一応3話くらいになればと思います。
感想や評価お待ちしております!!!
「ふぅ…。ソラ,ハナ。準備できたか?」
冥界への移動日当日。時刻は既に17時を回り、そろそろ部屋を出なければならない時間となっていた。
虎徹は少ない荷物をリュックへと詰め込み、背中に背負う。
「うん。僕もハナも準備できた」
虎徹の前には、彼同様にリュックを背負うソラとトートバッグを手に持つハナが並ぶ。
拠点を持った生活が厳しかった為か、20分もあれば準備が出来てしまう今の自分たちを憂いつつ、これからの事を考える。
「よし、じゃあ引っ越しといくか!」
虎徹の楽しそうに声に、子供達はうん!と笑顔で応えた。
今回の冥界への移動を、子供達には引っ越しと説明。
既にアザゼルが冥界に住居を用立ている為、新しい生活をそこで送ると段取りを立てていた。
加えて、今回の滞在で仲良くなれた朱乃達も会いに来ると約束した為か二人とも上機嫌だ。
けれど、二人の中にはいつも優しくしてくれた
我慢をする二人の頭を強く撫で、虎徹は両の手を兄弟へ差し出した。
「なんつーか、夜逃げする親父とその子供って感じだな」
冥界への移動手段、グレモリー家の列車の始発駅である駒王町最寄駅へ並んで歩く三人を見守る者の一人、フリードは少し離れた位置から呟く。彼の横には周囲を警戒を怠らないゼノヴィアとイリナが並ぶ形で共に歩く。
現在3人は虎徹達を後方から尾行する形で監視する役目を担う。
「駅構内に敵や不審なもの何もなかったです」
「ありがとう、ギャスパー君」
虎徹達を先回りする形で、駅の構内の監視及び不審人物の確認を担うのは感知に長けた小猫やギャスパー、そして彼らの護衛役も兼ねて裕斗と小猫の四人が配置された。
作戦の決行内容は虎徹達三人を駒王町最寄駅からグレモリー家の列車で冥界へ移動させるというもの。
仮に妨害があれば敵の迎撃、及び3人の保護。対処の主なメンバーはオカルト研究部、シトリー眷属、バラキエル、ロスヴァイセ、フリード。
アザゼルは都内某所にて行われる会談に、オーディンと共に出席という形を取っている。一応,襲撃があれば共に出席をするサーゼクスに後を任せこちらは急行する手筈となる。
現在、三人を主に警護しているのはオカルト研究部とフリード。
他のメンバーは、街の警護兼ねて分散した配置となっている。しかし転移の魔法陣をそれぞれが持っているため有事の際には即座に合流可能となっている。
【部長,今の所怪しい気配は特にありません】
小猫からの通信機越しの報告に、ありがとうと返事を返すリアス。
彼女は巧とアーシアと共に駅敷地内の駐輪場にて待機。その傍にはオートバジンとサイドバッシャーも待機させていた。
リアスは小猫の報告に思考を巡らせる。どう仕掛けてくるのか、敵の数、配置。そして、巧とフリードからの報告にあった影山冴子の言う実験。
数多くの可能性を考慮しつつ、敵との戦闘を可能であれば避けられる事を願う。そんな希望を砕くように、三人の前に何者かが立つ。
「距離を詰めるわ」
リアスの指示に二人が頷く。
即座に戦闘体勢を取らなかったのは、虎徹達の周囲には全く関係のない民間人達がいるからだ。
駒王町の中でも高い人口密度を誇る駅近辺で躊躇なく戦いを始めるわけにはいかない。
最も近しい距離にいた巧達が最短で虎徹達3人の元へ。巧が虎徹に視線を向けると焦りと驚愕に満ちていた。その様子に非常事態と判断して、即座に声を掛ける。
「おい、どうした?」
「あ、あいつは…。うちの仲間の一人で…」
すると何かが落ちる音がする。振り返ると来ていたはずの黒いパーカーを脱いだ何者──虎徹の仲間とされる人物は、露わになった体格と顔立ちから女性である事は分かった。それ以上に巧達を驚かせたのは生気を感じられない肌に冷たく白い肌。
「……」
何かを呟くがうまく聞き取れない。攻撃をするか否かを判断に迷う巧達を前に女性が紙を取り出した。
そこに刻まれたのは召喚に用いられる魔法陣。
「皆、すぐに駅の入り口へ!」
リアスの指示と同時に巧は女性の眼前に距離を詰め、魔法陣が描かれた紙を持つ手を掴む。
女性は特に抵抗もせずに、紙を地面に落とす。数秒の後に手を掴まれたはずの女性の口が微かに動いている。
巧の視界には女性の背中越しに、駅構内で待機していた朱乃達が。
背後からはフリード達の声が聞こえる。
再び女性へと視線を向け、その口の動きを注視する。
