今回からしばらく戦闘回が続くよ!やったね!
私の下手くそ描写が炸裂するよ!
ヴォェッ!!
皆さんのおかげでUA、お気に入り、評価数が凄いことに……!!
そして先日チラッと見てきたらデイリーのルーキーランキングで6位!
すばらしやぁ(感涙)
これからも頑張りますので応援よろしくお願いします!!
考えるより先に、体が動いていた。
全開の身体強化を行使した状態での跳躍。
当然体は軋むような痛みが走り、普段ならば落ち着いて一旦状況を立て直そうとするであろう所だ。
だが、俺の頭にはそんなことを考える余裕など微塵もなかった。
体への命令を下す回路が、思考から感情へと切り替わったのがわかる。
ただ、ただ彼女の手に触れたい。
優しく、そしてしっかりと握り締めたい。
もう二度と、離さないように。
俺が不安なとき、恐怖に屈しそうになった時に彼女がそうしてくれたから。
今度は俺がそうしてあげる番なんだと。
その暗い地の底から俺が、俺が引きずり上げてやりたいと。
そう、思った。
だがその幻想は容易く破壊され、一瞬にして現実に引き戻される。
今までマシュに向かって一直線で突っ込んでいたはずだったが、俺とマシュの間に黒く、大きな影が映りこんだ。
そして次の瞬間には俺は後方へ吹き飛ばされていた。
いや、殴り飛ばされたのか。
それを理解することにさえ数秒を要した。
俺自身が自分の身に何が起きたのかを理解したのは轟音と共に元居た入り口付近の階段下に衝突してからだった。
「がはッ!!う……あ……」
殴られたであろう腹と打ち付けた、というより地面にめり込んだ背中が激しく痛む。
当然頭も強く打ったようで意識は朦朧とし、呼吸もままならないほどだ。
助けに飛び出したはずなのに一撃で即ダウンとはなんとも間抜けな話だ。
ともあれこのままだと間違いなく死ぬ。
何とか右手を動かして自身に応急手当を行使したところで上から誰かが飛び降りてくるのが見えた。
「藤丸!!」
「先、生……」
「無事――ではなさそうだな」
「ええ、まぁ……はは……こふっ」
俺の元へ駆け寄る相澤先生。
傷の治療を終えてようやくまともに会話が成り立つようになった。
それでも応急手当では直せない傷は未だ治っていない。
外面の出血や打撲等はほぼ何とかなった。
しかし、内臓や骨が少しまずい。
骨は表面をコーティングするように補強し、内臓は出血していた箇所を覆うように新しい薄皮のようなイメージでそれこそ本当に応急的な措置で機能を保たせている。
どちらも治療行為が完了したとは言い難い。
さらに上位の治療を行えば問題はないだろうが、そうするとこの後の戦闘で個性の使用できる時間が減少するだろう。
余裕を持って勝てる相手とは思えないし、出来る限り余力は残しておきたい。
「言いたいことは山ほどあるが、今はさっさと上にいる他の生徒たちと合流しろ。ここは俺が何とかする」
「先生の戦闘能力を疑うわけじゃないですが、雑魚はまだしも俺がさっきやられた奴はどうするんですか?先生の戦闘スタイルとは明らかに相性が悪いように思えますが」
「そこは状況と要相談だ。さっきのお前をはじき返したあのデカいの、凄まじい速さとパワーだった。あれじゃあまるで――」
「オールマイト、ですよね」
お互いの苦々しい顔を見合い、現状が芳しくないことが再確認する。
そしてさらに追い打ちをかけるように他のヴィランたちがこっちへ集まってきていた。
恐らくあまりに急な出来事だったせいで現状が呑み込めていなかったのが自分たちの目的を思い出したんだろう。
別にそのまま忘れててくれてよかったんだけどなぁ……。
「……もう少し時間を稼がせてもらおうかな」
マーリンの力で今出来得る限りの幻術を周囲に展開する。
