東方虚悪魔異聞(原作厨が原作キャラに憑依してしまう話)   作:イベリ子

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今なら投稿しても……バレへんか……


こうりゅう caseもんばん(1)

 

 

「失礼します。御茶請けをお持ちいたしました」

 

「あ、咲夜さんこんにちは!」

 

「こんにちは小悪魔。今日も精が出るわね」

 

 

 こんな感じで。

 咲夜さんからの対応がなんとなく原作っぽく(???)なりはしたが、後で私が咲夜さんについて知ってることを話さなくてはいけなくなってしまった。どうしよう。でもまあ紅魔郷始まるのは大分後だろうし今はとりあえずこの環境を楽しんでいようかなぐへへ!

 

「では皆さん、休憩にしましょう」

 

「は、はい!」

 

「わ、私は大丈夫ですので」

 

「う、上の休憩室にいってきますー」

 

 この、環……境……。

 摩訶不思議なことに咲夜さんの態度が軟化するのと反比例してあんなに懐いてくれていた妖精メイド達が一気によそよそしくなっていた。なんでこうなったの。一応指示は今まで通り聞いてくれるし、唯一赤髪の子だけはこうしてお茶会に参加してくれるけどそれでも距離を感じる。

 前にそれとなく世間話の延長を装ってパチュリー様にそういえば最近妖精メイドから避けられちゃってーと聞いてみたら『そりゃあの威圧を受けたら距離取りたくもなるでしょ』との返答。

 威圧?何の話?でも指導に当たっている上で指導対象の現状に関する因果関係が把握出来ていないのは不味い。あくまで魔力クソザコナメクジの私が不思議図書館で司書っぽくやっていけてるのはこの子達のおかげ、指導員としての立場がなくなる=死を意味する以上下手に『あの子達にそんな威圧とかかけてくる人いるんですか?』とは聞くに聞けない……!

 

「あなたは一人で大丈夫?ごめんね、私からの誘いが断りづらいからって無理に付き合わなくてもいいんですよ」

 

「い、いえ!無理してるとかではないので、大丈夫です!」

 

「そう?仲間の妖精さん達と一緒がいいなら遠慮なくそうしてくださいね?」

 

 だから残ってくれるこの娘に感謝して、まずは相手の目線に立って、その上で妖精メイド達の等身大の意見を聞くことに徹しよう!彼女達の話を聞くのは仕事の一環だもんね!

 

「それでは私はこれで、あら?」

 

「あ、咲夜さんこんにちは。図書館に何か御用があったんですか?」

 

「私は御茶請けを出しに来ただけよ。あなたこそ門番の仕事はどうしたのかしら?」

 

「門番は今ちょっと妖精メイドに頼んで代わってもらってます。私もほら、新入りさんと顔合わせをしたいと思いまして」

 

「成る程。……ま、あんまり無駄に長居しないでね」

 

 気合いをふんすと入れて、椅子に腰掛けようとした時扉から聞こえてきた会話が私の動きを止めた。もしや、と振り返るとそこには、

 

 

「はじめまして、新入りさん?私、ここの門番をさせてもらってる紅美鈴っていいます」

 

 

 こちらへと柔和な微笑みを向ける女性。長身でありつつピンとした姿勢で赤い髪を腰まで真っ直ぐに伸ばし、髪に映えるような緑の華人服を身に付けている彼女!華人小娘紅美鈴!いつか会いたいと思ってたけど、まさかこんなに早く会えるとは!

 

「はじめまして、紅美鈴さん。私は名も無き小悪魔ですので、どうか小悪魔とお呼びください。お会い出来て光栄です」

 

「あはは、そんなに固くならなくてもいいですよ。……パチュリー様、ちょっとお時間よろしいですか?」

 

 気合いを入れてお辞儀して、今度あいさつするときはこうしようと考えてた通りのセリフを言うと美鈴は私を通りすぎてパチュリー様に話しかけにいってしまった。

 

 ……(´・ω・`)

 

 ま、まあいつでも話す機会はあるだろうしね。別に今すぐ話さなきゃいけない訳でもないし、全然気にしてないぞ!

 

 そのまま美鈴はパチュリー様と会話を始めた。距離があるので詳しい話は分からないが、何か頼みごとをしているようだ。ただあちらの話が気になって赤妖精ちゃんの話が聞けないのは本末転倒なので、とりあえずめーぱちぇのことは頭の片隅に置いてお茶会を楽しむことにしたのであった。

 

 

 

 

 

 しばらくして。お茶会が終わろうとしていた時に、

 

「小悪魔さん。ちょっとお話しませんか?」

 

 こんなお誘いが美鈴から!

