俺だって英雄になりたい   作:時雨。

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どうも皆さん時雨です!
今回は他のFGOキャラクターが一人出てきます☆彡.。

さて、それは一体ーーー

ではどうぞ!


俺だって幼馴染みと仲良くしたい

「うぁー……。おえっ。気持ち悪い……」

 

雀の囀りと共に目覚める朝。

爽やかな朝の空気と対象的に俺の気分は最悪だった。

場所は自室のベッドの上。

時間は朝八時五十八分。

痛む頭を片手で押さえながらもう数分でなるであろう目覚ましのボタンを押す。

カチッという音と共に目覚ましの予約をキャンセルし、名残惜しくも布団の暖かさと別れを告げた。

 

「ああー………昨日はちょっと無茶しすぎたなぁ」

 

俺がこんなにも体調不良をこじらせているのには理由がある。

理由がある、というか十中八九誰に聞いても原因は一つしか思い当たらないだろう。

昨日の実技試験で行った無茶苦茶な個性の使用のせいだ。

というかあれはもう乱用か。

手順をすっ飛ばした瞬間強化はまだしも、すでに体が「これ以上は止めておけ」と警鐘を鳴らしていたというのに最後の武蔵ちゃんの宝具が止めとなった。

 

「その場の勢いなんかであんなことするんじゃなかったよ全く。でもほんと、彼らはいったい何になりにあそこに来てたんだろうか」

 

後悔してないとは言えない。

だが、あの場では本当にそれだけ頭に来ることがあったのだ。

そうしたいと思って行った結果、その代償がこれならまぁ、仕方がないと割り切れる。

実際結構すっきりしたしね。

未だガンガンと頭の中で痛みがこだましている中、自室を出て階段を下りていると『ぴーんぽーん』とインターホンの音が鳴る。

 

「うん?こんな朝から一体だ――うわっ、すぐ誰か分かった」

 

インターホンを鳴らした本人であろうドアの向こうの影は、それだけでは物足りないのかドアを手でバシバシと叩きながら「うははははははは!!」と大爆笑。

そしてよほどハイテンションなのか自慢の長い黒髪を振り乱しながら飛び跳ねている。

 

「はいはい、今出ます。今出ますってば」

 

そんなに強く叩いて手が痛くないのかと少し呆れながらもカギを開けてドアを開く。

そこに立っていたのは長袖ワイシャツ一枚以外何も身にまとっていない美少女だった。

ただ、美少女の前に『色々残念』と但書が付くが。

 

「いよぉう!相変わらず具合悪そうな顔しとるのう。そんなんじゃから彼女出来んのじゃぞ。え?わし?わしは告白なんて腐るほどされとるけど、こう、びびっと来る男が見つからんからの。まー、わしじゃし?是非もないよね!」

 

「別に聞いてないし。おはようノッブ」

 

彼女の名前は織田信長。

俺と同じくこの世界に新しい命として生まれ、そして今に至るまで一般人として生きている。

決して大六天魔王でも魔神でもない。

ちなみに歳は俺の一つ上だ。

記憶が戻ったのは俺と同じ5歳だったようだが、俺が普通の人生を送っているところを見て無理に話す必要もないと判断していたらしい。

まぁ、俺は記憶を取り戻した次の日に家に押しかかけたのだが。

ちなみに元の世界での名前は確かに織田信長なのだが、この世界ではちょっとした事情で姓は織田ではない。

 

「具合が悪そうな顔してるのは昨日ちょっと無茶したからだよ。別に普段はもっと健康的な顔してるさ」

 

「ほう?無茶?お主の()()()()をもってしてもそうせざるをえないほどに厳しい試験だったのか?」

 

こちらの世界でも尚戦闘狂の気があるノッブの目が怪しく光る。

眼光は並みのヴィラン程度では竦んでしまいそうな威圧感で、それをむき出しにしながら悪い顔でニヤリと口角を上げた。

どこからどう見ても、明らかに17歳の女子高生がしていい顔ではない。

 

「怖いよ。やめてよその顔」

 

「わしの顔はいつだって可愛いから問題ないんですぅー。それで、その無茶について詳しく聞かせろい。こっちは課題も終わって暇なんじゃ」

 

