インフィニット・ストラトス~【英雄】の迷い込んだ世界~   作:芳奈揚羽

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遊園地 前編

side 白銀 武

 

 

 何処に行きたいかを純夏に聞いたところ、遊園地に行きたいらしい。ま、IS学園なんて特殊な学校に入れられたせいで、遊ぶ暇も無かったんだろうと思う。・・・だって、記憶ではあんなに綺麗だったアイツの手が、ボロボロになっていたんだ。今も、必死にIS関係の話題は出さないようにしているのがバレバレだし。

 

 まあ、だから純夏の希望を聞いて遊園地に行こうってことになったんだ。俺もかなり久しぶりだったしな。【あちらの世界】じゃ、遊園地どころかテレビゲームとかすら存在しなかったし。あった娯楽といえば、けん玉やおはじき程度。実は、純夏以上にワクワクしている俺だった。

 

 

 

 

「・・・なるほど、こんな所にも女尊男卑の弊害が・・・。」

 

 俺は頭を抱えて呻いた。俺たちは今、遊園地の券売機の前にいるんだが・・・男女で入場券の値段が違うんだ。それも、数百円とかじゃなく、倍以上違う。多分、女性の値段を割引した損害分を男性から搾り取ろうとしているんだろう。まぁ、遊園地に来るのなんて、基本的に家族連れか男女のペアくらいだろうから、案外釣り合いが取れているのかもしれないが・・・問題はそこじゃない。

 

 どうやら、【この世界】の俺は、今月既に新しいゲームを買ったばかりらしく、財布の中にあまり金が入っていなかったんだ。それこそ、自分の分を払っただけですっからかんになるレベル。実は密かに、好きな娘にディナーを奢るというシュチュエーションに憧れていたのだが、今回は見送るしかないみたいだ。

 

「どうしたのタケルちゃん?」

 

 考えていて動かない俺を不審に思った純夏が、顔を覗き込んでくる。黙っていてもしょうがないので、情けなさを隠しながら告げた。

 

「すまん純夏。俺の分の入場券を買うだけで精一杯だ。自分の分は自分で払ってくれ・・・。」

 

 結構落ち込んでいた俺だったんだが、純夏はポカンとして俺の顔を見続けていた。

 

「・・・どうした?」

 

「・・・やっぱり、今日のタケルちゃん何か変だよね?何時ものタケルちゃんなら、私の分まで払おうとか思うはずが無いもん。」

 

 ・・・あぁ・・・そうか、俺はそういう奴だったよなと自己嫌悪する。俺は、幼馴染という立場に甘えて、純夏に色々酷いことをしてきたような・・・。今思い出して見ると、結構やってるよな俺?

 

「でも・・・そういうタケルちゃんも新鮮でいいね!・・・じゃぁ、また今度機会があったら、その時私の分払ってね!!」

 

 と笑顔で言ってきた純夏に心が洗われるようだ。・・・自己嫌悪して立ち止まっている場合じゃないな。過去は変えられないけど、未来は変えられる。今までの俺が男としてダサかったなら、これから格好よくなればいいんだ!

 

「・・・わかった。その時は今度こそ俺が払う。勿論、その後の飯代まで俺が出してやるさ!」

 

 というと、何故か純夏は顔を赤らめた。

 

「・・・な、何か、デートの会話みたいだね・・・・・・。」

 

 小声だったが、【あちらの世界】で音にも敏感になった俺にはちゃんと聴こえた。・・・だから、

 

「・・・お、俺は・・・デートのつもり、だぞ・・・。」

 

 恥ずかしさを我慢して、俺の気持ちを言葉にする。・・・今までは、純夏から俺に歩み寄ってくれていたんだ。俺がどんなに酷い態度でも、コイツは俺の傍から離れないでいてくれた。融合しかけているのか、断片的に思い出せる【この世界】の白銀武の記憶からもそれは確かだ。【この世界】の純夏が、俺を好きでいてくれているかは分からないけど・・・どっちでもいい。例え今愛してくれていなくても、これから俺を振り向かせてみせるさ。

 

「・・・え?え、え・・・!?」

 

 俺の台詞に、顔を真っ赤にして俯く純夏。・・・耳まで赤く染めて俯く彼女が、愛しくてしかたない。・・・何この可愛い生物。ずっと見ていたいんだけど・・・。

 

『・・・・・・。』

 

 でも、それは無理だった。何故なら・・・

 

『何時まで券売機の前で立ち往生してる気だ?』

 

 俺たちの後ろには、何時の間にか長蛇の列が出来ていたから。しかも、そいつらから射殺さんばかりの殺気を感じる。

 

「ば、馬鹿な・・・!俺が恐怖するだと?・・・アレ程の地獄を見てきた、この俺が・・・!?」

 

 ということで、彼らが怖いので未だに固まっている純夏の分も券を購入して、その場から逃げた。

 

『爆発しろー!!』

 

 後ろからの怒声と殺気は、気のせいだということにしておきたい・・・・・・。

 

 

 




やっぱり、多少更新感覚が長くなっても、一話あたりの文章は長いほうがいいですか?書くことの出来る時間が短いのもあるんですけど、あまり長いのを書こうとすると集中力が続かないので、更新は結構遅めになるとおもいますけど・・・。
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