土塊ノ協奏曲   作:Asfalt

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――――――ガルパン?ごめん、やっぱり作品ろくに見れてないのに書くのは無理だった。

ということで、また新しく書きます。懲りないやつですいませんね、でも今回はやってるから大丈夫!きっと!

とりあえず皆、藤原肇を推してくれ。総選挙一位になって貰いたいんじゃ。


知らない間に幼馴染がアイドルになっていた――――――

――――――懐かしい、思い出。

 

「それじゃ、おじいさん。行ってきます」

 

 そうやって俺が言うと目の前の粘土まみれの翁は今までで一番輝いている笑顔を浮かべた。

 

「ああ、行ってくるといい。君のピアノが聴けなくなるのは非常に残念だが、これもまた運命だ」

 

 その答えを受けて、俺は右隣にいる小学生に話しかける。

 

「じゃあな、肇。いい子にしてるんだぞ」

「……うん、わかった……」

 

 やはりこの子は聞き分けのいい子だと思う。人の言うことを小学生形にもちゃんと聴いてくれるから。

 

「お兄さん……帰って来てくれるよね?」

「そう言われるとよく分からないけど……ここには、岡山には必ず帰ってくるよ」

 

 そう言って頭を撫でると、安心した表情になるが涙がポロポロと零れているので、結局ぐしゃぐしゃな表情になってしまっていた。

 

「……じゃあ、行ってきます」

 

 最愛の『家族』を後ろに残して、俺はタクシーに乗り込んだ。

 

――――――

 

「何やってんだろうなぁ、俺」

 

 故郷の岡山を出て、早7年……いや、もう8年か。好きなピアノをやると言い放って東京に来て、音大に入り必死に頑張ってきたが、結局首席どころか留年ギリギリのライン程度しか取れなかった愚かな学生だ。他の奴らよりも遅い就職も全落ち、あとはひとつを残すところとなった。そのストレスのせいか、大学在学中よりも頬は痩せこけ、体重も10kg落ちるなどもあったが、とりあえず生きているならセーフだ。

 『好きなことをやって生きていく』とか言う人も居た気がするが、俺がやってきた4年の音大生活は、そんな甘ったるい言葉で乗り切れるような甘いものではなく、つまりは血で血を洗うような戦争であった、ということだけは今の小学生たちには知って欲しい。

 

「……ん?」

 

 ポケットに入れていたスマホが振動した。この揺れ方はメールだ。ロック画面を見れば『346プロダクション 合否のお知らせ』と書かれているメールが出てきた。どうせ落ちているんだろうな、と思いながらメッセージを開いてみる。

 

『346プロダクション 合否のお知らせ

 

貴方は当社の就職試験に合格致しました。つきましては○月○日に以下の住所までお越し下さい』

 

 目を疑った。今まで拒否しかされてこなかった弊害なのか、涙が溢れ出そうになるのを必死で堪えてしまうまで精神が疲弊したからなのか。

 まあ、関係の無いことだ。明日からは346プロダクションとやらのアイドル事務所で働くことになるんだ、適当に準備をしておこう。

 

――――――

 

 当日。俺は346プロダクションの建物の前に来ていた。中世の城のような建物の前で待ち合わせなど些か引けるが、確か、ここで待ち合わせのはずだ……お、来た来た。

 

「すみません、遅くなりました。貴方が今回合格した『妹尾 (おわり)』さんでよろしいですか」

「ええ、俺で……私であっていると思います」

 

 身長190cmもあろうかという肩幅の広い男性がこちらに来た。身体がかなり筋肉質だなと思い、スポーツはなにかしていたのかと聞くと何もやっていないと言う。

 

「なんというか、ほかの子達に付き合っていたらいつの間にか身体を動かすことばかりしていたもので……あ、申し遅れました。私は346プロダクションの武内と申します」

 

 そう言うと彼、武内氏は首筋を掻く。さっきから何度も掻いているところを見ると癖なんだろう。

 

