フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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ドジはフラグを立て続ける

 

 

 

 

 

「これはもう立派な成長期ですね」

 

 

「やっぱり……」

 

 

 服がピッタリフィットしている現状に俺とたしぎさんはため息をついた。

 ピッタリフィットっていっても良い方じゃないぞ。普通にピチピチで全身タイツなんじゃないかってぐらいギリギリなんだからな!

 

 

 

「最近は妙にズボンの丈が短いと思っていましたが……短いと感じていたなら早く教えてくださいよ」

 

 

「うぐっ……でも、この前ドジって燃やしたばっかだから……」

 

 

 一応今までの服は着れてはいた。なんせリードが抱きついて服をいろんな方向から何度も引っ張ってくるため、物理的に伸びたと言っても過言じゃないからだ。

 まあそれが原因じゃないとしても、大きめの服を買っていたから、一応丈が合ってなくても着れたんだ。

 

 ドジってしまったのが原因というか……。

 あれもうドジどころか呪いの域なんじゃねえかって思えてきたんだよなぁ。

 

 洗濯に出していた服をたたんで部屋に仕舞おうとしてそのままうっかり転んで棚ごとひっくり返るし、転んだ先が何故か窓の外で2階から落ちて死にかけたかと思いきやそこで下にいたはずの海兵さんたちを巻き込んじまって気絶して……。

 そんで、気がついたら服が全部燃えてたんだぞ。棚が炎上してたんだぞ。その時に俺が着ていた服もボロボロになったんだぞ。

 

 火元なんてなかったはずなのにどんな連鎖でああなったんだよ!?

 

 遠い目をしている俺に何か思うことがあったのか、たしぎさんがこちらをまっすぐ見つめてくる。

 

 

 

「……今度からは訓練場へ一緒に行きましょう。あなたは受け身の練習をした方がいいです。そうでないといつか死にますよ」

 

 

「ハイ」

 

 

 

 たしぎさんの目が笑ってなかったので何度も頷く。

 でもマジでどうしようかな……。

 

 騒動のせいでしばらくダボダボの海兵の大人サイズの服を着ていた。

 だが裾を何度も踏んでは転ぶ俺に呆れたのかスモーカー中将がたしぎさんに命令をして買わせた服によって解決……とはいかなかった。

 

 服を買ってくれたのはたしぎさんだが、彼女は大きめのを買ってこなかった。

 だから現状、ピッタリサイズの服を着ているという状況である。

 

 

 ズボンさえ大丈夫なら上は着れなくても問題は……いや、たしぎさんはそれが駄目だと言うのか。

 

 

 

「ロナン君、あなたちゃんとご飯食べてますよね?」

 

 

「食べてるって。リード並みじゃねえけどさ」

 

 

「それにしてはウエストが……」

 

 

「横にじゃなくて縦に伸びてるから。それにピッタリなのは変わらないよ。たぶん座ったら酷いことになると思う」

 

 

「ああ……」

 

 

 

 なんとなく言い訳じみたことを言っているとたしぎさんはまたため息をついた。

 服も経費にかかるのは知ってるし、全部燃やしちまったから金かかるよなぁ……ううむ……。

 

 

 

「ろなー!」

 

 

「うぉっ!?」

 

 

 

 ―――――ビッリィィィィ!!!

 

 部屋からこちらに来て抱きついてきたリードの勢いに転びそうになったため力を入れたせいで、何処からか派手な音が鳴り響いて……!?

 

 

 

「うぉぁぁぁぁっ!!? 最後の1枚がぁ!!?」

 

 

「ししし! はーとぱんつがまるみえだ!! ろなん、かっこわりい!!」

 

 

「っ……うるせえぞリードめ! お前にはこうしてやる!」

 

 

「ぎゃーやめろー!」

 

 

 

 止めろと言ってる割には楽しそうなリードが身体中をくすぐろうとする俺の手から逃れようと身を捩る。

 

 

 

「はいはい! 遊ぶのはそこまでですよ!」

 

 

「なんだよめがねー。いまいいとこなんだぞー」

 

 

「良いところじゃないでしょう! 服がまた破けて……いえ、それにリードの服も新しくした方が良さそうですね」

 

 

 ぶぅ、と遊びが唐突に終わったことに不機嫌になり膨れた顔をして俺に抱き上げられているリードをじろじろと見ながら言うたしぎさんに曖昧に頷く。

 

 

 

「まあリードのは成長期じゃなくて外で派手に遊んで来るのが原因な気もするけど……」

 

 

「どちらも必要なのは変わらないということですね。……よし、買いに行きましょう」

 

 

「商店街に?」

 

 

「ええ。ちゃんとサイズを確認して買った方が良いですからね。私が一緒に――――」

 

 

「その必要はない。おれが行こう」

 

 

 聞こえてきた声に、身体が固まった。

 ヴェルゴの声が背後から聞こえる。いつもは遠目にしか見ないように、遭遇しないように心構えしていたはずの男の声が近くで聞こえてくる。

 

 

「ヴェルゴ中将! あの、商店街まで買い物に……良いのでしょうか?」

 

 

「子供たちの海難事故も最近増えてきているからな。それの注意喚起のついでにやっておこう」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

 

 全然ありがとうございますじゃねぇから!?

 いやたしぎさんの前でそんなこと言ったら後で面倒になるけど!!?

 

 抱き上げているため、俺の態度の変化に気づいたのだろう。リードが俺の頬に手を当ててきた。

 

 

 

「あんしんしろよ、ろなん。おれがまもるからな!」

 

 

「あーうん……そうだねー」

 

 

「ふっ、微笑ましいものだな」

 

 

「むっ、ばかにすんなよ!」

 

 

 

 たしぎさんから見れば楽しそうな光景なんだろう。

 小さく笑った彼女から顔を逸らした。

 

 

 

 

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