杖をふると同時に周囲には霧が立ち込める。
はじめはうっすらとだったそれはどんどん深くなっていき、最後には完全に視界を奪った。
自分から1m先どころか50cm先さえどうなっているかわからない。
そこまで終わってから再度先生と向き合う。
「不用意に敵の視界を奪えば流れ弾が飛んできかねないぞ」
「その点は安心してください。
その言葉に一瞬訝し気になった相澤先生だったが、一応の納得、というか妥協はしてくれたらしい。
それを確認して先程の話を再開させる。
「あのムキムキの脳みそ野郎の個性、先生の個性で消せないんですか」
「やってみないと分からん。だが、後ろに本命と思われる人物が控えている以上突破は容易じゃないだろう。何しろ向こうの情報はまだ何一つわかっていない。だが、これだけの準備を整えて襲撃に来てる。向こうも策無しじゃないはずだ。何よりこのタイミングで本校舎じゃなくてこのUSJをピンポイントで狙ったという事は、奴らの目的は本来ここに来るはずだったオールマイトだろう。さしずめお前が言う筋肉脳みそ野郎は対オールマイト用兵器と言ったところか」
「恐らく上でも何かアクションを起こしてくれるでしょう。13号先生もいますし、何より飯田が居る。おそらく今この状況では電話等電波を発するものによる連絡手段は絶たれてると思った方がいい。となればあの場では彼を本校舎まで走らせるのが一番確実で一番早い」
「飯田に電話を持たせて繋がる距離まで走らせる、あたりが上等だとは思うが、この状況でそこまで頭が回るかどうかだな。もし俺達を飛び越して攻撃を仕掛ける手段が敵にあるんだとしたら、それも望みは薄いだろう」
そうこうしている間に徐々に霧は晴れ始めている。
俺が傷の痛みで集中力を切らしたせいだ。
普段も無傷での個性の練習はしていたが、傷を負った状態での個性の持続は練習したことがなかった。
この間の轟君のときに思ったところも含めてまだまだ改善の余地は多そうだ。
段々と視界が開けていく中、そこには先ほどまでいた雑魚ヴィランの3分の1が地面に倒れ伏すという異様な光景が広がっていた。
さっきの霧を発生させた時点でこの場の俺が介入できる最大人数までヴィランを捕捉した。
そしてその中でも遠距離系の攻撃手段を持つヴィランに対して周囲から聞こえる不自然な物音や極度に寒いと誤認させることで強い恐怖心と警戒心を与えた。
後は他のヴィランが近づいてくれば足音のする方に向かって最高潮に上り詰めたストレスから勝手に攻撃して自滅してくれるという寸法だ。
正直ここまでうまくいくとは思っていなかったが、それでもまだまだ数は残っている。
この現状をどうにか打開しない限りマシュの元にたどり着くのは難しいだろう。
「お前、今からでも上に行く気はないか?」
「……逆にあると思うんですか?」
「そうか。なら、それなりの働きは期待させてもらおう」
それだけ言って二人同時に走り出す。
目の前に居た有象無象のヴィランたちも、急な状況の変化で晴れかけとはいえ霧の中からの急襲には対応できなかった。
俺は先程の戦闘継続時間と怪我の痛みによる集中力の大幅な低下を天秤にかけ、前者を取った。
全力を出せないままずるずるとなぶり殺しにされるよりも一瞬の最大火力で押し切ることを考えた。
『浄化回復』。
先程よりも上位の治療を行い、体内の怪我の殆どが完治したのを感じる。
だが、その分の疲労が一気にのしかかった。
サーヴァントの力を借りるほどではないが、威力や影響の大きな魔術を行使すると当然成果は大きいが、それに伴ったコストも大きくなる。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。
個性で武蔵ちゃんの力を身に纏い、ヴィランの一人の背後を取る。