そういうと俺の同意も取らずに「邪魔するからのー」と言いながら玄関に上がる。

俺もそれを止める気はない。

というのも彼女は隣の家に住む幼馴染で、こういうことも昔から少なくなかった。

ノッブ風に言うと小さいころからずっと一緒につるんできた仲なのだ。

もう何時の事かなんて覚えていないが、もう一人の幼馴染と一緒に子供特有の結婚の約束をしたのも今ではいい思い出である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先ほどまで俺が眠っていたベッドのある俺の自室へ向かってノッブが階段を上っていくのを見届け、洗面所へと向かった。

蛇口をひねり、冷水を出す。

手にひんやりとした感触を受けて勢いよく顔面にたたきつけた。

キンキンに冷えた冷水で顔を洗うと、今までぼうっとしていた頭の中が徐々にクリアになっていく。

ふぅ、と息をついて壁に掛けたタオルで顔を拭き、軽く髪を整えてキッチンへと向かう。

途中リビングを通り抜けるが、そこには両親の姿はない。

現在俺の両親は海外を飛び回っている。

外資系の仕事をしているのかよくわからないが、普段から電話口で聞いたことのない国の言葉を話しているところをよく見ていた。

それ以外にも大きな金銭を動かすこともあるなど、仕事の情報の断片は会話の中にちらほら聞こえてはいた。

だが、家では仕事の話はあまりしたくないのか両親は自分達の仕事についてはあまり俺には言わなかった。

俺も特別興味があったわけではなかったし、両親が言わないなら無理に聞き出すつもりもなかったため結局俺は自分の親がどんな仕事をしているのか知らない。

両親は俺がある日突然大人びたはしゃがない子供になってもここまでしっかり育ててくれた。

多少気にすることもあったものの、必要以上には踏み込まずにやさしく接してくれた。

今思うと俺はきっと子供らしくない、あまりかわいげのない子供だったと思う。

5歳の子供の中に大人の魂、というか記憶が入ってしまったのだから、前日までのように奇声を上げながらはしゃぎまわるなんてことはできるはずもない。

それでもここまで育て上げてくれた両親にはとても感謝している。

テレビの横に立てかけられた写真立てを見て今はどこか国外を飛び回っているであろう両親に思いをはせた。

 

「おっと、あんまり遅くなるとノッブがまた拗ねるな。早いとこお茶入れて上に戻らないと」

 

キッチンでマグカップを二つ用意し、緑茶のティーバックを入れてお湯を注ぐ。

素早く、手際よくトレーに乗せて速足で二階へ向かった。

ノッブ達が来たときはいつもこれなのでもう慣れたものだ。

扉の前で「あけてー」と声をかけると、何かからトンッ、と飛び降りて駆け足でこちらへ近づく音が聞こえる。

ガチャリと開いた扉の向こうでは相変わらずワイシャツ一枚しか着ていないノッブが漫画本を片手に出迎えてくれた。

 

「ノッブ、また俺のベッドでマンガ読んでたでしょ」

 

「なんじゃ?なにか問題でもあったかの。もしやお主、わしの魅力にクラクラか!まぁー、年頃の男子には刺激が強すぎたかのぅ。というか自分で言っておきながら今気が付いたが、お前ももう高校生か。早いもんじゃのー」

 

うははっ!と笑いながら俺のベッドへダイブするノッブ。

特にこれと言って抵抗はないらしい。

思春期真っ盛りなのはお前もだろ、と言いたいところだが、実際のところ年齢に関してはノッブは生前から数えればそれはもう大変なことになるのでそう考えてみると俺もまだまだガキということか。

 

「そうだよ、俺はもう高校生になるの。つまりノッブも高校二年生になるわけ。もう少し女の子らしく慎ましさというものを覚えた方がいいんじゃないの」

 

「なにぃ?慎ましさなんて所詮は自分を周りに表現するのを臆した者どもが言い訳をほざいておるにすぎん。その点!わしはもはやアピールの塊!あふれ出んばかりの魅力を周囲に振りまき、魅了してやまぬ!周りの男子どもが惚れまくっても是非もないよね!」

 

