ヴェルゴ中将から下された指令には、ある観察記録を記す必要があった。
彼らが将来的に――――特にリードの危険性を確認するために観察し、状況をすべて報告する。
彼らに気づかれることなく全てを記せとそう命令を下されたのだ。
状況記録
観察状況:海軍基地食堂
観察対象:ロナン、リード
「にくをくいたい!」と何度も我が儘を言うリードに向かって「肉を食べすぎたらお前が肉になるんだぞ! そしたら俺たちの腹の中に収まることになるんだからな!」とロナンがわざと大袈裟に言っていたのを観察。
ショックを受けたリードが涙を浮かべており、食べられる様子を想像したのか「おれってうまいの?」と何故か涎を垂らしていた。流石にロナンが呆れて「んなわけあるか馬鹿!」頭を乱暴に撫でていた。
状況記録
観察状況:商店街
観察対象:リード
いつもスモーカー中将の身体をよじ登り、肩に乗ろうとして失敗しているリードだったが、今回は高い場所から下に落ちて肩に乗ろうとしていた様子を確認。
屋根から「けむりーん! そこうごくなよー!」と子供の声が聞こえ、落下してきたリードにスモーカー中将は慌てて手を伸ばして子供をキャッチし、そのまま説教という流れになっていた。
死にかけたことを知らないリードが説教についてよく分からないまま思わず泣きつつ憤慨しつつ「けむりんなんてしらん!」と叫びながらも中将の肩によじ登っていたのはなんだか微笑ましかったとの報告。
状況記録
観察状況:注意喚起
観察対象:ロナン、リード
成長するにつれてドジが酷くなっているという予想を受け、周りに注意喚起を要請。廊下にて転んだあとそのまま扉に激突し、近くにいた海兵が巻き込まれて怪我をしたとの観察記録を報告。
また、スモーカー中将が吸っている葉巻をじっと眺めて「たばこっていいよな……」と呟いていたのを確認。ですので彼にたばこを与えないでください。火元不注意による火事が発生するかもしれません。というか子供ですのでたばこは良いぞと言いながらお勧めするのは止めてください! 皆さんに言っているのですよ!
また、ヴェルゴ中将の頬にある食べ残しをリードに与えないでください。他の海兵も我儘を聞いておやつを与えないように。彼は食事の時点で一歳児よりも食べてます。大食らいな子供にこれ以上の食べ物は健康によろしくないです。
状況記録【解決未定】
観察状況:食堂
観察対象:リード
「ろなん! きょうな、ゆめでな! さーじのめし、くってた! うまそうだった!」とロナンに向かって話していたのを確認。ロナンは微妙な表情で彼の頭を撫でていました。
ただ、報告者の話によるとリードの舌っ足らずのせいで『さーじ』という名前が、サッチなのかサンジなのか微妙とのこと。どっちにも聞こえてきたと証言がありました。
ただ、どうやら食堂のスタッフが一人婚約し退職したとのことで彼女の名前が『サージェ』だったので、彼女の名前を言っていたのではないかという報告も上がっています。
ロナンに聞いてみましたが、曖昧に誤魔化されてしまい、確認は未だに取れていません。
状況記録
観察状況:プレゼント報告
観察対象:ロナン、リード
ヴェルゴ中将が気まぐれにリードに向けて贈った目つきの鋭いゴマフアザラシのぬいぐるみを、リードではなくロナンが気に入っている様子でした。リードが抱きついてこない時はよく抱きしめていることがあります。
ただそのぬいぐるみについていた『おしゃべり機能』を発見し、ビビって手放しリードの玩具兼サンドバックになってます。
報告書に記載するような内容じゃないですが、ヴェルゴ中将が何故あのゴマフアザラシのぬいぐるみに「フッフッフ」という低い男の声がランダムで発生するようなものを買ったのか不思議でなりません。ただ、ヴェルゴ中将の希望通り映像伝電虫にロナンが初めてお喋り機能を目にして驚いた映像を撮って提出しました。確認をお願いします。
それとロナンが驚いた時にとっさに叫んだあの七武海の名前―――――――
状況記録
観察状況:麦わら帽子
観察対象:リード
前回の報告書がいつの間にか紛失騒ぎになっていたようなので、徹底管理をするようにとヴェルゴ中将から指示がありました。最初の指令の時からすべての海兵に向けて指示をしましたが、あまり効かなかったようですね。こちらでもう一度徹底するよう呼びかけます。
では今回の状況記録ですが、リードが商店街で麦わら帽子が売り出されている店を発見し、その場に立ち尽くしてじっと黙って見つめている報告がありました。
スモーカー中将がその場におり、「欲しいのか?」と呼びかけましたが、リードはしばらく口を開こうとしませんでした。やがてスモーカー中将の方に向き直って首を振って「これはおれにひつようねえ! りーどのおとうとだからな!」と叫んでいたとのこと。自らの名前を叫び、弟と言った内容については幼いため一人称として自分の名前を呼んだ可能性があります。おそらく自分はロナンの弟だと言いたかったんでしょう。詳細は追って報告します。
状況記録
観察状況:ソファ
観察対象:ロナン
ロナンが本を読もうとしている体勢で微睡んでいるのを発見。何度もソファからずり落ちそうになっては「ハッ!」と目を見開いて本を読み、また眠りそうになるという状況を何度も目撃しています。まるで寝そうで寝ない猫のようだと報告者が証言しています。
その後、「ローがゴマフアザラシにっ!?」という叫び声で目を覚ましたようです。何故七武海のトラファルガー・ローの名前を出したのかはよく分かっていませんが、本人も「何の夢を見たのか忘れた」と証言しているので、あまり重要ではないと思われます。
最終的にはリードに思いっきり抱きつかれた衝撃でソファから転げ落ちたことにより眠気は吹っ飛んだようです。
現状の報告は以上となります。
何か状況に進展、あるいは報告すべき事態があれば報告書にまとめた後、ヴェルゴ中将に提出いたします。