フェイクというには程遠い   作:若葉ノ茶

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リードは生後七か月ぐらい

 

 

 

 

 雑用任務に就いてから二週間。

 今日もまた何回も転んでしまったが、もう何度もやってる事だしリードに怪我をさせることなく受け身をとって軽やかにやることができるようになった今現在。

 

 ドジらなければいいんだが、やっぱりこれは生まれついての呪いだろうか。

 気が付いたら転んでたり、何かしらやらかしてたりするんだよなぁ。

 まあそこらへんは他の海兵たちも二週間の間に『ドジっ子な少年とよく笑う赤ん坊』ぐらいの印象はついたと思うし、大丈夫だろう。

 

 メッセンジャーとして仕事をしている先で、怪訝な目で見つめられることも多かったが、孤児で弟である赤ん坊を育てるために働いてると誤解されることができたし、その方が都合がいいしな。

 

 

 

 

「メッセンジャーロナン、入ります!」

 

 

「んぶぅ!」

 

 

「おー、よく来たな坊主とチビ助!」

 

 

「いつもの書類です。それと手紙も」

 

 

「おう、ごくろうさん! おやつのゼリーがあるぜ、もってけ!」

 

 

「あぶぶぶぶっ!!」

 

 

「おい暴れんなってリード!」

 

 

 

 抱っこひもから抜け出してゼリーを食べたいとねだるリードをしっかりと押さえる。

 こいつの食い意地どんだけなんだよ……!

 

 

 

「はーっはっはっは!! チビ助は相変わらず食い意地がはってやがるぜ! けどお前、ミルク以外にも食べられんのかぁ?」

 

 

「あー。まあ離乳食は始めてるけどさ……」

 

 

 

 昨日、キッチンのコックであるおばちゃんが用意してくれた離乳食をぺろりと食べたのを思い出す。

 首もすわってたし、ハイハイもできるようになってたから、俺が研究所から連れ出す前にはもう順調に育ってはいたんだ。

 ミルクだけじゃ足りないからあんなに腹減ったって泣いていたんだろう。昨夜はあまり夜泣きしなかったからな。

 

 

 

「だぶぅ!」

 

 

「ちょっと待て。いったん落ち着けリード!」

 

 

 

 あーくそ。このままだとドジってリードを落としそうだな。

 とりあえず部屋の中にあるソファに座らせておく。抱っこひもを縛り直してっと―――――。

 

 

 

「きゃー可愛い!」

 

 

「良く食べる赤ん坊だなぁ」

 

 

「いっぱい食べて大きくなるんだぞ」

 

 

 

「きゃぶー!!」

 

 

 

 ……なんかいつの間にか若い海兵たちがソファに座る赤ん坊に集っておやつを開けて食べさせてるんですが。

 腹壊さねえか心配だけど、まあリードなら大丈夫か……?

 

 

 

「おっと、おーいロナン。今日はもう仕事は終わりか?」

 

 

「え、うん。あとは終わったっていう提出書類を出すだけだよ」

 

 

「なら頼みてえことがあるんだ、俺の同期が北方基地にいるんだが、そいつに手紙を届けてほしい」

 

 

「手紙?」

 

 

「おう、その分の給料は出すよう言っておく。頼んだぜ坊主!」

 

 

 

 海兵の一人から無理やり渡されたのは、一つの白い封筒。絶対に開けられないように赤い封蝋がされてある。

 給料が出るなら良いし、メッセンジャーとしての役割はしっかりと果たそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりこの国は平和だなぁ……」

 

 

「あうー!」

 

 

「お前はいつも通り元気だな」

 

 

「だぶーん!」

 

 

 

 動きたくて仕方がないんだろう。俺の胸を軽く何度も叩いては笑うリードに苦笑する。

 元気なのはいいことだ。

 まあ元気すぎるのは良くないと思うけれど……。

 

 

 海軍に貸し出された俺専用の自転車のベルを鳴らして、のんびりと先へ進む。

 こけないようにしながらも、たまにこけてはまた自転車に乗って先へ先へ――――――。

 

 

 

「……あれ?」

 

 

 

 手紙の届け先はアルメリア国家の北方基地。

 港が多く集っている場所の傍に位置しているはずだが……。

 

 

 

「海軍の大きな船?」

 

 

「あぶー!!」

 

 

 

 大きな軍艦だ。この二週間ではお目にかかれないほどの軍艦がそこにある。

 何故こんな平和な島に軍艦が?

 

 ……まさか、ばれたのか?

 いやそんなことはないはず。リードの刺青も見せないようにしっかりと隠してあるし、俺の金髪もこのアルメリア国家で売ってる鳩マークのバンダナで隠した上に帽子をかぶっているのだから。

 

 ドジったこともあるけど、そんなバレるような致命傷を負ったわけじゃないはず。

 

 

 

「とにかく、手紙を渡してすぐに去ろう」

 

 

「あぶぶ!」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「見つけられないとはどういうことじゃあ!!」

 

 

 

 

 赤犬の鋭い怒声が部屋に鳴り響く。

 それに悲鳴を上げる弱者はここにはいない。ただあるのは電伝虫の先にいる悲鳴のみ。

 エンジュ島の海兵たちからの報告は何の成果も得られなかったと報告されたからだった。

 

 

 

 

「たかがクローンの子供一体。されど危険人物……ということかねぇ」

 

 

 

 

 笑っている黄猿を睨みつけた赤犬が、さらなる報告で出た結果によって額に青筋を浮かべた。

 エンジュ島にクローンの姿はなし。

 クローン体を引き取っていた老人夫婦は彼らについて詳しくは知らずにいたお人好し。

 クローン体を船に乗せて出港したという情報なし。七武海が数名現れたという情報あり。エトセトラエトセトラ……。

 

 どうでもいいことで倒れている海賊三名を捕えたとの報告が入ったがそれどころじゃなかった。

 

 

 

「一刻も早く奴らを捕えるんじゃ! 手配書も出せぃ! クローンといえどもオリジナルは悪。死して償うべき絶対悪じゃけんのぅ!!」

 

 

 

 

 このままクローンの赤子を奴等に渡らせるつもりは赤犬にはなかった。

 

 

 

 

 

 

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