―――――夢を見る。
ただ、助けたいと願った人がいた。
咄嗟だった。ただやらなければと身体が動いた。
それでどんな結果になろうとも後悔はない。
生きろ。ただ悔いのないように、生きてくれ。
そう願って、死んでいった男がいた。
それが誰なのかは、彼は知らない。
海列車のステーションは、前世で見た駅と似たような感じに見える。
ただ違うのは、線路に海水があるということだろうか。
ぼんやりと線路が浮かんでいるのが見えるが……もしかして海底に基盤となる柱で支えて作られてるのか? それとも線路がしっかりと浮かんでる……?
「あうー」
「凄いな。こんなの生まれて初めて見たな」
「なー?」
そういえばリードも最近は言葉を少しだが話せるようになってきた……ような気がする。
まあ、たまに「にゃー」とか猫みたいな声を出すこともあるけど。
「おーい、あまり線路を覗き込むと落っこちてあぶねーぞ」
「うわっ!!?」
「―――――って言ってる傍から落ちてんじゃねー!!!」
うぐぐ……とっさにリードを庇って身体を無理やり横に捻ったから肩が痛い……。
それに海水が身体について……なんか身体が怠い気がする……うぁー……。
「ったく! おら、手だけでも伸ばせ!」
「……はい」
怠い身体を無理やり動かし、手を伸ばしてパウリーに引き上げてもらう。
ホームに上がって、ゆっくりと息を吐く。
「……ごめん、ありがとうパウリーさん」
「いいや気にすんな。むしろ電車が来る直前に落ちてなくて良かったな」
「ゾッとするようなこと言うの止めてくれないか! それフラグって言うの!」
「ああん? 言っただけじゃねえか!」
「言うだけでもやめろ! 俺のドジを舐めるなよ! 下手したら致命傷だからな! ドジって海に落ちる可能性だってあるからな! その時は助けろよお願いします!!」
「上から目線で頼むんじゃねー!」
でも助けてくれそうだから助かりますパウリーさん。本当にマジで頼みますパウリーさん!
ああでも、ホームにいてようやく楽になった気がする。怠さも消えた感じかな。濡れてるのが気になるだけだな。
あーでもあぶねー。マジで能力者に海はヤバいなこれ……。
いや危なかった……。
というか、ホームの端っこが濡れてるのが悪いんだ。まさかずるっと滑るとは思わなかったしな……。
「海は怖いな」
「うみゃー」
「うみゃーじゃなくて、海な」
「うーみゃー!」
「うーみゃーじゃねえよ可愛いこと言うなって」
「親馬鹿かロシー。いや兄馬鹿だな」
「うるせー」
両手を伸ばして笑顔で「うみゃー」とか言ってくるこいつが悪い。
向日葵みたいな笑顔を見てみろ。ずっと一緒にいてこいつの成長を実感してみろ。
マジで親の気持ちになって泣けてくるんだからな。
――――――だから常々思う。
ゆっくり成長して、ちゃんと大きくなるんだぞ。
「……そろそろ来たみたいだな」
「え?」
パウリーが見ている方向へ顔を向けると、確かに線路の彼方から海列車らしきものが見えてくる。
蒸気がもくもくと立ち上り、とても大きな音を鳴らしながらこちらへ向かって走ってくるのが見えた。
「おら、俺の後ろに居ろ。絶対に線路から顔を出そうとするなよ。俺の前に立つのも駄目だ」
「……うぃっす」
「うー」
先程言った言葉がフラグにならないようにしてくれているのだろう。
葉巻の特徴的な匂いがするが、まあ文句はない。
リードも列車の音に興奮して両手を上げて喜んでいるぐらいだ。
「行くぞ、ブルーステーションへ」
「……おう」
次の島はどんなのだろうか。
いろいろとあったせいでパウリーから話は聞いてないから、駅名であるブルーステーション。そしてウォーターセブンという島がどんなものなのか俺は知らない。
ウォーターと聞くと水を連想するが……もしかして水が産地の国なんだろうか?
とりあえず海水とはもうおさらばしたいな。
線路に落ちただけで怠くなったんだ。能力者として落ちないよう気を付けないとな。