東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話)   作:イベリ子

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 いつも感想、誤字報告ありがとうございます。前回の前書きから5件くらい誤字報告を頂きました。そう簡単には直りませんね。

 なんだか最近東方原作の作品が活発で嬉しいですね。もっと増えてもっと。あなたの幻想郷が見たいわ!あなたの幻想郷を見せてちょうだい!


とあるようせいのいちにち (2)

 ③ 完璧で瀟洒なメイドは友達が少ない

 

 

 謎の金髪妖怪とパチュリー様のおちょくりから逃げて廊下を歩くこと数分。風景が変わりません。

 

 

「絶対この長い廊下無駄だよ~」

 

 

 メイド長が趣味で空間を拡げてるらしいけど悪趣味この上ない。お客様も来ないし私達の遊び場になるくらいしか使いみちないのに、わざわざこんなに長くする必要あったの? 外に出られる気配がない。

 

 

「もうもう、窓割って外出ちゃおうかな」

 

「あら、犯罪者予備軍を見つけてしまったわ」

 

「ひょえ!?」

 

 

 後ろから聞こえた声はうわさをした陰。なんで強いひとってみんな気配を消して背後を取るの? まあメイド長の場合は時? を停めてるらしいから気配を消すとかじゃなくて今いきなり現れたんだろうけど。……いや違う声聞かれてたってことはやっぱり気配消して覗かれてたんだ! 

 

 

「人聞きが悪いわね、覗きじゃなくて驚かせるのが趣味なのよ」

 

「自然に心を読まないでくださいよ!」

 

「あなたが特別わかりやすいだけよ」

 

 

 やっぱり悪趣味! 私よりちょっとだけ早く紅魔館にいただけで(まあそこから大妖精になるまでまたちょっとかかったんだけど)人間のくせにメイド長なんかなっちゃって! 手品みたいにナイフ出すし時停めるし空間拡げるし生意気だわ! 

 

 

「あら、じゃあ闘る?」

 

「遠慮しておきます!」

 

 

 ナイフをちらつかせて眼を赤く輝かせるメイド長。こいつ本当に人間なのかしら、聞けばお嬢様を殺しに来たとか言ってたし種族間違えてない? 普通の妖精が何十何百集まってイタズラしに行ってたときも一瞬で(かっこよく倒すために1時間くらい細工してたとかいってたけど)全員細切れにして一回休みにしてたし。それ以降ちょっと頭が回る娘たちは逆らわなくなったけどみんなメイド長が種族詐欺してるんじゃないって疑ってる。人間がこんなに強いわけないだろ! 

 

 

「残念、あなたが闘ってくれないと暇つぶしに門番にナイフを刺しにいくことになるけど」

 

「別にいいですよ……」

 

 

 あのひとも種族わかんない妖怪だけど、暇つぶしと称してメイド長にナイフ千本にされてた(比喩じゃなくて本当に千本刺さってた)ときもあいててー位で全く意に介してなかったし異常すぎる。小悪魔様ってもしかしてかなりまともなんじゃないの? 

 

 

「というか何の御用ですか? 私外に行こうとしてるところだったんですけど」

 

「うーん、まあ特に用はないんだけど目についたからおちょくってみようかなと」

 

「はた迷惑」

 

 

 一応妖精メイドとして働き始めてからメイド長とは何度か会う機会があったんだけど、基本私達を当てにしていないメイド長は(ちなみに正しい判断だと思う)個体をあんまり区別しなくて一方的に私が知っているような関係だった。

 それが小悪魔様のお目付け役に私が任命されてから、お茶会の準備を手伝ったりするうちに「なんであなた真面目に働いてるの?」と声をかけられてたまに話すようになった。まあそもそもメイド長がこっちに来る時は小悪魔様とお話に来ることがほとんどなので本当にたまにだけど。あれ、というか

 

 

「小悪魔様はどうしたんですか? 一緒に出ていったんじゃ」

 