「じゃあ、改めまして……俺は、妹尾 畢って言います。大学……というか音大ですが、そこではピアノを専攻していました。まあ、落第ギリギリでしたがね」

「ほう、ピアノですか……」

 

 そう言うと武内氏はスマホを取り出してフリック入力を始めた。何をやっているのかは聞かないでおこうとか考えてると、彼は打ち込み終わったのか、スマホをしまって建物の中に入った。

建物に入ると、目の前には綺麗なエントランスが広がってきた。そこで見とれていると、緑色のレディーススーツを着た女性が歩いてきた。

 

「こちらが、アシスタントの千川 ちひろさんです」

「はじめまして、千川 ちひろと言います。よろしくお願いしますね」

「あ……よろしくお願いします」

 

 そう返すと彼女は笑顔で返してきたが、その笑顔を見ると何故か鳥肌が立った。多分あれ、魔王の笑顔とかそういう系統のやつだ。

 

「では、ここからは私が」

「では、お願いしますね」

 

 ここからは武内氏が居なくなり、代わりに千川さんが案内してくれた。外観に恥じないくらい建物の中は広く、何故千川さんは迷わないのか不思議なくらいだった。本人曰く、「慣れれば迷わない」そうだ。嘘だろ何言ってんだ……

 そして、いつの間にか最後の部屋になっていた。体感5時間ぐらいかかった感じがするが、スマホの時計を見るとまだ2時間程だった。だいぶ巻きでやってくれたんだろう、有難い限りだ。

 

「ここが最後の部屋ですよ、ご自分で開けてくださいね」

「……?」

 

 「ご自分で開けてください」のところに引っ掛かりがあったが、とりあえず開けてみる。すると、グランドピアノが少し高いところにポツンとあり、その前にはパイプ椅子の軍勢が。そして、そこにはここのアイドルたちが座っていた。

 そのアイドルたちは、俺が入ってきたことを確認すると口々に俺を品定めしてきた。

 

 「あ、新しい人だ!」「……その、不健康そうね……」「でも、元気そうだし良くない?」「みくにはどうでも……良くないのかにゃ?」「良くないでしょ、これから関わっていく人なんだよ?」「なーんでこんな所にいなきゃならないのさ、早く帰って寝たいんだけどー」「そんなこと言っちゃダメダメ☆ほら、元気出すにぃ☆」などなど……ちょっと待て、自由過ぎないかここ!?

 

「…………それで、ここは?」

「はい、ここで貴方にはアイドルの皆に自己アピールをして頂きます」

「じ、自己アピール……!?」

 

 自己アピール……つまり、ピアノがあるのは……

 

「武内さんから『ピアノが得意』と聞いていたので、それをアピールしてもらおうと思いまして」

「……ですよねぇ……」

 

 言わんこっちゃない。第一、俺はピアノが好きなだけであって得意とは言ってないんだがなぁ……まあ、仕方ない。やれるだけやってみて拒否られたら拒否られたで考えよう。

 

「……曲の指定は?」

「えっ?」

「曲。弾いて欲しい曲とか指定曲みたいなのあります?無ければ俺の卒業試験で弾いた曲引きますけど」

「卒業試験!じゃあそれでお願いしますね」

「……わかりました」

 

 まるで死刑囚かのような動きで、段の上に登る。アイドルの方を見て一礼をして顔を上げると、みんなの目が俺に突き刺さってきた。控えめに言って卒業試験より緊張する。死にそう。

 

「さて……」

 

 椅子に座り、鍵盤に手をかける。深呼吸をして、息をひとつ吸い込む。そして、ピアノを弾き始める。

 『ANiMA』。音楽ゲームの曲で、控えめに言って人間が弾けるものじゃないと思っていたが、卒業試験ぐらいは頑張ろうと思って、気合を入れて弾いた曲だった。結局教授たちには理解されずに落第ギリギリだったが。

