さよなら、ガフガリオン。   作:詠むひと

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長いので分けました。

フールーダってアインズ様が超越し過ぎてたから感極まり過ぎて、ペロ爺になってしまっただけでそこまでじゃ無きゃ歓喜で神に祈るくらいで居られたと思うんです。

フールーダはかっこいい


フールーダとの会談(上)

 改めて自己紹介をし合おうという事になった、お互い肩書きしか知らない事に気付いた為だ。

 

「では、私からしよう。先の紹介の通り、私はフールーダ・パラダイン。ここ帝国魔法省の長官であり、帝国最高の魔法詠唱者と自負する者だ。私は魔法の深淵を覗きたいと思っている。だがそれは目標の一つであり、真の目的では無い。」

 

 フールーダはひと呼吸置き全員の顔を見回し、言った。

 

「私の目的は世界の謎と言う闇を知識の光で照らす事だ。魔法の深淵を見るのは目標の一つに過ぎん。なにただの好奇心さ、私は貪欲でな。世界の真理を知りたいのだ。」

 

 そう言うと苦笑いとも悲しみとも取れる表情で言った。

 

「だがその目標すらも、常命の者たる私には辿り着けていない。禁術で寿命を伸ばし、死を遠ざけ現世に留まって200年余り。だが、この200年を持ってしても私は未だ第6位階に居る。神々はおろか、未だ13英雄にすら届かぬ。」

 

 悔しげに呟き、

 

「私の周りに同格の者は居らず私より優れた師も居ない。ただ、ただ手探りで暗闇を這いずり廻っているのだ。ただ徒に時が過ぎ行くばかりで停滞しているのだ。

 私が手に出来る情報は、既に既知の物だけとなってどれだけ過ぎたかも分からぬ。

 弟子を取っても、私の領域まで届く前に皆、逝ってしまうのだ・・・私と共に未知への探求が出来る同志すら居らんのだ。」

 

 悔しげに悲しげに歯を食い縛りつつも言葉を紡ぐ。

 

 「このままいつか朽ちて滅ぶのを待つしか出来ぬなら、いっそ旅へ出るのも悪くないのかとも思った。だが、私が居ない間に才有る者が産まれ、私が知らぬ間に地へ還る可能性が棄てきれずにいた。魔法の才ある者を帝国中から私の元へ連れてきた。それでも届かぬのだ・・・人が神に近付くのは罪だとでも言うのか。私はただ未知を既知へ、地図の空白を埋める様に知識を求めているだけだと言うのに。」

 

 呼吸が荒くなり泣きながらも途切れず言葉を紡ぎだすフールーダ。200年もの間、孤独の中でも希望を信じて行動してきた精神力は金剛石よりも硬く、何よりも純粋で透き通った強さを持っているのだろうか。

 

 

「だからこそ、分かるかね?この出会いが奇跡であると言う事が!手探りでここまで来た!伝承に残る事が本当に起き、ただのお伽噺では無いと証明され異界よりの来訪者が遂に来たのだ。お前達はこれがどれ程の奇跡か理解しているのかね?今、この時に同席していると言う事がどれ程の宝になるかを!」

 

 カッと眼を見開き血を吐く様にして、まるで絞り出す様に言葉を続ける。

 

「私は待っていたんだこの時を!未知の世界から、未知の知識と技術を扱い、未知の魔法を使いこなす存在をっ!ガフガリオン、そなたをどれ程の待ちわびたか分かるかね。言葉では表せぬよこの感情は、この瞬間にも私は世界の神秘をこの眼で見ているのだ。やはり神は私を見捨てては居なかったのだ、きっと私への道標としての使者に違いないっ!」

 

 

「(時間が経って少し冷静になったがこのじじい、ヤバいンじゃねえのか・・・。)」

 

 ガフガリオンは、喜怒哀楽が激しく乱高下するフールーダに対して少し不安になった。

 

 周りの弟子達は歓喜の感情を垂れ流す師を見て安堵する者や焦りを感じる者、師と同じく歓喜する者に別れた。

 

「(ああ。随分と長い間、このように喜ぶ様子は見ていなかった。師よ、心よりお祝い申し上げます。)」

「(不味いな、これでは師は私達を省みて頂け無くなるのでは…。早急に成果を挙げねば。)」

「(ああ、正に奇跡だ。世界の神秘をこの眼で見る事が出来ようとは。彼は一体どの様な魔法を使うのだろうか、早く見たい物だ。)」

 

