インフィニット・ストラトス~【英雄】の迷い込んだ世界~ 作:芳奈揚羽
side 鑑 純夏
「それでは、私は箒先輩と練習をしてくる。また夜にでも会おう。」
「うん、また後でね冥夜さん。」
パタンと扉が閉じられ、部屋に静寂が戻った。私は大きく溜息を吐く。
「・・・何しようかな・・・・・・。」
突然告げられた臨時休校に、戸惑うしか出来ない。休校とは言っても、学校外に出るには面倒な手続きをしなければいけないし、そこまでしても許可が出ない可能性もある。ルームメイトの御剣冥夜さんは、年下だけど先輩である篠ノ之 箒さんと一緒に武道の稽古をするんだと言って道場に行ってしまったし、本格的にやることがなくなっちゃったな。
「・・・会いたいよタケルちゃん。」
今頃タケルちゃんは学校に行っている筈。本当なら、私もタケルちゃんと同じ学校に行って、卒業して大学生になっていた。・・・それなのに、【日本全国一斉IS適正調査】とかいうので強制的にIS適正を図らされて、適正数値が高かったらしい私と榊さん、美琴ちゃんや壬姫ちゃんに慧さんも強制的にIS学園に入学させられた。しかも一年からスタートで。そのせいで、本来だったら年下の筈の人たちを先輩って呼ばなきゃいけないし・・・タケルちゃんの居ない、色あせた学園生活を送らなきゃいけなくなった。
最初の頃は、ベッドに入る度に悲しくて声を殺して泣いていた。タケルちゃんと離れ離れになるなんて想像もしていなかった私にとって、突然訪れたこの現実は厳しすぎたから。・・・でも、その時ルームメイトだった冥夜さんが慰めてくれたんだ。冥夜さんも、私たちと同じくIS適正が高かったから強制入学させられた内の一人で、実際はなんと白陵柊学園に転入してくる気でいたらしい。何でも、会いたかった人がいたらしいんだけど・・・。自分も辛いのに私を慰めてくれるなんて、いい人だと思う。彼女を見ていると泣いている自分が恥ずかしくなって、それ以来私は泣かなくなった。
毎日毎日軍隊みたいな訓練をして、疲れた体に鞭を打って勉強をする。それが終わったら電池が切れたかのように眠りにつく・・・そんな生活を続けていたら、何時の間にか指がボロボロになっていた。大型連休とかで実家に帰れるときの為に美容とかには気を使ってるつもりだけど、それでもストレスはどうにもならない。・・・今の私をタケルちゃんが見たら、一体何て言うのかな・・・。
『♪~♪~♪~』
そういうことを考えていたとき、机の上に置いてあった携帯が鳴り始めた。もしかしたら壬姫ちゃんか美琴ちゃんから遊ぼうっていう電話かな?そう思ってディスプレイを見た私の思考は、驚きで少しの間停止してしまった。そこには・・・
【タケルちゃん】
と書かれていたから。
もしかしたら、タケルちゃんに会いたいという想いが生み出した幻想なのかもしれないって思ったくらい驚いた。だって、タケルちゃんから電話をかけてくるなんて始めてだったから。いつも私から連絡をしていたのに、どうして今日に限って連絡してきたんだろう?
『♪~♪~・・・』
「わ、わ、わ!待って、出るから出るから!」
驚いている時間が長すぎたみたいで、電話が切れそうになってしまったので、慌てて取る。
「・・・もしもし。」
『・・・良かった。あぁ・・・本当に良かった。』
「・・・どうしたのタケルちゃん?何かあったの?」
声の雰囲気がいつもと違った。確かにタケルちゃんの声なんだけど、何か男らしくなったというか、格好よくなったというか。ちょっとドキドキしているのを押し隠して、タケルちゃんに質問する。
『・・・・・・いや、何でもない。ちょっと純夏の声が聴きたくなっただけだ。』
「え、うえ!?た、タケルちゃん!?」
何時ものタケルちゃんなら、絶対に言わないだろうその台詞で、私のドキドキが加速する。や、やっぱり何時ものタケルちゃんじゃない!
『なぁ・・・お前、今日時間有るか?放課後にでも。』
「え・・・今日は臨時休校でお休みだけど・・・?」
『そ、そうか!それじゃあ、今から遊ばないか?色々話したいこともあるんだ。』
「え・・・私はいいけど、タケルちゃん学校は?」
壁にかかった時計を見るとまだ十時。タケルちゃんは学校の筈なんだけど・・・。
『サボった。今電車に乗ってIS学園の近くまで着てる。』
「ちょっ・・・!?何してるのタケルちゃん!?」
『ハハハハハ!もうサボっちゃったもんね!いいから早く来いよ!』
「まっ・・・!」
『ブツ・・・ツー・・・ツー・・・ツー・・・』
い、言いたいことだけ言って切りやがりましたですよ・・・。
「・・・変わって無いなタケルちゃん。」
こういう強引な所は全然。
「・・・は、お化粧とかしなきゃ!!」
少し遅れるくらいはいいよね。強引に誘ってきたのはそっちなんだし!
少し短いかな?でも投稿。
名前の呼び方とか、そういうので違和感あったら言ってください。