ここにきて番外編IFです。続きを期待してくださってる方申し訳ない!
テーマ『ロナン君は純粋にロシナンテとして生まれ変わりました』
記憶知識とかはいつも通りです。宜しくお願いします。
オーケー。落ち着こうじゃないか。
とりあえず死んだのは分かってる。あの時の一瞬の激痛と冷えた身体の全てを覚えてる。
だからこれは生まれ変わりだ。……たぶん、物心がついたからとかそう言うのだろう。
今の俺は三歳ぐらいか?
まあ急にふっと「あ、俺死んだんだ」って思い出してこのロシナンテとしての人生を受け入れるだなんてそんなこと……うん、でも現実逃避しても意味ねえよなー。
「ロシー、何してるんだえ?」
「んー……」
―――――ああ、兄上が来た。
でもその格好とか口調は止めた方が良いと思いますよ。
それ以外は優しそうな眼とか凄く良い兄だっていうのは分かってるんだけどな。
まあロシナンテとしてのぼんやりした記憶の中では、他の偉そうな人たちも同じようにやってるからなぁ。
とりあえず「うっ……邪気眼が疼く!」とかいうような黒歴史にはならないと思うけどさ。
「眠いのかえ?」
「……うん」
もう現実逃避しておきたいですね。
ええマジで……。
「なら兄上が連れてってやるえ。ほら」
「うん。ありがと……兄上」
「フッフ……ロシーは甘えたがりだから仕方ないえ」
兄上が両腕を伸ばした俺のことをしっかりと抱っこして―――――でもちょっとだけ足を引きずりながらも俺をベッドまで運んでくれる兄上にすがりついて現実逃避する。
とりあえず成長しておっさんになっても兄上がこの口調だとなんか嫌だなぁ。
なんかこう……サングラスとか付けて近寄りがたい感じで「~るえ」とかはちょっと……。
よし、いろいろと甘えておこう。
甘えたがりのロシーちゃんとして、兄上の口調を密かに変えてもらうよう頑張る。
・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから数年が経った。でも生活は相変わらずだ。
あと、俺の名前はどうやらドンキホーテ・ロシナンテというらしい。
よく分からないけど、一般人よりは偉い貴族の家柄で、金はたくさんあるみたいだ。
えっと……天竜人だっけ? そういうものらしい。
でもあまり良い感じではない。
父上の友人が偉そうに「この奴隷は五億で買った面白い玩具だえ!」とか強靭で残虐そうな顔つきをした巨体の男の背に乗って自慢するのは変だと思う。
というか奴隷ってなんだよ。そういうのが当たり前の世界なの?
あの巨体の男凄く目がイってるぞ。この世全てに絶望しているような死んだ目だったぞ。
「ロシー! 一緒に奴隷買いに行くぞ!」
はーいやっぱり兄上もそういうこと言うよねー!
口調を普通にしてもらっても、やっぱり周りを見てるとそうなるよねー!!?
「うーん……」
「……どうした、ロシー?」
首を傾ける兄上に対して、軽くとぼけたふりをしておこう。
ドジっ子ロシーちゃんは母上に似て天真爛漫なんですよー。ちょっと意図的な部分もあるけど……そうしないとこの世界やっていけねえから。
「兄上、俺ね……奴隷よりも物とかの方が良いな」
「……物?」
「うん、悪魔の実とか面白そう」
「……そうか、分かった。可愛い弟が望むなら買ってやるよ!」
「え、ほんとう? わーい! ありがとう兄上。だいすきー!」
「フッフッフ。ロシーは可愛いから仕方ないな」
頭を撫でてくれる兄上にすり寄って抱きつく。
とりあえずこれで奴隷回避。あと死亡フラグも……回避できたらいいなぁ。
―――――というかグランドラインがあるとか、俺達の家がレッドラインの上に位置する場所とか……。
これ絶対ワンピースの世界だろ。
俺あんまり読んでなかったから知らないけどさ……。
天竜人って闇が深すぎて死亡フラグにしか思えないもん。
普通に考えてワンピース世界での敵キャラとかそういうのになりそうだな。
こんなことなら前世でしっかりと読んでおけばよかったぜ……。
「ドフィにロシー、ちょっと来なさい」
「うっ?」
あれ、父上と母上?
二人そろって俺達を呼ぶだなんて珍しいな……。
兄上も首を傾けてとことこと彼らに近づいているぐらいだし……うーん?
「引っ越しをしよう。地上へ行くよ」
―――――――あっ、まずいこれ死亡フラグ。
だって天竜人って地上では嫌われてるんでしょ?
前に仕方なく奴隷市場みたいな場所に連れて来られた時に周りの人たちが膝をついて頭を下げてた異様な光景が広がってたからな。
でも目つきだけは天竜人に対して憎しみを込めてるような感情が見え隠れしてたからな!
「待って父上、話し合おうよ!」
「もちろんだとも。家族で一緒に地上へ行くんだから……お互い納得していきたい」
ああ父上マジで近所やら知り合いやらのクズな貴族たちとは違っていい人! 母上もいい人!
兄上だって奴隷欲しいとか言ってるけど、あれただ周りに流されてるだけだからまだいいから! 俺がどうにか我儘言ったらすぐに止めてくれるし!
なんなら「兄上きらい!」とか言えばすぐ再起不能になるし!
「ねぇっ、兄上! 地上へ行くならこっそり行ってみたくない?」
「こっそり?」
「どういうことかしら、ロシー?」
母上と兄上が同時に首を傾ける。
「あのね、俺達の凄い家柄が地上に降りるって結構大騒ぎになると思うんだ」
「それが良いんじゃねえか!」
「うん、兄上ならそう言うと思った! でもね、それだったらさ……こっそり引っ越した先で身分を隠して生活して……っていうの、本で読んだことあるでしょ?」
「っ!」
目を見開いている兄上は、おそらく以前読んだ本を思い出しているのだろう。
実は凄い権力を持ってる主人公が身分を隠して生活し、様々な事件に対して裏で暗躍し活動するが、表は凡人を演じているギャップがとても良いダークヒーロー本を。
母上もそれを読んだことがあるから、「面白そうね!」と子供のような純粋な笑みを浮かべて頷いている。父上はよく分かっていないみたいだが、家族がそう望むのならと受け入れてくれているようだ。
あとは兄上だけだが……。
「兄上。俺と一緒にあの本の主人公みたいにいろいろと暗躍しよう!」
「っ! ……ああ、分かった! 可愛いロシーの頼みならやってやるよ!」
「やったー! ありがとう兄上!」
「じゃあ早速準備しようか」
「そうね。でもこっそりと……ね?」
「うん!」
俺この家に生まれて本当に良かった。
あの近所のクズな家族の息子だったら絶対に家出してたわ。
とりあえず地上に降りることになったら……うん、この世界をいっぱい楽しんでやろうかな。
――――――だがしかし、ロシーは知らない。
ドフラミンゴが考える暗躍がかなり間違った方向へシフトし、海賊になるということを。
そして、地上に降り立った時から盛大な死亡フラグを撒き散らすことになるのだが……。
今の彼は何も知らない。