 フールーダが一人で喝采を上げて居るのを、他の者はただ見つめているしか出来ないでいた。

 

「(うっわぁ…なンだ、この空間。)」

 

 

 フールーダは睨み着けているかの様な強い眼光でガフガリオンを見て言った。

 

「さあ、次はそなただ。全てだ今まで何をして来たのか全て言うんだ。世界はどのようになっている、どのようにして力を獲たのだ。知っている事を話してくれっ!」

 

 さあっ、さあっと、促す様にガフガリオンを見詰めている。

 

「(これは、空気に飲まれて言ったがもしかして早まったか…だが今さら戻れまい。)」

 

 ガフガリオンは覚悟を決めた。

 

「俺は、ガフ・ガフガリオンだ。イヴァリース王国、東天騎士団で分隊長をしていた。俺は・・・」

 

 農村に生まれ、戦乱で故郷を焼かれ騎士に志願して入団し五十年戦争を騎士として駆け抜け、戦後は傭兵として各地を周り行く宛の無い若者を一人前の戦士として育てようとしていた事。ラムザを兄弟の元へ帰るよう説得を試みたが失敗し戦い、敗れて死んだ事を語っていった。

 

「ガフガリオン殿、質問をよろしいかね?」

 

 一通り聞き、フールーダは疑問を聞き始めた。

 

「ガフだ。ガフと呼べばいい。」

 

「では私の事もフールーダと呼ぶとよい、敬称は必要無い。私達は互いに力を貸し合うのだからな。」

 

「さて、質問だが。まずそちらの世界では魔法はどういう扱いだ?普及率や使える者はどの様にして習得している?またどの様な種類がある、そしてガフは何をどこまで使えるのだ。」

 

「そうだな…とりあえず」

 

 魔法はかなり広く普及している、農村ですら何人も魔法を使える者が居てファイアやブリザド等の初歩であれば自分の村では10人に1人程度は発動位は出来た事。魔道書を読み訓練したり師に教えを乞うかグリモアを使って覚えると言う事。金さえあれば平民でもグリモアを買えた事。

 基本の黒白と、種類を羅列していった。

 

「ではそうだな、魔法の発動の原理を比較しよう。」

 

 フールーダが説明し始めた。こちらの魔法ではまず体内の魔力を感じ取り、それをどう使うかを決め意志の力で動かし増幅させる。ここまでは武技も魔法も同じだ。今回は魔法だ。増幅させた魔力を力ある言葉(魔法名)を使い、意志で以てして世界に干渉し理を歪め事象を起こす。

 力ある言葉とは、世界の理が再構築された時に出来たと言われている。その組み合わせにより言葉に魔力が宿り、世界に干渉出来るようになる。

 

「(やっべえ、わかンねえ。理論なんて騎士団じゃサラッとしか聞いてねえ。)」

 

「俺は魔法は専門じゃ無いから、感覚的な説明しか出来ないがそれでもいいか?」

 

「構わない、ガフの本分は戦士なのだろう。戦士としての感覚で構わない。」

 

 では、と言いつつ考える。普段は流れるままに使っている物を言葉にするのは難しいと思いながらも説明しだす。

 

 イヴァリースの魔法は詠唱が第一だ、詠唱により体内の魔力が練られ力が高められていく。これは普段意識していないが、詠唱すると身体が勝手に動く様な感覚である。詠唱により高められた魔力を触媒とし世界に充ちる魔力に干渉し、世界の魔力を使って魔法を発動させる。

 

「最も大きな違いは、フールーダ達のは自分の魔力だけで発動させるのに対してイヴァリースのは世界に充ちる魔力で発動させると言う事だろう。こんな所か。」

 

「なんと、世界に充ちる魔力だと。そのような物を利用する方法はこちらには無い。空間にも魔力が有るのは分かっているが、それを利用する方法が確立されていないのだ。イヴァリース式では魔力は触媒に使うとの事だが、それは触媒になった後はどうなる?魔力は霧散するのか?それとも体内に別の形となって還元されるのか?」

 

「(また小難しい事を…)霧散が近いと思う。発動後、身体から魔力が抜けていくと言うか散らばって行く様な感じがある。」

 

 理論立てての説明等したことが無い為に説明に四苦八苦していると、妙案が浮かんだ。

 

「実際に使ってみてもいいか?口で言うのは難しい。」

 

「構わないが何を使うつもりだ?」

 

