インフィニット・ストラトス~【英雄】の迷い込んだ世界~ 作:芳奈揚羽
side 白銀 武
「何で・・・何で、
「それは必然だよ?遅かれ早かれ、この日は来た。明日か明後日か、十年後か二十年後かは分からなかったけど、必ず
「誰だ!?」
夕呼先生のものじゃない声が響き、俺は反射的に後ろを振り返った。
「・・・兎、だと・・・・・・!?」
そこにいたのは、兎。何処からどう見ても兎。デフォルメされた兎の着ぐるみだった。真っ白でフワフワそうなボディーで、頭には小さなシルクハットを被っている。・・・ここまで見ればかなり可愛い部類の着ぐるみなのだが・・・何故か、
・・・え、マジで何これ?子供が見たら泣いて逃げるレベルだぞこれ?
「・・・もう一度聞く。アンタは何だ?」
俺を薬で眠らせて誘拐するような奴らだ。夕呼先生が敵か味方か分からない以上、油断するわけにはいかない。
何が起きても即座に動き出せるように構えたところで、その兎の着ぐるみが小刻みにブルブルと震えだした。
・・・・・・怖ええよ!マジで不気味すぎる!
内心恐怖で冷や汗タップリの俺だったが、出来るだけ表情に出さないように睨みつける。
「フフフフフ・・・。なんだかんだと聞かれたら!答えてあげるが世の情け!」
突然、叫びながら、謎のポーズをキメ始める着ぐるみ。
「世界の破壊を防ぐため!世界の平和を守るため!」
ブーン・・・と、不穏な機械音が兎の着ぐるみから聞こえてくる。それと同時に、体の節々からモクモクと煙が吹き出してきた!
「チョッ・・・!」
咄嗟に距離を取ろうとしたが・・・時すでに遅し。
「愛と真実の悪を貫く!ラブリーチャーミーな敵役!」
とうっ!という掛け声と共に、凄まじい跳躍力を見せる兎の着ぐるみ。そして・・・
ゴーン・・・!!と、咄嗟に耳を抑えても耳が痛くなるほどのとんでもなく大きな音と煙を出し、その着ぐるみは大爆発した。
「ゲホッゲホッ・・・!一体何だよこれー!」
「宇宙最高最凶最悪の科学者!束博士なんだよーーーーー!!!」
空調設備が自動的に起動したのか、驚く程速やかに煙は排出されていった。そこには、ドドドドドドドとどこからか聞こえてきそうな程完璧な『ジョジョ立ち』をしている女性の姿があった。純白のワンピースを着ていて、何故か頭にはウサ耳。普通に見れば凄い美人さんなのに、この状況で見ると変態にしか見えないという矛盾。
「・・・・・・いや、もう何から突っ込んでいいのかわからん。」
俺は、考えることを放棄した。
「さて、説明を始める前に、先ずはオシオキから始めないといけないわよねぇ?そうでしょ束~?」
と、それまで沈黙を保っていた夕呼先生が、フフフと不気味に笑いながら束博士と名乗った女性に近づいていく。よく見ると、彼女は先程の爆発の煽りをくらって、衣服は汚れ髪はボサボサ、顔には煤が付いている。・・・多分、俺も見たような格好だろうな。
「・・・・・・?『束博士』?・・・っておい、【天災】かよ!?」
俺の驚愕の叫びも完全に無視して、二人は暴走していく。
「ゆ、夕ちゃん夕ちゃん?私は確かに天才だけど、肉体強度は一般人と同じなんだよ~?どっかのツンツン頭の不幸な学生みたいに、どんだけ死ぬだろって攻撃を受けても数日後にはピンピンしているような不死身の体を持っている訳じゃないんだよ?
「大丈夫よ貴方なら。きっとこの攻撃を受けても無事でいられるわ。たったの一発で勘弁してあげるから、キッチリ受け止めなさい?これだけで許してあげるなんて、なんて優しいのかしら私は。」
「や、優しい人は人に
夕呼先生の右腕が、突然鈍いメタルの輝きを放つ機械の腕へとへと変化した。・・・いや、装着したのだ。そして、肩の辺りに巨大な機械の筒が出現する。夕呼先生の身長の二倍程もありそうなその筒は、しかしその見た目の重量とは裏腹に、空中に浮遊しているのだ!
「なっ・・・・・・!?」
調べて知ってはいたけど、これがISか・・・!<<素粒子による物質の形成>>など、これは既に【あちらの世界】の科学技術を軽く超越している・・・!これを創り出したのが、目の前で夕呼先生に脅されて半分泣きが入っているこのふざけた女性だなんて、誰が信じられる・・・!?
「さぁ、地獄へ旅立つ準備は出来たかしら?」
「殺す気満々じゃないですかいやだー!」
キィイイイイイイイイ・・・!!と、エネルギーを充填し始めた筒。今にもその凶弾によって、束博士の命運が尽きようとしたそのとき・・・
「止めなさい!!」
「痛!!」
束博士の命を救ったのは、痛烈なチョップだった。いきなり横から走ってきた何者かが、夕呼先生の頭部を強襲したのだ。一切の無駄がないそのチョップは俺も見蕩れるほどの完成度を誇っていて、この攻撃にどれだけ慣れているのかを悠然と物語っていた。・・・つまり、普段からこういう騒ぎは日常茶飯事ってことか?
「白銀がアンタたちのテンションについて行けずにポカンとしてるじゃない!いいから早く事態の説明しなさいよ!」
『はーい。』
なんだか・・・保護者みたいだ。怒る女性を見ながらそう思ってしまったのも無理はないだろう。しかし、何だかとても懐かしい雰囲気がする女性だ。
「・・・・・・?」
っていうか、まさか・・・・・・
「まりもちゃん・・・・・・?」
俺が呟くように呼ぶと・・・その女性はユックリと此方を向いて・・・
「どの世界でも、白銀は白銀だったか。・・・これからよろしくね?」
と、苦笑しながら挨拶をしてくれたのだった。
いやー、物凄くおそくなりました。しかもこれだけ時間掛けて短いっていう・・・。これからも結構遅くなることはあると思いますが、待っててくれると嬉しいです。
最初のほうの束の暴走は、全く意味ないです。ただ単に、どんだけテンションが高いかを表現したかっただけ・・・なんですけど、この場面に一番時間かけてるっていう。