爆発オチなんてサイテー
赤ん坊を抱いた少年が涙で頬を濡らしながらもしっかりと前を向いて小さな船を進めている。
後ろの島は大爆発。大きな衝撃で海が揺れては波を作り上げている。
「あぶー」
「ああ、どうしてこうなった」
すべてはあの変態科学者のせいだというのは分かっている。あの馬鹿のせいで俺達はこうなった。生まれてからすぐに逃げることを強いられたのはあの馬鹿のせいだクソが!!
・・・・・・・・・・・・・・
ただの夢かと思った。
気が付いたらどっかのベッドの上で寝転がっている俺を冷めた目で見つめる白衣を着たおっさんがいる光景。
頭の中でいろんな記憶が重なっていく。
俺はただの平凡な人間だったはずだ。事故で亡くなって死んでそれで目が覚めて……。
「ああ、私の実験によって生まれてきてありがとうRC06号よ。だがお前はすぐに死ななければならない。お前はただの証明だよ。私の偉大なる目的の為にね!」
おっさんの後ろにふかふかの布に囲まれたベッドで眠っている何かが見える。眠っている何かの正体は赤ん坊だった。
いやそれ以外もあった。TRPGとかで発狂しそうな化け物がガラスで囲われた中で浮かんでいる光景。化け物が檻の中で閉じ込められているのも見えるし、いろんな資料の紙が散らばっているのも見える。
……つまり、今見えている光景の全てをこいつが作っているということだ。俺や赤ん坊含めて。
その時点でこいつはヤバい奴だと分かった。科学者っぽい格好してるけどこいつマッドサイエンティストだ。
「まあ死ぬとは言ってもお前はある海賊に引き渡すことが決まっているんでな。ああでも五体満足じゃなくてもいいとブファッッ!!!?」
「あ、やべっ」
こいつヤバいおっさんだと気付いて反射的に殴ってしまったのは後の祭り。
いやでもこいつ俺を殺そうとしてたし殴って良いよな?
むしろ殴るのが当然だよな!
というかこいつ弱いな。現時点の情報から考えるに俺はおっさんに作られた生き物なんだろう。科学者ならば暴走されないような制御装置を付けてるとは思えたんだが……まあいいか。俺が安全ならば問題なし。何も問題いらない。
とりあえずここから逃げた方が良いよな。死にたくはないけどこのままこのおっさんの言うようなどっかの海賊に引き渡されるのも嫌だ。海賊ってなんだよとかいう思いもあるけれど、本能っていうのかな……なんか信じられるんだ。それと凄く嫌な予感がするから絶対に行きたくないだけのこと。
ベッドから降りて赤ん坊の元まで向かうがなんか足取りが遅いような気が……。
「……あー」
思わず誰だこの外人!? といいたくなるような薄いガラスに映し出された少年が俺だった。前髪が目にかかるほどふわふわの天然パーマじみた金髪の髪と、柔らかそうな未熟な身体。
不意に何かが頭をよぎって、痛くなる。
どっかで見た記憶がある顔をしているけれど、俺は知らないはずの顔。
頭がふらふらして思わずガラスの台に手を置いた。
ああ、置かなきゃよかった。
ただ壁に寄り掛かろうと思って手を置いた先は何かのスイッチ。
『起爆スイッチが押されました。爆発まであと―――――――』
「どういうことだよコンチクショーが!!!」
いや俺のせいだ。まさしく俺がドジったせいだ!
逃げれば何とかなる。逃げたらいいんだクソッ……!!
「おい起きろ変態科学者! このままだと死ぬ――――――っていねえ!?」
あいついつのまに逃げたんだ!? いやでも赤ん坊はそのままだぞ!
きゃっきゃ笑ってるけどいい気なもんだなこの野郎……なんか見たことある顔してるけどさ!
「逃げよう。そうじゃないとヤバい」
生まれ変わって数分の出来事だけど、俺は前世で何か悪いことしましたかーーーー!!?