「守護魔法だ。物理的な外力を軽減する物だが?」

 

 問題無いからやれと返答があり、ガフガリオンは集中しだした。

 

「大気に散る光よ、その力解き放ち堅牢なる鎧となれ!」

 

「プロテジャ!」

 

 身体から魔力が抜けた感覚の後頭上にクリスタル浮かび砕け散り光となって身体を覆った。

 

 これが守護魔法…と言いかけようとしたら。

 

「おおぉ、なるほどな。不思議な物だ、分かるぞ知識が頭に浮かんで来るようだ。」

 

 「はぁっ?まさか今のでラーニングしたと言うのか!」

 おい、有り得ねえだろ。どうなってンだこのじじい。

 

「ラーニングとな?聞き覚えが無い言葉だがどういう意味だ?」

 

 ため息をつきながら答えた。

 

「ラーニングって言うのは、魔法を受けた対象がその魔法を習得する事だ。これは対象が相応の知識や素質を持っていて尚且つ運や相性も絡ンでいて、狙ってもそうそう上手くいかないはずなンだがなぁ。」

 

 本当になンなんだ、しかもフールーダの弟子の中にも習得した様な様子の者がいる。魔法使いのエリートって事なンだろうかと思い、強引に納得する事にした。

 

「なるほどな恐らくだが、もともと私が持っていた知識の隙間を魔法が埋めた事により魔法を理解し習得したのだろう。これは未知の現象だ、これを再現出来れば高位の魔法の習得に役立たせる事も出来るだろう。」

 

 これほど愉快な事はない、私はより深淵に近付けるだろう。とか言ってるのを聞いてガフガリオンは頭痛がしてきた様な気になった。更にフールーダからの質問はつづく。

 

「空間に充ちる魔力を使うと言う事はもしや、魔力を取り込む事も出来るのではないか?」

 

 やっぱり聞いてきたか、その辺はこっちではどうなんだ。

 

「結論から言えば、出来る。通常はエーテル系の魔法薬を飲む事だが、他にも幾つかある。」

 

 フールーダの眼が光った気がした、気のせいだろう。きっと。

 

「エーテルとはポーションの様な物か?だとしたら現物は持っているか?」

 

 テーブル越しだと言うのに、身を乗り出す様に聞いてくる。

 

 エーテルは…確か、多少有ったな。

 

「これがエーテルだ。」

 

 手渡すと、振ったり灯りにかざしてみたり何か呪文を唱えたりしている。封を開けて良いか尋ねられたので、それは好きにして良いと言った。

 

「ふむ、薬液に僅かにとろみがあるな。味は、強い甘みと僅かに酸味があり清涼感もあるが薬草のような薬っぽさもあるな。うぅむ…湿布を飲んでいるようだ…余り口に入れたい物では無いな…。」

 

 中身を指に付け感触と味の感想を言ってきた。そんなに不味いか?俺はわりと好きなンだがなぁ…。

 

「これはどの程度普及している?また売値はどの程度だ?」

 

 たしか1本200ギルだから、たぶん銅貨20枚位のはず。

 

 「それは安過ぎるのでは無いか?」

 

 こっちじゃポーションと同じでそこらで売ってるし気にした事も無いンだが何か問題でも有るのか?

 

「このエーテルの価値はそんな端金では無いと言うのに、これが世界の差か…。」

 

 なンか疲れてるが、俺は知らンぞ。俺が値段を決めてるわけじゃ無いしな。

 

「この世界では、魔力は時間経過での回復しか存在しないのだ。それが手軽に出来てしかもそんな安価で流通しているとはな…。」

 

 周りの弟子の老人達も信じられないと言う顔でこっちを見てくるが、そンなもン知るか。

 

「先程、他の方法も有ると言ってたな?それはどういった物だ?」

 

「ひとつは、特殊な呼吸法と歩法を組み合わせて歩くだけで回復するものだ。通称MP回復移動と呼ばれる。そしてチャクラによる回復だ。チャクラと言うのは簡単に言えば、体内にある魔力とは別の力である気をツボと呼ばれる身体に多数あるポイントに集中させて身体を活性化させる技術だ。これは体力と魔力を同時に回復させる事が出来て非常に便利だ。騎士団でも使える者は多数居た。」

 

 実際、使い勝手じゃアイテムや魔法使うよりも早いし懐も痛まンしな。貧乏騎士の強い味方だとか、俺に教えた先輩は言ってたしな。

 

「ではそのチャクラも「見せるから、落ち着け落ち着け。」」

 

 さっきまでの落ち着きのある格好いい爺さんは何処行ったンだかなぁ…。

 

 近くないと範囲に入らんが、この程度ならフールーダとあと1人2人位は入るだろ。

 

「チャクラ!

