュエール「分かりました」
エーレンはハンス達研究所組に一言言ってから、会議室をあとにする。
エーレンの部屋
エーレン「ただいま〜」
エーレンはギュエールと共に車で学園に戻ってきたエーレンはギュエールを見送った後、自室に帰った。
かなり遅い時間だったので、エーレンは小声で部屋に入る。
エーレン「エミリア? 」
エミリア「すう… すう…」
エーレンが自分のベッドを見ると、既に寝ているエミリアの姿があった。
エーレン「さすがに寝ちゃってるか… 僕も夕食食べてから寝よう…
確かカップ麺のストックが… ん? 」
エーレンはカップ麺を取り出そうと棚へ向かうが、その途中で机の上に置かれているお盆が目に止まった。
エーレン「これは…」
エーレンはそのお盆のすぐ側に置かれているメモを見る。
『お兄ちゃんおかえりなさい!
帰りが遅くなるって言ってたから晩御飯作っておいたよ、温めて食べてね!』
もしかしなくてもエミリアからのものだった。
エーレン「ふっ… ほんと、僕には勿体無い妹だよ」
エーレンは寝ているエミリアの頭を撫でたあと、今日の夕食、ビーフシチューとサラダ、そしてパンをシチューを温めて食べた。
そして入浴後、ベッドに入り、寝ようとするが…
エーレン「(寝れない… なんだろう、何が引っかかっているんだ…)」
エーレンは言い知れぬ不安のせいで眠れずにいた。
エーレン「(まさか…)」
エーレンはベッドサイドのテーブルに置いてあったタブレットを操作し、先程の衛星写真を表示させる。
それと同時にベッドから出て椅子に座り、パソコンを起動する。
雪奈「眠れないの? 」
パソコンの起動を待っていると、ポケットの懐中時計から雪奈が現れ、エーレンの隣に座る。
エーレン「うん、ちょっとね…」
雪奈「ふーん、もしかしてエミリアちゃんのメイド服姿が楽しみすぎて眠れないとか? 」
雪奈は茶化すようにそう言い、エーレンの頬をつつく。
エーレン「だったら良かったんだけどね」
雪奈「何か不味いことでもあった? 」
エーレン「うん、ちょっとこれ見て」
エーレンはパソコンに映し出した1枚の写真を雪奈に見せる。
それはエーレンが気になっている例の衛星写真だった。
雪奈「これは… 例の無人機? 」
エーレン「見てほしいのはそこじゃない、この潜水艦のほう」
雪奈「潜水艦? 見たところ双胴艦みたいだけど…
これがどうしたの? 」
雪奈はいまいちピンと来ないようで首を傾げる。
エーレン「似てない? ハワイ攻防戦でハワイ諸島を占領された米軍が奪還のために投入した…」
雪奈「ッ! 言われてみれば確かに…
でもエーレン、あれは潜航は出来ないはずじゃ…」
エーレン「うん、でも仮にISのシールド機能とかを使って潜れるように改造されたものだとしたら…? 」
雪奈「ありえない話じゃ無いけど…」
エーレン「でしょ? だからもう少し調べてみるよ、雪奈は先に寝ていて」
エーレンはそう言いながらパソコンに向き直す、脇にカフェオレを置いているあたり、今日は徹夜する予定のようだ。
だが…
雪奈「だ〜めっ! エーレンは頑張りすぎだよ、寝れる時は早く寝るの」
雪奈はエーレンのパソコンを取り上げて素早くシャットダウンする。
エーレン「いや、でも…」
雪奈「憶測で体力消費してどうするの? 仮に正体が分かったとしても、いざと言う時にエーレンが動けなきゃ元も子もないよ? 」
エーレン「う… いやでも寝れる気しないしなぁ…」
雪奈「そう言うと思った」
雪奈はパソコンを机におき、ほとんど使われていないエミリア用のベッドの上に正座する。
雪奈「ほら、おいで〜」
エーレン「え? 」
エーレンは一瞬戸惑うが、とりあえず雪奈の隣に座る。
すると…
雪奈「えい!」
雪奈はエーレンを寝かせて、頭を自分の膝の上にのせる。
もしかしなくても膝枕である。
雪奈「これで寝れるでしょ? 」
そう言いながら雪奈はエーレンの頭を撫でる。
エーレン「うん、多分ね…」
それ以降何も喋らなくなるエーレン。
寝れる気しないのでは無かったのか…?