逃げて、そう聞こえたその時。
「お前ら、逃げろ!!」
巧の怒号が響くの同時に、その場の全員が生暖かい不気味な感覚に包み込まれていった。
「…っ!?」
次の瞬間、巧達は駒王町ではない空間にいることを認識する。
先程までの通行人がいて、お店が立ち並ぶ風景から殺風景で、ただ街並みだけが駒王町と同じ空間。
空虚な箱と化した空間に放り出された面々は、互いに顔を見合わせて安全を確認し合う。
「これは空間転移!でもどうやって」
リアスがこの現象の答えに辿り着くが原因解明には至らない。
それでも仲間や虎徹達の無事を確認した巧はふと自分が手を掴んでいたはずの女性がいなくなっていたことに気づく。
「あっ」
ハナの声が聞こえた。
ソラと手を繋ぎ、何かを見つけたような声。その場にいた全員の視線はその先に。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そこにいたのは、先程巧が手を掴んだはずの…虎徹達の仲間と呼ばれた女性。頭を抑え、周囲一面に鳴り響く金切声。
その声と共に女性の体が徐々に異形いや、怪物の体へと変化していく。
「みんな!!戦闘体勢を取りなさい!!!」
リアスの指示に、皆が剣を、拳を、魔力を、構える。けれど、そんな覚悟を打ち消すようにそれは現れた。
「GYAAAAAAAAAAA!!!!!」
リアス達だけでなく、巧さえも遭遇したことのない最大級にして、最強クラスのオルフェノク。その体は氷河期に生息したとされる巨大な角を額から3本生やした犀の一種、エラスモテリウスを彷彿とさせる。実に体長30メートルを超えるエラスモテリウスオルフェノクが生まれて初めての雄叫びをあげた。
「避けろっ!!!」
かつてない程の強敵を前に皆の動きが固まる中、巧は即座に全員の意識を現実へと引き戻すべく叫ぶ。
リアスが見上げると、エラスモテリウスオルフェノクはその巨大な前足を振り上げる最中にあった。標的は間違いなく自分達。
「全員回避!!!」
巧とリアスの檄に、固まりつつあった残りのメンバーもその場からの退避を行う。
ハナとソラは一瞬逃げ遅れそうなるのを、巧がソラを、裕斗がハナを抱える達で回避。
その直後振り下ろされた腕は皆がいた場所へ振り下ろされた。
その一撃は容赦なく地面を叩き割り、あのままそこにいれば即死であった事を物語る。
『Standing By』
「「変身!!」」
『Complete』
『Standing By──Complete』
二人のライダーは同時に変身を完了させる。
ファイズはいつも通り手首をスナップさせ、カシャっと響きのいい音が転移空間に響き渡る。
「リアス、指示頼む」
隣にいたリアスに戦闘の指揮及び配置の構築を託して、ファイズは自身がやるべき事──エラスモテリウスオルフェノクの撃退へ向けて駆け出す。
勢いよく飛び出したファイズの背中を見たリアスは、通信機へ声を乗せる。
「ソーナ、ロスヴァイセ、バラキエル応答して!」
『リアスですか!状況は!?』
ソーナの声にいつもとは違う焦りがあるのを感じながらも、あえて冷静であることを務めながら言葉を紡ぐ。
「至急こちらに来れるかしら。…おそらくこの空間は駒王町を擬似的に再現してるはず。今私たちは駅付近で敵と交戦を開始したわ」
『私達は、ロスヴァイセさんとバラキエルさんも含めて合流しています。すぐにそちらに向かいます!』
なるべく早く応援が来る事を期待しつつ、戦闘を始めている面々の配置を整える為、即座に支持を送る。
「朱乃、イリナさん!敵が攻撃仕掛けるタイミングでその部位目掛けて雷光と天使の光をお見舞いしてあげて!アーシアは後方で怪我人の回復を。絶対に前に出ないようしなさい!…虎徹さん、貴方は子供達を!」
リアスの正面では、ファイズとデルタ、そして裕斗とゼノヴィアと小猫がエラスモテリウスオルフェノクへ距離を詰めて交戦。
朱乃、イリナは後方から雷光と天使の光を用いて遠距離攻撃を繰り出している。ギャスパーは邪眼の力を使い停止を試みる。虎徹は怯えるハナとソラの前で立ち,二人に攻撃の余波が行かないように壁役。アーシアは遠距離から回復の支援を始まる。
更なる支援として自分達と共に転移されていたオートバジンとサイドバッシャーの元へ。
「お願い、貴方達も私たちに力を貸して!」
その言葉に、ピロロと電子音が鳴る。
