フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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突発的な暴風雨に注意

 

 

 

 

「買い出しはっと……えっと、水水肉に、水水野菜……それと雑多なものか。とりあえず近場の……いや、商店街よりちょっと裏の雑貨屋にでもいくかな。おしぼりと割り箸と……まあいろいろと買うものあるし」

 

 

「ニー!」

 

 

 

 買い物リストを眺めてヤーくんに指示を出す。

 俺が歩けばたぶん水路に落ちるから、なるべくヤガラ移動で行ける範囲の店へ。

 水路でも買える店は多いし、そこら辺を重宝するんだが……。

 

 雑貨屋は大きい店だと陸地の方にあるんだよなー。しかも大きい方だと賑やかな商店街より裏の方。人があまり来ない場所にあるから不思議だ。

 それでちゃんと店としてやっていけるのは……たぶん、あそこが一番品ぞろえが良いからだろう。

 

 だから落ちる危険性と荷物が駄目になる可能性を考慮して先に買っておこう。

 

 

 

 着いた先の陸に入ってっと……っ!

 

 

 

 

「ニー」

 

 

「ご、ごめん。ありがとう……」

 

 

「ニィー!」

 

 

 

 またしても水路に落ちそうになった俺を助けるヤーくんに小さくため息をつく。

 

 ……ああまったく、俺のドジは何時になったら治るんだろうか。

 ドジを治す薬とかってあるのかな。そういうのあったら使いたい。

 

 

「……早く終わらせて店に帰ろう」

 

 

 落ちる危険性を避けるためにもそうしよう。

 

 陸地から水路に落ちないよう注意しながらも、ベビーチェアに固定し座っているリードの頭を撫で、ヤーくんの首元を触ってから雑貨屋の方へ行く。

 ヤーくんは頭がいいし、リードは……まあ、やんちゃだけど大丈夫。

 それにただ買って戻るだけだ。数時間もかからないだろう。

 

 

 

 

「……すぐ帰って来るから待っててくれ」

 

 

「ニー!」

 

 

「あうー!」

 

 

 

 元気のいい返事に笑いながらも、店の中へ入った。

 さて、ここで買う物はっと……。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「なんじゃいなんじゃい! あれは儂のせいじゃないじゃろうに!」

 

 

 鼻息荒く陸地を闊歩する正義の文字入りコートを背に羽織る老人がいた。

 彼がやらかしたのは、海軍の軍艦を一部大破させてしまったということ。

 略奪を行う海賊を偶然発見し久々に戦っただけで大破した船に文句を言っているのだ。

 

 それによりいろいろと怒られ説教され、そしてふてくされて散歩をしている真っ最中。

 

 

 

「……うむ?」

 

 

 

 ―――――その散歩の先で見つけたのは、ヤガラの荷台に乗った一人の赤ん坊だった。

 

 あの黒髪。そして何より面影のある顔。

 それが誰なのかを、老人は見ただけで理解した。

 そしてその直感がちゃんと合っているのだと分かっていた。

 

 

 

「ふぇ……」

 

 

 

 見覚えのある赤ん坊が、老人を見た瞬間に瞳を潤ませる。

 

 いや、潤ませるというよりも嫌そうな顔をしていると言った方がいいかもしれない。

 

 

 

 

「ふぇぇぇ!!」

 

 

 

「なんじゃい。儂の顔を見て泣くとは……いや、まさか。覚えておるのか?」

 

 

 

 

 神妙な顔の老人に対して、赤ん坊は泣いている以外の反応を示さない。

 そして不幸にも赤ん坊の泣き声に気づくのは、慌てた様子のヤガラか、近づいてくる老人のみ。

 それ以外は誰もいない。

 

 商店街の裏に位置するこの場所だからこそ、助けとなる者はいなかった。

 

 

 

「やぁぁぁ!!」

 

 

「嫌とはなんじゃい! じいちゃんにその態度はいかんぞ!!」

 

 

「びぁぁぁっ!!」

 

 

 

「ニ、ニーっ!」

 

 

 ベビーチェアから固定されていたベルトを外し、勝手に赤ん坊を抱き上げる老人にヤガラのヤーは慌てる。

 その老人の腕に噛みついて赤ん坊を離せという態度で応戦する。

 

 ――――――だが、そんなヤガラの攻撃を攻撃と感じる老人ではない。

 

 

 

「なにすんじゃい!」

 

 

「ニッッ!!?」

 

 

 

 ヤガラの頭上にげんこつが降り注ぎ、その威力に耐えられるわけもなく気絶してしまった。

 あたりに残るのは異様な空気のみ。

 

 もう赤ん坊の泣き声しか響いていない。

 

 赤ん坊さえ、老人に抱き上げられるのを嫌がるかのように両手両足を伸ばして抵抗している。

 それを老人はあまり気にせず、ただひたすら歩き出した。

 

 

 

「ようやく見つけたんじゃ。海兵としてちゃんと育ててやるから覚悟せい!」

 

 

「うやぁぁ!」

 

 

 

 その老人――――――ガープに連れ去られた赤ん坊の泣き声は遠ざかっていった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 ドサリ、と買ってきていた荷物を思わず落としてしまう。

 

 

 

 

「……えっ?」

 

 

 

 あれ、ちょっと待ってくれ。

 俺がドジったわけじゃないよな?

 

 だっていつも通りだったはずだ。

 

 買い出しでリードが落ちないようにベビーチェアにいて、ヤーくんにそのお守りを任せてすぐに買って帰るつもりだった。

 いつものように、買って戻ったはずだ。

 

 

 なのに何でヤーくんが気絶してるんだ。

 何で、リードがいるはずのベビーチェアには誰もいないんだ?

 

 

 

 

「ヤ、ヤーくん起きろ! なぁ、何があったんだ!」

 

 

「ニッ……二ー……」

 

 

 

 

 大きなたんこぶがヤーくんの頭にあった。

 それはすなわち殴られた証拠。ヤーくんを襲って、誰かがリードを連れ去ったんだ。

 

 

 

「リード……っ」

 

 

 

 誰だ。こんなことをしたのは。人さらいか?

 いやでも、ただの人さらいがリードだけを狙うのだろうか?

 

 もしかしてこのウォーターセブンで、リードの価値を知る者がいるってことなのか……?

 

 

 

「連れ戻して、次の島に行かないと……」

 

 

 

 

 まずはリードだ。取り返さないと駄目だ。

 

 

 

「ニー……」

 

 

「ごめん。でも早く起きてくれっ!!」

 

 

 

 じゃないとリードがどっかヘ行っちまう!

 守れなくなるから、早く起きろ!

 

 

 

 

 

 







「おい貴様! 何故赤ん坊を連れて戻ってきた!? まさか攫ったのか!!?」

「この子供は儂の曾孫じゃ。連れてきて何が悪い!」

「それはどういう――――――」

「ああ、確かにあの写真の赤ん坊だね。お前さんを嫌がって泣いているようだが……」



「ふぇぇぇっ!!」



「いや待て! この赤子があのクローンの子だとするなら……まさか……おいガープ貴様、少年の方はどうした!?」

「知らん! 赤子しかおらんかったんでな! 連れてきた!」

「一言で説明するな貴様! 詳しく話せ!!」




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