翌日
IS学園 1年1組教室
学園祭が始まり、一般の人々も入場してくるこの時間。
エーレンは例の服に着替え、接客を行っていた。
無論一夏と共に、来店してくる他クラスの女生徒から大人気である。
なお、クラスメイトから写真撮影に協力するようにとのお達しがあるため、エーレンは頼まれれば断らずに写真に写っていた。
しかしエーレン達以上に人気なのが…
「エミリアちゃん! こっちもお願い!」
エミリア「はーい!」
エミリアである。
この前のネコミミは外さずに接客にあたっているため、男女両方から絶大な人気があった。
加えてエミリアがノリノリである、写真に映る時は何かしらのポーズをとっていた。
ギュエール「エミリアさん、人気ですね」
エミリアが来ているようなミニスカでは無く、ロングスカートのクラシカルなメイド服姿のギュエールがエーレンのそばにやってくる。
エーレン「ええ、兄としては少々複雑ではありますが…
あはは…」
エミリア本人が楽しそうなので、止めようにも止められないエーレンであった。
そんな話をしていると…
「エーレン君! これをあのテーブルまでお願い」
エーレン「分かりました」
その後、次から次へと仕事が入ってきたが、エーレンは黙々と与えられた仕事をこなしていった。
数時間後…
エーレン達の担当時間が終わり、ちょうどお昼も近かったので、エミリア、ギュエール、さらに一般来場者を装った雪奈と共に、せっかくだから食堂以外で食べようというエミリアの案を採用し、昼食を食べるところを探しながら、他クラスの出し物を見て回っていた。
エーレン「さて… 何食べようか? 」
エーレンが周りを見渡していると…
???「あ! エーレン!」
エーレン「おや、簪ちゃん、そういえばこの辺りは4組が出し物をしていましたね」
よく見ると簪は呼び込み役らしく、隣には看板が立てかけられていた。
簪「うん、エーレンこそ何してたの? 」
エーレン「昼食をどこかの出し物で食べようと思って歩き回っているところです」
簪「そうなんだ、じゃあエーレン、こっち来て!」
1時間後…
エーレン「ごちそうさまでした」
エーレンはそう言いながら、ゴミを袋にまとめて行く。
エミリア「美味しかったね」
ギュエール「ええ、4組の出し物が屋台で助かりましたよ」
そう、あの後簪に連れられ、4組の出し物である屋台群まで案内された。
祭を元にしたらしく、食べ物で言えば焼きそばやフランクフルトなど様々な種類のものがあった。
ちょうど良かったので、エーレン達はそこで昼食を食べることにした。
雪奈「エーレンあんまりたべないんだね、どうしたの? 」
エーレン「ちょっとこの後予定がありまして」
エミリア「予定? 」
エーレン「うん、えーとどこにしまったかな…
ああ、あったあった、これの事だよ」
エーレンはポケットから出した1枚のチラシを見せる。
それはこの後予定している、生徒限定の催しだった。
ギュエール「なんですかこれ? 」
エーレン「生徒会発案のイベントです、僕と一夏君が王様のコスプレをして逃げます。
それをお姫様のコスプレをした参加者が捕まえ、王様の王冠を奪えば勝ち、という企画です。
僕はその逃げ役です」
エーレンは一通り話したあと、時間を確認する。
もう少ししたらイベントのために会場に行かなくてはいけない時間だった。
雪奈「……ねえエーレン、ちょっといい? 」
エーレン「ん? なに? 」
雪奈「この『勝者には王様からスペシャルなプレゼントがいただけます! 』って書いてあるけど… なにあげるの? 」
エーレン「ああそれか… 確かお姫様抱っこだったかな?
需要あるのか分かんないけど…」
グシャ…
エーレン「え…? 」
エーレンは慌ててチラシを持っていたエミリアの方を見る。
すると…
エミリア「そうなんだぁ… お姫様抱っこかぁ… じゃあ私が勝たないと… (ハイライトオフ)」
見事病んだエミリアがいた。
エーレン「(どうしよう…? )」
その後、エーレンはエミリアを宥めてから悩みながら会場に向かった。
数十分後…
IS学園 多目的ホール
集会などで使用される多目的ホール、その舞台の上には、王冠を頭にのせ、いかにも王様、といった服をきたエーレンと一夏がいた。
一夏「今日はコスプレづくしだな…」
エーレン「もう一生分した気がします…」
エーレンと一夏がお互いに疲れ気味になっていると…
楯無「さて皆さん、いよいよスタートです!
イベント名は『シンデレラ』!
今、舞台の上にいる2人の王様の王冠を奪ったお二人が優勝です!
ちなみにこの王様は学園中を逃げます、頑張って捕まえてください!
そして、優勝したお二人には、それぞれの王様からお姫様抱っこのプレゼントをして貰えます!」
「「「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
楯無が放送でスペシャルプレゼントの中身を発表すると、会場は大いに沸き立った。
エーレンもあまり乗り気では無いものの、自分が携わったイベントが盛り上がるのは嬉しいようだった。
次の放送を聞くまでは…
楯無「そして優勝者にはもうひとつのプレゼントがあります!
なんと! 優勝した方には、その王冠をかぶっていた王様と学生寮が同室になります!」
「「「ゑ、ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ!?!?!? 」」」
楯無の放送はあまりにも衝撃的過ぎたため、一瞬の間を置いて驚愕の声が上がる。
エーレン「えー… なにそれ聞いてない…」
エーレンのささやかな抗議をよそに、イベントが始まろうとしていた。
楯無「では、頑張って下さい! スタート!」
楯無から開始の合図がなると、参加者である女生徒が津波のように舞台上に殺到した。
エーレン「お先に失礼します」
エーレンは一夏に付き合う必要もないので、一夏をデコイにして、自分はさっさと逃げ始めた。
十数分後…
IS学園 某所
あの後、上手く追撃を振り切ったエーレンは普段人があまり来ないエリアを歩いていた。
エーレン「部屋替えなんて聞いてませんよ全く…
まあ始まってしまった以上仕方ありません、さっさとこの冠をエミリアに渡してしまいましょう…」
エーレンがそんな事を考えながら移動していると…
???「見つけましたわ!」
エーレン「え!? 」
エーレンが声のする方を見ると、そこにはセシリアがたっていた。
セシリア「さあエーレンさん! その王冠を渡しなさい!」
エーレン「お断りします!」
エーレンはそれだけ言うと走り出した。
当然ながら追いかけるセシリア。
エーレン「走りにくいな…」
エーレンはコスプレのせいで走りにくく、スピードは低下していたが、それはドレスを着たセシリアも同じであったため、エーレンは曲がり角を上手く使い、セシリアを撒いた。
エーレン「はぁ… 疲れるな… これは…」
エーレンはそう言いつつも、エミリアを探すため、行動を続ける。
今回はここまでです。
本作もちょっとずつ終わりが見えてきましたね。
次回 インフィニット・ストラトス 白衣の男と白き戦艦
第24話 タイトル未定
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