もういちどこの世界に祝福を!   作:クロウド、

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少し早いけど、メリークリスマス!


クリスマス特別編 この聖夜にプレゼントを!

 冬、年越しも近くなった今日此の頃。しかし、その前にどうしてもやらなければいけないイベントがあることを皆さん覚えてらっしゃるでしょうか?

 

「さて、どうやら良い子の皆はすっかり寝たらしいな」

「ああ、街の住民全員が子供を早く寝かしつける手はずだったからな」

「よし、では冒険者、否!サンタ諸君!今宵は子供達の夢を叶えるために頑張ろうではないか!」

『おお〜〜〜!!』

 

 俺の号令にサンタ服を着込んだ冒険者達が少し小さめの声で返事を返す。子供達を起こすわけにはいかないからな。

 そう、今夜はクリスマスイブ。良い子の皆にプレゼントを配る日である。こっちの世界でもクリスマスってのはあるらしい、まあ転生者が伝えたんだろうけど。

 実はこの作戦、こっそりと一ヶ月以上も使って念密に考えていたクリスマスイベントなのである。日本のクリスマスにちなんで夜にプレゼントを配って回る。流石に街一つ分の子供達にプレゼントを送って回るので、ギルドに協力してもらった。勿論、プレゼント、その他依頼料は俺持ちだ。デストロイヤーの討伐報酬20億(半分は税金)があればどうということはない。

 

「しかし、カズマよぉ〜。お前も太っ腹だよな。街の餓鬼共のためにこんな大金使うなんて」

 

 近くにいたチンピラサンタことダストが俺に言ってくる。チッチッチッと指を振りながら質問に答えやる。

 

「わかってないなダスト。この街はただでさえ駆け出しの街と言われているのに最近魔王軍幹部や機動要塞デストロイヤーなんかの大物賞金首が襲ってくるだろ?それに子供達は当然怯えるわけだ、これはそれを払拭するためでもあるんだよ」

「な、なるほど」

「というのは建前で小さい頃親父がプレゼントを置いてたのを見て『ああ、やっぱりサンタさんはいないのか』というのをこの街の子供達に味合わせたくないだけだ」

「一気にグレードが下がったな……」

 

 いやあ、あれを見たときはちょっと寂しくなったあ。まあ、前者六割、後者四割ってところだな。

 

「つうわけで、皆の衆それぞれ持ち場のお家にプレゼントを配って来い。無事に終わったら明日はここでクリスマスパーティーだ!」

『おお〜〜!』

 

『ワンモアこのすば!』サンタ冒険者

 

「さて、俺達も行くぞ」

「ああ」

「うん」

 

 俺の班はダクネスとクリスだ。めぐみんとゆんゆんはまだ年齢的にプレゼントを貰う側なので家にいるし、アクアに言うと絶対どこかに漏らすからあいつにも話してない。

 ダクネスがリアカーを押し、俺とクリスがプレゼントを置く役だ。

 流石にトナカイとソリを用意することができなかったのでリアカーだが。その上には無数のプレゼントが入った白い袋がある。

 そして、問題なのは……。

 

「どうした、カズマ?」

 

 そう、ダクネスである。彼女も例に漏れずサンタ服を着てるんだが、なんというかその……きわどい。この服は俺が服屋に頼んで参加者分用意したものだが(しつこいようだが一ヶ月以上前から)、そのせいでサイズはS、M、Lしかないわけで……。

 あとは言わなくてもわかるだろ?

 そして、もう一つ問題がある。

 

「どしたの?」

 

 クリスである。

 彼女のサンタ服を普通のMサイズだ。しかし、考えてみてほしい、あのクリスがサンタ服を着ている。しかも、彼女は動きやすいようにズボンが短い。そして中身は女神様。

 男ならわかるな?

 俺はゆっくりと手を合わせて。

 

「………ありがとう」

「「いきなり、なに(どうした)っ!?」」

 

「「「ワンモアこのすばっ!」」」アダルトカズマ ダクネス クリス

 

「疲れたぁ〜!」

 

 全てのプレゼントを配り終えた俺達は一度ギルドに戻ってきていた。他の班も終わったらしく続々と帰ってくる。

 全ての班が戻ったところで解散と相成った、皆明日の朝が楽しみで仕方ない様子だったよ。

 帰り道、

 

「それにしても、皆よく協力してくれたもんだよな。俺てっきり、『んなもん一人でやれ!』とか言われるもんだと思ってたんだが」

「まあ、経費が全部カズマ持ちだったし。報酬も出るしね」

「まあ、それ以上に皆カズマに感謝してるところがあるんだろう」 

 

 は?俺に?なんで?