愉快愉快、と言わんばかりにハイテンションなうちの殿様は事実顔がいい。

そして弟がいることもあってか面倒見のいい姉御肌だ。

そんなノッブが相手のパーソナルスペースなんて関係なしに激しいスキンシップを行ってくる。

そういう系が好きな奴にはたまらないだろう。

彼女に好意を持って軽ーくフラれた者は数え切れない。

 

 

『俺と付き合ってください!』

 

『うーん、気持ちはうれしいんじゃが。てかお主―――誰じゃっけ』

 

 

俺の友人の一人もその容赦ない一撃に倒れ伏し、しばらく学校を休んだことがある。

 

「だからこれ以上ノッブの被害者を出さないようにそう言ってるんじゃないか。というかそんな薄着でいたら普通に風邪ひくでしょ。まだ三月だし」

 

「だいじょぶだいじょぶ。わしげんきかずのこじゃし」

 

それを言うなら風の子じゃないだろうか。

そう思いつつ突っ込んでも意味がないことを知っているので黙っておく。

すると俺のベッドの上で足をパタパタと動かしていたノッブが漫画本を閉じてこちらに向き直る。

 

「さてと、お主も来たことじゃし、さっきの話の続きを聞こうかの」

 

「さっきの話って、実技試験の?」

 

「そうそう、お前さんがうちの駄妹みたいになっとった理由じゃ」

 

「駄妹って……。確かにグロッキーにはなってたけど」

 

「して、試験の内容はどんなじゃった」

 

そう聞かれて昨日の試験の内容について記憶を辿る。

机の上に持ってきたお茶たちを置き、傍にあった椅子に腰掛ける。

 

「高校側が用意したロボットを仮想ヴィランと見立てて倒した機体数をポイントに換算するって感じかな。個性のうまい使い方や工夫が問われるまさに実技試験だったよ」

 

その他にも説明してくれた講師はプレゼントマイクだったことや色んな個性の受験生がいたこと、そして巨大な0ポイントヴィランについて話した。

 

「ほほう。わしもそれやりたかったんじゃが」

 

「確かにノッブの個性なら随分輝く試験内容だったんじゃないかな。まさに多人数を想定した集団戦闘だったしね」

 

協力こそしなかったものの、他の受験生を利用することで結果的には多対多の多人数戦闘だった。

ノッブの個性はあのころサーヴァントとして使用していた能力そのものだ。

任意の場所から銃を取り出し、弾丸を射出する。

自分で手に取って打つこともできるが別に引き金自体を自分で引く必要はないらしい。

 

「じゃが思ったほど過酷というわけでもなさそうじゃな。猶更お主がそんな酷い二日酔いのおっさんみたいな顔してる理由がわからんぞ」

 

「なんで例えがやけに具体的なんだよ」

 

余りに具体的すぎる例えに苦笑いを浮かべる。

むしろノッブはどうしてそんなにしっかり『酷い二日酔いのおっさん』を見たことがあるのだろうか。

 

「あ、もしかして土方さん?」

 

「そりゃそうじゃろ。あいつ結構な頻度でべろんべろんになるまで飲んどるぞ」

 

「土方さんあんまお酒強くなかったしなぁ……」

 

この世界において土方さんはノッブともう一人の幼馴染の父親というポジションだ。

つまり、目の前にいる彼女は"織田信長"ではなく"土方信長"ということになる。

土方さんはこの世界ではプロヒーローで、日本に置いて老若男女問わず高い人気のある『新撰組』の副長だ。

ちなみにお母さんは茶々さんである。

あの小さな体で三人も子供を産んでいるというのだから驚きだ。

本当にいったいどこから生まれてきたんだろうか、あの三人。

 

「まぁあのダメ親父の話は置いといてよい。結局のところお前が無茶をした原因はなんなんじゃ」

 

もったいぶるな、と言いたげに口をとがらせるノッブ。

あまり堂々と言いたいことではない事故に目をそらすが、ベッドから飛んできたノッブに顔をしっかりと抑えられて無理やり目線を合わされた。

これはもう何が何でも逃がしてもらえそうにない。

 

「少し、腹が立ったんだ」

 

「なにぃ?腹が立ったじゃと?何に対してじゃ」

 

