ここはカッツェ平野と呼ばれる場所。
一年中薄い霧に覆われ、数多の死霊が涌き出る死の渦巻く地。
数多の人々の血を吸い続けた赤茶けた大地で死を越えた騎士と若者達は出会った。
「オッサン、そこで止まってくれ。今そっちに行く。」
今日は常よりも濃厚で重苦しい不吉な霧に包まれている。
霧を越えて出てきたのは、十代半ばから後半の少年三人だった。三人とも剣や槍、メイス等を持ってはいるもののレザープレイトや小手だけでひどく軽装のようだった。
「おー、人間だ。オッサン、道に迷ったって言ってけど、どこへ行くんだい?」
そう問い掛けたのは、十代半ばの金髪の少年だった。
「いや、すまンな。そもそもここが何処なのかも分からンのだ。気が着いたら霧の中を歩いてて、記憶がハッキリしてないンだ。」
そう聞かされた少年達は呆れような表情をした。
「いやいや、オッサンまだ呆けるには早いだろアンタ。なんだ酔っ払ったのか?」
呆れつつ言葉を返した暗い茶色の髪をした、十代後半から二十歳前の少年。メイスとバックラーを持ちレザープレイトを身に着けている。
「ほンとうに、分からねえンだよ。とりあえず街とかが有るなら方向だけでも教えてくれンか?」
すっとぼけた事を言っていると自覚しつつも、自分自身困惑しつつ、そう答えるしか無いガフガリオンだった。
「まぁまぁ、とりあえずお互い自己紹介でもしませんか?俺はクライブ、17歳です。小説家になるのが夢で資料集めの為に参加してます。」
そう答えたのは、クセのある金髪で大人しそうな少年。装備は槍とリネンキュラッサか。
「おっ、じゃあ俺も。オッス、俺はヒューゴ、19歳だ。」
暗い茶髪の少年がそう続いた。
「じゃあ次は俺だな。俺はヘッケラン歳は15で商人の4男だ。んで今は、小遣い稼ぎにアンデッドを狩ってる最中さ。」
そう答えたのは最年少の金髪の少年。ヒルトの着いたブロードソードを持ち、レザープレイトを身に着けている。
「じゃあ俺の番だな。俺はガフガリオン、元騎士で今は傭兵をしている。歳は56だ。」
そう答えたガフガリオン。
歳こそ壮年か初老とも言えるうえに白髪である。だが鍛え続け戦い抜いたその肉体は、正に戦士と自己主張するほどに筋骨隆々な逞しい肉体である。
脳筋スタイルなラムザのせいであるのは、間違いない。むしろ、ラムザを拾ってからの方が逞しくなったほどである。
「ああ、まあその身体つきならそうなんだろうな。」
うん、分かってた。みたいな反応の三人だった。
「で、えーっと。俺達はもうちょい狩ったら帝都に戻るつもりなんですけど、道案内がてら一緒に行きましょうか?」
クライブはそう提案した。内心、強そうだし楽出来るかもと思いつつ。
「俺としちゃあありがたいンだが良いのか?」
警戒心が見えず、逆に戸惑うガフガリオン56歳。無警戒で甘過ぎだろと思いつつ。
「まあ、アンタ強そうだしちょっとこっちを手伝ってくれれば助かるし、その対価って事でどうですか?」
自己紹介したし、とやや丁寧な言葉を使いだしたヘッケラン。
「まあ、そういう事なら俺としては文句はねえな。ギブアンドテイクってところだな。」
「じゃあ昼を目処に帰るって事で良いか?ヘッケラン、クライブ。」
「「わかった。」」
「ガフガリオンさんも良いですか?」
「おう、いいぞ。」
「じゃあ、あと二時間ほど続けよう。今日はいつもよりも霧が濃い、親父が言ってたんだがこういう日は強力なアンデッドが出る事があるらしい。気を引き締めて行こう。」
◇
二時間ほど経過。
「よし、終わりにしよう。交代で警戒しながら昼飯食って、帝都に戻ろう。」
ヒューゴがそう言った。
この二時間の間、ヒューゴが三人の指揮を取り連携していた。ヒューゴがクライブとヘッケランの動きを把握しつつ危なげ無く、スケルトンやゾンビを処理していった。
戦闘に入る前に三人とガフガリオンで戦闘中での動きの打合せをした際に、基本的には三人で対象するが手に余る時や接近に気付かなかった時の対処をガフガリオンに依頼していた。
ガフガリオンはスケルトンやゾンビ等は鎧袖一触とばかりに即座に処理していった。その為、余裕で三人の動きを見ていられた。
「ガフガリオンさんっ!いやっほんと、マジ強ええっすね!!」
興奮気味にそうまくしたてるヒューゴ。ガフガリオンに対処を頼もうとした時には既にバラバラになって崩れゆくスケルトンを何度も見ていた為だ。
「衛兵連中も時々、アンデッド狩りに来てるの見掛けるけど、ほんと全然強さが違うんだよ。こんなに一瞬で片付けてる人なんて見た事ねえよ。」
手放しに絶賛し続けるヒューゴ。