 俺の表情から困惑が伝わったのかクリスとダクネスが苦笑いして答える。因みにクリスは今日、家にお泊りらしい。

 

「本当に気づいてなかったんだな。この街は駆け出しの街と言われると同時に新米冒険者にとって挫折の街でもあるんだ」

「どういうことだ?」

「大体の冒険者はここで登録して仕事を始める。だが、ステータスによる職業なんかで冒険者に向いてないと思ってやめる人もそれなりにいるんだよ」

 

 なるほど、言われてみれば俺も数回冒険やめて引きこもろうとしたことがあったな。

 

「そんな街で、最弱職であるお前がベルディアやデストロイヤーに立ち向かったのを見て、皆勇気をもらったんだ」

「……………。」

 

 て、照れくせぇ!!え?皆、そんなふうに俺のこと思ってくれたの?やべぇ、ちょー嬉しいと同時に恥ずかしい!

 

「知ってた?最近のクエスト達成率、年間最高だって話だよ?」

 

 マジでっ!?前回では寧ろニート菌を伝染させておいた俺が!!?

 

「まっ、そんなカズマが街のために企画してくれたイベントを断る人なんていないよ」

「そこまで街の人達に慕われてたという新事実の方がビックリなんですけど?」

 

 そんな他愛ない話をしながら家についた。俺は部屋に戻る前に、ポケットに入れておいた二つの箱を二人に投げ出した。

 

「おっと」

「なんだ、これは?」

「プレゼントだよ、んじゃメリークリスマス」

 

 そう言って、俺は最後の仕事としてめぐみん、ゆんゆん、アクアの枕元にもプレゼントを置いてから就寝した。

 夢になんか白い髭をはやしたおじさんが現れたけど……まあ、いいか。

 

「ワンモアこのすば!」???

 

 朝起きてみると、何故か俺の枕元にもプレゼンが置いてあった。あれ?俺配り忘れたものなんてあったっけ?

 中身を見てみるとそこには、Dear Kazumaと書かれたメッセージカードそして中身にはこちらの世界には絶対ないはずのゲーム機が入っていた。

 まさか、本当にサンタさん?

 

「メリークリスマス!」サンタさん

 

 リビングに行ってみると皆ホクホク顔だ。めぐみんは新しいマナタイトの杖に頬ずりしてるし。ゆんゆんは新しいワンドに眼をキラキラさせている。アクアに関しては、俺が送った酒で既に出来上がってるし……。

 んで、ダクネスとクリスは……。

 

「なんかキモい」

「「ひど(くないか)っ!?」」

 

 イヤだってさぁ……。

 髪につけた髪飾り触ってはニヤニヤしてんだもん。

 俺がプレゼントしたのは髪飾りだ。クリスにはその名の通りクリスの花のデザイン、ダクネスにはビオラの花のデザイン、花言葉は『誠実』と『信頼』。誠実かどうかは、イマイチだがな。

 

「よしっ!ギルド行くぞ」

 

「ワンモアこのすばっ!」アダルトカズマ

 

「うおっ、すげぇなこりゃ……」

 

 ギルドにやってきた俺はその派手な飾り付けに口をあんぐりと開ける。ここの飾り付けはギルドの皆さんが受け持ってくれたが、まさかここまでとはな……。

 すると、その俺に気づいたのかサンタ帽を被ったルナさんが近づいてきた。というか、ギルド職員は全員被ってる。

 

「どうですか?ギルド職員の自信作なんですが?」

「いや、ぶっちゃけここまでとは思ってませんでしたね、かなり時間とらせちゃったんじゃ?」

「いいんですよ、皆生き生きしてましたから。それに、」

「それに?」

「クリスマスを一緒に過ごすような相手、いませんから……」

 

 なんか、すんません。

 なんと、フォローしたらいいのか迷っていると既に出来上がってるダストが俺を見つけて話しかけてくる。

 

「おっ!やっと来たかカズマ!おらっ!こっち来い!」

「はっ?なんだよ、ダスト」

 

 ダストに捕まり、ギルドの中から一番見える席に立たされシュワシュワの入ったグラスを持たされる。

 

「お〜い!お前等!主役様のご登場だぜ!」

 

 ダストの掛け声で飲み食いしていた冒険者達がこちらを向けワーワーと騒ぎ出す。は?何?俺に何しろと?

 戸惑っていると、ダストに小脇を突っつかれ、

 

「ほら、主催者なんだから乾杯の音頭をとってくれよ」

 

 ああ、そういうことね。

 俺は皆に向き直り、グラスを突き上げて一言。

 

「メリークリスマス!」

『メリークリスマス!!!』

 

 冒険者達の声がギルド内に響き渡った。

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