高校生探偵工藤新一。
幼なじみとトロピカルランドに来ていた彼が出会ったのは、赤い帽子が特徴的な人物だった。
ぐだぐだ、完全に一話のみの作品。にわか知識過ぎてアレ過ぎますが、お許しを・・・。遊戯王要素はあってもデュエル要素は全くないため、それでもよろしければ読んで頂けると幸いです。

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なんだこれ。


[第一話 ジェットコースター(ハーピィレディ)殺人事件]

 

 

 

[工藤新一 side]

 

 

オレは高校生探偵工藤新一。

幼なじみで同級生の蘭とトロピカルランドに来ていたオレは、人気アトラクションの一つ、ミステリーコースターに乗りこむ事となった。

 

 

同乗者はオレと蘭を除いて6人。

オレの右には蘭、前には女子大生2人組。

 

後ろには前の女子大生の友人だろう男女がいて、さらにその後ろには黒いコートに黒い帽子おまけに長い銀髪といったいかにも怪しい男。

 

この男ともう一人はに関しちゃジェットコースターに乗る前に係員と口論になっていたからよく憶えている。

もともとあの男は、こちらも悪目立ちする黒いスーツに黒い帽子、ついでに黒いサングラスの大柄な男と並んでいたんだ。

遊園地のジェットコースターに黒ずくめの恰好で男2人で乗車。

少し妙な組み合わせ――

 

 

だけどまぁ、世の中にはこういうこともまれにある。

 

 

 

 

 

それよりも、オレが興味を惹かれたのはその後。

アイツと初めて会った、あの時。

 

いくつもの難事件を一緒に解決していくことになるアイツとの出会いをオレは一生忘れない。

 

 

 

 

 

「さっさと降りろ!俺は兄貴とジェットコースターに乗るんだからよ、お前が乗ってたんじゃ乗れねえだろうが!」

 

 

蘭とジェットコースターの座席に乗り込んだ所で、後ろから怒鳴り声が聞こえた。

銀髪の男と一緒に居た大柄な男が、先に乗っていた乗客に因縁をつけているようだ。

 

 

(遊園地に男二人で来て、一緒に乗りたいから客を追い出す?大の大人が・・・?)

 

それは、少し頭に引っかかるが・・・だめだ、何でか分からねぇがあの二人について考えると頭がぼやけちまう。

 

「新一・・・あの人、大丈夫かな?」

 

隣の蘭が、俺の服を引っぱりながら心配そうな声を出す。

考え込んでいた間も、後ろの客は抵抗していたみたいだ。

止めようとしていた係員の声も今は聞こえない、諦めたんだろうか。

 

係員が止めるならと思ってたが、これ以上は見過ごせねぇな。

 

振り向けば、大柄な男が先に座っていた人に手を伸ばしている。

このまま引きずり下ろすつもりだろう。

 

 

「おい、あんた等—――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「—――それはどうかな」

 

 

「は?」

 

 

 

 

 

 

 

伸ばしていた男の手が、逆に掴まれる。

まさか抵抗されるとは思ってなかったのか、あんぐりと口を開けた男。

 

 

「チッ、抵抗するんじゃねぇ!さっさと放しやがれ!」

 

一瞬動きを止めたが、すぐに怒りに表情を歪める。

対して、掴んでる方の声は—――。

 

 

「遊びさ、本気でやる訳ないじゃん!」

 

異様なほど明るい返答だった。

跳ねるような、だが・・・妙に軽すぎる、声のような気がする。

気持ちがこもっていない、まるで目の前の男なんて気にもとめていないような、キャンディーでも噛み砕きながら言い捨てる、そんな言葉が

 

「分かればいいんだ。おら、さっさと放せ!さもねぇと・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――だがダメージは受けてもらう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにしやぁぁぁああぁぁあぁぁぁ!?」

 

 

辺りに響き渡るような叫び声をあげる。

周りの奴らも、俺も、銀髪の男もビクッと体を跳ねさせるほどの声—――悲鳴。

 

原因は、掴まれた腕。

 

 

その腕がスーツにごしでもわかるほど、骨が折れているんじゃないかと思うくらいギュウゥと握られている。

 

(どんな馬鹿力してんだよ!?一体どんな奴が―――)

 

 

 

 

掴んでいる手からたどれば、赤い上着の袖。

意外に普通の細さの上腕、肩・・・そして。

 

 

 

赤い帽子。

 

 

(あれ・・・?)

