東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話)   作:イベリ子

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TRPGのキャンペーンGMが終わった&HF見た&わたてんとかぐや様見た→三時間3000文字書けた。


あいさつ

「あなたもこの館の新しい住人である以上、館の主に顔は合わせておきなさい」

 

「了解しました!」(えマジですか?)

 

 

 なんとかかんとかパチュリー様と契約を結ぶことが出来て、紅魔館のヴワル図書館に住む小悪魔というところまでは持っていけたことで少々安心していた後の言葉である。

 今はレミィは食堂かしらね、と呟きながら巨大で重厚な扉をふわりと指をふるだけで開け、そのまま身体を浮かせて階段を昇っていくパチュリー様に、慌ててついていく。

 紅魔館の主。れみりゃーですか。レミリア・スカーレットですか。永遠に紅い幼き月ですか。正気というか理性を保つ自信がないんだが???

 というかさっきまで小悪魔的振る舞いをしなければならない使命感に燃えていて気付けていなかったが、今私幻想郷に入り込むとかいう全人類の夢みたいな状況がかなってるじゃん!実際小悪魔が原作に混じることとかほとんどないし、紅魔郷で変に霊夢とか魔理沙に絡まないことを心がければ、後は幻想郷の住人たちといくらでも交流が可能なのではないだろうか?実際小悪魔ってそこらへんの妖精たちと立場は一緒だとか神主が言ってた気がするし、4面中ボスの役割さえ果たせば原作に大きな関わりとか持つことなく見て回れるんじゃないだろうか!そしてすでにパチュリー様との契約を終えているし、あとは紅魔館メンバーとも好きなだけ絡んでいけるかも!ああ、夢が広がっていく!ふふふ、これこそ我が世の春が来たって感じなのかな!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ̄ ̄ ̄

 

 

 

 

 

(一体こいつは何を考えているの?)

 

 小悪魔と名乗る悪魔を目の端に捉えつつ、私は考えを巡らせる。契約するまでその身に纏わせていた謎の『圧』を霧散させてニコニコと笑みを浮かべながら律儀に階段を歩いて私に付いてきている。契約がしっかり実行されているかを見るために保有可能な魔力を私の十分の一と設定をしてみたが、それも意に介していないように表情を変えずにいる。けれど、笑みの性質が今と先程とでは違ってきていることにも気がついた。先程までの笑みにも違和感があったわけではないが、今の笑みと比べると貼り付けた笑みだったように感じる。しかし何に反応したのかが分からない。単純に考えれば、レミィに会いに行く、ということだろうか。

 

 少し、思考を整理する。まず疑問として上げられるもの。

 

 なぜ相対していた時にこちらを威圧する行動を取っていたのか?

 

 なぜここまでの不平等な契約を了承したのか?

 

 今浮かべている笑みの正体は?

 

 そしてこいつの目的は?

 

 

 単純に考えれば、一つ目の答えは自身の有利な契約をすることだろうと思う。しかし二つ目の疑問がその答えを否定する。逆に二つ目の答えを単純に出すのだとすれば、どんな条件でもよいから契約をしたかった、または契約を行わなければならなかったということになる。仮にその状況であったとして、こちらを威圧することとどう繋がる?

 あの威圧によって私に起こった変化として、一番はこいつを警戒するようになったこと。次点で、武力による屈服を試みなくなったこと、か。

 ならば三つ目の疑問、先程からの笑みの正体。今こいつが契約を結んだことによって関われるようになったことは私、ヴワル魔法図書館、紅魔館、そしてレミィ。しかし笑みの性質が変化し始めたのは私の観察が正しければレミィの名を口に出したタイミングだった。

 

 まだまだ情報も考察も足りてはいないが、ここまでの情報と推測が正しいとするならば、謎の『小悪魔』さんの目的は、

 

 パチュリー・ノーレッジとの武力敵対をしない。

 

 どんな条件であれ契約を結びこの紅魔館、ヴワル魔法図書館、またはパチュリー・ノーレッジの側にいる。

 

 レミリア・スカーレットと会う。

 

 

 この三つである、とするのが今考えられるところだろうか。まあ、実際はどうであれレミィと会わせれば何かしらの状況は変化することでしょう。

 

 そんなことをつらつらと考えていると階段を昇りきり、食堂へと着くところだった。まだニコニコと笑みを浮かべている小悪魔へ振り返り、

 

「ここよ」

 

 とだけ声をかけて、さっさと扉を開け中にいるであろう彼女へと声をかける。

 

「レミィ、いる?新顔が……」

 

 

 

 

 

 途端。

 

 

 

 

 

 背後にあった吹けば飛びそうな小悪魔の気配が、契約前と同じような『圧』へと変貌した。

 

 

(バカ、なッ!?)

