原作:インフィニット・ストラトス
タグ:R-15 残酷な描写 アンチ・ヘイト クロスオーバー パワプロクンポケット パワポケ 勝手な正史考察 おい、野球しろよ おい、ISやれよ 短編集 PP主の名前固定
それを嘲笑うかのように裏の世界で渦巻く異常な力の胎動。
そして、そんな中でも変わらない野球への熱意。
「悪いな、坊主。
ブリュンヒルデ様の試合が終わるまでは待っていろよな?」
「グッ……!?」
身動きを完全に封じられ銃を構えている何人かのどう見ても怪しい人間たちに捕まり、俺はどうすることもできない。
「フン……!!
何が、「IS」だ!!この「超能力」や「サイボーグ技術」がある時代にそんなもんで優位性が保てるわけないだろ!!」
「まあ、気持ちは分かるけどね。
ぶっちゃけると、男は悲惨ね?」
「てめぇ……!!」
「おい、落ち着け!!
と言うか、貴様も揶揄うな!!
この業界ではそれは禁句なのは暗黙の了解だろうが!!」
「はいはい、ごめんなさいね」
「……?」
連中の一人が忌々し気に現実身のない「超能力」と言う言葉を口走った瞬間に連中の間で緊張が走り出した。
サイボーグ技術に関しては7年前に色々と話題になったことだ。
よく考えてみなくてもあの年はとんでもない年だったと思う。
「サイボーグ同盟事件」に加えて、「白騎士事件」と呼ばれる日本を震撼させる二つの事件が起きたのだから。
「ちぃ……!!
表の世界は「IS」……!! 裏の世界はジオット……!!
クソ!!嫌な時代になりやがって……!!」
……ジオットて、あの「ジャッジメントグループ」の会長か?
何で、世界最大の企業の会長の名前がここで出て来るんだ?
テレビをあまり見ない俺でも「ジャッジメントグループ」の名前ぐらいは知っている。
俺もたまに行く「ジャッジメントスーパー」の親会社だし。
確か、元々は「オオガミ」と言う日本企業と欧米に強い影響力を持つ「ジャッジメント」と言う企業が合併した結果出来上がって「ツナミ」て言う世界最強最大の企業になって、その会長が女性だったから余計に女性団体が盛り上がっていた。
今は死語になっているけど、「経済は神条、ISは織斑、科学は寺岡と篠ノ之」て言われていたはずだ。
でも、その会長だった「神条」と言う若い会長は亡くなっている。
で、今の会長は男性でその会長が「ツナミ」から「ジャッジメント」の名前に戻したんだっけ。
その会長の名前がジオット・セヴェルスだったはずだ。
しかし、どうしてそんな企業の会長の名前がここに出て来るのだろうか。
「まあ、いいじゃないか……
いいか?俺らの狙いは「ブリュンヒルデ」を味方にするためだろ?」
「!?」
男の一人が俺を誘拐した理由を明かした。
「おい……千冬姉に何をさせるつもりだよ……!?」
俺は恐いのを振り切って、男の一人にその真意を訊ねようとした。
「悪いな。
俺らの目的はな、天下の「ブリュンヒルデ」様に味方になってもらうつもりなんだよ?」
「……味方て……千冬姉に何をさせるつもりなんだよ!?」
こいつらの目的が俺を人質にして千冬姉を利用しようとしているのは察することは出来た。
ただ分かるのは汚いことを千冬姉にやらせるつもりだ。
「いや、何……
俺らもな、ジオット相手に対抗するためには色々と大変なんだよ?
だから、戦力は多い方がいいんだよ?」
「ヨーロッパは完全にアイツの支配下で中国もそうだしな」
「唯一、対抗できるのは日本とアメリカの派閥ぐらいだしね」
取り敢えず、こいつらが「ジャッジメント」のジオット会長と敵対しているのは理解できた。
しかし、理解できないことがある。
どうして、「ジャッジメント」の本拠地とも言えるアメリカや「ジャッジメント」傘下の日本がジオット会長に対抗できるのだろうか。
「それで……何で千冬姉を利用するんだよ……?」
ただそれでも俺には理解できないことがあった。
そんな所にどうして、千冬姉が関わって来るのだろうか。
千冬姉は確かに「ブリュンヒルデ」と言われている「IS」の選手としては世界最強の選手だ。
しかし、ただそれだけの筈だ。
どうして、企業関連の戦いに巻き込まれ様としているのだろうか。
「アッハハハハハハ!!