 

 

顔を認識しようとしているのに、どうしても特徴が帽子に絞られちまう。

これでも高校生探偵を名乗っている以上、観察にはそれなりに自信がある。

 

こんな、たった一つの特徴に頭が囚われるなんて・・・。

 

 

 

 

「はっ、放しやがれッ!!」

 

「許して下さいってか?許してやるよォ!」

 

 

 

 

必死に逃げようとする男に対して、赤い帽子の男は首を振る。

パッとその手を放せば当然

 

 

「のわぁ!?」

 

ひっくり返るように男が倒れていく。

鈍い音。

後頭部を打ったんだろう、地面を転がりまわる男。

 

 

「・・・なにしてんだウォッカ」

「ぁ・・・兄貴ィ」

 

 

(あの男の目・・・なんて目だ!平気で何人も殺してきたような・・・!)

 

 

銀髪の男が、足元で倒れていた男を見下ろしているその目は冷めきっていた。

背中に刃物でも突き立てられたみてぇに、体が固まっちまうほど冷めたその目が、赤い帽子の男に向く。

 

 

 

だが、ソイツは逆に・・・笑っていやがった。

 

 

 

「・・・こいつが世話になったな」

 

「彼はもう終わりですね」

 

 

 

(終わり・・・?確かに醜態は晒したけど、終わりなんていうほど重い話じゃ無いはず)

 

 

場面に合わない言葉に対して、何故か銀髪の目は鋭さを増す。

何かオレが気付いていない事があるのか、2人の間で妙な空気が流れる。

 

 

 

 

「・・・お前は先に他回っておけ。コイツに乗るのは俺だけでいい」

 

「で、ですが兄貴・・」

 

「・・・二度は言わねぇ」

「おいおい、しようぜ?言葉のキャッチボールをよォ?」

 

「黙ってろ」

 

 

ウォッカと呼ばれていた男が慌てて逃げていく。

銀髪の男は、赤い帽子の男の席を指差さす。

 

 

「そこはどけ。場所がかわるぐらいなら文句はねぇだろ」

 

どこまでも上から目線だが、逆らうなんて普通は出来ない雰囲気。

それを持ったあの男に、帽子の男は静かに席を立つ。

 

 

意外に素直、というのが俺を含めた全員の感想だっただろう。

 

 

 

ジェットコースターを降りた彼は、銀髪の男の前に立ちまるで誘導するみたいにジェットコースターへ手の平を向けた。

 

ニッ、と口の端を上げその口が開き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――なら俺の道連れになってくれよォ!!」

 

 

 

「なんなんだ、お前は・・?」

 

 

 

こうして、オレ達2人が出会って初めての事件が幕を開けた。

 

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

[ジン side]

 

 

 

 

 

「HA・NA・SE!!」

 

(なんなんだ、コイツは)

 

銀髪の男、ジンは隣に座る赤い帽子の男に視線を向ける。

下りてきたセーフティガードを何故か今さら外そうとしているその姿。

 

ウォッカが簡単にあしらわれたことは想定外だったが、そもそも当初の予定ではこのジェットコースターに2人で乗る必要はなかった。

 

『兄貴ィ!せっかくですから一緒に乗りましょうぜ!』

 

とウォッカが気持ち悪いほど押したため乗ったに過ぎない。

だから、問題は無い。

 

こうして『取引現場』が見える位置も確保出来た以上、仕事も滞りなく進んでいる。

 

1つ、懸念事項をのぞけば。

 

 

 

 

(あの異常な怪力はいい。だがウォッカ程度とはいえ、訓練を受けた組織の人間の腕を捕らえる事が一般人に可能か?)

