東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話) 作:イベリ子
小話集みたいな形式にしたかったんですがまた長くなりそうだったので分け。もしかしたらあとからくっつけるかもしれません。今回と次回で妖精視点、次にれみりゃのお話をやってようやく異変かな?四年かかってて草
「ごめんなさい、今日は私がレミリア様に呼ばれているのでお仕事はありません」
今朝、小悪魔様の元に行ったら申し訳無さそうにそう言われました。ぺこぺこ、と頭を下げながらメイド長に連れられて図書館を出ていく小悪魔様。……暇になっちゃった。
① 妖精たちの作戦会議
「小悪魔様いないらしいよー」
「ほんと!?」
「やった、サボれる!」
「サボるじゃないよ、お仕事ないんだからお菓子もないよ」
「えー」
一緒に図書館で働いてる妖精メイドたちの反応はこんな感じ。指示がなくても何冊か本を抱えてたちょっと真面目な娘もぽーいと落としている。こら、本を投げるな。大妖精になったばかりの娘は小さい姿からいきなり人間の子どもくらいまで大きくなった自分のサイズ感に慣れてないことが多い。危なく私がキャッチしたけど、落としてたらみんなまとめて一回休みだ。
今日はいつもより数が少ないかもしれない。小悪魔様が優しかったり、指示がうまくてちょっと仕事が楽しかったり、他の娘たちが仕事してる中でお茶会が毎日出来るので館の掃除とかよりはよく集まるんだけどいかんせん小悪魔様が怖い時がある。普段は全然そんなことないしイタズラしちゃおうと作戦を練ることもあるんだけど、他の館の方々とお話しているときにいきなり強そうになるから及び腰になってます。大抵威圧を受けた次の日は私以外集まらなくなって、それからちょろちょろと威圧を忘れてまた集まって、の繰り返し。……私は、なんとなく一人も集まらないと小悪魔様が可哀想なのと、行くと凄い嬉しそうな顔をなさるので怖くてもとりあえず行ってます。あんなに喜ぶなら威圧しなければいいのに、強い妖怪の考えることは分からない。
「じゃあどうしよっか」
「霧の湖で遊ぶ?」
「門番寝てるかな」
「メイド長に捕まらない?」
「大丈夫大丈夫! さっき出ていったじゃん!」
てんでバラバラに相談し始める他の娘たち。一応私と同じ大妖精たちがあつまってるんだけど甘い考えが多いし声が大きい。門番はたしかに寝てることが多いけど最近こっちのお茶会に顔を出すようになって以来門の中で寝てるから鍵を開けたらバレそうだし、メイド長も小悪魔様を案内したらたぶんすぐ戻ってくるでしょ。というか一番の問題は、
「「「ぴちゅん!!」」」
「ひえっ」
ここが図書館の中だってこと。そそそっと離れてた私以外の娘は自動発動する魔導書からの『読書妨害を行うものを一回休みにさせる程度の魔法』の標的にあえなくなってしまった。これ妖精から大妖精までいっしょくたになっててもそれぞれちょうど一回休みにさせる程度の出力に調整されるんだよね。なんて無駄な技術。まあすぐに復活させないと仕事させられないってことなんだろうけど。
うーん。一応のお目付け役に任命されてからずっと仕事だったし、他の娘がいなくなっちゃったからやることがない。とりあえずパチュリー様にお目通りしてからどこかに行こうかな。
② 動きたくない知識の少女と動いたら負けな悪魔の妹
「あのーパチュリー様ー」
「何」
うわあ無愛想。でも読書中のパチュリー様はいつもこんな感じなので仕方ない。
「いえ、小悪魔様から今日のお仕事はなしと言われたので、外にでてもいいかなと」
恐る恐るそう告げると、読んでいる本から目を話してこちらを見る。じとっとした目だけれど顔を向けてくれるということは結構意識がこちらに向いてくれている証。
「……妖精メイドが? わざわざ? ……ああ、ていうかあなたあれね、お目付け役って適当に押し付けた」
「あ、覚えていらっしゃったんですねこのこのこの!」
絶対覚えてないだろうなあと忘れようとしていたのに! あの時本当に寿命が縮んだんですけど!
「へー、目についただけだったけどあなたも結構変わり妖精ね。知能も高いし変な小悪魔にちゃんと従ってるし割と強いし」
「褒めてるんですか貶してるんですか」
「割と褒めてるわ。で、ああ外に出る? ちょっと客が来る予定だからソイツの話し相手してもらってからでもいいかしら?」
「え、客? こんなホコリ臭いところに人来るんですか」
「こういう暗くて空気が通らない空間が好きな人種はいるのよ」
「誰がキノコみたいって?」
「うわあびっくりした!」
いつのまにか後ろにいた謎の少女。金髪赤目に……なんかよくわかんない羽根。枯れた木の枝に石がくっついてるみたいな。何の妖怪?
