東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話) 作:イベリ子
過度な期待はしないで欲しいとガラスハートは思っております。今回は長くなりそうだったので分けました。
ところで1/27日から第15回東方project人気投票があるんですよね。そこまで頑張って更新続けたいと思っているんですが、皆さんどなたに投票しますか?
「小悪魔。これお願いするわ」
「了解しました、パチュリー様」
パチュリー様から召喚されて3日が経ち。
「あ、こら!駄目ですよ、それは魔導書ですから。危ないのでこちらの本を554の区域の、ラテン語の書架へと運んでください。迷わないように気をつけてね?」
「は、はい!了解しました!」
「ふふっ、ちょっと遠いけど頑張って。もし早く終わったら一緒にお茶でも飲みましょうか」
「!! が、頑張ります!」
─────私、充実しています!
あの恐怖の圧迫面接のあと、なんとか自己紹介をしてパチュリー様の指示で図書館へと戻ってようやく息をすることが出来た。図書館の扉をあけるまでもう心臓をばくばくさせ続けていた緊張の糸がようやく切れて、そこにへたりこんで多分5分くらい天井をあー死ぬかと思ったーとか思いながら見つめていたと思う。そのタイミングでパチュリー様が帰って来なかったのは本当に良かった。まだ自分でも小悪魔像が固まってないのに、
で、私が立ち上がってからしばらくしたのち、パチュリー様がメイド服を着た背中から羽が生えた女の子を1人連れて戻ってきた。これが妖精メイド!KAWAII!と思考を呑まれてしまっていたため聞き逃した部分があったかもしれないが、小悪魔の仕事は図書館の蔵書の整理であり、妖精メイドと協力してやるということらしい。その後仕事内容を直接教えてあげる、となんと魔法で直接脳内に書き込んで貰えたのである!改めて直で見る魔法初体験に興奮する私をパチュリー様と妖精メイドが変な顔で見ていたので慌てて取り繕ったが、それでも貴重な体験である。そういえばパチュリー様達が入ってきた時に扉の前で出迎えた時も変な顔をされたような。何か失礼なことをしてしまっていたのだろうか?不安である。
そしてその日から仕事を開始したのだがこれまあ魔法のすごいこと!パチュリー様が刻印した本の分類がそのまま頭の中でああどこそこの書架分類だなと司書の経験が1mmもない私でも分かるようになった!いやあ魔法すごい!私も使いたい!……うん実際少しは魔法使えないとヤバいんだけどね。紅魔郷では空飛んでちゃんと弾幕打たないといけないし。小悪魔的に。
そう、私は今のところまっっっっったく魔法が使えないし空も飛べないのである。まずもって自分の中に魔力らしきものを一般現代人が感じられるわけがなく、翼生えてますよと言われていきなりそれを動かすことなど出来ないのである。……多分。特別私が鈍いとかそういうのではないといいなあ。
そうすると一つ困ったことになる。司書の仕事だが、普通の図書館なら魔法知識だけでどうにかなるだろうがあいにくここはヴワル魔法図書館。書架が分かっても、なんと高さ的にしまうことがほぼ不可能な場合があるのだ。それを仕事を始める前にあれ?このままだと私戦力外では?と運良く気付き、パチュリー様にある打診をしてみた。
『あの、パチュリー様。私の魔力の件はご存知ですよね』
『……ええ、そうね。だけど私からはどうにかするつもりはないわよ』
『ああいえ、パチュリー様には何もしていただかなくて結構です。ただ、妖精メイドさんたちがもう少しいてくださればよいのですが、可能ですか?』
『まあ咲夜がいいといえば、だけど。何を企んでいるのかしら?』
『お仕事を企んでいます』
そして始まる、中間管理録コアクマ───
どうやらパチュリー様からの仕事内容教育魔法は私しか受け取っておらず、他の妖精メイドたちはどの本をどこに置けばいいか分からない。けれど空を飛べる彼女達へそれを指示することで私も彼女達もしっかり仕事をしているように見える!そして妖精である彼女達がきちんと仕事をしているかを調べたり、低い書架の本を整理したりもしつつ私の指示を聞いてもらうための機嫌取りにお茶会をしたりする!ぐへへ可愛いな妖精メイドちゃんたちはとなるためでは断じてないのである!