これ刺したり切っちゃだめだよな。
相手が一人や二人で場所が市街地ならまだしも――いや、それはそれで公衆の面前で血しぶきはまずいか。
ともかくこの後治療できる目処も助けが来るタイミングもまだわからない。
となれば気絶させてその辺に転がして奥のが手っ取り早くて安全だな。
近くのヴィランの後頭部を刀のみねで殴打する。
絞り出したようなうめき声を一つ上げ、ヴィランはその場に崩れ落ちるようにして倒れた。
相澤先生の向かった方へ一瞬視線を向けると、向こうも数人まとめて気絶で処理した様だ。
さらに先へ向かう相澤先生と、ゴーグル越しに目が合った気がした。
相澤先生は何も言うことなくそのまま走っていく。
俺もそれに続くように走り出した。
「待っていてくれ……マシュ……」
「せいッ!!これで6人目……早いところ他の方々と合流したい所ですが、そうはさせてくれそうにありませんね……」
階段下が霧に包まれてから少し経った頃、私たちの目の前にあの靄のようなものの発生源であろう人物が現れた。
そして彼は自分たちの目的を隠す気もなく言い放った。
オールマイトを息絶えさせる。
平和の象徴、ナチュラルボーンヒーローと謳われるナンバーワンヒーローオールマイト。
彼を殺すために奴らはここに来た。
そしておそらくリツカが最初にやられた奴が対抗策か何かだと考えられる。
頭の中で思考を巡らせながらコスチュームとセットで携帯していた短刀でヴィランを"殴りつける"。
この短刀には刃は付いておらず、言ってしまえばただの模造刀だ。
ただ、これはプロヒーローのコスチュームも手がけるヒーローの装備を作るプロフェッショナルが作った模造刀。
そう簡単には折れないし、軽すぎず重すぎない。
手に馴染むしっとりとした重み、とでも言えばいいのだろうか。
感覚で捉えているのでうまく言葉にすることは出来ない。
本当はちゃんと切れる刀がよかったが、相澤先生によると生徒は殺傷能力の高い武器を携帯することは禁止されているんだとか。
まぁ、戦えないよりは断然いい。
ちなみにリツカの使う武蔵さんの刀は個性で生成されるため体の一部という認識になるらしい。
ちょっとずるい。
それにしてもどこもかしこもヴィラン、ヴィラン、ヴィラン。
だが、そのどれも苦戦を強いられるような猛者ではない。
みんながみんな街のごろつきと表現するのがまさに適切としか言いようのない者ばかり。
対人戦を前提とした戦闘訓練を一定以上こなしているのであれば誰であっても早々負けることは無いだろう。
「いや、もしかしたら他の災害の地域にはその地形や状況が苦手な個性の人たちが飛ばされてるかもしれませんね。私はある程度オールラウンダーですが、梅雨ちゃんなんかだと火災エリアでは大変なことに……」
先日仲良くなった友人の事を思い浮かべ、顔を青くする。
彼女の個性は蛙にできる事なら大体何でもできるが蛙が苦手なことは大体苦手なはずだ。
そうなれば燃え盛る炎の中に炎系の個性のヴィラン対梅雨ちゃんのタイマンにでもなったら目も当てられない。
今頃天日干し蛙にでもなっていたらと思うとぞっとする。
そして頭の中に先程見事にはじき返された少年のことが頭をよぎる。
「リツカ、は案外丈夫ですし大丈夫でしょう。それに――」
あなたなら、彼女をちゃんと連れてきてくれると信じてますからね。
相手が目の前にいないので心の中でつぶやく。
「となれば早いところここを片付けて残りの方々の救援に向かいたいですね。あまり長期戦は得意じゃありませんし、私」
背に誠を背負った水色の羽織をはためかせ、少女はヴィランと対峙する。
彼女を睨みつけるヴィランどもに、切り捨てるように言葉を投げた。
「戦場にて事の善悪無し、ただひたすらに切るのみ」