さよなら、ガフガリオン。   作:詠むひと

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なんか、お気に入りがえらい増えてて驚いてます。


衛兵さんの、長い長いお話。

「じゃあとりあえず、お前ら三人はどういう繋がりでパーティー組ンでんだ?」

 

「んー、繋がりって言うか。俺とヒューゴは幼なじみでクライブは衛兵詰所に間引きの申請行った時に会った。」

 とヘッケランは言う。

 

「俺はヘッケランとは今の通りだけど、クライブは衛兵隊への納品行った時に何回か会ってた。ああそれと、うちは鍛冶屋やってて衛兵隊はお得意様なのさ。」

 と得意気なヒューゴ。

 

「何で鍛冶屋の倅がアンデッドの間引きなんてやってンだ?」

 

「うちの一族の習慣でさ、良い剣を造るには剣の使い方や戦い方を知らねばならない。ってさ。」

 

「その割りには、何でメイスなンだ?」 

 

「剣と言ってるけど、武器防具全般なんだよ。使い手の気持ちを知るべしって。」

 

 言われて見ればその通りだと納得した。

 

「クライブの方はどうなンだ?」

 と聞けば。

 

「ああ、俺?いや、小説家になりたいって親父に言ったらさ。」

 

「ほう、んで?何書くんだ、世間知らずのお前が?って言われて。軍紀物って言ったらさ。戦い方も知らんような者が書けるもんじゃねえぞ。って言われたんだ。」

 と不満気なクライブ。

 

「いや、当然だろ。それは親父が正論だろう。」

 何を言ってンだか。

 

「いや、そうなんだけど。まあ、で、とりあえず戦い方を知るって事で衛兵隊の訓練所で訓練してたら、親父が来て彼らとアンデッドの間引きに行って勉強してこいって言われて。訓練する前から剣は使ってたけど、槍を扱えるようにしろって言われててさ。」

 

「えーとまあ、その。答に窮してたら実戦で覚えて来いって言われて三人とパーティーを組んだ。いや、甘いんだろうけど。でも納得行かなくて。」

 

「いや、甘いでしょ。それくらいは俺でも分かるよ。」

 何言ってんのと言いたげなヘッケラン。

 

「前から思ってたけど。クライブって甘やかされてたでしょ?うちでそんな事言ってたら親父にぶん殴られて終了だよ。」

 とヘッケランは言う。

「だって、物書きなんて直接何か生み出すわけじゃ無いじゃん。誰かが余裕がある時に買う奴じゃん、で紙は高いしインク代も馬鹿にならない。物書きなんて金持ちの道楽だよ。」

 呆れたように言うヘッケラン。

「親父さんはとりあえず衛兵になれって言ってたし、自分の稼いだ金で紙やインク買って趣味でやりゃ良いじゃん?クライブは親の脛齧り続ける気なのか?悪いんだけどそういう所は好きになれない。クライブが良い奴なのは知ってるけどケジメ付ける所は付けろよ。」

 結構辛辣な事に言ってるが、まあヘッケランに同意だな。

 

「わかってるさ、このままじゃダメなのは。だから間引きやって給料貰ってるんだし。」

 とクライブ。

 

「貯めてる、お金?結構好き勝手に使ってるように見えるけど?」

 ヘッケランは首を傾げつつ聞く。

 

「いや、ちょっとは貯めてるよ。」

 後ろめたそうに言うクライブ。

 

 それを聞いた俺とヘッケランはため息をついた。

 

「クライブよぉ、それは甘めえぞ。親許にいる今しか貯められんだろ。今幾つよ?17だろ。そろそろ人生考えとけよ。」

 俺は深々ため息をついた。

 

「クライブ、俺は冒険者になりたいから。今は実家の手伝いしつつうちに置いて貰えるけど、もうすぐ出なきゃいけないんだ。お前さ、甘えてていきなり家を出ろって言われたとして、出れんの?出れないでしょ。そんなんじゃやってけないよ。」

 ヘッケランは現実を見てるって言うか見させられてンだろうな。

 

「うちの場合で言えば、二十歳までは武術と鍛冶を平行でやって二十歳からは鍛冶に専念しなきゃならんから。俺はあと半年しかやれんぞ?」

 とヒューゴは言う。つうか平行でやってンのかよ。

 

「ヒューゴ、もしかしてそのメイスは自作か?」

 とヒューゴが手にしているメイスを見つつ聞いた。

 