 

そして、あのセリフ。

 

『彼はもう終わりですね』

 

あの場で、最も違和感のある言葉だった。

だが、ジンが何者かを知っていればその違和感は消える。

 

[黒の組織の幹部]であるジンを知っていれば―――

 

 

 

「全速前進DA!!」

 

 

(—―—知っている。コイツは俺が何者かを知った上で俺の隣に座り続けている)

 

加速を始めたジェットコースター。

先ほどまでの抵抗が嘘のように横で大きく両腕を上げ声を上げる男に、ジンはその凍てつく様な瞳を向け続ける。

先ほどから奇声をあげ続けているが、確実にこれはフェイク。

 

(狂人のふりをして俺を騙そうとしている。お粗末だが、演技は真に迫っている、さっきの発言が無ければ俺も騙されていたかも知れん―――だがッ)

 

 

 

ジンは笑う。

隣の男の正体は掴めないが、尻尾は掴んだ。

 

 

(発音。僅かだが、日本人にしては日本語に乱れがある)

 

 

日本以外の国に住んでいた期間が長いのだろう、と当たりをつける。

 

(・・CIAか、それともFBIか)

 

いずれにせよ、このトロピカルランドでの取引は[中止]しかない。

何らかの組織がここを見張っている可能性が高い以上、手を出すのは悪手でしかない。

 

 

(もうじき、取引現場になる筈だった場所が見えるな)

 

 

すでにジンの中では今日の取引中止だけではなく、取引相手の禿げ頭の社長の死も確定している。

組織側ではなく、社長側から情報が漏れていた可能性が高いからだ。

 

 

 

 

「イヤッッッホォオォォォォォォオォォウ!!」

 

 

隣で叫ぶこの男も殺しておきたいと、ジンにしては珍しく感情的になりかけるほどに耳障りな声に奥歯を強く噛み締める。

落ち着けと、強く拳を握りしめ————

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「闇の扉が開かれた」

 

「なに・・・?」

 

視界が闇に染まる。

まるで薄闇から伸びた手に心臓を掴まれたかのような感覚。

 

(ッ、ただトンネルに入っただけだ。落ち着けッ)

 

 

ただの闇だ。

ジンが一瞬とはいえ恐慌に落ちるには足りない。

だが、

 

(奴は何を言った?闇の扉・・・?)

 

その言葉が頭から離れない。

今も、脳内でその言葉が響き続けているような気もする。

そんな錯覚の中で。

 

 

 

ふと、嗅ぎ慣れた匂いがジンの鼻腔をくすぐった。

ツンと鼻を突きながら、粘つくように嗅覚にとどまり続けるような匂い。

 

(・・・ついてない。こんな時に)

 

 

 

「助けてくれ遊星ッーーーー!!」

 

 

(こんな奴の隣で事件に出くわすとはな・・・)

 

頬に熱い液体が張り付く。

 

匂いの濃度からして、確実に今[一人死んだ]と彼は自身の感覚で理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

トンネルを抜ける。

飛び込んでくる光、トンネルを抜けた事で見えてくる。

 

 

(血の噴水に悲鳴。日常とはかけ離れたこの状況で、お前はどうするのか・・・お手並み拝見と行こうじゃないか)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

[工藤新一 side]

 

 

 

 

 

「この赤い帽子が犯人だ」

 

亡くなったのはオレの真後ろに居た男性。

トンネル内で首を切断され、当初は疑われたジェットコースター側の故障による事故もついさっき点検が終わって否定された。

 

 

 

そんな中で、オレは到着した目暮警部と情報交換をしていた。

現場に居合わせたこともあり、気付いたことや事件当時の状況について説明していた時だった。

 

銀髪の男が、隣に立っていた赤い帽子の男を指差していまの言葉を口にした。

 

「突然何ですかな?聞いた限りではセーフティガードがある以上、事故でないというなら」

 

 

目暮頚部が、今も泣き続けている女性へと目を向ける。

亡くなった男性の隣に座っていた、彼女と思われる女性だ。

 

「そちらの女性しか犯行は不可能と思われますが?」

 

「・・・アンタの言うセーフティガード。そいつは体型に合わせて融通がきくように出来ている。コイツが出発前にギリギリまで押し上げようとしてたようにすれば、出来た隙間から体を抜くなんて簡単だ」

