・しがつじゅうきゅうにち
ぱぱとままがにっきちょうをぷれぜんとしてくれました。いちにちのたのしかったことをかいていくんだそうです。はっぴーばーすでーって、なんだろう?
・4がつ19にち
きょうは、わたしのたんじょうび。パパが、ピアノをプレゼントしてくれたの。これでまいにち、ピアノがひけるのね。とってもたのしみ! いつか、おおきなばしょで、たくさんのひとにわたしのおんがくをきかせてあげたいな!
・四月十九にち
今日は、しょうがっこうに入ってはじめてのおたんじょうび。でも、まだちゃんとはなせるお友だちがいないから、だれにも言えなかったの。ちょっとガッカリ。でも、つぎのおたんじょうびはおいわいしてもらうの!
・四月十九日
二年生になったけど、お友だちはぜんぜんいません。はなしたくても、なにをはなしていいかわからなくて、いつも一人です。でも、おべんきょうはできるの! テストはいつもひゃくてんなんだから! パパとママは「じまんのまきちゃん」ってよしよししてくれるから、すごくうれしい!
・四月十九日
小学生で誕生日をむかえるのも、今日が最後なのね。六年間もいれば、わざわざ話さなくても誕生日は知られたみたいで、何人かにはおめでとうって言われたわ。でも、あれはどう見てもついでにって感じだったわね。だからあんまりうれしくなかったし、ありがとって言ってそれでおしまい。クラスメイトの誕生日なんて、そんなものよね。
・四月十九日
特に変わった事はなかったわね。パパとママも忙しいし、一言貰ってケーキ食べただけで、いつも通り。今年は受験もあるし、誕生日なんかで浮かれてる場合じゃないわ。音ノ木坂に受かったら知り合いは全然いないだろうし、きっと誕生日なんて誰にも話さないで終わるのね。
・四月十九日
学校に着いたら、いきなり凛が抱きついてきてびっくりしたわ。誕生日だからって、特別な事なんて何もないのに。というか、凛はいつでも抱きついてくるわよね。花陽は花陽で、クラスのみんなと一緒に祝ってくるし。そんな大ごとにしなくてもいいのにね。
放課後部室に行ったら、いきなりクラッカーを鳴らされたわ。普通に練習の予定だったのに、実はサプライズの嘘だったなんてね。凛と花陽が教室で足止めするから、変だとは思ったのよ。クラッカーのテープが髪の毛にくっついて、大変だったんだから。
穂乃果は手作りだっていうお饅頭をくれたわ。凄く美味しかった。普段あんな適当で料理もできないのに、流石は和菓子屋の長女って所かしら。ことりもケーキを作って持ってきてたし。でもチーズケーキって、ことりの好みじゃないの? 美味しかったけど。海未なんて、プレゼントが歌詞だったのよ。曲は無いのに歌詞って、私に作曲しろって事かしら?
そうそう、穂乃果が「お菓子と歌詞をかけたんだ!」とか言い出して、海未に怒られてたわね。まったくもう、何歳よ。
にこちゃんは家庭科室で料理作っちゃったのよ。ちゃんと許可取ったのかしら……。にこちゃん、取ってなさそうじゃない? 希は私を見つけるなりワシワシしようとしてくるし……絵里が止めてくれなかったら、どうなっていた事か……。その後二人して、頭を撫でてきたのよ。子供扱いしないで欲しいわよね。……あの二人は大人びてるし、ちょっと安心できたのは秘密ね。
ここでしか書けないけど、μ'sに入って本当に良かった。穂乃果、海未、ことり、凛、花陽、絵里、希、にこちゃん、本当にありがとう。
来年は、どんな風にお祝いしてくれるのかな。
「真姫ちゃん、ご飯の準備ができましたよ」
「あ、うんママ。すぐ行くわ」
「日記を書いてたの? ずっと続けてて偉いわね」
「そんな事ないわよ。毎日の日課になっちゃっただけ」
「今日は、楽しかった?」
「別に、いつも通りよ」
「……そう」
「μ'sの騒がしさは、いつもあんな感じよ。穂乃果と凛は騒がしいし、ことりや希はマイペースだし、花陽は振り回されてるし、海未や絵里はどこか抜けてるし、にこちゃんは意味わかんないし。きっと明日も、今日と変わらないわ」
「……そう。そうなのね」
「それがどうかしたの?」
「何でもないわ。ねえ真姫ちゃん。お誕生日、おめでとう」
「……うん、ありがと、ママ」