「小悪魔はお嬢様に引き渡したわ」

 

「動詞それで合ってます?」

 

「お嬢様が何するかわからないし気分的にはドナドナよ」

 

 

 はあ、と溜め息をつくメイド長。珍しい。自分で完璧で瀟洒な従者を自称する程度には隙を見せない彼女だけど、どうやら結構不安な様子。もしかして私に声をかけてきたのもそれが原因なのかな。

 

 

「まあご友人ですもんね。何事もなければ「待ちなさい」はい?」

 

「何って?」

 

「え? ご友人ですから、心配するのも無理はないかなと」

 

「ユウ……ジン……?」

 

 

 目をまんまるにしているメイド長。何だその初めて言葉を聞いた原始人みたいな反応。というか、

 

 

「友達じゃなかったんですか? なんか私達は対等みたいな話もされてたような気がしたんですが」

 

「え……ええ、まあ、対等……そうね、まあそれはそう。それはそうなんだけど」

 

 

 ここで私、気づく。あーそうか、メイド長ほとんどメイド長としてしか館の人と接してないんだわ。一応同じくお嬢様に仕える門番とか私達は対等になれそうだけど上から接してるからなあ。友達って感じとは程遠いか、それで小悪魔様がはじめての友達だと。はいはいはい、なるほどなるほどね? 

 

 

「待ちなさい。その不愉快な顔は何を考えているのかしら」

 

「え? いやあ何も考えてないですよ、メイド長は可愛いですね」

 

「あなたに言われる筋合いはないわ! 記憶が消えるまで一回休みにしてあげる!」

 

「いや勘弁してください! 私達だって生きてるんですよ!」

 

「そうね、コイン一個くらいの価値は認めましょう! 生きて外に出られたらね!」

 

 

 顔真っ赤にしてかわいいね、とか言ってる場合じゃない! 照れ隠しにか思いっきりナイフをばらまいてくるメイド長から逃げ出して、魔力弾で少しでもナイフを落としながら能力も使って飛ぶ! あはは、でもいいこと知っちゃった! わーい! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ④ 色鮮やかな虹のぐーぐー具現者

 

 

 命がけの追いかけっこ(でもメイド長は近づいてこなかったから本気じゃなかったと思う。多分)を辛くもやり過ごし、外に通じる扉を開けて出てすぐ閉める。するとヒュガガガガと扉にナイフが刺さる音が響く。絶対まっすぐじゃなくてホーミングして飛んできてるんだけどどういう原理? 

 

 でもこれでひとまずミッションコンプリート。あとは門番に一応話してから外に出よう。……やっぱり寝てる、しかも門の内側で地面に寝そべって。なんでこんなのお嬢様は雇ってるんだろ? 

 

 

「あの、門番さん。外出ますからねー」

 

 

 よし、それじゃ「曲者!!」「きゃあああ!?」

 

 

 私の顔の横寸前を拳が通り抜けていく。びっくりした! びっくりした! 今日一日で何回一回休みになるかもしれないわけ!? 

 その下手人は拳を振り抜いた姿勢で半目でこちらを見ている。もちろん門番だ。半目も睨んでるんじゃなくてぽけっとした感じの目。こいつ! 

 

 

「ちょっと! 寝ぼけてたでしょお前! 何が曲者! ですか妖精メイドよ私は!」

 

「んー、あー、いや違いますよ。おふざけ、ドッキリ、そういうあれです」

 

「寸止めする気もなかったでしょ勢いよく振り抜いておいて! 少しはまともに門番の仕事してくださいよ!」

 

 

 たはー、と頭をかく門番に私の怒りは有頂天。ほんとなんでこんな奴雇ってるの! 