「本当に来たのねフラン。もう正体不明になる研究はお終い?」
「いやこれは分身だからセーフ。本体が外に出なければノーカンよ」
「アウトっぽい」
「あ"?」
「ごめんなさい!」
なんだかよくわかんないけど間違ってる気がしてぼそっと呟いたら睨まれた。怖い! しかも多分この人もめちゃくちゃ強い! どうやって来たの!?
「破壊しないほうがいいわよ。その子一番小悪魔と関わってる妖精メイドだから」
「え、関わってるってどういうこと?」
「上司みたいな。あの通り空も飛べなくしてるから妖精メイドに指示出して本の整理をしているわ」
「え、空も飛べなくしてるって「へえ!」ごめんなさい!」
グリンと頸を回してくる金髪妖怪。これ絶対面倒事じゃん、許さないぞパチュリー様。まあ許さなくても何にもできないんだけど。
「どう指示を出されてるの? 何語で? 最大何人くらい? 書架の分け方は?」
「いやいや、えっとぉ、どうと言われても集まってきた娘に応じてというか、休みが好きな娘は休みをお菓子が好きな娘はお菓子を報酬として与えていて、指示は日本語で、一番多くて指示を出していたのは20人くらい? 書架の分け方は分かりません!!」
距離がどんどん近づいてくる圧が強い質問にひとつひとつ答えると、今度は金髪妖怪もパチクリと目を瞬かせた。今度は何?
「ええ? あなた本当に妖精? 記憶力も高いし指示も聞くし……パチュリー、この娘になにかしたの?」
「不思議なことに何もしてないの。まあ霧の湖にいる妖精にも不思議なくらいの力を持っている妖精がいるらしいから、幻想郷ではこれくらいの妖精も産まれてくるってことかしらね。力だけならそこまででもないし」
「そうね、知恵が妖精としては尋常じゃなく回るけど別に強くはない」
「あの、これでも大妖精なんですが!」
しかもこの館ではじめて大妖精になったエリートなんですが! そりゃお二方みたいな強さはないけど妖精の中ではかなり強い方だと自負しているんですが!
「分かってるわよ。しかし、あなたみたいな妖精がいるって知ってたらあの得体のしれない奴を召喚しなくてよかったかもしれないのに」
「あ、それそれ。アイツを召喚した時の術式と反応を聞きたかったのよ」
「いや私に小悪魔様みたいな真似はできませんよ……」
仮に私がみんなに指示を出しても誰も聞いてくれないだろうし結局一人でやることになりそう。むーりー。
「術式はごく普通の使い魔召喚ね。反応も消費する魔力も変わりなし、若干少なかったかもしれないけど誤差の範囲内。詠唱と魔法陣を今書きだしてあげるからちょっと待って頂戴」
「わーいありがと。同じ妖精だから指示を聞いてくれないなら蝙蝠の羽生やしてみたらいいんじゃない?」
「いやですよ。それに妖精が悪魔みたいになれるわけないじゃないですか」
「「出来るわよ」」
「ハモらないでくださいよ!」
しかもなれるじゃなくて出来るって! 絶対魔術で改造されますよねそれ!
「要は変化の一環でしょ? しかも悪魔なら悪魔憑きって術式もあるし、一定時間悪魔の姿と力を得るなんて簡単よ」
「知恵が回らないと無理やりしなくちゃいけないけど、知恵が回るのがラッキー。魔導書と憑かせたい悪魔を覚えられれば自由自在に出来ちゃうわ」
「やらないですから教えていただかなくて結構です!!」
パチュリー様はさらさらとペンを動かしながら、金髪妖怪は未来視とかパラレルワールドとかの何の関連性があるんだか分からない書籍をふよふよ浮かせながら、にやにやしてこっちをおちょくってくる。もう!
「話し相手にはなりましたから! もう外行きますからね!」
よいしょ、と無駄にデカイ図書館の扉を頑張って開けながら廊下に出る。優しいのは小悪魔様だけだよ、もう!
「面白いね。髪も紅いし本当に悪魔みたくしたらアイツと姉妹みたいになれるんじゃない?」
「そうね。……それで、そんな分野に興味があったかしら?」
「んー、いや、アイツの名前が結局わからなくてさ。悔しいし、先に名無しになってるとか屈辱だから調べようと思って。集めてくれててありがとね」
「別に私が集めたんじゃなくて小悪魔に持ってこさせたものだから構わないわ」
「……ふーん。ま、まあ別にいいんだけど」
「(思いっきりこっちが釣られてるわね)未来を少し知ってるんだったっけ? それなら私の名前を先に知ってたことも納得いくし、信憑性は高そうね」
「まあそう。けど、アイツは自分の未来も知っていたけれど、その紅魔館にはすでに……小悪魔、と名乗るものがいるような口ぶりだった。もしかしたら未来視じゃなくて並行世界の観測が出来るのかもしれない、かな」
「まあ目的と手段が分かっても正体には届かない、か。レミィは何を話しにいったのかしらね」
「個人的な勘だと、多分くだらないことだと思うわ」
この妖精が実はタグの半オリキャラ成分だったりします。