 

 腰の辺りを中心にして光が収束して弾けた。

 

「ふおお。何とも言えんがこう、身体の中心から暖まると言うか。これは良い。」

 

 フールーダだけでなく範囲内に居た弟子は何処かうっとりしてると言うか。風呂で寛いでる様な顔をしているな。

 

 弟子の一人が手を上げ、発言の許可をフールーダに確認した。

 

「では、僭越ながら言わせていただくと。私は近年腰痛に悩まされていたのですが、このチャクラと言う物を浴びて腰痛が和らぎました。今後、お暇があれば、是非とも私にチャクラをご教授願え無いでしょうか。」

 

 気持ちは分かる、そうなンだよ。これは腰痛に効くンだ。この歳になって分かった。

 

「俺は構わン。」

 

 そう答えると他の弟子達も、私も私もと言ってきた。フールーダが咳払いをすると直ぐに元の様な静寂に戻った。

 

「では、私にも教えて頂けますかな。」

 

 あンたもか。

 

「では次は、蘇生魔法にするか。こっちにも有るのか?」

 

「こちらにもある。こちらの蘇生魔法は信仰系魔法詠唱者の領分であり私には使え無いのだが。まず、発動の為には多数の金貨が必要だ。蘇生させる者の上に置き発動させると金貨が溶けて蘇生対象に吸い込まれる様に消えていくのだ。そして蘇生対象が力無き者であれば、蘇生出来ず灰となり灰にならず蘇生出来た者も大きく力を落とし弱体化すると言う特徴がある。神話には代償が無く蘇生対象の力の大小も関係ない蘇生魔法も存在するが真偽は不明だ。」

 

「蘇生までの時間に制限は有るのか?」

 

「原則、無い。だが、遺体の損壊が激しかったり、腐敗が進んで居ると蘇生出来ないと聞く。」

 

 色々違うもンだな。

 

「イヴァリースの方は代償は必要無いし力の大小も関係ない。だが蘇生には制限時間がある。」

 

 そう聞いたフールーダは眼を見開き確認を取って来た。

 

「それは本当か代償が無く力無き者でも蘇生出来ると言うのは!」

 

 落ち着けっての。

 

「ああ、本当だ。だが、蘇生可能な時間に制限が有ってな個人差が有るがだいたい40分程度だ。それを過ぎると如何なる手段でも蘇生は出来ない。時間内ならバラバラだろうが消し炭手前だろうが復活出来るがな。」

 

「一長一短と言う事か。その時間と言うのはどうやって決まっているのだ?」

 

「俺も詳しくは知らンが本人の素早さで決まると聞く。時間についてはこう言われている。」

 

 死神の燭台だと。

 魂は燭台のロウソクであり、不意に消えたり消されたら火を付け直せば良いと。だがロウソクが完全に燃え尽きれば寿命であり、消えている時間が長いと燭台のロウソクを持ち去られてしまう、とな。

 貴族の屋敷みたいなものだ、火を付け直そうとしても付かなかったり短い物は直ぐに新しい物に交換されるだろう?それと同じだと言われているのさ。

 交換までの時間の違いは死神の歩く速さだとも言われている。

 

 

「完全に死なない限りは何度でも蘇生出来るし弱体化も無い。俺達は戦いで死んでも蘇生されて戦闘に戻り、また死んでも蘇生を繰り返すのさ。蘇生アイテムが無くなるか蘇生魔法が使えなくなるまで戦い続けるンだよ。死は終わりじゃぁ無いのさ…生き返るまでの休憩に過ぎンのだよ。」

 

 そう言うとフールーダ達は顔を青くした。これは新兵への脅しに使う文句なンだがな。

 

「…まるで、不死の軍勢だな。殺しても殺しても生き返る等、恐ろしいな。」

 

 不死か、アンデッドでは無いにしても言い得て妙だな。

 

 




ペロ爺じゃ無いけど、これぐらい言って神に感謝しても良いんかなと。
200年もただただ、夢を追うって普通の精神じゃ無理だと思うんです。

エーテルの味は炭酸を抜いたルートビアのイメージで書いてます。美味しいのに…。
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