 

 

 契約によって魔力は最大でも私の十分の一にしているはず。ならばなぜこれほどの力を出せるのか?再び疑問が溢れてくるが、しかし契約は今でも結ばれている。ならばと私への危害を加えることの禁止、許可なくしての魔力の行使の禁止を付け加えようとする。しかし。

 

 

(くっ、ダメ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()……!)

 

 

 小悪魔は何も魔術への対抗などを示しているわけではない。ただ、そこにあるだけなのに、それは私の魔術理論を凌駕していた。使い魔との使役の方法は様々あるが、今回の私の魔術は相手の魂への書き込みによるもので、そして私が持つ万年筆では山に対して意味のあることは書き加えられない、ということだ。

 ギリ、と歯が音をたてる。契約を結び、魔力を制限したからといって油断した挙げ句、自分の友人を危険に晒している。鉄火場に立つことを嫌い、研究に没頭していたからなどと言い訳にもなりはしない。その研究すらこの場では何の役にも……

 

 

 

 

 

「気にしなくていいわ、パチェ」

 

 

 

 

 

 自己嫌悪の思考に取り込まれそうになった時、凜とした声が意識を戻した。目を向けると、テーブルに1人座っている少女が、優雅にティーカップを傾けていた。

 館の名と相反する蒼が混じる銀髪に、緋色のナイトキャップ、同じ色の中に赤のリボンが結われたドレスを纏っている、人間で言えば十歳ほどに見える少女。しかし、背中より広がる巨大な蝙蝠の翼と長い爪と牙、そして何よりも印象的なその紅い瞳が、彼女が人外の存在であることを強く印象付けている。

 

「なるほど。はじめまして、新顔。

 

 

 ようこそ紅魔館へ。ここは悪魔の住まう館。入り込むもの全て見る現実の紅い悪夢。

 

 そして、私がその主。永遠に紅い幼い月。スカーレット・デビル。

 

 

 

 私が、レミリア・スカーレットよ」

 

 

 

 

 彼女から紅い魔力が迸り、私の後ろにいる小悪魔へと叩きつけられる。ただの魔力である以上これだけで実際に傷が与えられるわけではないが、その殺気とともに与えられる彼女のカリスマとでもいうべきプレッシャーは、強者としての核がなければ膝を折り忠誠を誓うであろうことは想像に難くない。

 

 

 

「ーーーーーーッ、グッ」

 

 

 

 しかし自らを木っ端の小悪魔と名乗る少女はただ、その圧力を増した。それは今までのものが児戯に思われるほどのもので、思わず私は扉の横へと移動して道を開けてしまう。

 

 

 ……自分が蟻のように感じられるのは今日が始めてだ。小悪魔は、その笑みを全く崩していなかった。しかしその目だけは薄く、確かに開かれており、静かにレミリア・スカーレットを視界に入れているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(まっまっまっまってパチュリー様がいきなり扉開けるし心の準備出来てなかったしれみりゃー様が可愛過ぎるし美人過ぎるしカリスマ過ぎるし怖過ぎるし!!!

 しぬ?しぬ?これ私殺されない?さっきまで夢広がってたじゃんなにこの急転直下!誰だよカリスマブレイクとか言ったやつそんな雰囲気まっっっっっったくないんだけど!なんか本当に死を直感すると体マジ動かないんだね始めて知った知りたくなかった!てかそれなんなんすか紅いオーラみたいな奴東方はドラゴンボールじゃないでしょおお!??目が開けらんないし目を離せば殺されそうで怖いし体動かないし!まずいまずいこのまま殺されると原作が!原作が!ごめんなさい小悪魔あなた一体どうやってこのスーパーライトニングデスファイヤー圧迫面接乗り切ったんですか教えてお願い!というか誰か!誰か助けてええええええええ!!)

 

 

 

 

 




小悪魔さんのハリネズミorフグ度
よつこそ ■■■■
ミスった ■■■■■■
契約完了 ■■
れみりゃ ■■■■
カリスマ ■■■■■■■■■■■■ No.1!

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