 静かな最初のパートから、連続和音地帯、そしてトリル地獄地帯へと移る。そして、一度止むと音程をひとつ上げてもう一度やり直す。そんな曲で、音楽ゲームでも一番難易度が高い曲だった。ゲーム用に作られた曲を人間が弾こうなんて言ってるんだからそりゃキツいだろう。とりあえず○i君反省して。

 そんなことを考えながら必死に、そして楽しみながら弾いていたら終わっていた。顔を上げて、横を見るとアイドルの皆がポカンとして、こちらを見ていた。そりゃ理解されないよなぁ……いきなり来てこんな曲弾きだしたら……

 

パチパチ……

 

 どこからともなくそんな音が聞こえてきた。目を向ければ、肩まである黒い髪の毛、少しおっとりした目をした女の子が拍手をしてくれていた。……あれ?彼女、どっかで見たことないかな?見覚えがあるんだが……誰だっけ?

 そして、その拍手から徐々に波は広がっていき、最後は皆大きな拍手を送ってくれた。さらには、アンコールをしてくれた子もいた。千川さんの方に顔を向けると、「b」としていた。なんだあの人。

 とりあえず、アンコールがあったなら弾かなければ失礼に値するので、もう一曲引くことにする。何を弾こうか……そうだ、あの歌を歌おう。

 

「千川さん、マイクありますか?」

「はい、ちょっと待ってくださいね……」

 

 そう言うと駆け寄ってきて、マイクをセットしてくれた。流石アシスタント、仕事が早い。

 千川さんにお礼を言うと、また鍵盤に目を向ける。先程とは打って変わって柔らかい旋律を奏でながら、声を出してみた。

 

――――――遠い街ですれ違う 知らない顔に怯えて

 

――――――僕らは夢を見る 大切な誰かと

 

――――――小指を結んで 離さないように

 

――――――ゆびきりげんまん 唱えた

 

 確か、この曲歌ったら肇は喜んでくれたっけ。今は何してるんだろうなぁ。おじいさんの跡を継いだのか、それとも高校に行ったのかな。そう思えば思うほど岡山のあそこへ、彼女の元へ戻りたいと思ってしまう。一種のホームシックかもしれない。それにしても来るのが遅いなホームシック。

 歌い終わってもその余韻は続いていたが、すぐに止んでしまった。さっきよりも大きな拍手を受けていると、千川さんが壇上に上がってきた。

 

「はーい、皆さん。この人か今日からここで働いてくれる、妹尾 畢さんです。彼には武内プロデューサーのアシスタント、そしてプロデューサーとして働いてもらいます!」

 

 待て、アシスタントをやるとは聞いていたがプロデューサーをやるとは聞いていないぞ!?まずこんなFREEDOM DIVE↓しそうな集団を俺が抑えられる気がしない!だが、無慈悲な歓声が部屋の中に響き渡る。

 

「妹尾さん、いいですね?」

「アッハイ」

 

 あの顔で凄まれたら無理だよぉ……やっぱり魔王には勝てなかったよ……

 

――――――

 

 とりあえず、休憩してくれと言われたので椅子に座ってピアノを見ながら休憩してみる。わざわざ出してくれたのだろう、所々にホコリが見える。ただ、調律はされていて定期的な手入れだけはされていたようだった。そんなことを考えていると足音が聞こえた。そちらの方を向くと、さっき最初に拍手してくれた子がこっちを見ていた。

 

「何の用だい?」

「妹尾 畢さん、ですか?」

「さっき千川さんから挨拶があった通り、俺は妹尾 畢だ。君は?」

「私は……」

 

 そう言うと彼女はにこりと微笑んで――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――――私は、()() ()です。久しぶり、畢兄さん。」




とりあえず皆、藤原肇に!是非!投票してください!迷ったら!是非!

4/19 22:10 主人公の名前を変更。
4/20 8:03 副タイトル変更
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