フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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またもお久しぶりです。
久々に書くのでリハビリみたいな感じで短めです。
今日(投稿時間として見れば昨日)感想を頂き、それを見てふと作品を読み直したらまた書きたいと思ったので続き書きました。

続編を書くきっかけにもなりますし、やる気に繋がりますので、よければ感想とかいっぱい下さい。もちろん高評価でもいいんですよ!!(強欲)



その怒りは天井知らず

 

 

 

 

 

「グッ────覇王色の覇気か……!?」

 

 

 

 それはまるで炎を浴びているかのような覇気が、周囲にまき散らされた。

 しかしそのおかげでロナンが殺されることはなかった。

 

 ローが目を見開き、スモーカーが苦しそうな顔をした。

 ヴェルゴは倒れそうになる己を律して、何が起きたのか状況を理解するため周りを見る。

 

 ヴェルゴが殺そうとしたロナンはいつの間にか遠くの方に移動していた。否、誰かに引っ張られ移動されたのだろう。

 あの異様な覇王色の覇気が目くらましのように使われたことによって。

 

 その元凶は────誰よりも小さな体をしているはずの、リードだった。

 

 なぜあのガキがここにいるのか。

 本当にリードがやったのかと、誰もが困惑する。

 

 もちろんそれは誰よりもリードを大切に思うロナンすら同じようだった。

 そうヴェルゴは彼の表情から察する。

 

 ロナンは唇を震わせ、リードを見た。

 まるで亡霊を見ているかのような表情だった。

 

 

「なんで……」

 

「うるせえ。何も言うな。てめえらにはもう二度と会いたくなかったんだよ」

 

 

 まだ二歳のはずのリードが、麦わらのルフィより凶悪な顔をして、不機嫌そうに唾を吐いた。

 態度も悪く、異様に殺気立っている。

 

 ロナンが何かを察して口を閉ざした。

 その顔を見たヴェルゴはまだ、理解できていなかった。なんせ麦わらのルフィをよく知るのは、この場にいるスモーカーとロナン。そして短期間だがある程度の性格を知ったローぐらいだろう。

 

 だからヴェルゴは麦わらのルフィとしての中身────身体とはまた違う、ルフィとしてのオリジナルの記憶を完全に取り戻したクローン体として、彼を見たのだ。

 

 しかしそれを電伝虫にて話を聞くドフラミンゴは分かっていない。

 訝しげな声が辺りに響く。

 

 

「おい、どうした」

 

「すまないドフィ。新手の敵だ……それも、面倒なガキがな」

 

「……早めに済ませろ」

 

「ああ」

 

 

 

 ヴェルゴはドフラミンゴに言われた通り、まだ二歳程度の子供相手に本気で戦うことを心に決める。

 そうしないと危険だと思えたからだった。

 

 先ほどの覇王色の覇気もそうだが、二歳児がしていいような目ではない。

 

 何かに怒っているようだった。

 絶望したような目。

 不機嫌な表情はゴロツキより凶悪なもの。

 

 クローンではない純粋な二歳児だったら泣き叫ぶほどの顔をしていた。

 

 

「リードの────」

 

「いくらロナンでも変なこと言いやがったらぶっ飛ばすぞ」

 

「アッハイ。ええと……久しぶりに会ったけど、身体は大丈夫か? 不調はないか?」

 

「旅から帰ったばかりの家族を心配するような感じで言うんじゃねえ。邪魔だからどっか行ってろ」

 

「はい……」

 

 

 二歳児に命令されてそれに従うロナンに、ローが何ともいえない表情をする。

 

 しかし状況が読めず、行動しにくいようだ。

 ヴェルゴは二歳児も注視していたが、周りにいる奴らの事も警戒していた。

 

 リードであれば身体が鍛えられてないのもあってぶっ飛ばすことは容易だろう。そう考え瞬時に行動に移す。

 

 彼が実行すれば防ぐ術はなし。

 数秒後にリードは地に伏せヴェルゴの手によって死ぬはずだった────そう、彼は思いこんでいた。

 

 

「ガハッ!?」

 

「悪いが、俺はあのクソ野郎に『唯一の最高傑作』として作られてんだよ。これでもまだ本気じゃねえんでな。……ガキだからってなめてんじゃねーぞ」

 

 

 その言葉に戸惑ったのは誰だったか。

 ヴェルゴは困惑する。ローやスモーカーですら異様な事態に身体が動けないほどである。

 

 ルフィ並み、いやそれ以上の力でもって物理的にぶん殴ってきたリードの攻撃は、ヴェルゴを部屋の端から端までぶっ飛ばすほどの威力をしていた。

 

 痛みもあった。覇気を使いこなしているのも理解できた。

 今まで交流してきたあのリードが、何故こんなにも動ける。

 何故、自分より強いと思えてしまうのか。

 

 ヴェルゴは血反吐を吐きながらも奴を睨みつけた。そうして感情のままに怒鳴り上げる。

 

 

「お前は一体何なんだ……!?」

 

「ただの亡霊もどきなクローンで、あのクソ野郎な科学者にとっての人間兵器に決まってんだろうが」

 

「ぐぁッ!?」

 

 

 攻撃を当てられると理解し両腕で庇おうとしたが、それより先に奴は動く。

 腹をぶん殴った威力は、巨大な弾丸が放たれたかのようだった。自分より圧倒的に小さくか弱そうな幼児の手だというのに。

 

 

「悪いが、ロナンを助けてくれって願いだけは叶えてやらねーとまた起こされるんでな。ぶっ飛ばさせてもらうぞ」

 

「き、さま……!!」

 

 

 二歳児に叩きのめされる屈強な男、という光景にローは過去のトラウマがぶち壊される気配を感じた。

 手持ち無沙汰だったのかロナンが近づいてきて、怪我を確かめているのが見えたので思わず彼を腕の中に閉じ込めた。

 

 そんなローの様子すら、ヴェルゴは見ることができない。

 何が起きているのか分からないのだ。

 

 奴は失敗作じゃなかったのか。

 いや、世界政府は彼を危険視している。しかしそれは、ドフラミンゴが言っていた『何度も記憶と経験を引き継ぎ新しく作り直せる』という疑似的な不老不死のことをいうのではないのか。

 

 そう情報に載っていたはずなのに、何かが違う。

 危険に分類されるレベルが違う────そう、ヴェルゴは思ってしまった。

 

 ヴェルゴに攻撃する威力は大人並み。

 覇気すらも使いこなし、身体が小さくともそれを活かし素早く動く。

 

 

「あー、目が覚めたみたいだ。────寝る」

 

「はっ?」

 

 

 

 しかし突然、矛盾した言葉を放ったリードがぶっ倒れたことによって、状況が一変した。

 

 倒れたリードがすぐさま起き上がる。

 そうして警戒し攻撃態勢となったローの近くにいたロナンを見て笑ったのだ。

 

 

「ほらやっぱりな! にいちゃんがたすけてくれた!」

 

 

 ニシシと笑ったリードに、ロナンは引き攣った笑みを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 

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