 

「それだけじゃねぇ。コイツがここを出る時、何て言ったのか他の奴らも聞いてただろうが。『俺の道連れになってくれよ』ってなぁ!」

 

「位置取りッ、ガードを抜けようとしていた事ッ、台詞!どれもコイツが犯人だって言ってると思うんだがなぁ刑事さんッ!」

 

 

この男、何を考えているのか分からないがここにきて急に饒舌になった。

隣に殺人犯と思われる男がいて、それを糾弾できるからこその興奮か。

 

(いや、そんなタイプには見えなかった。それに、男性の後ろだったのはあの銀髪の男だ。なら、おかしい事がある)

 

 

「・・・工藤君、彼の言っている事は本当なのかね?」

 

「え・・・ええ。セーフティガードについては同じ考えです。発言に関しては僕も聞きました・・・が」

 

引っかかる。

彼が犯人なら

 

「しかし警部。あの帽子の男性は出発前に銀髪の男性と席を交換したんです。おかしいじゃないですか、男性を殺そうとしたのなら、席をゆずらずにいたほうがいい。なぜなら、目の前にターゲットが居るのですから」

 

「・・・疑いを避けるためだ。今のお前のように思い出してくれる奴がいるから、コイツは俺がああ言った時内心では喜んだだろうよ」

 

銀髪の男と、目線が絡み合う。

本当に、どこまでも冷たい—――冷めた目をした男だが、いまその瞳にはさっきまでは無かった妙な熱を感じる。

 

オレ達の言葉に、警部殿が困った様な表情を浮かべる。

事件の調査が伸展しているようでしていないのだから当然だけど。

 

 

 

 

 

「きゃぁぁぁあぁぁっ、あ、愛子なによこれ!?」

 

 

そんな中で、唐突に辺りに響き渡る叫び声。

振り向けば先ほどまで泣いていた容疑者候補の彼女のそばにしゃがみこんだ女性が手に何かを持ち、掲げているところだった。

 

(あの人は、俺の前に居た・・・)

 

 

「これ!こんな包丁なんてなんで・・・それに血もっ!」

 

「きゅ、急に人のカバンあさり始めてなんなのよ!知らないわこんなものっ、私は持ってなかったもの!」

 

「ちょっと見せてもらえますかな?」

 

どうやら血まみれの包丁が彼女のカバンから見つかったようだが・・・妙だな。

 

「警部殿、そんな—―――」

 

「そんなもんじゃ人の首なんて切断できやしねぇ。とうぜん、普通の刃物じゃあの短時間で筋を抜けて頸骨の隙間をぬって切り落とすなんて不可能だ」

 

 

 

「よっぽどの怪力でもあれば、話は変わるかもしれねぇなぁ!さっき大の男の腕を折りかけた怪しい奴もいた気がするが?」

 

 

 

(そんな訳ない。いくら怪力だろうが人の首なんて包丁で切り落とせるはずもない・・・あの男)

 

分かっていてあんなことを口にしている。

いずれ容疑が外れることを分かっていて、それでもこの場をあの赤い帽子の男にかぶせようとしている。

それは―――

 

 

 

 

銀髪の男の目が、周囲に集まった野次馬の視線が彼に集まり始める。

目暮頚部ですら、空気に飲まれて視線を向けてしまうこの状況。

 

 

 

 

(違う。オレの感じた違和感、あの人は犯人じゃない・・・なら一体誰が)

 

 

ふと、視界に入るのは警察官へ自分が見つけた包丁を渡す女性の姿。

その姿が気になった。

 

ジェットコースターに乗る前と今で、何かが違う気が—――

 

 

(っ、そうか・・・・!)

 

 

「おらおら、犯人はコイツで決まりだ!!早く俺達を帰してくれ、刑事さんよッ!!」

 

 

 

銀髪の男が声を張り上げる。

その隣で、両手を握りしめ立ちすくんでいる男。

彼は犯人じゃない。

 

 

「警部殿ッ、犯人は――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「—―—――おい、決闘(デュエル)しろよ」

 

 

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

[ジン side]

 

 

(・・・duel?なぜこの場面で発言した、それに決闘だと?)