「ええ、そうです。親父からメイスは及第点もらってます。もっとも、バックラーの方はまだなんでコレは親父が作ったやつなんですけどね。」

 とバックラーを見せつつ言った。

 

「親父からはあと半年以内でバックラーも及第点つけられるようにしろよって言われてますよ。」

 苦笑いしつつヒューゴは言っている。

 

「メイスの方をちょっと見せて見ろ。ほお、良くできてるじゃ無いか。重心も悪くないし、良い出来だ。」

 メイスを返しつつ言う。

 

「そう言って貰えると嬉しいです。」

 笑顔になったヒューゴは少し歳よりも幼く見えるな。

 

 

 雑談していると。

 

 ノックの音し、二人の衛兵が入って来た。一人はマクニールだ、となるともう一人が指揮官か。

 

二人はおれの正面に立ち

 

「お待たせ致しました。私が担当を務めさせていただきます南西門衛兵隊のゼルと申します。」

 四十代半ば程と思われる金髪を短く刈り上げた物腰が低い人物が来た。

 

「では、これより受付を進めさせて頂きます。マクニール、書類を。」

 

「はい。」

 マクニールがテーブルの上に書類を並べ始めた。と言うかコイツら立ったままだな。俺が言うべきか微妙だが・・

 

「どうぞ、お掛けください。」

 

「はい、では失礼したしまして。」

 と言いながらやっと座った。

 

「ではまずはこちらから」

 

■身上調書(姓名、歳、出身国、出身国での所属及び職業、前職、前々職、入門の目的、既往歴)

 

■帝国法抜粋

 

■帝都特別規則集

 

■帝都内公共施設案内

 

■帝都観光案内

 

 となっていた。

 

 そもそも、見覚えの無い文字なのに何で読めるンだよ。自然と頭に浮かび当然のように受け入れたがそもそも異常だ。

 だがしかし、己の命自体が不可思議なンだ。考えるのはよそう。

 

 

「こちらの書類の方へ記入願います。遠方よりお越しになられたと言う事ですが、こちらの文字の読み書きは出来ますか?不自由でしたら代筆を承りますが?」

 

 不可思議だ読めるだけでなく、書き方もわかるとは。どうなってンだ。

 

「ああ、問題はない。」

 

■身上調書

 

姓名    ガフ・ガフガリオン

歳     56歳

出身国   イヴァリース王国

出身国での所属及び職業

現職    北天騎士団 傭兵

前職    東天騎士団 分隊長

前々職   無し

入門の目的 手掛かりを探している

既往歴   腰痛

 

 

「これで宜しいか?」

 それなりの声音で聞く。

 

「はい、では失礼して。」

 書類に目を通し始めたゼル指揮官。

 

「イヴァリース王国とはどの辺りの国なのでしょうか、この周辺国では聞き覚えが無い物でして。」

 まあ、そうだろうな。俺だってバハルス帝国何て知らンわ。

 

「この帝国との位置関係はわからない。お恥ずかしい話ですが、前後不覚になって記憶が一部飛んだ状態でカッツェ平野をさ迷っておりまして。何らかの任務を帯びていたと思われるのですが、判然としないのです。」

 ボカして言うしかない。

 

「それは、また・・・。では、何者かに記憶を奪われたか消されたか。と言う事でしょうか。」

 困惑しつつも、疑わしげに聞いてきた。

 

「ああ、そういう事になるな。このような事を言っても信用は難しいだろうが、小官にはこう言う他無い訳でして。」

 実際、無い。何でかは本当にわからない。

 

「わかりました、一部記憶喪失と言う事にしておきましょう。」

 手元のボードに何か書いてるな。

 

「では次に職業及び所属ですが、傭兵?ですか?騎士では無く?」

 困惑しているな。

 

「ああ、現在は北天騎士団に雇われる身であり、正規の騎士では無い。騎士としての任務は遂行しているが、名目上は傭兵としての扱いとなっている。この件は複雑なのだ、悪いが詮索は控えて貰いたい。」

 実態はダイスダーグ卿の私兵だしな。

 

「わかりました。お国の事情でしょうし追及はしませんが、こちらの書類上では騎士と記入させて頂きます。」

 まあ仕方ないか。

 

「では、前職について。東天騎士団分隊長となっていますが、これは国内の別の騎士団と言う事でしょうか?」

 