 

 

「いやー厳密には雇われずに勝手に住まわしてもらってるだけなので。一応仕えてるつもりですが、立場としてはあなた方妖精メイドとそう変わりませんよ」

 

「え、そうなの? じゃあお給金は?」

 

「そんなものないない。たまにやってる庭仕事の方はもらえますけど、門番の方は趣味みたいなものだから」

 

 

 とたんに可哀想な妖怪に見えてきた。私達だってお菓子と紅茶、たまに遊び場とかをもらってるのに、ここから動けずに過ごすしかない、更に何ももらえないなんて。私だったら耐えられない! 

 

 

「いやいや、私はどこかに住まわせてくれるだけでありがたいんですよ。懐が深い家主に認めてもらわないと雲の彼方までふわーっと飛んじゃうので、護るものをくれてるだけでありがたいです」

 

「なにそれ、門番って風船の妖怪だったの?」

 

「まあ……空に浮くってので似たようなものかな? 一応虹の化身みたいな感じですよ」

 

「へー、綺麗。じゃあ紅魔館はいつでも虹がかかってるの?」

 

 

 そう続けると、ふっと笑みを深くした門番は紅魔館のほうを見つめる。私も振り返って見てみるけど、真っ赤で趣味の悪い洋館がただ建っているだけで虹なんてみえない。虹の妖怪も自在にかけられるわけじゃないのかな? 

 

 

「うん、虹が似合うな。ここに来る前と比べて随分数が減って屋敷も小さくなってしまうかと思ったけどとんでもない。守護りがいのある、いい家だよ」

 

「……何いってるのか分からないですけど、虹かかってませんよ?」

 

「あなたも素敵ないい子ですよ。特にあの娘と関わり始めてから、とっても綺麗になりました」

 

「ほんとに何の話ですか?」

 

 

 何だか優しげな目で見つめられて困惑する。私の知ってる門番とキャラが違うんですけど。雰囲気の違いもそうだしそんな目で見られたことがないから居心地が悪い。えーと、そうだ。

 

 

「あのー、そういえばさっきメイド長がすっごい面白かったんですよ。小悪魔様とあんなに仲いいのに自分では友達と思ってなかったらしくて、私がそれ指摘したら顔真っ赤にしてて! メイド長あんな顔もするんだなあ、って」

 

「へー、それは見たかったな。あの娘も名無しのころから比べて随分感情豊かになってたけど、やっぱり友達の影響は大きいんだなあ。私じゃ保護者か同僚にしかなれないし、難しいもんだ」

 

「あ、メイド長って結局人間なんですか? 眼の色変わるしやたら強いし人間じゃないと思うんですけど」

 

「一応素体となってるのは人間だし、彼女を定義する種族がない以上人間で合ってますよ」

 

「そんな消去法で決まる種族ってありますか?」

 

「あるんだな、これが。まあどうせなら十六夜咲夜って名前で呼んであげてください。メイド長でもいいんですけど、彼女は望んで忘れられたわけじゃありませんから」

 

 

 また優しい顔をして、ちょっと寂しげな雰囲気で語る門番。なんだか不思議な空気だ、どうして今日はこんなふうになってるんだろ? 

 

 

「まあ別に名前で呼ぶのはかまいませんけど。怒ってナイフで刺されたりしそうですよ」

 

「あはは、しないしない。友達が増えたって喜んでくれますよ、たぶん」

 

「ともだちぃ?」

 

「嫌ですか?」

 

「嫌、というか……釣り合ってないですよ、私妖精ですし」

 

「そんなことないですよ。そもそも人間と妖怪が友達になるのも変なんですから、妖精と人間が友達になってもいいでしょう?」

 

「んー、でも私の方が名前ないですよ」

 

「え、名前ないんですか!?」

 

 

 ぽろっと言った言葉に非常に驚かれた。な、なに? 

 

 

「このまま生きてたら妖怪になれそうな力は持ってるのに、名前がまだないってのは珍しいですね」

 

「え、だって名前ってつけてもらうものじゃないの?」

 

「人間はそうですけどほとんどの妖怪や妖精は違いますよ。ある程度強くなったらひとりでに名乗る名が思い浮かぶんですけど」

 

 

 そんなこと言われても思い浮かんだことなんてない。というか妖怪? 妖精って妖怪になれるの? 