 

この場面、この状況で彼が発言することは無いと思っていただけに彼は違和感を覚える。

日本以外の組織に居る以上、この場で下手な弁解は出来ないため警察に今だけ預かってもらおうと考えてはいた。

どうせ所属する組織から連絡が行けばすぐに解放されるだろうからだ。

 

理不尽で矛盾だらけのジンの言葉に抵抗を見せなかったこともあり、彼も今この状況では事を荒立てずに他に待機しているだろう組織のメンバーにジン達を追わせる方向でプランを立て直したのだろうとジンは考えていた。

 

だからこそ、ここで急に抵抗を示した理由が分からない。

 

それも、決闘だなんて言葉を使ってだ。

 

 

「・・・この期に及んでどんな言い逃れをするつもりだ?」

 

「対戦相手のライフは1。相手フィールドには大くしゃみのカバザウルス〈攻1700/守1500〉が存在し1でも上回ればこちらの勝利となる状況」

 

帽子の男は今は布を被せられている男の死体を指差す。

意味の分からない単語、数字。

 

だが、語り始めた男の雰囲気に一気に場の空気が変わる。

 

「手札にはハーピィ・クイーン〈攻1900/防1200〉」

 

指を指すのは未だ泣き続ける、亡くなった男の彼女。

 

「ハーピィ・レディ〈攻1300/守1400〉」

 

次に、ついさっきダチのカバンを急にあさりはじめて凶器を見つけた女性。

 

「ハーピィ・ダンサー〈攻1200/守1000〉」

 

ジェットコースターではその女の横に居たもう一人の女友達。被害者からは最も遠い位置に居たといっても良い。

 

「魔導戦士ブレイカー〈攻1600/守1000〉」

 

ジンからすればさっきから横やりを入れてくる面倒な高校生探偵。

 

「ジェネティック・ワーウルフ〈攻2000/守100〉」

 

その隣に居た同年代の角のような髪型の女性。

 

「秒殺の暗殺者〈攻2000/守2000〉」

 

最後にジンを指差し、赤い帽子の男は自身のかぶっていた帽子を左手で掴み深くかぶりなおす。

 

 

「フィールド状況、各攻撃力からモンスターカードは以上。すべて攻撃表示と仮定」

 

「いや・・・君は何を言っているのかね?」

 

一時は呑まれたものの、途中からは呆れた様に半眼で見ていた目暮警部が大きくため息をつく。

いまの発言で、だれがどう見てもこの男は不審者となってしまった。

このまま警察へ連れて行かれるのも時間の問題だろう、が。

 

 

 

 

(・・・実行難易度かッ。聞いたことがある・・・公にできない事件の場合、暗号として個人の能力を数値化する場合があると・・・。恐らく個人の戦闘力、位置取りから被害者を殺せる難度を数値化している)

 

 

 

 

 

だからこそ、隣り合った席でも大学生2人の間で攻撃力に100の差がある。

 

なら、

 

「・・・・であれば、やはり前に乗っていた女子大生2人には犯行は不可能となる。けど・・・そうじゃない筈だ」

 

 

 

 

唐突に話し始めた高校生探偵の視線が、帽子の男を見据える。

その視線でジンは彼も同様に帽子の男の正体に気付き始めた事を察する。

 

2人の視線に、その男の口元はゆっくりと弧を描いていく。

 

ゆっくりと開かれた唇。

 

 

 

 

「―――現状の手札ではより攻撃力の高いハーピィ・クイーン、ジェネティックワーウルフによる攻撃が適している」

 

「なっ、なによ!私が犯人だっていうの!?」

 

 

指差されたのは男性の彼女と、高校生探偵の連れ。

ヒステリックに叫ぶ女性に対し、角の女性ジェネティックワーウルフは傍らに立つ高校生探偵の服の裾を不安げに掴む。

 

 

その様子に、しかし素直に男は首を振る。

 

「このデュエル—――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「—――犯人(モンスター)は貴女だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

[工藤新一 side]

 

 

 

 

(本当に何者だ、アイツ・・・)

 

 

