フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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いつもの番外編IFです!
テーマ『もしも二人とも逃げ出さなかったら?』


リクエスト? ありがとうございます!







番外編IF 逃げなかったら弄られた

 

 

 

 

 

 

 科学者は不満だった。

 一応身体や性格などのコピーには成功した。だがしかし、ある重要な欠点を抱えた状態では成功したとはいえない代物だと考えていたからだ。

 

 だがそれを説明したうえで依頼者である彼がそれで良いと頷くのなら、なにも言うことはない。

 

 

 

 

「記憶の植え付けに不備がある。全ての術式は完成したが、完璧なオリジナルのクローンとしてはまだ不完全だ。きっかけがなければちゃんと戻らないが……それでいいというのか?」

 

 

「フッフッフッ……つべこべ言わずに連れていけ、そのクローンの元までな」

 

 

「……ああ、こっちだ」

 

 

 

 連れてこられた部屋にて、その子供が座って本を読んでいる姿が見える。

 依頼者―――ドフラミンゴにとって見覚えがある少年。憎くて愛おしい弟にそっくりなクローンを。

 

 記憶に不備があるといったのは確かなようだ。

 そのクローンはドフラミンゴを見て目を見開いた。何か思い出すようなきっかけでもあったのだろうか。

 

 

 彼は本を落とし、彼を指差して息を吸う―――――――。

 

 

 

 

 

「もふもふピンクの変態が来たぁぁぁぁっっ!!?」

 

 

 

 

 ―――――――その日、研究所の中で奇声が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 よく夢を見ることが多い。

 でもたぶん、それは実験の副作用なせいだと思う。

 

 科学者の変態野郎が何度か俺の頭に変な装置を取り付けてしばらくの間そのまま放置されることだってあるし、赤ん坊の面倒を見ろとか言っていろいろと雑用をやらされたり、実験台にされたりともはや慣れたもんだった。

 まあドジって爆発させたこともあったけど、それだって仕方ない事ばっかだったし。

 

 その後、引き取られた先では研究所よりも面倒なことが待っていた。

 

 

 だから、俺がピンクコートのおっさん……ドフィと呼べって言われたっけ。

 えっと、そいつに殺されそうになる悪夢をよく見ているけれど、多分それはドフィのせいだ。

 

 

 

 

「ベーッヘッヘッッ! それで不貞腐れてんのかぁ!?」

 

 

「モフモフコートぐれぇ良いじゃねえか!」

 

 

 

 ドフィの仲間であるおっさん組のテンション高い方の2人が笑いながら俺の頭を叩く。

 この野郎……俺の身長が縮んだら許さねえからな!

 

 

 

「ドフィと一緒は絶対に嫌だ!」

 

 

「だから黒コートにしてやってんだろー!」

 

 

「色が違うだけだろ! 変な化粧もされて困ってんだよ!」

 

 

 

 

 そう、悪夢を見る直接の原因はドフィが強制した俺のイメチェンである。

 ピエロのような化粧と、モフモフの黒コートなどなど……。

 

 悪夢では大人になった俺が着て拳銃で殺されていたが、今の俺は小さい身体にぴったりの黒くてモフモフのコートと、ハート模様の赤い帽子。そしてシャツとズボンである。

 

 これを子供に強制するとは……あいつはショタコンか変態か……。

 

 

 

「なあ、今度ドフィを起こしに行ってもいいか?」

 

 

「あー? 何するつもりだ?」

 

 

「悪戯。ドフィの顔を俺の化粧みたいに塗りたくってやるんだ……!!」

 

 

「べっへっへっー! そんなの無理だんねー!」

 

 

「んなわけあるか! やってみなけりゃあ分からん! だから俺はやる!」

 

 

「ウハハッ止めとけ止めとけ! お前みたいなドジっ子はな、ドフィに返り討ちに合うのが普通だろーよ!」

 

 

「うぐぐ……」

 

 

 

 くそっ。酒飲みながら馬鹿にしやがって!

