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テーマ『ロナン達によるいつもの日常。深夜での出来事』
雑用だから普通ならば海軍宿舎で一人部屋なんてもらえるわけはない。
ただロナンが少年ということ、そして赤ん坊の腹が減ったという夜泣きが酷くて寝られない海兵たちの言葉を聞いて特別に用意した場所だ。
メッセンジャーたるロナンの使い勝手が使えない人材ならばやることはなかっただろう待遇。司令官はそれに関しては興味なしだったが、宿舎部屋は多くあるため特に変な対応をせず認められたともいえる。
だが宿舎には部屋ごとにキッチンは存在しない。
宿舎の一階。その食堂は誰もが使っていいように出来ているが、その食材は自らが持ち込んで来なければならないという暗黙の掟が存在する。
食い物の恨みは恐るべし。
それは海兵も雑用も皆同じであった。
だが、誰もが使う水に関してはその限りではない。
「あぶぶぶぶぅーーーー!!!」
「ふわっ……分かった。分かったから待ってろって……」
深夜一時過ぎた頃だろうか。
眠たげな目で欠伸をしながらも、泣き喚く赤ん坊のリードを抱きかかえたロナンが食堂の中へと入り込んだ。
ミルクを用意するために水を出して鍋に入れ、火をつけて沸騰させるまで待つ。
その間もリードは『腹減ったぁぁ!!』と叫ぶように泣き喚くのでロナンがゆさゆさと身体を揺らして落ち着かせようと必死だ。
「あうぅー!!!」
「どわっっ!!!?」
リードの思いっきり振り上げた手がロナンの顔面にぶつかり、その反動でスプーンですくい上げていたミルク粉が吹っ飛び床にぶちまけてそのまますっ転んだ。
その姿はまさしく漫才のようだったが、リードは笑うどころかミルクの匂いに余計腹を空かせて泣き喚くのみ。
「みゃーっっ!!!!」
「お前はネコか!? おら、食い意地貼ってないで落ち着け! 俺のドジっぷりが発揮される前にミルクぐらいゆっくり作らせろ!!」
「あぶぅー!!!」
ロナンが抱っこしているままでは危ないと考え、リードを食堂の椅子の上に座らせて抱っこひもで腹の位置を固定する。暴れても落ちないようにして、でも身体に跡が付かないよう優しくシートベルトの要領でしっかりと座らせ、キッチンの方へと歩いた。
お湯はもう沸き始めている。ひと肌の温度にするため、しばらく冷やさなければならないが……。
「ふぉっ!? どぁぁっっ!!!??」
「あっぶぅーーーーー!!!!」
いつものように転がったロナンが、哺乳瓶の中身をぶちまけそうになる。
それに悲鳴を上げたリードの為にと、顔面で床と接触してもなおその手を離さずにいる。
その所業はもはや、子を思う親であった。
――――――といっても、それはロナンが毎回ドジっては行われる光景だったので感動も何もないのだが。
「よし……よし……!」
「あうー!」
ミルクを早く飲ませろとリードが手を伸ばすが、ひと肌になるまでロナンが離れた位置で待つ。
ようやく出来上がった頃には、ロナンはもう眠気なんて吹っ飛んでしまっていた。
「ほら、たくさん飲んでたくさん寝て……それでいっぱい大きくなれよ」
「あぶぅ!」
これは深夜、夜泣きを行うリードの世話をするロナンにとっての、いつもの出来事であった。