昔、親父に聞いたことがある犯罪の実行難易度。

それを口にした段階で、赤い帽子の男にたいする新一の認識は変わった。

 

 

 

そして、彼が指さしたのは新一自身も、先ほど犯人であると気付いた女性その人。

 

 

「っ、どうして私が!」

 

 

オレの前の席に座り、さきほど包丁を見つけ今は友人が犯人かも知れないと涙を流す女性。

ハーピィ・レディと呼ばれた彼女だった。

 

 

「さっきそこの変な銀色の髪の人も言ってたでしょ!?女の私じゃ首なんか切れ無いって!」

 

「・・・だとよ。不可能なら、現状一番怪しいのはテメェになるなッ!」

 

 

 

 

「攻撃力1300のハーピィ・レディではカバザウルスの1700には勝てない」

 

「ならッ—―—―」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが奴は弾けた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・不謹慎すぎるだろ)

 

と、布をかけられた死体の頭があっただろう場所を指差して淡々と口にする彼の言葉にさすがに思うが。

 

 

 

 

 

 

たしかに現状、被害者が無くなったのは事実で犯人はあの女性で間違いない。

 

(後は証拠さえあれば・・・ッ)

 

 

 

 

「このデュエル。再現するにもう一つの条件を設定する必要がある」

 

「分かった分かった!話は署で聞くから、誰か彼をパトカーまでつれて行ってくれ!」

 

あきれ果てたような額に手を当てた目暮警部が、一緒に来ていた警官たちに指示を出す。

指示に従い、きびきびと動く警官が迫るのも気にせず、男は右手を静かに前に出す。

 

 

 

 

「魔法カード・黒いペンダント〈攻撃力500アップ〉の使用」

 

 

 

(黒い?・・・いや、ペンダントという事はやはりアイツは犯人に気付いている!なら、あの手の中には・・・!)

 

「このデュエル、プレイヤーはあえて黒いペンダントを使用した」

 

警官たちの手が、彼に届くその直前で。

 

「待ってください目暮警部!その人が持っているモノを見てくださいっ!それが被害者を殺めた凶器です!」

 

 

 

新一も駆け出す。

彼の手には、自分の想像通りの物が握られている筈と。

 

 

「ハーピィ・クイーンとジェネティックワーウルフを召喚したのであれば攻撃力を500上げる黒いペンダントを発動する必要はない」

「警部殿っ、犯人は自分が身に着けていた真珠のネックレスを使用し被害者を殺害したんです!」

 

 

「同様に、攻撃力が上昇しても相打ちとなるハーピィ・ダンサーも候補から外れる。自身の効果で攻撃力が300上昇し1900となるブレイカーと逆に手札の枚数により攻撃力が0となる暗殺者も候補から外れる」

「彼女はセーフティガードに隙間を作り脱出。俺の頭の上から手を伸ばして被害者の首にネックレスをかけた!落ちない様にセーフティガードに足を引っかける必要がある以上、その隣に座っていたハーピィ・ダンサーさんに犯行は不可能」

 

 

「ペンダントを使う必要があるのはハーピィ・レディだけだ。理解できないプレイングだが、それだけ思い入れが強かった。フェイバリットカードで勝ちたい誘惑にはどんなデュエリストも勝てない時がある。恐らくこのデッキにはリクルート対象としての運用も考慮してレスキューラビットも―――」

「ネックレスから金属ワイヤーを伸ばして、フックに繋げる。後は走行するジェットコースターの足元、レールにかければスピードとパワーが首をふっ飛ばしてくれるってわけですよ・・・!そのネックレスを持っていたにもかかわらず、今はつけてない人は一人しかいない!」

 

 

「つまり」

「つまり」

 

 

ようやく赤い帽子の男—―—―近付いて初めて、新一は同年代ぐらいだと気付くが今はそれどころではない。

 

 

 

 

「アンタがッ、もっと早くこの証拠品を出してたら事件はすぐに解決したんだよ!!」

「絶対に許さねぇ!ドン・サウザンドおおおおぉぉおぉ!!」

 

「誰のことだよ」

 

 

