ヒロアカとfgoのクロスオーバーなのに戦わないとかどういうことなの!!?
ってなりますよね!私も書いてて思ったんですけど、あんまり一話に詰め込んでも一杯一杯になるかと思って分けさせていただきました。
人理を守り、生を掴むために藻掻き続けた彼はこの世界でどう戦うのか。
では、どうぞ!
先頭集団を飛び越し、自分が最前線に踊りでる。
着地と同時に個性の出力をさらに上層へと引き上げた。
全身の魔術回路が回り出すのを感じる。
蒼白い粒子に体が包まれ、瞬く間に自身の様相が変わっていく。
左手には複雑な形をした杖が握られ、先ほどまではただのジャージしか着ていなかったはずの体は白いローブに包まれていた。
その杖を軽く振るうと、周囲に甘い香りが立ち込める。
ぽつりぽつりと花が咲き始め、ただのコンクリートジャングルだった試験会場に変化が起こり始めた。
それとほぼ時を同じく、目の前に現れた1ポイント仮想ヴィラン二体がガシンと音を立てて急停止する。
他の受験生たちが個性による攻撃を開始しようと身構えた時、それは起こった。
「な、なんだ!?」
「どうなってんだこれ、まさか故障か!?」
「な、なんで、なんで
そう、急にマシンの挙動がおかしくなりお互いを破壊し始めたのだ。
まるで相手を倒すべき敵とプログラミングされているかのように。
「うん、まぁ上々かな」
俺はその様子を少し離れたところで見ていた。
幻覚による認識介入はうまくいっているようだ。
俺の個性ははっきり言ってしまえばあの世界での自分の再現、そして英霊たちの再現だ。
簡単に言えば自分と共に戦ってくれた英霊たちの力を自分自身に宿して行使することができる。
随分楽にすごいことができるように聞こえるが、実際はそう簡単なものではない。
強い力を使おうと思えばその分体に負担が掛かるし、それだけ魔力も使う。
この世界においても俺の中には魔力らしきものは存在し、体力が切れれば息切れが起こるように魔力が切れれば体調に悪影響が出る。
「なんでかわかんないけどマーリンの能力は体にうまく馴染んで負担が小さいし、登録内容とも差異がないからついつい多用しちゃうんだよなぁ。……なんかちょっと悔しいんですけど」
あのにやけ面が一瞬見えた気がして心做しか負けたような気持ちになる。
イマイチやりきれない気持ちでいると、遠くからの爆発音で意識を戻された。
「おっと、今まだ試験中だった!」
この周辺は勝手に二体ずつ自滅していってくれるので何もせずともポイントが稼げていたが、もしかしたら他にも高得点ギミックなんかが隠されているかもしれない。
こんなところでぼうっとしている場合ではないのだ。
慌てて走り出し、手近な仮想ヴィランを杖にぶら下がっている剣で切り付ける。
装甲の厚そうな部分を避け、パーツの連結部分である関節を狙って破壊した。
相手の攻撃を躱してすれ違いざまにあちこちを破損させることで仮想ヴィランは徐々に動きが鈍くなっていく。
「ふっ!」
やがて大きな隙ができた仮想ヴィランに渾身の一撃を叩き込むと、小爆発を起こしながら地面に倒れこむ。
バチバチと電気が走っているようだが、それっきり動かなくなったのでどうやらこれで倒せたようだ。
「よし、それじゃあ次に行こうか」
誰に言うでもなく呟き、再び走り出す。
仮想ヴィランが密集している地点は認識介入。
路地裏などでうろついていたはぐれ個体は剣で破壊してまわった。
そろそろ終了時間も迫ってきたかと思った時、大きな振動が会場全体に響き渡る。
「うわっ、地震かな。結構大き、い――」
予想外の揺れに自然災害を思い浮かべるが、頭上に現れたその大きな影にそんな考えは一瞬で掻き消える。
『圧倒的脅威』
そこに居たのはまさしくそれだった。
脱兎のごとく受験生たちは逃げ出し、悲鳴をあげながら0ポイント仮想ヴィランに背を向けて走り始める。
しかし、それを少し遠くから見ていた俺の頭の中は冷静すぎるほどに冷静だった。
先に言っておくが別にこれは「落ち着いて状況分析できてる俺かっこよくね?」とかそういう類では断じてない。
「デカい。けど魔神柱とかもっとデカかったしなぁ……」
