フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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囚われ売られ暗躍し

 

 

 ボートを引っ張り上げる形で男が空を飛んで追いかけ、俺が海の中を見てたまに進路を変えて進む。

 海王類が襲いかかってきたら女が応戦し、リードが笑ってはしゃいでいく。

 

 

 それらのあと―――――――追っていくとその先に島があった。

 あのアルメリア国家よりは小さいが、小島というとやっぱり大きい方の島。

 

 そこに俺が見たあの提灯のように輝いていた特徴ある船が浮上しているのが見える。

 つまりこの島に、あの魚人たちが乗り込んでいるということ。

 

 

 

「ニーン……やっぱりここだったか」

 

 

「知ってるのか?」

 

 

「ブラックマーケット……簡単に言えば、闇の市場よ。シャボンディとはまた違って……政府に見せられないものを高値で取引することのできる場所。悪魔の実が売られるのなら、奥の方で取引が行われるはず」

 

 

「若様はここらは興味なしだったからなー。ついでに何かしら貰っとこう」

 

 

「他にもいい土産があれば良いんだけれど……」

 

 

「あぶぶ」

 

 

 

 うん、もう勝つ気満々の言葉だな。

 こいつらなら勝てそうだなっていう妙な自信はあるけれど……それでも不安だ。主に俺達の安全について。

 

 とりあえず奥の大きな建物までやってきたが、このあとはすぐさま暴れるつもりなんだろうか。

 

 

 

「でも厄介なのよね。前半の海に位置する闇市場のくせに戦力は整ってる。確かこの市場って海楼石の壁を一部使用しているのよね? 悪魔の実だけを盗んで脱出しようにも……面倒そうね」

 

 

「ああ、そうだなー」

 

 

「もう面倒だから一気に爆発させて終わらせたいのだけれど、あの悪魔の実が吹き飛ぶことだけは避けないといけない。あれが手に入ったら全て壊してから残った宝を頂くのだけれど……」

 

 

「ニーン……」

 

 

 

 海楼石の壁が使われてるのか。それは駄目だな。

 それに悪魔の実がある意味建物を守る人質……いや、物質として捕まってるようなもんだから、それさえ手に入ればあとは大丈夫ってところか。

 そんなにも、この男女が言う―――――若様が希望する悪魔の実はすごいものなんだろうか。

 

 

 

「ってことで、あとは任せたぞ」

 

 

 

「………………ん?」

 

 

 

 ――――――不意に、男が俺の肩をポンッと叩く。

 それはもうにっこりと笑顔を浮かべて、こちらを見下ろしている。

 

 うわー……なんか素敵な笑顔。

 悪役がやりそうな凶悪な笑みだー。

 

 

 

「だぅー」

 

 

「ほら、赤ん坊は貴方が抱きかかえてなさい。私が抱いて戦っていると傷つけちゃうでしょうから」

 

 

「えっと……」

 

 

「大丈夫よ。反抗しなければなにもされないわ。すべてが終われば私が助けてあげる」

 

 

 

 リードを返され、反射的に抱きしめるが嫌な予感しかない。

 

 

 

「……今ここで助けてほしいって頼んだら?」

 

 

「あらっ―――――」

 

 

 

「止めるだすやん! それにこれはおめーの責任でもあるんだからな! 惑わせてねーで覚悟決めろクソガキ!」

 

 

 

 引き攣った笑みを浮かべ、男女を見上げる。

 だが男の方はもう決定事項とばかりに俺の背を押している。

 

 店の正面入り口の方まで押されてしまい、もう逃げる術もない。

 遠い目をしている俺を見下ろした店の門番が、男を見る。

 

 

 

 

「あ? 何だ貴様らは……」

 

 

「商品を届けに来たんだー。このガキと赤ん坊を商品として売ってくれー」

 

 

「何だと? 大した価値もなさそうなガキと赤ん坊だが」

 

 

 

 訝しげに見つめる門番がハッと我に返って何故か俺と赤ん坊をじっくりと見つめた。

 

 

 

「いや待て。いいだろう。こいつらを商品として扱ってやる」

 

 

「ええ、頼んだわよ。あと私達も店の中に入りたいんだけど……」

 

 

「ああ、こっちだ。お前は……おい!」

 

 

「ヘイ!」

 

 

 

 店の中から現れたのは、傷だらけの顔を隠さないいろいろと強そうな見た目をした男。

 手が異様に長いが……人間か?

 

 

「こいつらを商品待機場へ連れていけ!」

 

 

「わかりやした!」

 

 

 長い手を駆使して、俺達を捕まえてそのまま引っ張って奥まで連れて行かれる。

 抵抗していないからか、そこまで乱暴な手つきじゃない。いや、逃げようとしても逃げることができるはずもないただのガキだから侮っているのだろうか。

 

 

 

「……うわーい」

 

 

「あぶぶー」

 

 

 

 まあ何にしても、マジで早く終わらせて帰りたい。

 帰る家は、ないんだけどな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 連れて来られた部屋はすごく重苦しい雰囲気が漂う牢獄みたいな空間だった。

 俺以外にも人間はいる。奇妙な身体をしている人間もいるし、貴重そうな宝物やら何やらと物も置いてある。

 檻の中から商品たちによって盗まれたり壊されたりするんじゃないかと心配にならないのかと思ったが、それをするような空気はここにはない。

 ああ、当然だろうと思う。

 

 あるのは弱者が弄られるひりついた空気のみ。

 だからこそ、リードが傷つかないように必死にギュッと抱きしめている事しかできない自分に苛ついた。

 

 

 

「お前はここで待て。手錠してあるから逃げられるとでも思うなよ」

 

 

「あぶぶぶぶっ!」

 

 

「うるせえぞクソガキ。静かにしねえと痛い目遭わせるからな!」

 

 

「わ、分かった。赤ん坊は殴らないでくれ……ちゃんと静かにさせるから。俺から離さないでほしい。じゃないと泣き叫んじゃうから」

 

 

「……フン。もとより店長はそれを希望とのことだ。大人しくしとけよ」

 

 

「ああ」

 

 

 

 手錠だけの待遇にほっとした。他の奴等は……うん、首輪をされていたり口枷をされてたりと様々。

 檻の外から中を見張る気配はなし。

 

 ……よし。

 悪魔の実はどこかなっと……。

 

 

 

 

 

 

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