二機のバイクが同時にバトルモードへと変形を遂げる。リアスの指示を主人のピンチと判断したのか共に彼等の元へと動き出す。
全員の歯車がうまく回り始めた事を感じ取り、リアスも魔力練り上げて滅びの魔力を敵へと放ち始めた。
「硬い…!」
エラスモテリウスオルフェノクの前足による攻撃を上手く掻い潜り、懐に入った所で全力の拳を叩き込むもその効果は皆無。
むしろ殴った拳にダメージが入るような感覚に見舞われ、判断を切り替えざるを得ない。即座にドライバーに換装されたファイズフォンを抜き取り、シングルモードへ。
『Single Mode』
コードを入力し、ファイズは巨大な体躯の懐からあえて敵の視界へと入り込む。エラスモテリウスの標的となる事で、その視線を自分に向けさせた所で精密射撃を特徴に持つシングルモードで狙撃を狙う。
「Guuu!!!」
分厚い体であっても粘膜部分はそこまでは強くないのか、一瞬怯んだ隙に再度シングルモードでの射撃を巨大な眼に向けて放つ。ファイズの攻撃を察して、デルタも即座にバーストモードにデルタフォンを切り替えて、光弾をもう片方の眼へと放つ。
「裕斗、ゼノヴィア!今よ!!」
「はい!」
「任された!!」
二人のライダーの生み出した隙を察知し、リアスは
駒の特性を活かした機敏な動きで、巨大な体躯を駆け上がる二人。
フォトンブラットの光弾で痛みに耐える体に揺られながら、二人の剣士は己の剣をエラスモテリウスオルフェノクの瞳へと突き刺す。
「 Aaaaaaa!!!!!」
声とも呼べない程に歪んだ音を鳴らし、光を奪われた事を嘆くように体を揺らすエラスモテリウスオルフェノク。
巨大な顔を勢いよく振るった事で体を投げ出された裕斗とゼノヴィア。その勢いは凄まじく,地面に叩きつけられれば頑丈な悪魔の体とはいえダメージは否めない。
咄嗟に受け止めようと仲間達が動くも、その前に。
「ありがとう、バジン君」
「すまない、バッシャー」
裕斗をオートバジンが、ゼノヴィアをサイドバッシャーが空中で受け止める。お礼の言葉にバジン達はヘッドライトの部分を光らせる。まるで問題ないと言わんばかりの反応を見せ、そのまま二人を着地させる。
「小猫!」
裕斗とゼノヴィアのフォローをバジン達が引き受けてくれたのを確認し、ファイズは助走をつけてから勢いよく駆け出す。
向かう先は猫又状態の小猫がいる場所。
「任せて下さい」
小猫も呼びかけ一つで何を求めているか察知し、腰を落としてバレーのレシーブのような体勢で構える。
助走の勢いのまま、小猫の重ねた両方の掌に足を乗せる。
「えいっ!」
トスを上げるようにファイズを乗せたまま、両手を空へ掬い上げる。
宙を舞うファイズは空中で体勢を整えて、ミッションメモリーをファイズショットは換装。
『Ready』
『Exceeed Charge』
ENTERキーを押し、ファイズショットを握る右手にフォトンブラットが集約される。
聞き慣れた電子音が聞こえ、リアスと朱乃は視線のみで互いの意思を疎通しあう。
「「はぁ!!」」
同時に放たれた雷光と滅びの魔力は、共にエラスモテリウスオルフェノクが雄叫びを上げる為、大きく開く口腔内へ。
先程の眼同様に粘膜系は衝撃には弱く、巨大な体とは裏腹な軽快な動きを数秒間鈍らせる。
2人の魔力による痛みが消えた時、エラスモテリウスオルフェノクがファイズの接近を感知したと同時に赤い光を集約した拳が額目掛けて振りかぶられる。
「…なっ!」
完璧に決まった筈のグランインパクトは、エラスモテリウスオルフェノクの巨大な額に軽い凹みを作るだけ。いつものφの紋章が浮かび上がるどころかマトモなダメージが通ったかも怪しい限りだ。
「…がっ!!」
動揺するファイズは、顔の周りを飛ぶ蠅を追い払うかのように簡単に吹き飛ばされる。衝撃を感じた時には体は空中へ投げ出されていた。数十mは離れた建物の外壁や破りながら、吹き飛ばされた事に気づく。
「イッセー君!」
「朱乃、敵が来るわ!」
吹き飛ばされなファイズを叫ぶ朱乃。無意識に駆け寄ろうと敵に背中を見せる隙を与えてしまうも、リアスが彼女の肩を叩く事で共に空中へ飛空。
「 AAAAAAAAAA」
またしても空を切る自身の攻撃に、エラスモテリウスオルフェノクは怒り心頭に発する。
己を取り囲む矮小な存在を複数捉え、その全てを根絶やしにすると決めた時、恐ろしい本能が目を覚ます。