 

 

「そりゃあある程度強くて人から畏れられれば勝手になりますよ。名前は必須ですけどね」

 

「ていってもなあ。そんな自分の名前なんて思い浮かぶ所が想像つかないよ」

 

「ううん、純粋な自然から産まれた妖精じゃないからかな? その"気"を見るに、図書館で発生したんですよね?」

 

「そうです」

 

「発生のタイミングか大妖精化したタイミングにか魔導書の影響を受けたりしたのかな? でも名前が無いのは不便ですねえ」

 

 

 不便って言われても。名前が無いのが当たり前だったし思い浮かばないし、髪の色とかから赤ちゃんって呼ばれるので十分だったしなあ。

 

 

「じゃあ名前付けてもいいですか? 屋内で産まれた子なので生中(シェンチュン)とか」

 

「嫌」

 

 

 可愛くない。というか屋内で産まれたって、もうちょっとあるでしょ。一時的にでもそんなの名乗りたくないよ。

 

 

「えー、じゃあどういうのがいいんです」

 

「どうって言われても……」

 

 

 なんていうか、()()()()。今のままがいい、ような気がする。自分でも理由が思い浮かばないけど。

 

 

「……そう、あなたも本当に素敵ね。じゃあ名前なんてなくても大丈夫。きっと友達になれますよ」

 

「はあ」

 

 

 なんだろう、この感じ。嫌ではないんだけど、さっきから門番が変なんだよね。むずがゆいし不思議とちょっと危機感を覚えるというか。……そもそもどうして門番と話してるんだっけ? あ、そうだ。

 

 

「あの、今日お仕事お休みなので。霧の湖のほうへ遊びにいってきますね」

 

「ああ、そんなこと言ってましたね。いいですよ。今日は遅くまで遊んできて良い日のはずなので」

 

「絶対適当に言ってますよね……じゃあいってきまーす」

 

「はい、行ってらっしゃい。ゆっくりしてきてね」

 

 

 

 うーん、半日が凄く長く感じたけど、ようやく外に遊びに……でも、もうお昼じゃん。最近暑くなってきたしなあ、チルノに声かけてみようかな? 出会い頭に凍らされなければ。

 

 

 

 

 あれ。館の方に虹が架かってる! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの子も歪だなあ。自覚はしてないみたいだけど、だからこそ見守りがいがあるね。どう転んでも私で対処出来ないようなことにはならなさそうだし」

 

「この館も閉じてばかりはいられないからね。この地に合わせて形を変えていく必要がある。その時をこちらから決められないのは窮屈だけど、こればっかりはお嬢様が負けたのが悪いから仕方ない」

 

「ただ、この館が甘く見られたままなのは納得いかないしね。賢者は随分とあの娘に怯えてるみたいだけど、ついでに私にもビビってもらおうかな」

 

 

 

 

「……うん、よし。あの娘の真似事だけど上手くいったんじゃない? 私にしては、だけど。……手加減とかあんまり得意じゃないからなあ。その点見習った方がいいよね、物質的な影響をまるで与えずに力を誇示出来るの」

 

 

 

「さて、陰気なお客は帰ったみたいだし、お嬢様も小悪魔さんも問題なし! 久しぶりに虹蛇を飛ばして疲れたし、寝よっか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 次話が終わったらようやく異変です。次話も分けるかもしれませんが。
 あと紅魔館メンバーのざっくり紹介を載っけようと思っているのですが、作品ページに載せるのと活動報告に載せるのだとどっちがいいでしょうか。アンケート作るので御協力いただければ(アンケート取ってみたいだけ)

紅魔館メンバーのざっくり紹介

  • 作品ページに載せた方がいい
  • 活動報告の方がいい
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