「あの時向こうの手違いで例の0ポイントヴィランの予備機が誤稼働しちゃったんだ」

 

「さっき言っとった無駄にデカかったやつか?」

 

「そ。あの無駄にデカかった奴」

 

「ちなみに魔神柱とどっちがデカかった?」

 

「魔神柱」

 

ノッブの何気ない問いに即答で答える。

そもそも、あの時俺自身も思ったが試験用に受験生が倒せるように作った敵とあんな悍ましいモノを一緒に考えるのがそもそもで間違っているのだ。

 

「って、ノッブも脱線してるじゃないか」

 

「うははっ!すまんすまん。それで何に腹が立ったって?」

 

未だ俺の頭を両手でがっしり掴んだままのノッブ。

やっぱり綺麗な顔立ちをしているが、いかんせん中身がなぁ……。

 

「いだだだだっ!?頭割れるって!!」

 

「失礼なこと考えとらんで早うはなさんか」

 

「わかったからもうちょっと優しく!ソフトに掴んでくれっ!まだ本調子じゃないんだから!」

 

次はないぞ、と言いながらノッブの腕から力が抜けていく。

というかさらっと心読まれたな。

まぁ、良いけどさ……。

 

「一機目は俺じゃない受験生が倒したんだけど、その彼は瓦礫か何かで足を怪我した別の受験生の女の子を助けるために戦ったんだ。そのせいで彼は自分の個性で体がズタボロになった。左腕以外ぐちゃぐちゃだったよ」

 

「ぐちゃぐちゃ?自分の個性の反動でか」

 

「たぶんそうだと思う」

 

「そりゃあ不便な個性じゃのう。いくら威力が出たとしても体が持たんのなら後がない。まぁそれはそれとして、お前さんが何に腹が立ったのかはわかったぞ」

 

どうやら俺の考えていることに思い当たったようで、押さえつけていた俺の頭を離しながらノッブは少し諦めの入った顔で笑った。

 

「じゃがそれは少し酷なことじゃと思うぞ。お主が動いたということはお主自身から見ても並みの個性じゃ太刀打ち出来んと感じていたんじゃろ?なら、まだまだ中学あがったばっかのガキどもに現役のヒーローと同じことをしろとはいえんじゃろうに」

 

「そう、だね。だけど……それでも俺はあまりいい気分じゃなかった」

 

俺が腹を立てていたのは彼以外のあの場にいた受験生すべてだ。

あの場にいたほとんどの受験生は出遅れていた彼よりも前方にいた。

つまり彼らがあの場にいたことにも気が付いていたはずのなのだ。

あの女の子が倒れていたことに気が付かなくとも、彼があの場で逃げ遅れていたことには気が付いた受験生も多かったはず。

それなのに、彼らは自分の身の安全を優先して彼を見捨てた。

我が身可愛さに彼を切り捨てた。

それが、どうしても許せなかった。

 

「まっ、ゆるーい覚悟で卒業できるような生温いところじゃないじゃろ。あそこは。それならお主が考えていることについても遅かれ早かれ三年間でぶつかるはずじゃ。その時がせいぜい見ものじゃな」

 

そういいながらベッドから起き上がり、ひらひらと手を振って部屋から出ていこうとするノッブ。

 

「もう帰るの?せっかくお茶入れてきたのに」

 

「茶ならもう飲み終わった」

 

ノッブのカップを見ると、いつの間にかなみなみと注がれていたはずのお茶は無くなり空になっていた。

 

「いつの間に……」

 

「わしはお主と同じくグロッキーな駄妹の様子を見に戻る。お主も暇なら後で家に来い。うまい茶は出んがの!うははははははは!!」

 

そう言って扉の向こうへ消えていくノッブ、かと思われたが何か思い出したかのようでひょっこりと扉から顔だけ出して戻ってくる。

 

「そうそう。お主と試験会場は違ったようじゃが、あの駄妹も雄英に受かるじゃろう。クラスはしらんが、同学年としてよろしくの~」

 

とだけ言って今度こそ本当に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




如何だったでしょうか
今回はノッブでしたが、次回はまた別のキャラクターを登場させるつもりです。
次回も乞うご期待下さい!
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