ドラゴンクエストLー勇者と魔王ー   作:賀楽多屋

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第一章 目覚めた最後の勇者
プロローグ


 

 

 まだ春になって間もない頃、突然小さな我が家にお城から大層な成りをした兵士が三人も押し寄せた。

 

「代々勇者の血を引き継ぐアルバトロス家のアン殿に陛下から勅命が下りました。三日後に登城せよとのことです」

 

 正に青天の霹靂。確かに我が家は代々勇者の血を受け継いでいるが、その所以に価値があったのも、もう三百年ほど前の話。

 

 日常生活を脅かす魔物が存在しないこの平和な世界で、勇者の血を引くアルバトロス家を有り難がる国や民は最早存在すらしてない。

 

 彼方にあるとおーい過去には勇者だけでなく、建国者でもある御先祖様がいたりもするわけで正に由緒正しき血統である訳だが、何の因果か現在のアルバトロス家の人間はカフェの店員である私しかいない。

 

 ・・・・・本当になんでここまで没落したのかが謎すぎるよ、他のご先祖様。

 

 没落前のアルバトロス家に属する私であれば、たかだか片田舎の国であるアレクサンドラの国王の勅命なんて応える必要もないのだけども、悲しいかな、そのアレクサンドラに庇護されている国民である没落後のアルバトロス家に属する私にとっては有り難く拝命する他ないのであった。

 

 

 

 勇者云々で王様から呼び出されるとか絶対碌なことじゃないと悶々考えた三日後、出荷前の仔牛のような気持ちでアレクサンドラ城の大きな玄関を衛兵に見守られながら潜り、案内兵の後を小心者故にオドオドしながらついていったらあっという間に謁見の間についてしまった。

 

 謁見の間では、数段しかない階(きざはし)の上に堂々と据え置かれた玉座に腰掛けるヒゲモジャのアレクサンドラ国王が私を不思議そうな顔をして見下ろしてくる。

 

「この者が、アン・アルバトロスか?」

 

「はい。この者こそが、アン・アルバトロスで間違いありません」

 

「勇者の血を引き継ぐ者にしては、なんともひんそ・・・ごほん、愛らしい容姿をしておる」

 

 今絶対貧相そうな見た目だって言いかけたよね。

 

 そりゃ、私だって思うもん。アルバトロス家に連なる過去の沢山のご先祖様は勇者で建国者だったり、勇者だけどまだ子供の時分に魔王を倒しちゃったり、そもそも人間じゃなかったりだなんてなんじゃそりゃな高スペックの人達ばっかりの中で、今生き残ってるのがしがないカフェの店員ってあり得ない!って。

 

 

 嗚呼、やっぱりこれ、絶対呼び出された理由は碌でもない奴だ。

 

 

「まあ、良いわ。どの様な成りをしておろうとそなたに勇者の血が流れていることは間違えのない事実である。アン・アルバトロスよ。これはまだ、どの国の国民も知らないが各国の王だけが知っている事柄が一つある。それは、地獄の王エスタークの復活が刻一刻と迫ってきておることだ。勇者の末裔であるそなただけがエスタークの復活を止められる」

 

 物々しい本題に、当人である私はといえば間抜けにも口を開けっぱなしにして王様の勅命とやらを聞いていた。

 

 本当にマジモンの勅命だ。これ、普通なら勇者の末裔なんて紛いもんに下される勅命じゃない。

 

 

 

 

 

 拝啓、沢山いる勇者のご先祖様。

 

 貴方方の手記を愛読書としている未来の平凡な子孫にとうとう貴方方に訪れた試練が立ちはだかってきました。

 

 銅の剣すらまともに振ったことがなく、魔法もホイミとギラしか使えないポンコツ小娘にです。

 

 貴方方の手記に幾度となく登場したエスタークとやらが、また復活の日を迎えようとしているらしく、ご先祖様が最後まで打ち倒すことなく封印してきたせいでとうとうこのポンコツにまでお鉢が回って参りました。

 

 間もなくそちらに向かうことになると思いますが、その時は盛大に私の愚痴を聞いていただきたいものです。

 

 

「頼んだぞ。勇者の血を引きし、アン・アルバトロスよ」

 

 はい、いいえの選択肢すら与えなかったよ、この王様。

 

 







着想は別作品のクロスオーバーとドラゴンクエストヒローズからです。

ドラクエは制作陣も明言していますが、ロトシリーズ(I~III.XI)、天空シリーズ(IV~VI)、アルスくん単発(VII)、竜人族単発(VIII)、天使シリーズ(IX.X)で世界線も時系列もバラバラです。それを無理やり合体させ、ひとつなぎにしてるのでそこが気になる方は此処で引き返しもらったほうが身のためかもしれないです。それが気にならない方はどうぞ楽しんでいってください。



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