今回は皆さんご存知最初の関門体力テスト!
そして誠に申し訳ありませんが一身上の都合で2話に分けさせていただきました。
申し訳ない!!(土下座)
とりあえず沖田とノッブを出したのは良くなかったんじゃない?とか言われたりするけど完全に私の趣味です!
特に沖田!
だって土方さんに「お父さん!!」ってキレ気味に話しかける沖田さんみたいよなぁ!?
皆もみたいよなぁ!!?
幼馴染みのノッブが朝起きたら裸ワイシャツで同じベッドに居ていたずらっぽく笑ってるとこみたいよなぁ!!!??
みんなだt(ry
そっと扉を閉じて廊下に戻りたくなる気持ちを抑え、目の前で俺同様固まっている人物に声をかける。
「おはよう。朝からみんな元気だね」
「あっ、おはよう!入試の時はありがとう!君が怪我を治してくれたおかげでこの通りだよ」
そういってみどりっぽい彼はあの時ボロボロだった体を軽く動かして見せた。
どうやら術後の経過は良好らしい。
「元気そうでよかった。あの後会えなかったから心配してたんだ」
彼はあの後すぐに駆け付けた雄英の教師陣に医務室へ連れて行かれた。
彼と違って一度も目立つ外傷を一度も負っていなかった俺はいくつか質問をされてすぐに家へと帰されたため、彼の怪我の具合を見ることができないかったのだ。
どこか変にくっついていないか少し不安だったが、そんな様子はなさそうで安心した。
二人でお互いの無事を確認していると、入り口に新たな人影が増えたことに気が付いたのか先程までツンツンヘッドのやばそうな彼と言い合っていた例の眼鏡がこちらへ向かってくる。
「俺は私立聡明中学の――」
「聞いてたよ!あっと、僕緑谷。よろしくね飯田くん」
「俺は藤丸。よろしく」
「緑谷くん、藤丸くん……君たち二人はあの実技試験の構造に気づいていたのだな」
そう言って悔しそうに顔を伏せる飯田。
あの試験?
構造?
あ、もしかしてレスキューポイントのことかな。
「いや、俺は別に気づいてなかったよ」
「な、なんだって!?ならばどうして――」
「女の子がアレのすぐそばで転んでたんだ。それに緑谷も――ああ、緑谷って呼んでもいい?」
「うん!もちろん!」
「二人が危ない目に合っていて、その危険から二人を守る術を俺は持っていたから。ってところかな」
危ない目にあっている人が目の前にいて、それを自分は助けられる。
なら、そうしないなんて選択肢はない。
それは至極当然のことだ。
これは借り物の力だけど、きっと彼らもこういう使い方なら許してくれるだろう。
すこし自分勝手かもしれないけれど俺はそう思う事にしている。
「あ!そのモサモサ頭は!!」
自身の心の中で物思いにふけっていると、どこかで聞き覚えのある声が背後からかかった。
「地味めの!」
そこに立っていたのはあの日緑谷が助けた女生徒だった。
あの日とは違い俺たちと同じく雄英の制服を着ている。
どうやらあの場に居合わせた俺たち三人は運よく同じクラスになることができたようだ。
「あ!君はあの時怪我直してくれた人!」
「ああ、おはよう。経過はどうかな」
「君のおかげでばっちり!もうどこも痛くないよ!」
彼女も術後の経過は良好っと。
二人とも無事完治している様でよかった。
当人たちはお互いに合格出来たことを喜び合っている。
いや、喜び合うというか緑谷のほうが一方的に言われっぱなしだな……。
もしかして女の子と話すのあんまり得意じゃないのかもしれない。
見た目からしてあんまり騒ぐタイプじゃなさそうだし。
そんな彼の様子にどことなく親近感を感じる。
俺もカルデアに行くまではあまり人と接するのは得意なタイプじゃなかった。
まぁ、あの濃すぎる人間関係は俺の人見知りという個性をことごとく轢き潰して行ったわけけど……。
昔の苦々しい思い出と自分の今の成長具合を見比べて、照れる余り顔を隠しながらあたふたとしている緑谷を見て心の中でエールを送った。
「というかそろそろ沖田をどうにかしないと」
完全に忘れ去られていたが、グロッキーなうちの切り込み隊長をどうにかしなくてはいけない。
沖田の席を見つけて机に突っ伏させておこうか。
そう考えていると背後から声がかかった。
「お友達ごっこしたいなら他所へ行け」
寝袋にくるまり、廊下に芋虫のごとく寝そべった目つきと顔色の悪い不健康そうな謎の人物。
寝袋の中から飲むタイプのゼリーを取り出し、ヂュッ!!とえげつない音を立てて吸い上げた。
やっばぁ。
この人もしかして黒ひげタイプかな?
初対面での衝撃的すぎる装い、というか行動に戸惑いを隠せない雄英高校一年A組。
そんな中で彼は俺たちにこう告げた。
「さっそくだが、コレ着てグラウンドに出ろ」
そうして、俺達はこれから歩む最高峰への洗礼を受けることになる。
「個性把握テストォ!?」
グラウンドで急遽開催された俺達の個性を把握するための個性"あり"での体力テスト。
本来今までやってきた体力テストは文部科学省が全国の生徒の平均的な数値しか出ないように作られた個性仕様の禁止された体力テスト。
それを彼、俺達の担任相澤先生は「怠慢」だと言い捨てた。
そして相澤先生の指示で爆轟がソフトボール投げの位置に付く。
大きく振りかぶり、空へと向かって思い切り―――
「死ねぇ!!!!」
――――死ね??