間違いなく効果は出ているようで、パチュリー様の前だからか初めて会った時はカチカチに緊張していた彼女たちとも徐々に打ち解けてきたように感じる。特に赤いメイド服を着てナイトキャップを被った、赤髪釣り目の妖精メイドは最初に私と出会ったこともあってか、非常に良く懐いてくれている。ああ、私はこれ以上ないほどに幻想郷を堪能出来ている!
─────
その日、多くの同僚が逃げ出した。
その気配が現れたのはお嬢様の居候であるパチュリー様の住まいであるヴワル魔法図書館。中はメイド長が空間拡張?とかをしたとかでやたら広くなってて本がびっくりするくらいあること以外はよく分からない。パチュリー様自体が他の人がいるのが嫌いだとかで私達は不必要に入ることを禁止されているからだ。まあたまに入っていく子もいるんだけど、大体変な本に手を出して一回休みになってる。
で、ほんとに突然前触れもなく地下にでっかい何かが出てきたの。人間のメイド長とかは気づいてなかったけど、私達妖精はそういう大きい力とかに敏感なせいでみんなざわざわしてた。そしたらそれが地下からこっちに昇ってきたからさあ大変。ひえーって逃げ出す子、どうしようって部屋の隅で固まる子、正体を暴こうとする子。私は、正体を暴こうとする1人だった。
私はそこそこ長くこの館に居着いている。どれくらいかは覚えてないけど、そのうちお嬢様からあなたもう大妖精ね、分かりやすいようにこれ着ときなさいと赤いメイド服を渡された。大妖精になれたのは私が初めてだったようで、つまるところ私はエリートなのである。
そんな自信があったこともあり、正体を暴こうとする子たちで組み、赤い髪を肩で揃えている悪魔が正体であることを尾行によって突き止めて、そのまま食堂までバレずに着いていけたことを尾行グループで喜んでいた時。
食堂から発せられていた気配が一変した。
お嬢様の近くにいたから多少の強い人への慣れはあっても、それでも絶対にここから離れなくてはいけないと皆が感じてたと思う。仕事をほっぽって多くの子が外へと逃げ出していた。そういえばそこでようやくこの気配に気付いたのかメイド長が私達になにごとかを聞いてきたので食堂に赤い髪の悪魔がいることを伝えるとどこかへと消えていったこともあった。そんな中私は、食堂からは離れたくて距離を取って、それでもこのメイド服を捨てることが出来ずに私達に用意されてる休憩室で動けなくなってたの。
しばらくして、食堂にあった大きなものはいきなり消えた。結局、何があったんだろうか。でも、私は自分を強くなったと思っていたのに、大妖精になったといっても私はなにが出来るというわけでもないんだな、と少し意地を張ってここに残っていることが虚しくなった。
でもそこで話は終わらなかった。
いきなり休憩室の扉が開かれたのである。そこには、
「あら、あなたしかいないのかしら」
お嬢様の友人である、パチュリー様がいらっしゃったのである。
「あ、えっと他の子たちはちょっと今さっきので……えと逃げ出してしまった、です」
「そう、まあ仕方ないわね。あなたでいいわ」
「えっ」
強引に休憩室から連れ出される。状況に付いていけてないのにこれはなにかまずいことが進んでしまっているような。
「あのこれはどこに向かっているんですか」
「図書館よ。あなたには私の仕事を手伝って貰おうかと思ってね」
「えっ、仕事って何されてるんですか」
「本の整理と新しくめんどくさい奴の見張りが加わったわ」
「ちょっと待って、そのめんどくさい奴って一体誰なんです」
「いいでしょ私だってあんな奴と二人きりとか想像するだけで胃が持たないのよ。ただでさえ喘息なのに」
そうこう言い合っているうちに図書館前の扉についた。嫌な予感しかしない。見張りとかが必要になる方で図書館にいるパチュリー様以外の人物。
「あの、それってまさ「入るわよ」あっ」
そして開かれた扉の先に待っていたのは私の予想通りの人物であり。
「おかえりなさいませ、パチュリー様。先ほどはご友人の前で見苦しい振る舞いをしてしまい申し訳ありませんでした。
それでは……私にさせたいこと、なんなりと申し付けください」
深々とこちらに向かって頭を下げているという予想外の姿なのでした。
私は「紅exパチュリーの前の赤い妖精メイド」ですかね……