「その通りだ。小官の所属していた、東天騎士団は諸事情により解散となった。それにより北天騎士団へと移り傭兵扱いとなった。」

 嘘は言ってないぞ、詳しく言ってないがな。

 

「わかりました。入門の目的ですが、先ほどの記憶喪失の件でしょうか?」

 

「その通りだ。少しでも事態の解決の為の手掛かりが欲しい。その為最寄の街へ行こうとした所、彼らに会いここまで案内して貰った。」

 近いって事は何かあるだろう。

 

「既往歴は腰痛ですか。」

 

「ああ、腰痛だ。見ての通りの歳だからな。」

 これは本当だ、歳を取ったな・・・。

 

 

「以上確認を終わらせていただきます。ご協力ありがとうございました。続きまして帝国法と帝都特別条令の説明に移ります。とは言え特別な事はあまりありません。」

 

・往来での抜剣及び殺傷が可能である魔法の使用禁止

 

・歩行者、馬車専用道の通行の際は衛兵隊交通統制員の指示に従う

 

・皇城、魔法省、情報局には入場許可が無ければ立ち入り禁止。職員に用の有る場合は門前の衛兵に申し出る事

 

・抜剣及び魔法は緊急時以外は原則として屋外での使用禁止、緊急時に使用した場合は事後に衛兵隊に申し出る事

 

・帝都内で犯罪を目撃または怪しいと思ったら自分行動するのでは無く、速やかに衛兵隊に通報する事

 

・労務奴隷は帝都臣民である為殺傷または侮辱した場合は処罰される。またドワーフ奴隷は交易への悪影響の恐れがある為、原則禁止。亜人及びエルフはその限りでは無いが、往来での殺傷、侮辱、局部の露出は帝都の品位を貶める物として処罰される。

 

・その他、衛兵または帝国騎士からの誰何には速やかに答える事。

 

・(貴族以外の受付者向け)貴族には関わるな!近寄るな!何か有っても誰も庇いだて出来ない。

 

・・・・・・等々

 

施設案内・・・・・

観光案内・・・・・

 

 

 

 

「以上です。ここまでで何か質問は?」

 

 長い・・・本当に長かった。

 

「闘技場への出場は外国人でも出来るのか?」

 

「はい、可能です。ですがあらゆる責任の一切は出場した本人に掛かります。お勧めは出来かねます。他には?」

 

 

「両替は出来るだろうか?」

 ギル金貨を取り出して聞いた。

 

 

・10000ギルで1ギル金貨

・10ギル銀貨10枚で1ギル金貨

・1000ギルで1ギル銀貨

・1ギル銅貨1000枚で銀貨、10000枚で金貨

とする。

 

「金含有量による両替は可能です。秤をもって参ります少々お待ちください。マクニール、秤を。」

 

 

 

 

「含有量換算でギル金貨1枚で1交金貨ですね。どれくらい交換なさいますか?」

 

 

 財布を取り出して

「100枚で頼む。」

 

「・・・わ、わかりました。」

 絶句してたな。まあ100万ギルって言ったらそらそうだわな。財布にはあと150万ギルある、後で新しい財布を買わンとな。

 

 

 

「両替は以上です。他には?」

 

「だいたい聞いたな。以上だ。」

 

「では、また不明な点がございましたら最寄の衛兵隊詰所にご確認下さい。それではこちらが入門証です、こちらは平民向けと違って有効期限はありません。帝都を出る際は、各方位門へ返却願います。」

 

「了解した。説明感謝する。」

 

「こちらこそ。数々の不手際、申し訳ありませんでした。では、よい1日を。マクニール、帝都内門までの案内をしなさい。」

 

「はっ、了解しました。」

 

「では、私はこれで失礼します。」

 そう良いゼル指揮官は退室した。

 

 

「帝都は規則が多いンだな。統制は取れているンだろうが。これは腰に来るな。」

 立ち上がって腰を回した、バキバキ鳴ってるな。

 

「あの三人は、と。寝てるな。おーい、起きろー。もう行くぞ。」

 仕方ない、起こしてやるか。

 

 

 その後、マクニールの先導により帝都内門へ辿り着いた。長かった。門に来てから約2時間近いンじゃ無いかと思う。

 

 