ボールは爆風と共に遥か彼方へと飛んで行く。
彼の個性は爆発を起こすものらしく、その威力をボールに乗せて全力投球。
応用も広く、普通に使用しても高い火力を出せるいい個性だ。
だが、記録とは全く別の事で俺たちの頭はいっぱいだった。
――――死ね???
どうしてソフトボール投げの掛け声が死ねなんだろう。
彼はソフトボールに親でも殺されたんだろうか。
あれだけ思い切り吹き飛ばしたのだからその恨みは相当深いに違いない。
皆が恐らく同じことを考えているであろう中、相澤先生が一人冷静に呟く。
「まずは自分の最大限を知る」
ピピっと先生の手元のスマートフォンがアラームを鳴らす。
「それがヒーローの素地を形成する合理的手段」
こちらへ向けられたスマートフォンの画面には、通常の体力テストではありえない『705.2m』という破格の結果が叩き出されていた。
「なんだこれすげー面白そう!」
「705mってまじかよ!?」
「個性思いっきり使えるんだ!さすがヒーロー科!!」
爆轟の記録を見て周囲が沸く。
確かに個性を使った体力テストなんて今までやってこなかったし、俺も興味がある。
だが、生徒の楽し気な雰囲気とは打って変わって相澤先生の表情はまったく明るくなかった。
「……面白そう、か」
ぽつりとつぶやいた相澤先生の言葉にみんなの視線が集まる。
今までこの体力テストを軽く考えていた生徒一同に、相澤先生は圧をかけて言った。
「ヒーローになるための三年間。そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」
影の落ちた先生の顔からは表情を読み取ることができない。
だが、少なくとも優しい顔や期待のこもった目はしていないのだけはわかった。
「よし、トータル成績最下位の物は見込みなしとして判断し、除籍処分としよう」
「はあああああ!!!?」
ここに、俺達のプロヒーローを目指す三年間が幕を開けた。
「ようこそ、これが」
雄英高校ヒーロー科だ。
「ねぇねぇリツカさん」
「なあに沖田」
現在俺はしばらく経って回復した沖田と一緒に隅の方で座っている。
ぼーっと雲を眺めて自分たちの番が回ってくるのを待っていたが、唐突に沖田が声をかけてきた。
「勝負しましょ。勝負」
「勝負ぅ?」
突然何を言い出すかと思えば勝負と来たか。
目の前では50m走の計測の真っ最中。
ちょうどあの眼鏡、飯田がいいタイムをたたき出していた。
足から延びるパイプの様な物、そして周囲に響くエンジン音から彼の個性は大体予想できた。
ただ走るというのは彼にとってまさに得意分野なのだろう。
そんな中、俺に突然吹っ掛けてきた隣の幼馴染みに視線を向ける。
普段から突拍子もないことを多々口にする彼女だが、そんな中でも勝負となると大体理由は決まっていた。
「また晩ごはん?」
「ええ、もちろん。それかこの後帰りがけにどこかに寄っていきましょう。私、おだんごとかあんみつとか食べたいです」
「また家で沢庵漬けなの?」
「流石に今月はもう見たくないですねー……」
「まだ割と始まったばっかりな気がするけど」
「いや、これ先月からなので……」
そう言って遠い目をする沖田。
どうやらまた土方さんがこじらせているらしい。
いつもは勝負なんて言い出さない沖田がこんなことを言うのは決まって家で食事をしたくないときだ。
原因は主に帰ると待っている食卓に並んだ大量の沢庵なのだが……。
そんな黄色いご飯の共に嫌気がさすと、彼女は決まって俺を誘って外食に行く。
勝負とはどちらがその食事代を持つかということだ。
普段なら負けたとしてもしかたがないと諦めて払ってやるが、今月は気になっていた漫画をまとめ買いしてしまったためにお財布の余裕は全くと言っていいほどにない。
まぁ、もとより負けるつもりなど毛頭ないが。
沖田が勝負をすると口にしたのだ。
きっと"本気"を出してくるだろう。
なら、こちらも全力で向かわせてもらうだけだ。
「晩飯の話とは随分余裕だな。次、お前ら二人だ。はやくしろ」
いつの間にか近くに居た相澤先生に顎で動かされる。
どうでもいいが、さっさと走れ。
本当に心底どうでもよさそうな相澤先生の視線が少し痛い。
しかし、今まで幾度となく繰り広げられてきたこの勝負。
互いに譲れないものがある。
負けられない戦いがここにはあった。
互いに本日の晩飯をかけて戦意が燃え上がる。
相澤先生の目はあまり俺たちに期待をしていないように見える。
二人で度肝を抜いてやろう。
スタート位置に付き、お互いに視線を一瞬だけ交わして真っすぐゴールを見据える。
ただたどり着くべきその場所を見据えて。
計測ロボットが俺達を認識し、掛け声をかけた。
『ヨーイ』
悪いな沖田。
この勝負、俺がもらった。
『スタート!』
その瞬間、辺りは甘い花の香りに包まれた。