フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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子連れ少年の噂

 

 

 

「赤ん坊を連れたメッセンジャー?」

 

 

「ええ、このアルメリア諸島の基地を全て行動することが可能の人物なんですよ」

 

 

「そうか」

 

 

「……あの?」

 

 

「いや気にするな。補給ご苦労」

 

 

「あっ、はい!」

 

 

 

 軍艦からやって来た海兵の一人が興味を抱いたのは最近噂になっているメッセンジャーの一人。

 雑用任務においてメッセンジャーなどの役割を持つ者は、海兵においてあまり重要視されておらず、他の基地によっては書類の紛失等などを気にしてそれらを撤廃している個所もある。

 

 だがこのアルメリア国家においては特別だった。

 

 

 

「中立国家であるアルメリア国家。通常の海賊も海兵も……戦わなければ歓迎される国」

 

 

 それ故に、最初の海軍の印象が悪いこのアルメリア国家では海兵の人気は格段に下であった。もちろん海賊に関しても下に位置するのだが……。

 海賊を見つけたという理由で捕獲を考える。この中立国家に基地を建設し、堂々と居座っていること。

 

 

 

「己の正義は、人とは違うか……」

 

 

 

 メッセンジャーの役割はこの大きなアルメリア国家の各基地に赴いて書類を渡す役目を持つ。

 基地の中だけではなく、すべての基地に行かなければならないメッセンジャーというのはここでは必要な役割となっていよう。

 居心地が悪い国家の中を堂々と闊歩し、メッセンジャーとしての役割を果たす。それは通常の海兵には重い任務かもしれない。

 

 まあ赤ん坊を連れた少年がメッセンジャーというのも、噂が立つ理由かもしれないが。

 

 

 

 

「そのメッセンジャーの子供の特徴について聞きたい」

 

 

「ああはい。えっと……確かバンダナと帽子を付けたちょっとドジな子供ですね。よくすっ転んでは赤ん坊の笑い声が聞こえてきて―――――」

 

 

「いやそうじゃねえ。見た目の特徴についてだ。こいつと似ているか?」

 

 

「この写真の子ですか?……うーん、遠くからの写真なのでちょっと見えにくいですが……赤ん坊のリード君は黒髪で……似てるかなぁ?」

 

 

 

 

 なんとも曖昧な表現の仕方だ。

 思わず舌打ちをしたくなるが、海兵の手前であるためその衝動を押しとどめる。

 

 だが、研究所およびエンジュ島には例のクローン体がいなかったのは確実だ。

 七武海を目撃したという情報も得ているので、何かあったのは間違いないだろうが……。

 

 

 

「……会ってみるか」

 

 

 

 このまま補給を待っていても仕方がない。

 まずはこのロナンという少年を探して、様子を窺うか……。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「手紙は確かに受け取りましたー! ありがとうねロナンくん!」

 

 

「あー……ハイ。こちらこそ」

 

 

「またよろしくねー!」

 

 

 

 

 笑顔の海兵さんに見送られながらも引き攣った笑みを隠すかのように早足で歩き出す。まさか軍艦補給部隊の人に手紙を渡す羽目になるとは思わなかった。

 でかい船を間近で見られたのは興奮したけど、それ以上に見つかるんじゃないかとちょっと心臓がバクバクいってるから早く帰りたい。

 

 マジで嫌な予感がしてたんだけど、これだったのかな……。

 

 

 

「あー……見つかったらどうしよう」

 

 

「あっぶー!」

 

 

「もし見つかったら……よし、隠れればいいか。逃げて隠れてどっかの船に乗り込もうそうしよう」

 

 

「……あぶ」

 

 

「なんだよリード。お前不満そうだな? 逃げるのは嫌だって?」

 

 

「あぶぶぶぶっ!」

 

 

「……いや、オムツか」

 

 

 

 新しいオムツとかはリュックの中に入れてあるから大丈夫っと……隅っこに行って、オムツを変えて綺麗にして……。

 

 

 

「おいガキ。お前がメッセンジャーのロナンか?」

 

 

「はい?」

 

 

「きゃーう!」

 

 

 

 オムツを変えている最中に真上から聞こえてきた声。俺を見降ろしているのだろう。

 小さく上を見上げて―――――――すぐに顔を下げた。

 

 帽子を目深にかぶって、動揺しないようにオムツだけを整える。

 

 

 

 

「確かに俺がロナンですが……ああ少し待ってください。オムツ変えてる最中ですので」

 

 

「そうかよガキ。なら終わったらちょっと用があるから来い」

 

 

「……ウィッス」

 

 

 

 

 すっごく偉そうな人だ。

 知らない人だけど、とても強そうでいかつい顔をしている。正義の文字があるコートを羽織って、こちらを見下ろしている。

 それにリードは何故か泣くことなく笑っていた。お前は怖いもの知らずか!

 

 ……ゆっくりオムツ変えても仕方ないよなぁ。

 リードも風邪ひくかもだし、覚悟を決めるか。

 

 

 

「終わりました。それで、ただの雑用の俺に何の用です?」

 

 

「話なら奥でやる。ついて来い」

 

 

「……はい」

 

 

 

 あー……すっごく嫌な予感がするぅ……。

 

 

 

 

 

 

 

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