それより大きく、おぞましい物を知っているが故の落ち着きだ。
こんなことに慣れていても全く嬉しくない。
「でも向こうはあんなロボットなんかより全然強かったし、何よりこちらに対しての殺意と憎悪がひしひしと感じられたし、無機質なロボットと比べるのもそもそもでおかしいか」
などと言いながら静観しているが流石にそろそろ怪我人が出そうだ。
あれを倒すメリットは全くないが、逃げ遅れた人がいては大変だろう。
「一応近くまで行って確認だけでも――――ん?」
土煙で視界が遮られる中、一瞬だけ見えたのは二つの人影。
一人は巨大なロボットのすぐそばで地面に倒れている少女。
もう一人は立ち竦んだままロボットを見上げている少年。
「ッ!!」
『考える前に体が勝手に動いていた』
最大出力での瞬間強化。
段階と工程を数段無視して無理やり結果まで飛び越えたことで全身の魔術回路が軋む。
痛みに顔が歪むがそんなことは気にしてなんかいられない。
腰を落として全力で地面を踏み込み、思い切り地面を蹴った。
ズダァン!!と大きな音を立ててアスファルトが砕ける。
試験開始時に使用した時とは比べ物にならない威力での跳躍に足が悲鳴を上げた。
だが、そのおかげで目的地までは一瞬で到着できた。
それと入れ替わるように少年が上空へと飛び出していく。
彼は彼へと伸ばされた仮想ヴィランの大きな腕を紙一重で躱し、仮想ヴィランの顔と思しき部位と同じ高さまで飛び上がった。
そこへ一撃。
まさにそれこそ会心の一撃だった。
大気が震える強烈な衝撃を受けて巨大仮想ヴィランの部品が爆発と共に激しく砕け散る。
その凄まじさに見とれつつも、なぜここに来たのかを思い出して少女に駆け寄った。
「おーい!よかった、大きな怪我はなさそうだね。大丈夫?」
「わ、私は大丈夫。だけどあの人が――」
恐らく落下を始めているであろう彼を見上げると、上空では明らかに四肢がおかしな方向に曲がった彼が涙をボロボロとこぼしながらもがいていた。
「もしかして、というかもしかしなくとも着地とか無理そうな感じかな」
よく見るとたった今落下している彼はどうやらあのいけ好かない眼鏡と揉めていた全体的に緑っぽい彼のようだ。
彼なら見た感じ無駄に高いプライドとか気安く触るなとかそういう事は言わないだろう。
普通に考えればそんなことを思案してないでさっさと助けろと思うかもしれないが、これはもう性格に問題を抱えまくった連中を同じ組織としてまとめていた過去を持つ俺の職業病的なものなので、こればっかりは仕方がない。
俺のどうでもいい思考はともかく、俺と同じように上から降ってくる彼を見たのか焦ったように少女が起き上がろうとする。
「こうなったら私の個性で――」
「いや、俺が行くよ。君はまだ足を怪我してるだろ?そこで安静にしててくれ」
少し先程より弱めた身体強化を持続させたまま彼の元へと飛び上がり、なるべく衝撃を殺してうまくキャッチする。
上空からのダイブ、というか落下してきた彼をキャッチして静かに着地。
以前何度かされていたのを見よう見まねでやってみたが、案外うまくいくものだ。
ゆっくりと抱えた彼を地面に下して容体を見る。
「君、随分派手にやったね。まったく」
「いっ、あぁあ、っつ!っはぁ、あり、がとう、ございます……」
言いたいことは何となくわかるが、言葉が途切れ途切れで痛みに苦しんでいる。
あまりの痛みにうまく呼吸もできていないようだ。
彼がどんな個性でどう発揮した結果がこの現状なのかがわからないため、明らかな外傷である右腕と両足をなんとしよう。
右手を添えて意識を集中する。
対象は緑っぽい彼。
使用するのは『応急手当』。
――――行使開始。
怪我をした箇所が青白い光に包まれ、徐々に負傷が無くなっていく。
ズタボロだった外観は徐々に復元され、最終的には何の問題もなく元の状態まで戻った。
それを他の箇所にも施していく。
その様子を彼は不思議そうな顔をして見ていた。
「どうかしたの?」
「い、いえあの、君の個性はてっきり最初に見た機械を誤作動させるようなものだと思ってたから」
「ああーっと、そうだね。そう言われてみればそうだ」