 勿論大歓迎ですとパチュリー様に仕事を一部抜ける報告をしようとすると、パチュリー様にはもうお伝えしているので大丈夫ですよ、とのこと。さすが「気を使う程度の能力」の持ち主である。

 

 

 だが。

 

 

 美鈴に連れていかれた私を待っていたのは、楽しいお話ではなく。

 

 

 

 私と1cmしか離れていない美鈴の拳と。

 

 

 

「余計なことはせず私の質問にだけ答えて下さい。いいですね?」

 

 

 

 という美鈴のギリギリと引き絞られた鋭い眼差し。

 

 

 

 

 

 

 どうしてこうなった???

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで、パチュリー様に結界を作って頂きたいんですよ」

 

「はあ……あんなのと二人きりになりたいなんて、物好きよねあなたも」

 

「いや~それほどでも~」

 

「誉めてないわよ」

 

 ため息をつきながらも淀みなく結界を作成していくパチュリー様。魔術はよく分からないが目の前で紡ぎあげられていく膨大な力が指向性を持ち精密にまとまる様は、おおーと感嘆の声が自然に出るようなものだった。

 

「それで、死ぬ気って訳じゃないんでしょう?何をしにいくつもりなのかしら」

 

 手を休めず、視線もこちらに向けないまま投げかけられる質問。相変わらず心配の仕方も信頼の仕方も素直じゃない人である。苦笑しながら、んー、と口下手なりに自分の考えをどうにか説明しようと考える。

 

「まず、死ぬ気はありません」

 

「でしょうね。でもそれでアレと二人きりになるのは矛盾してないかしら?」

 

「いえ、彼女は私……私達に危害を加えることはないと確信しています」

 

「へえ?」

 

 そこまで話すとようやく面白いことを聞いた、というような反応を示してパチュリー様はこちらへと向き直った。

 

「勝つ自信があるとかいうのかと思ってたわ。あいつのわけわからない内面が多少なりとも推測出来てるっていうのは、あなたの能力が関係してたりする?」

 

 淡々とした口調で、しかし常と比べるとはっきり分かる程度には早口でにやっと笑いつつ爛々と目を輝かせている姿は、なんというか魔女だなあ、と改めて感じる。大したことでもないので私の能力や過去についてはお話してないのが原因だと思うけれど、そんなに気になっていたのだろうか?

 

「ええまあ。私がレミィと会う前から紅魔館にいたみたいだし、私の知らないことがあるってだけで興味を引くのよ」

 

「ありゃ。顔に出てました?」

 

「大分ね。それで、魔女(わたし)の前で話を始めて、なあなあで済むとは思ってないわよね?」

 

「怖いなあ」

 

 言いながら、思い出す。地下の図書館に彼女の気配が出現した時。レミリアお嬢様と対立するように巨大化する気配を感じ取った時、私が彼女に対して思ったこと。それは、

 

「まず、私は「気を使う程度の能力」を持っています。気っていうのは、魔力とか妖力とは違う、武術的な教えの一部として身体にある精神的なエネルギーを指しています」

 

「思ったよりあっさりと教えてくれるのね。気ねえ……大陸の方の書籍にはよく出てきてたような……それで?」

 

「別に隠すようなものでもありませんし、お嬢様はご存知ですしね。……で、能力の延長線上で、他の人達の「気」はある程度感知することが出来ます。そして「気」は精神に大きく左右されるものですので、大雑把にではありますが感情なんかも感じとれると言うわけです」

 

「なるほど?」

 

 私の説明の途中、半分くらいでパチュリー様は話を理解してしまったように質問をしてくる。

 

「じゃあ美鈴はあの小悪魔から一体どんな感情を読み取ったのかしら」

 

「いやあ、話が早いですね。……うん。私の能力の本来のものではないですし、距離も離れている時のものなので詳しくは言わないでおきます」

 

 けれど、地下から。そして食堂から発せられた超巨大な気。しかし、それを私は感じ取った上で門番の仕事を続けることを選んだ。彼女、小悪魔の気に含まれていた感情。それは───

 

 

 

 

「ですので、間近でもう一度試してみたいと思います」

 

 

 

 

 

 

 ─────恐慌と、歓喜。

 

 

 

 





長くなりそうなのでまた分けます。


更新遅れて申し訳ないです。インフルエンザが長引いて一週間程死んでいたら休み開けの諸々に追われてしまい、しばらく間隔が空いたら小説の書き方を忘れてしまっていた感じです。

なので続きは書けたらとなりますので、気長にお待ち下さい。

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