まずは先程口腔内へ攻撃を加えた
「部長、朱乃先輩避けて!」
偶然にもその攻撃を最初に認知したのはギャスパー。
エラスモテリウスオルフェノクの鼻腔から飛び出たのは、悪魔にとって最悪な攻撃──天使の光を宿した針。
ギャスパーの声共に寒気を感じた二人は、共に回避のために左右に分かれて飛び続けるが、尚も針を放ち続ける。その標的はリアスと朱乃だけではない。
「行くしかねぇ!」
光の針が放たれ続ける中、デルタは自身を眼中に捉えないエラスモテリウスオルフェノクへと突撃を開始する。
一瞬、ゼノヴィアと近くにいたサイドバッシャーへ視線を向ける。ゼノヴィアもその意図を察し、自身が愛剣デュランダルを大きく振るい機動力の低いメンバーや虎徹達を光の針から守り抜く。
サイドバッシャーは右腕に搭載された4連装濃縮フォトンブラッドバルカン砲──通称フォトンバルカンを放ち、皆を無差別に襲う巨大な敵の意識を自分とデルタへ向ける。
「Check!」
『Exceed Charge』
駆け出しながらも、デルタムーバーからポインティングマーカーを光の槍を放ち続ける鼻腔へ。
敵が気づくと同時に跳躍し、距離を一気に詰める。
「これでも喰らえや、クソ犀がぁぁぁぁ!!!」
ファイズのクリムゾンスマッシュを超える威力を誇るルシファーズ・ハンマーを正面から受け止めるエラスモテリウスオルフェノク。
激突は周囲を及ぼし、エラスモテリウスオルフェノクを中心に大きな爆発が巻き起こった。
「イッセー君!しっかりしてよ、お願い!」
「…っ、悪い!」
エラスモテリウスオルフェノクに周辺の建物内まで吹き飛ばされたファイズは、駆けつけたイリナの声で飛びかけていた意識を取り戻す。
伸ばされた彼女の手を借り、立ち上がる。瓦礫の上を駆け抜けて、戦場へ舞い戻るとその先に見えたのは、デルタのルシファーズハンマーが完璧に命中する姿だ。
「決まったわね!」
仮面ライダーの必殺技が決まり安心するイリナの隣で、ファイズはその場から即座に駆け抜ける。
かつての強敵の中には、二人以上のライダーから同時に必殺技を受けても
今自身の中にあるのはそれらを目撃した時以上の恐怖。
「まだ倒せてない!!もう一回だ!」
ファイズの怒号の意味を察したデルタが振り返った瞬間、その巨体を揺らしながら立ち上がった。
ならば再度必殺技を叩き込むのみ。駆けるファイズを先行するようにオートバジンとサイドバッシャーはミサイルやバスターホイールを放つ事で敵の意識を分散させる事に徹する。
光の針を放ち始めるエラスモテリウスオルフェノクの背後から、小猫とゼノヴィアが同時に仙術で練り上げた青い火球とデュランダルの力を最大限高めたオーラを同時に解き放つ。
「イッセー君、フリード!!同時にキックを!!」
猛る裕斗は、両手に聖魔剣を構えながらエラスモテリウスオルフェノクの体を支える4本足を最高速度で斬り続ける。
『『Exceed Charge』』
ファイズの右足に、デルタの両手に、それぞれの色のフォトンブラットが集約される。
再びの危機に、オカルト研究部総出の攻撃を受けながら二人のライダーを葬る為に光の針を射出する。
防御の姿勢を取るデルタとファイズ。デルタの前には朱乃、ファイズの前にはリアスが立ち塞がり防御の魔法陣を展開する。
「イッセー、お願い!」
「あぁ!」
エラスモテリウスオルフェノクの体を挟んで、左右から同時に駆け出す。
リアスは自分を通り過ぎて駆け抜けるファイズの背中を見送る最中、通信機からの声が。
耳を覚ますと──ノイズが走り内容は聞き取りにくいが、それでも聞こえたのは自分を呼ぶ声。
『リア──、サイ──バラキエル様が──』
通信からはそれ以上の内容は聞こえかった。
けどリアスの耳には、何かがこちらに何かが近づく音が【二つ】。
次の瞬間には必殺のキックを放つ筈のファイズとデルタが何故か墜落をした姿が映る。
「イッセーさん!!」
「フリード!!」
アーシアとゼノヴィアの叫びが駒王町を模した空間に響き渡る。
火花を散らして地面に倒れるファイズを猛追するのは、青いと白を纏った戦士──サイガ。
「まずは一人目。ファイズから始めよう」
「GYAAAAAAAAAAA」
宣言と共にサイガとエラスモテリウスオルフェノクが進撃を始めた。
というわけで劇場版からエラスモテリウスオルフェノクを引用しました。
次回もよろしくお願い致します。