東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話)   作:イベリ子

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憑依もの大好きです。

※この作品は、 以下の通り
・地下図書館の名前がヴワル魔法図書館になっている
・小悪魔に「程度の能力」がある
・小悪魔が喋る
・設定の独自解釈
・原作厨(笑)

などの二次創作要素が含まれますので、不満がある方は閲覧をご遠慮ください。大丈夫、という方は明らかに二次創作な世界で奮闘する小悪魔をご覧下さい。


プロローグ

 幻想郷を紅い霧が覆った。

 

 後に紅霧異変と名付けられる事件。その解決のために二人の少女が空を駆けていた。

 

 

 

 1人は楽園の素敵な巫女、博霊霊夢。

 

 もう1人は普通の魔法使い、霧雨魔理沙。

 

 二人は幻想郷の守護、知的好奇心と動機に差はあれどともに異変の原因究明、そして解決のため霧の発生源と思われる深紅の館━━━紅魔館へ門番を倒して突入する。が、館は外見からは想像がつかないほどに広大だった。霊夢は己の直観に従い上へ、魔理沙は探索中に見つけた地下へと続く階段の先へ好奇心の赴くままに進んでいった。

 

 

 

 

「わあ、本が一杯だ!」

 

 地下への階段を進み、扉を開けるとこれまた外見とはかけ離れた広さを持つ空間の中には視界を埋め尽くすような本棚とそこに収められた本の山。しかも独学魔法使いの魔理沙にも分かるほど強力な力を持った魔導書が大量に含まれている。

 知識、特に未知の魔法に対して魔法使いが持つ知的好奇心は尋常ではない。魔理沙も例に漏れず今の自分の立場を忘れ魔導書へと手を伸ば━━そうとしたところで、遠方からメイド妖精と侵入者に反応した魔導書が弾幕を放ってくる。すぐに我に返り、箒に跨って空に浮かび回避し迎撃用の弾幕を張る。

 

(この宝の山は後回しだな。まずはバッチリ異変の首謀者をとっちめて、それから借りるとするか!)

 

 

 

 魔理沙が向かってくる敵を迎撃しつつ大図書館の奥へ進むこと、しばし。だんだんと向かってくるメイド妖精が少なくなってきていることに気付いた。いや、違う。数はむしろ増えてはいるが、そのほとんどは魔理沙へと攻撃することなく通り過ぎていくのだ。まるで━━

 

(なにかから逃げているみたいだ……ん?)

 

 魔理沙の脳内に疑問が浮かんだ直後、人影が見えた。そこに本が積み重なって塔のようになっており、そこに誰かが腰かけて本を読んでいる。まだ距離はあり、相手はこちらに気付いていないようだ。

 わずかに逡巡する。相手の準備が整っていないうちに攻撃するのはルール違反……のような気もする。だが、と魔理沙は思う。確かに弾幕ごっこは名乗りを含めての遊びだ。しかし相手は幻想郷を混乱させている異変の首謀者(の容疑者)だ。ここは一度牽制の意味も込めて攻撃してもよいのではないか?身なりからしてさっきまでの妖精メイドよりは格が高いだろう。もしかしたらこの図書館の管理人かもしれない。それなりの実力を持っているのなら、異変を真剣に解決しようというのなら先制攻撃も含め全力でかからねばならないのではないか?それで倒せたらこの辺りの本を私が入念に探索する時間も出来るかもしれないし……いや純粋な手がかりを求める気持ちでありそれ以外では断じてないが、それにそう、もし倒せなかったとしても、一発だけなら誤射かもしれない━━

 

 そんな逡巡という名の自己正当化を数秒で済ませ、マジックレーザーを放つ魔力をミニ八卦炉へと込める。すると高まる魔力に反応したのか、こちらに向けられた紅い瞳と目が合った。

 

 

 そう、

 

 

 

 ()()()()()

 

 

 

 

 ━━━瞬間、呼吸が止まる。

 

 

 

 姿は先程とまるで変わっていない。紅い髪、紅い瞳。背中と側頭部から蝙蝠のもののような羽が生えていることがどうしようもなく異形の存在であることを印象づけてしまうが、可憐な少女の姿のままだ。

 

 

 ━━なのに、ああ、なのに!

 

 勝てない、勝てない、勝てない!あまりにも彼女から感じる、感じ取ってしまうモノが大きすぎて体が勝手に屈服してしまいそうになる。

 博麗霊夢の持つ霊力は膨大だ。なんでも、歴代の博麗の巫女の中で一番の才能があるらしい。異変が起こる前に弾幕ごっこで遊んでいるとき、どれだけ戦っても涼しい顔をしているアイツに親友としてもライバルとしても嫉妬の念を抱いたことがないとはいえない。

 八雲紫の持つ妖力はおぞましい。視界に入れるだけで底のしれなさに不安を覚え、自分の存在がゆらいでしまいそうな恐怖を感じる。直に対面したことはなく、霊夢と話しているのを目撃しただけではあるが、最も強大な力を持つ妖怪として忘れることはなかった。