おう、おう、良かったな。と適当にいなしつつ、手持ちの干し肉を噛むガフガリオン。
「ヒュー・ゴーォ?ガフガリオンさんも困ってんじゃん、ちょーと口閉じようか?んで、さっさと食えよ。」
見かねたヘッケランが口を挟んだ。ヘッケランとクライブは警戒に着いている為、ヒューゴが食べ終わらないと食事にありつけない為だ。
「ああ、悪い悪い。」
と、返答し食事に戻ったヒューゴ。
「食べ終わったから、交代だ。お前ら二人分の警戒はしといてやるから、お前らも飯を食え。」
干し肉は飽きたなと思いつつ、食事を終え立ち上がったガフガリオン。
「ガフガリオンさん、ありがとうございます。」
お礼を言いつつ座るクライブ。その時、ヘッケランは頭を下げつつもう既にパンを口に含んでいる。
「ん、ぐぅ。よし、食い終わった。じゃあ俺も警戒に着くよ。」
ヒューゴはそう言って立ち上がった。
「ところでガフガリオンさんってどこから来たんですか?さっき、聞いた時はここらの地名に聞き覚えは無いようでしたし?」
「俺が居た国は、イヴァリース王国って言うンだが聞いた事はねえか?」
三人から無いと返答があった。
「ねえか、まあいいか。俺が居たのはそのイヴァリースにある東天騎士団って所なんだが。隣国のオルダーリアとの戦争が終わって、騎士団が解散しちまってな俺みたいな平民出身地者は故郷に帰るか傭兵になるかで別れたンだわ。」
そこで、まあいい歳だし傭兵しつつ若いのを拾って鍛えながら国内を点々としてたンだ。
まあ、なんのかんのあって。俺は、権力者の怒りを買っちまってな。棄て駒にされたりして、なんとか逃げて生き延びたンだよ。
まあ、そんなもんだ。
過去に想いを馳せつつガフガリオンは語った。
(まあだいたい適当でいいだろ。)
「結婚はしてなかったんですか?」
とクライブ。
「二十歳の時に結婚してな、娘一人と息子二人がいた。娘は王都の商人と結婚したって聞いてる。息子は二人とも騎士になったンだが・・・」
「二人とも戦死しちまってな、俺よりも早く、若くして死んじまったよ・・・。上の息子は斥候に出てた時にドラゴンに襲われて18で死んだ。下の息子は終戦の1年前に敵と交戦して戦死した、23だったよ。」
「お前らの親はまだ生きてるだろ?せめて、せめて親よりも先に死ぬンじゃねえぞ。栄達とかそんなんよりも生きてさえいてくれりゃぁ、それでいいンだからよ。」
「あー、やめだやめだ。歳を取ると説教くさくなってダメだな。食い終わったな?出発するぞ、良いな?お前ら。」
湿っぽくなった空気を放り投げるようにまくし立て、ガフガリオンは立ち上がった。
「う、うん。わかりました。わかりましたから、待ってください。」
クライブは急いで残りを口に頬張った。
「じゃあ、帝都に帰りましょうか。霧も薄くなってるし、今のうちに帰りましょう。」
ヒューゴを先頭に歩き出した四人。
しかし、それはもう遅かった。
「っく、おいっ!なんかすげえ勢いで近付いて来てるのが居るぞっ!気を着けろっ!」
ヘッケランが焦ったように声を出した。
それは、黒かった。
首無しの馬に乗った騎士。
騎士もまた、首が無かった。
全身真っ黒の首無し騎士が、一行の行く手を阻むように立ち塞がった。
「デュ、デュラハンだと・・・う、うそだろ・・・。なんで。」
震え、声もまた震えるヘッケラン。
「お、終わりだ・・・勝てっこないよ。」
半泣きのクライブ。
「・・・・・・」
絶句するヒューゴ。
ジャリッ
なんの音かと見れば、ガフガリオンが三人をデュラハンから守るように立ち塞がっていた。
「さて、漸くちったあ手応えの有りそうなのが出てきたな。」
デュラハンを睨みつつ、ガフガリオンは剣を抜き構えた。
「さて、小僧ども。目ン玉かっぽじって見ときな。」
死せる騎兵と死んだはずの騎士が剣を交える刻が来た。
今回のオリキャラ2名
クライブ
俺の夢は小説家!資料集めのために参加してるのさ。
ヒューゴ
オッス!
汎用キャラのヘルプメッセージ一覧から使えそうなのを選んでみました。
オバロ原作においてヘッケランは二十歳前くらいのようなので、それより若い頃としました。
冒険者を目指していたが、お金が大好きでいつの間にかワーカーになっていた。というヘッケランの冒険者を目指していた頃というイメージで書いてます。
まだ実家暮らしで小遣いを稼ぐ為に、友人達と一緒にカッツェ平野でチマチマとアンデッドの間引きをしている所です。
口調を分けるのが難しい。三人とも平民ではあれど多少裕福な実家で教育を受けているので、目上には敬語または丁寧語で話すよう言われてる。という脳内設定を着けてるので、ややこしい。