確かに他の受験生の前では認識介入しか行っているところを見せていない。
全身の治療が終わった時点で試験終了のアナウンスがかかる。
それを聞いて緑っぽい彼は何かを思い出したように「ああぁっ!!」と声を上げた後、絶望的な表情になった。
そのまま涙をボロボロとこぼし、悔しそうに唇をかむ。
そのただならぬ様子に聊か心配になった。
「何か、あったの?」
「今まで僕のために、たくさんいろんなことをしてもらったのに、ぜんぶ、ぜんぶむだにしちゃった……」
仔細はわからないが、どうやら彼にも彼なりの事情があるようだ。
けれど、今の言葉の中に一つだけ訂正したいところがあった。
「全部無駄、なんてことは無いんじゃないかな」
「――えっ?」
その言葉にみどりっぽい彼は驚いたような顔をする。
見開かれた瞳から止まることなく涙をこぼし、たれ流された鼻水でグズグズな顔だ。
その顔をポケットのハンカチでごしごしと拭きながら話す。
「わぷっ!?」
「君は誰かが君にしてくれたことをすべて無駄にしたって言ったけど、俺はそうは思わない。確かに受験っていうのは他の受験生との戦争で、誰かを蹴落としてでも志望校に受からなくちゃいけないものだ。けれど、それは普通の高校の話だろ?」
緑っぽい彼は俺が何を言っているのかわからないという顔で地面に這いつくばったままこちらを見上げる。
まったく、涙と鼻水は拭き終えたがひどい顔をしている。
まるで買ったばかりのアイスを不良のズボンにぶち撒けた上に通りがかったお巡りさんに見捨てられた子供のようだ。
って、いやいや、どんな状況だよ。
馬鹿げた思考を軽く頭を振って脳の外に放り出し、緑っぽい彼に向き直る。
「ここはヒーローを目指す人間が本当のヒーローになるために集まる場所だ。他の誰かを救う仕事を目指すのに、その仕事に就くために他の誰かを蹴落とす。そんな矛盾が生まれるここで、君は他の誰にもできなかったことをした。見捨てるでもなく、相手を利用するでもなく、相手を助けた。彼女を救った。しかも敵は倒したってなんの得もないおじゃまキャラだった」
そう言ってそこでガラクタになった元は0ポイント仮想ヴィランだったものに視線を向ける。
あれは説明が本当なら無駄にでかいだけで何の得もないただのお邪魔キャラだ。
だからこそ、その真意が色濃く浮かび上がる。
「だが、君は自分の体、合格、その他の利益と彼女の無事を天秤にかけて一切の躊躇なく飛んだ。これは間違いなく誇るべきことのはずだ」
そうだろ?と俺がにやりと笑うと、それにつられてか彼もようやく少しだけ笑ってくれた。
そうだ、これだけのことをした彼が報われないなんて間違っている。
誰かを救おうと必死になった人間を見捨てるヒーロー科なんてこっちから願い下げだ。
「俺は君の勇気に震えたよ。かっこよかった」
「そっ、そんな!ぼ、僕はあの時体が勝手に動いただけでそんなたいそうな者じゃ――」
彼が顔を赤くして照れる。
しかし、その和やかな空気を壊して再び振動が走った。
その衝撃の元であろう方向を向くと、先程彼が破壊した巨大なロボットと同型の仮想ヴィランが新しく出現していた。
「こ、これはどういうことだい!?」
背後から驚愕の声が上がる。
振り返ると、おそらく服装から雄英の看護教諭と思われるおばあさんが居た。
試験終了の合図があったにもかかわらず、教師側が把握していない仮想ヴィランの出現。
これはもしや――。
「トラブルかな?」
「ちょ、ちょっと!?そんな落ち着いてる場合じゃないって!!」
早く何とかしないと!と声を上げるみどりっぽい彼。
すると後方の塔からけたたましいサイレンが聞こえてきた。
「現在原因不明の誤作動で0ポイント仮想ヴィランの予備機が稼働中!受験生は至急避難してください!」
あっという間に再び混乱状態になり、再び逃げまどう受験生たち。
周囲を見渡してもまだ雄英の教師は看護教諭しかおらず、その本人はお世辞にも戦闘に参加するタイプとは思えない。
となるともうこちらでどうにかするしかなさそうだ。
「もう一回、さっきと同じようにすれば何とかなるはず!あのっ、また着地お願いしてもいいかな!?」