「とりあえず市街地衛兵隊の本部まで行きます。間引き後は帰還の報告が必要ですから。今回は報告したあと親父と話して来ます。俺もちゃんと考え無いとダメだって分かったからさ。」

 空を見上げつつクライブが言った。

 

 

 クライブが先導するのについて行きつつ周りを見ていると見た事の無い物も多く新鮮に感じる。

 王都ルザリアよりも道幅が広く、馬車用と歩行者用で通路が別れていて間には防護柵が設けられている。そんな光景を見つつ間の抜けた声をつい漏らしてしまう。

 

「アレがさっき言ってた交通統制員とやらか。」

 今歩いている道も大きいのだが、この先で交差していてその真ん中に衛兵が二人居る。

 

「なあヘッケラン、何で片方は座ってるンだ?」

 疑問に思い聞いた。一人は立って両手に手旗をもって何やら動かしているが、もう一人は椅子に座っている。

 

「ああ、アレ?もう片方は交代要員兼監視員だよ。ああいう大きい道って事故もあるしね。」

 

 なるほど、言われてみれば納得が行く。正直、今までこンな事考えた事が無いが頭の良い奴が居るもんだと関心した。

 

「こっちじゃあンなの居なかったから人と荷車や馬車でごった返してて、こンなスムーズに進めなかったな。」

 これじゃまるでルザリアが田舎みたいだと思ってしまうくらい効率が違う。

 

「帝都以外もこうなのか?」

 

「いや、まだ帝都だけらしい。でも、今の皇帝は他の都市も順次整備して行くらしいけど。」

 そうヘッケランが答えた。

 

「あの、ガフガリオンさん、お願いがあるんですけど聞いて貰えませんか?」

 ヒューゴが聞いて来た。

 

「なンだ?」

 

「後でうちに寄って貰えませんか?俺の親父は珍しい武器や業物を見るのが好きなんです。もし良ければ、その剣を見せてやってくれませんか?」

 剣に目を落とした後、聞いてきた。

 

「ああ、構わンぞ。別に減るもンじゃないし。俺も鍛冶屋の方を見せてもらいたいが良いか?」

 こっちの武器がどンな物かは気になっている。

 

「ほんとですか、ありがとうございます!ええ、是非見ていって下さい。」

 笑顔で言うヒューゴ。

 

「そういえば、ヘッケランは商人の息子だったな、お前の所ではどんな物を扱ってるンだ?」

 

「うち?雑貨とか武器や防具、あと調味料とかもかな。色々手広くやってるよ。まあ、武器関係は矢とか消耗品が主かな。防具の補修用の革紐とかもあるな。逆に鎧とか剣はほとんど無いよ。親父に言わせると、そう言うのは武器屋に任せとけば良い、うちはついでに買っていこうと思わせれば良いんだ。だってさ。」

 

「まあそうだな。確かにそういった物ならばついでに買っていこうと思うな。後で寄ってみよう。」

 

「おっ、お客さんゲット。」

 にししと笑うヘッケランだった。

 

「あー、俺だけ仲間外れかー。もうちょいで着くからなー。」

クライブが苦笑いで言っている。

 

 

 さて、衛兵隊とやらの練度はどの程度かと気になるのは職業病だろうか。これだけ大きな都市だ冒険者や流れ者も多かろう、荒くれ者共を押さえつけなきゃならンのだ。

 

 東天騎士団での事を思い出す。

士官候補生のひよっ子共が酔っ払って暴れて、衛兵にボコボコにされて捕縛されてたな。

 

 「(さあ、見定めてやろう。)」

 

 

 俺達は、石造りの堅牢そうな3階建ての建物へ入って行った。

 

 




ゼル「明日から禁煙!」

捏造設定がどんどん増えて行く・・・

受付が異常に長いのは、遠方の外国籍向けの説明だから長いと思って貰えれば。

門に来るのは商人と冒険者を除けばほとんど帝国人なので、通常は身分証見せて終わりです。
商人と冒険者はそれぞれの組合の証明書またはプレートを見せて、商人はそれに追加で荷物の確認等で2~15分程度って言う設定です。原作にこの辺って詳しく書いてましたっけ?覚えて無いので適当に設定しました。

両替もだいたい適当です。いくらなんでも金貨だけって事はないでしょうし。


あー、長文しんどいですね。1500くらいならすぐ書けるようになりましたけど、サイトとしての推奨文字数と言うのがあるのでそれを目指しましたが、難しいです。
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