 紅霧に内包されていた魔力の大きさは自分の何倍もあった。太陽の光を遮るほどの霧で幻想郷を包み続けることができる異変の首謀者。危険は承知のつもりだった、そのつもりでここまできたのに、目の前のコレから今すぐにでも逃げ出したくてたまらない。

 

 膨大な力を持つものへの恐怖なら、強大な人妖に対する畏れなら抗えた。戦闘の中で一矢報いることもあったかもしれない。そうではない。蟻が巨象と相対しているような、根本的な存在としての絶対的な差を感じる。

 

 

 紅い瞳と見つめあい、蛇に睨まれた蛙のように微動だにせず、呼吸を止めてどれほどたったのか。永遠のように感じられたがようやく状況を理解し、生き残るために頭を動かし始め

 

 

「……あら、攻撃しないんですね?」

 

 

 その言葉とともに、彼女からの圧が増す。

 

 

 

 駄目だ。多分、私はここで死ぬ。さっきまでガチガチと音を鳴らしていた歯も、産まれたての小鹿のように震えが止まらなかった足も治まっていて、変わりに全身から力が抜け落ちて無様に箒から落下しそうになる。

 

 

 ━━━━だけど。

 

 

 全身に無理やり力を込め直し、ぐっと箒を握り締める。

 

 そうだ、さっき思い出したじゃないか。いくらスペルカードルールがあったとしたって、危険があることは百も承知だったって。それでも私は、誰にも頼らなくたって生きていけるって、私は普通の魔法使い霧雨魔理沙なんだって証明しに来たんだろ!

 

「……ああ、やっぱり本を読んでる奴には気を遣わないといけないと思ってな」

 

「あら、そうなんですか?意外です、こうして会話することになるとは思っていなかったので」

 

 本を読んでたのが原因ですかね?といって自問する彼女のその外見の可愛らしさと未だに発され続けている『圧』とのギャップに吐きそうになる。加えて今の言葉からして、魔理沙の不意討ちは見抜かれていたことになるだろう。最悪は免れた、と自分を奮い立たせる。

 恐怖は消えない。けど、立ち向かうと決めたんだ。

 

「なあ、そこを通しちゃくれないか?」

 

「うーん?そうしたいのは山々ですが、ご主人に怒られちゃうかもしれないですし……戦わないとダメでしょうね、やっぱり」

 

「そうかよ」

 

 軽口への答えは予想通り。彼女は言葉を言い終わると同時に『圧』をさらに強める。

 ……大丈夫。まだ体は震えるし、涙が勝手に浮かんでしまうけれど、立ち向かうことは出来る。だから

 

 

 

 

 

 

()()()?」

 

 

 

 

 

 まて。

 

 

 それは、つまり。

 

 

 

 

「ああ━━━━そういえば」

 

 

 

 

 まだ、名乗っていませんでしたね、と先程から震えを増し、血の気を引かせていく私に気付かないように優雅に一礼する少女の形をしたナニカ。

 

 

「私は━━━この館の主にして偉大なる吸血鬼、レミリア・スカーレット様……そのご友人の大魔女、パチュリー・ノーレッジ様と契約してこの図書館の管理を任されている、

 

 ━━━━━名も無き小悪魔で御座います。」

 

 

 

 末永く、よろしくお願いしますね?とにこやかに微笑む。小悪魔という名乗りとは正反対な、天使のような笑み。だけれど感じる『圧』は強まる一方で……

 

 

 

 

この化け物に、『小悪魔』と名付ける存在。

 

 

 

そんな、

 

 

 

こいつの上が。

 

 

 

 

少なくとも、二人、いる?

 

 

 

 

「ああ、よろ、しく」

 

 

 少女の、絶望的な戦いが始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あああああああああああああああああああああ話すだけに飽きたらず結局名乗ってしまったあああああああああ!!!こ、これもう原作と大分違う状況になっているのでは……いや待て諦めるな私!大丈夫大丈夫ここでしっかり原作の小悪魔っぽいeasy弾幕で負ければ……負ければ……あああああ緊張する!ヤバいヤバい目の前に魔理沙いるよリアル魔理沙!はあ可愛い!ちっちゃい!可愛い!声も可愛い!しんどい!ニヤケる!息が出来ぬ!抱き締めたいいっ!!!でもダメだ!ちゃんとちゃんと原作通りにするぞするんだしないと!原作より優れた二次創作なんてないんだから憑依したならしっかり原作通りに進めなきゃ!でもいざ直面するとヤバい!緊張がヤバい!過呼吸起こしそう!もー何で魔理沙無言で撃破してくれなかったんだくそうくそう…いや私が本読んでたせいなんだけど!はあああああああああやっちまったストレスと緊張でほんともう無理!生きるのがしんどい!でもそろそろ始めないと……もう会話終わる流れだし……うう頼む魔理沙!三秒で撃破してくれええ私弾幕出していられるの2分が限界なのおおおおおおおお!)

 

 

 




小悪魔★憑依
大きくする程度の能力
色んなものを大きく出来る。だけど中身は変わらないのでスカスカになる。なお緊張したり戦おうとするとハリネズミみたいに自分を大きく見せて威嚇する性質がある。(無意識)



小悪魔の能力なんだろなー

小悪魔の弾幕の特徴は大弾だなあ

せや!

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