焦ったように提案する彼の眼には、再び自分が傷ついて苦しむことへの躊躇は微塵も感じられない。
真っ直ぐに俺を見る彼の眼差し。
ああ、これは。
俺はこの眼を、この瞳の色を知っている。
瞳の奥に燃ゆる覚悟と勇気。
俺がずっと一緒に戦ってきた『
ならばこそ。
「いや、君はそこにいていいよ。今度は俺が何とかするから」
俺は彼の提案を断った。
「ええっ!?」
自分がどうにかするしか無いと考えていた彼は驚いて俺を見る。
それにニコリと笑って頷くと、俺に考えがあると分かったのか覚悟を決めた顔で彼も頷いた。
「僕が言うのもなんだけど、無理はしないでね」
「あははっ!本当に君が言うと説得力ないなぁ!まっ、それなりに善処はするよ」
少女の元に歩み寄り、先ほどのように応急手当を行う。
「遅くなってごめん。足は大丈夫?」
「あ、ありがとう。でも早く逃げないと」
「そうだね、もうアレもすぐそこまで来ている。時間はないな…。ちょっとごめんよ」
「えっ、ちょっ!?ひゃぁ!?」
時間がないので心の中で謝罪をしながら横抱き状態で彼女をかかえる。
「ひ、一人で歩ける!一人で歩けるからぁ!」
抗議の声を無視して駆け足でみどりっぽい彼のところまで運んだ。
「君は彼女を頼む。ちょっと、勢いあまるかもしれないから」
「勢いあまるってなにが!?」
彼に答えを返す前に踵を返し、再び現れた巨大仮想ヴィランに向き直る。
こちらを認識したのか、目のような部分が赤く光った。
「悪い、今めちゃくちゃ頭に来てることがあるんだ。完全に八つ当たりだけど、君で憂さを晴らさせてもらおう」
目を見開き、魔術回路を出力全開で走らせる。
回路だけでなく肉体から悲鳴が上がっているが、そんなことは今はどうでもいい。
痛みは脳から吹き出すアドレナリンで誤魔化し、半ば無理やり個性を発動させる。
先程の白いローブとは打って変わり、身に纏うはたなびく袴に四振りの刀。
深海のような深みのある青と燃えさかる炎のような赤が入り混じったデザインが、尚更この状況での異様さを際立たせていた。
そっと腰に刺した刀の一振りを撫でる。
これはかつて俺と共に夢を駆け抜けた一人の剣士の力だ。
「ふぅ……」
いつも朗らかに笑い、子供と美少年に弱い人だった。
けれど戦いの時は普段からは考えられないような気迫を放ち、必ず俺たちを勝利に導いてくれた。
「君の力、借りるね―――武蔵ちゃん」
歩く振動もだいぶ近くなり、俺は巨大仮想ヴィランの捕捉範囲に入ったらしい。
巨大仮想ヴィランはその場から動こうとしない俺に対して攻撃モーションに移る。
俺を叩き潰そうと、その大きな腕を振り下ろす。
危ない――!そんな声が背後からかけられた気もするが、迷うことなく詠唱を開始した。
「南無。天満大、自在天神。馬頭観音、
俺の背後に大きな影が現れ、目にも留まらぬ速度で四度その刃が振るわれる。
恐ろしく硬かったであろう装甲は、そんな
腰から一刀を引き抜き、構える。
「この一刀こそ我が空道、我が生涯!」
光り輝く刀身が天高く聳える。
最後の一節を言い放ち、刃を奮った。
「伊舎那、大天象!!」
強烈な光と共に放たれた斬撃は薄紙のように装甲を割き、巨大仮想ヴィランは完全に真っ二つになった。
部品は散らばることなく、完全に二つの塊だけが落下する。
先に落ちていた四肢にぶつかりながら地面に衝突し、そこでようやく完全にスクラップとなった。
それでもなお、その断面は美しいままだ。
「空とは即ち無の観念。無念無想すら断ち切らん―――なんて、俺もあんな風になってみたいなぁ」
如何だったでしょうか!?
そも、小説を書くのが久しぶりだったので文章におかしなところがないか大分不安ですが、誤字脱字等あれば教えてもらえると嬉しいです!
あと推しのサーヴァントなんかも言ってくだされば作中に登場させられるかも知れません(絶対できるとは言ってない)
基本的に登場するのは私のカルデアにいる面々ですが、気分と勢いでいない人も書くかも知れません。
というか書きます(保険)
それでは、長々と失礼致しました。
また次話でお会いしましょう!