本気でそんなことも分からないのか?」
「え……」
男の一人が笑うと他の面々も笑い出した。
俺はその笑い声が狂っているように思えた。
「「IS」てのはなスポーツ感覚で見ている奴らが多いが強力な兵器なんだよ?
その分野で最強な奴がどうして、戦力にカウントされないんだよ?」
「核ミサイルを全て叩き落して、さらには当時の既存兵器を尽く戦闘不能にしている時点でそれは当たり前なんだがな?」
「まっ、そのおかげで私も多少の甘い汁は吸わせてもらっているけどね?」
「うるせぇ!!そのことは言うんじゃねえ!!」
「……!!?」
そうだ。
このご時世では既に「IS」は最強の力だと思われている。
同時期に世界を変えた発明として、寺岡薫の「ワギリバッテリー」と並んで篠ノ之束の「インフィニット・ストラトス」は知られている。
おかげで世界のパワーバランスは一気に変わったはずだ。
世間への貢献度しては明らかに前者の方が優れているが。
ただ両者とも開発者が女性で後者が女性限定のパワードスーツになっているため、「女尊男卑」が激しくなっていたが。
お陰で「ジャッジメント」のジオット会長が神条前会長の後任になった時には色々と揉めたらしい。
加えて、今の時代男がその優位性を保てるのは野球などの素の身体能力が問われるスポーツ業界だけだ。
しかし、「サイボーグ事件」は尾ひれを引いていてそれすらも奪われそうになっているが。
「千冬姉に……人殺しをやらせるつもりか……?」
俺はこいつらがやらせようとしていることが理解できた。
こいつらは「IS」を平気だと断じた。
それはつまり、それを使う千冬姉にこいつらの何かしらの犯罪行為、いや、テロ行為に利用させようとしているつもりらしい。
「まあ、それも含まれるな?」
「それも……だと?」
「ああ、何せ世界最強の「IS」乗りだ。
実力なら、「ジャッジメント」のトップ10クラスには入るだろうしな。
一回限りの手駒にするなんてもったいないだろ?」
「てめぇ……!!
あぐっ……!!?」
千冬姉に人殺し以外にも色々と汚いことをやらせようとしているこいつらを許せず、俺は拘束されているのも無視して食って掛かろうとするが他の奴に頭を殴られた。
「おいおい?
あんまり、暴れるなよ?
言っておくがな、ここにいる男はな「IS」のせいでこの業界に入らざるを得なかったのが何人かいるんだよ?
だから、「ブリュンヒルデ」の弟のてめぇを殺せるなら殺すし、殴れるなら殴るし、蹴れるのなら蹴るのを進んでやるんだよ……!!!」
「ガフっ……!!?」
「うわぁ……」
「おい、あんまり手荒に扱うなよ?
死んだりしたら、それこそおっかない「ブリュンヒルデ」様の鎖がなくなるんだからな?」
その直後、俺は殴った男に「女尊男卑」によって虐げられてきたことへの鬱憤を晴らすためかのように蹴りを入れられた。
「うっせぇ……!!
こんな姉が強いだけの弟がのほほんと暮らしてんのが気に食わねえぇんだよ……!!」
とさらに蹴りを入れられそうになった時だった。
「おいおい……
大のオトナが寄ってたかって、子供を誘拐した挙句、八つ当たりで嬲るなんて格好のいいもんじゃないな」
何処かで訊いたことのあるまるで鳥、いや、烏のように悠々としつつも毅然とした男の声が響き渡った。
いや~、最後のは何処の赤いアイツなんでしょうか?