 あー……でも、俺の手に負えないのは本当の事なんだよな。

 

 

 何故か俺が裏切るんじゃねーかって警戒されることも増えていたけれど、しばらくしたらただのドジっ子として処理されるようになったし……。

 それに、何故か半日ぐらいはドフィの膝の上に乗せられてしばらく昼寝とかさせられるし……。

 

 

 ―――――そう思っていたら、扉を開けて噂のドフィがやって来た。

 

 

 

 

「ロシー。こっちに来い」

 

 

 

「……んーっ」

 

 

 

 

 トレーボルとディアマンテから離れて、扉の先で待つドフィへ近づく。

 椅子から立ち上がって歩き出した俺に、わざと黒コートを背負わせたトレーボルには後で何かしらの悪戯でも仕掛けてやるか……。

 

 

 

「フッフッフ。城の生活に慣れてきたようだな」

 

 

「……まあ。あれだけいろいろと弄られたり笑われたらなぁ」

 

 

「フッ……そろそろ行くぞ、ロシー」

 

 

 

 急に俺を抱き上げてきたドフィに首を傾ける。

 朝どこかへ行くとかそういう話は聞いてない。というか、またショッピングにでも行くつもりか?

 また俺の黒コートとか買うのか?

 

 

 なんとなく遠い目になりながらも、ドフィのコートを握りしめる。

 

 

 

「……どこに行くんだ、ドフィ?」

 

 

「海軍本部の基地だ」

 

 

「えっ」

 

 

 

 いやちょっと待て。

 何で海賊のドフィが海軍本部に行くんだよ!?

 

 

 というかちょっと悪そうなデザインのサングラスを俺にかけんな!

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「マジで来ちゃった……」

 

 

「フッフッフ。あのガキは何処だ」

 

 

「ガキ?」

 

 

「会えばわかる」

 

 

 

 そう言いながらも俺を抱き上げたままのドフィがズンズンと海軍本部の中へ入って行く。

 というか、海兵さん達捕まえなくて……あーそうだ。こいつ七武海だっけ。

 

 海兵たちがジロジロと俺達を見つめているけれど、捕まえようとしないのはそのせいか。

 

 

 

「なあ、どこへ行くんだよ?」

 

 

「フッフッフ……」

 

 

「むっ……」

 

 

 

 笑うだけで何も言わないドフィに苛つき、あいつの頬を引っ張る。

 あーでもあんまり伸びねーなー。

 

 一度頭を叩かれたが、止めろとは言わないドフィに俺の気の済むまま頬を思いっきり引っ張ってやる。

 

 

「……コラさん」

 

 

「へ?」

 

 

 廊下の先にいたのは、モフモフの白い帽子をかぶった……いや、知らない……人だ。

 知らない……?

 

 

 

「あれ……うん……?」

 

 

「フッ! ロー、こいつが誰なのかお前は知らねえだろうな。こいつはロナン。ロシナンテの息子だ!」

 

 

「なっ……」

 

 

「はい?」

 

 

 

 あれー。ロシナンテって確か俺のオリジナルの名前じゃなかったっけ?

 何で息子扱いしてんのこの変態ピンク。

 というか、クローンって事実を知ってるくせに何で嘘をつく必要があるんだろうか。この人は、俺の……いや、俺のオリジナルの知り合いか?

 

 

 というか、何であの人衝撃を受けたような顔で身体をふらつかせてるんだ?

 

 

 

「そうか。そうか……ドフラミンゴ、お前には昔からそうだったが……返してもらうものがあるみたいだ」

 

 

 

「フッフッフ。こっちもそうだ、分かってんだろうな、ロー?」

 

 

 

 急に薄い膜がローと呼ばれた人を中心に円状に張り巡らされる。

 

 ドフィが指を鳴らして何故か戦闘態勢になり、その人を見つめて笑っている。

 笑っているというか、楽しんでる?

 

 でも戦おうとはしない。

 むにーっと俺がドフィの頬を引っ張ってるのが緊張の糸を切らしている原因か。

 それとも他に何か事情があるのか。

 

 

 

「止めんか貴様ら! ここは海軍基地じゃぞ! 海賊が好き勝手にするな!!」

 

 

 

 

 ああ、海軍基地にいるからか。

 とりあえずお前ら、俺をじっと見るのを止めてくれ。

 

 

 

 

 

 

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