フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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ドジったが、管理を怠ったお前らが悪い。

 

 

 

 必要以上の馴れ合いをするつもりはない。

 それはあっちも同じなんだろう。

 

 名前を聞くつもりはない。

 当然彼らがどこへ行こうとしているのかも聞くつもりはない。その方が良いと思う。

 

 ただ、利益が一致しただけだから一緒にいる……んだよな?

 

 

 

「あー……つまり?」

 

 

「お前を餌に釣るってことだすやん! そうすりゃあのこのこやって来た馬鹿ども相手に楽に強奪できんだ!」

 

 

「次の島までの駄賃よ。休憩も含めてのね」

 

 

「飛ぶのも疲れるんでなー」

 

 

「そうか……」

 

 

 

 やっぱり安全な道ってないのかな。

 いや、ないよなぁ。世の中は甘くないしなぁ。

 

 彼らが求めているのは金と財宝だ。

 手配書に俺が載ってるのはまだ知らないみたいだし、彼らも同じ海賊ならば賞金首を狙っての犯行とかはないと思う。思いたい。

 男の前歯に海賊マークみたいなのがあるし、たぶん大丈夫。

 

 でも海軍に追われるのはこれで確実になったんだから、いろいろと生き方を考えないといけないんだよな。

 もうドジらないように気を付けないと……無理か……。

 

 

 

「あぶー」

 

 

「……言っとくけど、俺達を餌に海賊を釣るのは構わない。宝もいらない。無事に次の島まで送ってくれたらそれでいいんだ。ただ言っとくけど、俺とリードの命の保障だけはしろよ? いやマジでしてくれよ頼むから!」

 

 

「ええそうね!―――――あなた、私を必要としているものね! ええ、任せて!」

 

 

 

 目をキラキラしている女に曖昧に頷いておく。

 男は微妙だが、この女だけは何とか信じられそうな気がする。

 

 いやでも男が女に向かって頼み込んで俺を放置しろとか言ったら終わりか?

 うーん、やっぱり微妙に止めておくか……。

 

 

 

「とにかく、俺がやるべきことはする。だから頼んだぞ」

 

 

「あぶぶー!」

 

 

 

 彼らに向かって何でもやると言った。

 俺たちを次の島まで送る条件として取引した結果だ。

 

 彼らが海賊であるのならば、その約束はなかったことになるかもしれない。

 不利になったら俺を囮にするだろう。それだけは、避けねえと……。

 

 

「簡易的なボートは用意してあるわ。その上で海賊たちに近づいて待ってなさい」

 

 

「んー。すぐ死ななきゃいいなー!」

 

 

「怖いこと言わないでくれ!」

 

 

「うみゃー!」

 

 

 俺達をミホークの船よりもすごく小さなボートに乗せて、空へと飛び上がる。

 このままどっかへ行かないでほしいと祈り、遠くの方で見えている海賊が気づくのを待つ。

 

 漂流者だと気付いて無視をするか、それとも俺達を攫おうとするか。

 死なないように頑張ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「って思ってた時期が俺にもあった……」

 

 

 

「だぶー」

 

 

 

 大きな船の人間は全滅。

 死んでねえと思うが、彼らが一撃を与えた時点で船から海へ落下していった。

 剣を振り下ろそうとしてきた敵の海賊に向けて、女の腕が急に拳銃みたいになって攻撃して船へと落とす。

 男が攻撃して、高笑いしながら船へと海賊たちを落とす。

 

 俺を人質にしようとした奴らもいたが、女がそいつらを撃って撃って撃ちまくって……気が付けば全てが終わってた。

 

 

 ――――――ああくそ、こいつら強いな!?

 いや、悪魔の実の能力者の時点で強いのは当然だったのか!?

 

 ってかぶっちゃけ餌としての俺っていらなくね?

 

 

 

「んーこいつらしけてんなー! 100万ベリーしかもってないだすやん!」

 

 

「ええそうね! これじゃあ若様の土産にもなりはしないわ!」

 

 

 

 若様という言葉が気になるが、聞かない方が良いんだろう。

 何となく、聞いちゃいけないような気もするし。

 

 船の上で海賊船に積んであった肉やら果物やらを食って休憩しながらも文句を言う2人に苦笑しておくだけに留める。

 100万ベリーなんて俺には到底稼げそうにないな。

 

 あっ、そういえば給料もらってねえや……ああ、二週間ただ働きしかしてなかったのか俺……。

 

 

 

「あぶぶぶー!」

 

 

「はいはい、ちょっと待ってろって」

 

 

 

 

 海賊船にあったキッチンで湯を沸かして、ミルクを作っておいたのでそれが冷めるまでの間待つ。

 いやマジでこういう時リュックの中にいろいろと準備しておいてよかったって思う。

 ほとんどが海軍宿舎の中だけど、次の島に着いたらすぐに買っておけば問題はないしな。

 

 あっ、でも金……うぐぐ……。

 

 

 ミルクをリードに飲ませて現実逃避。金欠問題もあるんだった。手配書に俺が載ってるし、どうしようかな。

 このままこいつらについて行って海賊になるのも……いやでも俺らが生き残る確率はゼロに近いか……。

 なんか凄く嫌な予感がするし、止めておこう。

 

 

 

 

「結局はあの国で奪ったもんしかねーなぁ」

 

 

「まあ、あれがあるんなら若様も喜ぶでしょうよ」

 

 

 

「……あの国で奪った?」

 

 

 

 

 もぐもぐと食べながら、首を傾ける。

 あの国で……というのは、アルメリア国家のことだろうか?

 何の話をしているんだろう。いや、聞かない方が良いよな。

 

 

 

「ごめん、なんでもない。俺は聞かないし、興味もない」

 

 

 

「どうだすなぁ。おめーは聞かねえほうが身の為……ああぁ!?」

 

 

「は?」

 

 

「え、どうしたのよ急に………ってちょっと、あなたっ!? その果物から手を離しなさい!!」

 

 

「え?」

 

 

 

 

 何故こちらを見て驚いた顔をしているんだろうか。驚いたというより、焦った顔?

 

 急に凄く静かになったせいで、リードの笑い声しか聞こえねえんだけど。

 えっと、なんかやったか? やらかしたか?

 

 

 ただ食べてるだけ……うん?

 

 

 

 

「おめーそれ食うんじゃねえぞっっ!!!?」

 

 

「それは若様が希望してる悪魔の実!!!!」

 

 

「あぅー!」

 

 

「はいぃ!?」

 

 

 

 悪魔の実ってあれ?

 そういえば手にぐるぐる模様の変な果物持ってる……!!?

 

 あぶねー! 俺はまだ食ってねー!!

 よし、セーフ!!!

 

 

 

「きゃーぅ!!!」

 

 

「ちょっ――――――ぶっっ!!?」

 

 

 

 リードが大きく揺らいだ拍子に、派手にすっ転んで。手の中の果物が転がって。

 その先は、海の中……で……

 

 

 

「ああぁ―――――っっ!!?」

 

「何やってんだおめ―――――!!!!?」

 

 

 

「やっちまったぁぁ―――――っ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

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