新一の手が、男の手をやや強引にしかしゆっくりと開く。

そこにあったものを、ポケットから取り出したハンカチで掴み、持ち上げる。

 

ソレが見えたのだろう。

犯人と呼ばれた彼女は地面へへたり込み頬から涙を流し慟哭する。

 

 

 

 

「・・・ああ、そういうことか」

 

 

 

 

手の中にあったのは、白く光り輝いていた真珠のネックレスでは無かった。

 

千切れ飛び散ったネックレスの一部だったのだろう。

被害者の血に染まり、すでに乾き始めていたそれはまさに[黒いペンダント(ブラックペンダント)]としか呼べないものだった。

 

 

 

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

[コナミ君の中の人日記]

 

 

 

 

 

 

 

新しい遊戯王シリーズの世界かと思ったら殺人事件が起きた件。

一体俺が何をしたというのか。

 

気が付いたらカードゲームの世界に跳ばされて、カード片手に世界を救ったり世界を滅ぼす片棒を担ぎかけたりしてきたこの人生。

気が付いたらスタート地点に戻されたり、過去に行ったり未来に行ったり散々な経験をしてきたがトンネルを抜けたら人の首が飛んでいたなんて初めての経験だ。

 

 

いや、バイクと合体して上半身だけぶっ飛んだ奴は居たけど。

 

 

とにかく今回の遊戯王シリーズはついに対象年齢を大きく引き上げたみたいだ。

やっとスピードデュエルになれてきて、波に乗ってきた所を拉致されたんだ、なにか理由があるだろう。あって欲しい。

 

 

今回もいつものごとく、気が付いたら見たことも無い場所。

前には大学生ぐらいのカップル。後ろには黒服の男2人のカップル。

 

 

いやもう、この時点で新シリーズに突入したと気付くべきだった。

 

 

 

 

男性カップルのガタイの良い方に掴まれかけて反射的にデュエル反射とデュエルマッスルが発動してしまったり。

 

前世(?)前作(?)の呪いでやはり言語機能に異常は出ていたものの、とりあえず友好的に事を進めることが出来たのに。

 

おそらく今回の相棒キャラとなるだろうと思っていた銀髪に犯人呼ばわりされる始末。

 

 

銀の長髪なんて、明らかに奇抜な髪型の主要キャラとも交友が持てたのに。

いや、サテライトスタートも似たようなものだったし、これも製作陣の新しい挑戦と考えるべきだろう。

 

なんだか高校生探偵とかいるらしいし遊戯王Detectives 略して遊戯王D.sとかだろうか。

 

主役の探偵が5人じゃない事を祈ろう。

 

 

 

 

 

とりあえず、今までに会得した機能をいくつか使ってうまく事件が解決できたので良かったこととする。

 

鍛え上げたデュエル心眼による戦闘力スカウターにより場を整理。

デュエルに汚染された言語機能をなんとか活用した、デュエル風解説。

 

一番は、飛んできた証拠品を瞬時に掴み取ったデュエル反射神経だろうけど。

 

 

とにかく長い一日だった。

 

 

 

ちなみに、今はものすごい大きな家に住まわせてもらっている。

あの事件の後、遊園地から出て公園で野宿していたところを新一君に発見されたのだ。

 

申し訳ないが、諸事情で家に帰れない事を伝えると意外にすんなり泊まらせてくれたのだ、ありがたい。

 

たぶん新しい家がこっちにも生成されてるだろうし、そこにデュエルディスクも初期デッキもある筈だから落ち着いたら取りに行きたいものだ。

 

ひとまずこうして、温かいご厚意で住まわせて貰えることに感謝して。

 

 

明日はカード拾いとお地蔵さま探しから始めよう。

 

部屋の近くに足音が近づいて来た、きっと新一君だろう。

今日はこれぐらいで終わりにしておくとする。

 

 

 

 

——―———————―—―——―――——――—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―——―—―—―—

 

 

 

 

 

 

「コナミ、お湯沸いたから入ってくれ。疲れただろ」

 

 

「それはどうかな?」

 

 







工藤新一っぽい攻撃力1700以上でリリース無しのモンスターで何だろうか・・・

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